発電機の産業廃棄物処分|費用・ガソリン処理・スクラップ等判断基準

事業で使用した発電機を処分する際は、産業廃棄物としての処理だけでなく、スクラップ売却や中古買取という選択肢もあります。ただし、発電機は本体のほかに燃料・オイル・バッテリーといった付帯物を含むため、区分の整理や残油処理の確認を怠ると、引き取りを断られたり追加費用が発生したりする場合があります。
本記事では、発電機が産業廃棄物に該当するケースと品目区分、産廃処理・スクラップ売却・中古買取の判断基準、処分手順、費用の内訳と相場を左右する要素を解説します。

五十鈴株式会社の「icサーキュラーソリューション」は、使用済み発電機の撤去・処分から、鉄・銅・アルミなどの金属資源の回収、国内製鉄所等への還流までを支援します。残油・バッテリー・付帯設備を含む処分範囲を整理し、産業廃棄物処理とスクラップ売却を比較しながら、処分費用の削減と資源循環の両立を検討したい場合は、お気軽にご相談ください。

目次

1.発電機は産業廃棄物になるか

(1)事業で使用した発電機は事業系廃棄物として処理を検討する

事業活動で使用した発電機は、原則として事業系廃棄物として処理する必要があります。廃棄物処理法では、事業活動に伴って生じた廃棄物のうち法令で定める20品目が産業廃棄物とされており、発電機はその対象に含まれる金属くずなどで構成されているためです。

対象となるのは、工場や倉庫の非常用発電機、建設現場で使用する可搬式発電機、オフィスビルに設置された非常用電源設備などです。事業の種類や規模を問わず、事業のために使用していた発電機であれば事業系廃棄物として扱います。

注意が必要なのは、家庭用として販売されている小型発電機です。ホームセンターなどで購入できる小型機であっても、店舗の営業用電源や現場作業用として事業で使用していた場合は、家庭ごみではなく事業系廃棄物として処理します。製品の種類ではなく、使用実態で区分が決まる点を押さえておく必要があります。

参考:https://www.env.go.jp/recycle/yugai/conf/conf27-03/H280107_06.pdf

(2)発電機本体・燃料・オイル・バッテリーの品目区分を整理する

発電機は、本体と付帯物で産業廃棄物の品目区分が分かれます。

処分を検討する前に、それぞれがどの品目に該当するかを整理しておくと、委託先の選定や見積もり依頼がスムーズになります。

発電機本体は、鉄やアルミなどの金属部分が「金属くず」、樹脂カバーや配線被覆が「廃プラスチック類」、計器類のガラス部分が「ガラスくず・コンクリートくず及び陶磁器くず」に該当し、これらの混合物として扱われるのが一般的です。

一方、内部に残るガソリン・軽油・潤滑油は「廃油」、鉛蓄電池の電解液は「廃酸」に該当します。特にガソリンなどの引火点が低い廃油は、特別管理産業廃棄物の「引火性廃油」に該当する可能性があり、通常の産業廃棄物よりも厳格な処理基準と委託基準が適用されます。本体とは別に、対応できる許可を持つ業者への委託が必要になるケースがあることを前提に計画を立ててください。

参考:https://www.city.sano.lg.jp/material/files/group/18/02_63897896.pdf
参考:https://www.env.go.jp/recycle/misc/wds/ref04.pdf

引用:https://www.cjc.or.jp/data/pdf/book2025.pdf

産業環境管理協会の図表では、2022年度に再生利用された産業廃棄物2億268万5,000トンのうち、金属くずは639万トン(3.2%)です。最終処分された金属くずは15万2,000トンで、最終処分量全体の1.7%にとどまります。一方、減量化量には廃油158万4,000トンも含まれます。発電機は本体・残油・バッテリーで処理方法が異なるため、全国値は個別機の処理率ではない点に留意し、品目ごとの区分と委託先を確認する必要があります。

(3)発電機本体と付帯物をどこまで処分対象に含めるか確認する

処分を依頼する前に、発電機本体だけでなく燃料・オイル・バッテリーを含めた処分対象の洗い出しが必要です。

実務上の確認ポイントは、残油やバッテリーを含めたまま一括で引き取り可能かどうかです。処理業者によっては、燃料を抜き取った状態でなければ受け入れない、バッテリーは取り外して別途回収するなど、受け入れ条件が定められています。

また、本体は産業廃棄物処理業者、廃油は廃油処理に対応する業者、バッテリーは回収ルートを持つ業者というように、委託先が分かれる場合もあります。見積もり段階で「どこまで一括対応できるか」「別委託が必要な範囲はどこか」を確認しておくと、処分直前になって引き取りを断られる事態を防げます。

(4)据置型・可搬式・建物付帯設備で処分前提がどう変わるか確認する

発電機の設置形態によって、処分の前提となる作業内容が大きく変わります。同じ「発電機の処分」でも、可搬式と据置型では見積もりの構成が別物になるため、最初に設置形態を整理しておく必要があります。

可搬式の小型発電機は、そのまま持ち運んで搬出できるため、引き取りや持ち込みで処分が完結するケースが多くなります。一方、据置型の非常用発電機は、基礎への固定、燃料配管や電気配線の接続があり、切り離し作業を伴う撤去工事が前提になります。

さらに、建物の付帯設備として設置されている非常用発電設備の場合は、消防設備や電気設備との関係を確認したうえで、配線・配管の切り離し、搬出経路の確保、場合によっては壁面や開口部の養生まで含めた工事計画が必要です。設置形態の違いは、依頼先の選定にも処理費用にも直結します。

(5)架台・防音ボックス・配線類など付帯設備の処分範囲を整理する

発電機の処分では、本体に加えて架台、防音ボックス、燃料タンク、接続配線などの付帯設備をどこまで処分対象に含めるかを事前に決めておく必要があります。処分範囲の設定によって、見積もり金額と委託先の役割分担が変わるためです。

据置型の発電機には、防音・防振のためのボックスや専用架台、屋外燃料タンク、燃料配管、制御盤への配線が付随しているケースが多くあります。設備更新であれば新設工事側で既存撤去まで対応する場合もありますが、拠点閉鎖や設備廃止であれば、周辺設備を含めた一括撤去を処分側に依頼することになります。

発電機単体の引き取りなのか、周辺設備を含めた撤去・処分なのかで、必要な作業も費用も大きく異なります。見積もり依頼の時点で処分範囲を図面や現地写真で明示しておくと、業者間の認識齟齬による追加費用を避けられます。

2.発電機における産廃処理・スクラップ売却・中古買取の判断

(1)中古買取に向く発電機の条件

稼働可能で整備状態のよい発電機は、産業廃棄物として処分する前に中古買取を検討する価値があります。

査定の主な判断材料は、稼働可否、メーカー、年式、発電容量、整備履歴、使用時間です。国内主要メーカーの機種で、定期整備の記録が残っており、試運転で正常動作が確認できるものは買取対象になりやすい傾向があります。可搬式発電機だけでなく、据置型の非常用発電機でも、更新時期の浅い機種や需要のある容量帯であれば買取対象になり得ます。

付属品の有無や取扱説明書・保守記録の保管状況も査定条件に影響します。買取を視野に入れる場合は、稼働状態のまま放置期間を作らず、記録類を揃えた状態で査定を依頼するのが有利です。

(2)スクラップ売却に向く発電機の条件

稼働しない発電機でも、鉄・銅・アルミなどの金属を含む設備として、スクラップ売却の対象になり得ます。中古機としての再販価値がなくても、素材としての価値で有価売却できる可能性があるためです。

発電機は、エンジンブロックやフレームの鉄、発電コイルや配線の銅、放熱部品のアルミなど、金属含有量の多い設備です。故障機や旧式機であっても、重量ベースで金属スクラップとして評価されるケースがあります。

受け入れ条件を左右するのは、本体の材質構成と重量、解体の要否、そして残油やバッテリーの有無です。燃料やオイルが残ったままでは受け入れできない、あるいは抜き取り費用が差し引かれるといった条件が一般的なため、売却前に残油処理の扱いを確認しておく必要があります。中古買取が難しい発電機でも、廃棄一択と判断する前にスクラップ売却の可能性を確認すると、処分費用の圧縮につながります。

引用:https://www.cjc.or.jp/data/pdf/book2025.pdf

産業環境管理協会の集計では、2023年度の国内老廃スクラップ購入量は1,760万トン、国内加工スクラップ購入量は710万トン、輸出量は690万トンです。老廃スクラップ購入量は2007年度の3,040万トンをピークに増減しており、使用済み機械等を受け入れる市場がある一方、需給が一定ではないことも示されます。発電機も金属資源として評価され得ますが、実際の売却可否と単価は重量・金属構成・残油・異物・地域相場・運搬費で変わる点に留意が必要です。

(3)産業廃棄物処理に向く発電機の条件

再販価値もスクラップとしての売却条件も見込みにくい発電機は、産業廃棄物処理を前提に検討します。売却可否の判断に時間をかけるより、撤去・処理を優先したほうが合理的なケースがあるためです。

具体的には、破損や腐食が著しく進んでいる、油漏れがあり周辺への汚染リスクがある、残油・バッテリー・周辺設備を含めた一括処理が必要、撤去工事の比重が大きく本体の素材価値では相殺できない、といったケースです。

また、建物付帯設備の撤去や拠点閉鎖に伴う処分では、燃料タンク、配管、防音ボックスなどをまとめて処理する必要があり、産業廃棄物処理の比重が高くなります。この場合は、売却額の多寡よりも、許可を持つ業者に適正な手続きで委託し、排出事業者責任を確実に果たすことを優先する判断が求められます。

(4)故障した発電機・古い発電機の処分について

故障機や長期保管品であっても、処分ルートは産業廃棄物処理の一択ではありません。状態に応じて、産廃処理、スクラップ売却、部品取りとしての引き取りなど、複数の選択肢を比較できます。

修理不能な発電機でも、前述のとおり金属資源としての価値が残っている場合があります。一方で、腐食が進んで解体に手間がかかる、油漏れで汚染除去が必要といった状態では、売却よりも撤去・産廃処理を優先すべきケースになります。

長期間放置された発電機については、処分方法を判断する前に、燃料の劣化・変質、タンクや配管の腐食、油漏れの有無を確認してください。劣化したガソリンや漏えいした油分は、通常の残油処理よりも慎重な対応が必要になる場合があり、確認結果によって依頼先や費用条件が変わります。放置期間が長いほど売却条件は悪化する傾向があるため、使用予定のない発電機は早めに処分方針を決めることが、費用面でも安全面でも有利に働きます。

3.発電機を産業廃棄物として処分する手順

(1)発電機の処分対象と撤去範囲を確認する

産業廃棄物としての処分は、処分対象と撤去範囲の確定から始めます。

まず、発電機本体に加えて、架台、防音ボックス、燃料タンク、接続配線、燃料配管など、周辺設備を含めた処分対象を洗い出します。次に、発電機単体の搬出で済むのか、基礎からの切り離しや配線・配管の撤去工事を伴うのかを確認します。

据置型や建物付帯設備の場合は、電気設備や消防設備との取り合いも確認事項に含まれます。どこまでを撤去範囲・処分範囲とするかによって、見積もり条件だけでなく、撤去業者と産業廃棄物処理業者の役割分担も変わります。現地写真や設備図面を用意して範囲を明示すると、後工程の確認がスムーズになります。

(2)処理業者へ見積もりを依頼し、契約内容と許可証を確認する

見積もり依頼と並行して、委託先の許可内容の確認が必要です。産業廃棄物の処理委託では、排出事業者に委託基準の遵守が義務付けられており、許可のない業者への委託は排出事業者側の法令違反になるためです。

確認手順としては、まず撤去、収集運搬、処分の各工程を誰が担うのかを整理したうえで見積もりを取得します。収集運搬業・処分業それぞれの許可の有無、許可品目に金属くず・廃プラスチック類・廃油などが含まれているか、引火性廃油に該当する場合は特別管理産業廃棄物の許可があるかを確認してください。

見積書では、撤去費、搬出費、運搬費、処分費、付帯物処理費がどこまで含まれているかを項目ごとに確認します。「一式」表記で内訳が不明な見積もりは、範囲外作業の追加請求リスクがあるため、内訳の明示を依頼したうえで比較することを推奨します。委託時は、収集運搬・処分それぞれについて書面での委託契約締結が必要です。

(3)発電機本体・燃料・オイル・バッテリーの処理方法を決める

契約前に、本体と付帯物それぞれの処理方法と担当者を確定させます。品目区分が異なる以上、処理区分ごとに「誰が・どの段階で・どう処理するか」を決めておかないと、当日の作業が止まる原因になるためです。

具体的には、残油(ガソリン・軽油・潤滑油)の抜き取りを排出事業者側で行うのか、撤去業者または処理業者が対応するのかを決めます。抜き取った燃料・廃油の引き渡し先と処理方法、バッテリーの取り外しと回収ルートも同様です。

本体と付帯物を1社で一括処理できる場合はマニフェストや契約の管理が簡潔になりますが、廃油やバッテリーだけ別業者への委託が必要になるケースもあります。その場合は、それぞれの委託契約とマニフェスト運用を分けて管理する前提で準備してください。燃料タンクや配管が接続されている据置型では、本体内部だけでなくタンク・配管内の残油の有無も確認対象に含めます。

(4)発電機の撤去・搬出・収集運搬・処分を実施する

実作業の工程は、現地での切り離し、撤去、搬出、積み込み、運搬、処分の順に進みます。排出事業者側の役割は、作業に立ち会い、見積もりどおりの範囲で処理が実施されているかを確認することです。

据置型や建物付帯設備の発電機では、配線・配管の切り離し、基礎アンカーの切断、搬出経路の養生、クレーンや重機による吊り上げ・積み込みが必要になる場合があります。屋内設置や地下設置では、開口部の確保分割解体が発生することもあります。

作業当日は、処理対象に含めた本体、付帯設備、残油類が漏れなく回収されているかを確認してください。特に、燃料タンク内の残油や取り外したバッテリーが現場に残置されると、後日の処理費用や安全リスクにつながります。搬出後の設置場所についても、油汚れや残置物がないかを引き渡し前に確認しておくと、原状回復に関するトラブルを防げます。

(5)マニフェストや処理完了書類を確認して保管する

処分の完了は、マニフェストの返送確認をもって判断します。産業廃棄物管理票(マニフェスト)は交付して終わりではなく、運搬終了・処分終了の各段階で返送される写しを確認し、処理完了まで追跡する義務が排出事業者にあるためです。

紙マニフェストの場合は、交付から90日以内(特別管理産業廃棄物は60日以内)に運搬・処分終了の写しが、最終処分終了については180日以内に写しが返送されることを確認します。電子マニフェストであれば、システム上で処理状況を確認できます。

保管対象となるのは、マニフェスト(5年間保存)、委託契約書(契約終了後5年間保存)、許可証の写し、処理完了を示す書類です。発電機本体と廃油・バッテリーで処理ルートが分かれた場合は、それぞれのマニフェストと契約書を紐づけて管理してください。設備更新や拠点閉鎖に伴う処分では、社内の資産管理記録と合わせて処分記録を残しておくと、後日の照会にも対応できます。

参考:https://www.env.go.jp/content/900479496.pdf

引用:https://www.jwnet.or.jp/jwnet/about/assets/files/2025jwnet_toukei.pdf

JWセンターの年度別グラフでは、電子マニフェスト登録件数は2016年度の2,374万8,000件から2025年度の4,751万3,000件へ増加し、約2倍となっています。2025年度の電子化率は67.9%です。処理状況を継続的に確認する実務が広がっていることから、発電機本体と廃油・バッテリーの処理ルートが分かれる場合にも、各記録を紐づけて管理する重要性を裏付けます。ただし、電子化率は年間総マニフェスト数を7,000万件として算出した参考値で、紙マニフェストも法定手段です。

4.発電機の処分費用の内訳と相場

発電機の処分費用は、主に以下の項目で構成されます。

費用項目内容
撤去・解体費切り離し、基礎からの取り外し、分割解体
搬出費建物からの搬出、クレーン・重機作業、養生
収集運搬費処分場までの運搬
処分費本体の処理・処分
付帯物処理費残油の抜き取り・廃油処理、バッテリー回収

可搬式の小型発電機であれば数千円から数万円程度で収まるケースがある一方、据置型の非常用発電機では撤去工事を含めて数十万円規模になる場合もあります。実際の金額は、以下の要素によって大きく変動します。

(1)発電機の種類

発電機の種類は、処分費用の相場を左右する最も基本的な要素です。

可搬式発電機は、切り離し工事が不要でそのまま搬出できるため、引き取りまたは持ち込みによる処分で費用を抑えられます。一方、据置型の非常用発電機は、撤去工事、重量物の搬出、周辺設備の処理が伴うため、処分費用の総額が大きくなります。

特に非常用発電機は、防音ボックス、専用架台、燃料タンクなどの周辺設備を伴うケースが多く、発電機単体の処分費に比べて総額が膨らみやすい点に注意が必要です。見積もり比較の際は、本体処分費だけでなく、周辺設備を含めた総額で確認してください。

(2)容量・重量・設置形態

重量物になるほど、搬出作業の人員・機材と運搬車両の条件が重くなるため、発電容量と本体重量が大きいほど、処分費用は高くなる傾向があります。

小型の可搬式発電機は人力で搬出できますが、数百kgから数トン級の据置型発電機では、重機やクレーンによる吊り上げ、大型車両での運搬が前提になります。また、据置型・可搬式・建物付帯設備のいずれに該当するかによって、切り離し工事や解体作業の要否が変わり、作業費の構成が変わります。

同じ容量帯の発電機でも、設置形態と搬出条件によって見積もりに差が出るため、機種名・容量・重量・設置状況を伝えたうえで見積もりを取得すると、精度の高い比較ができます。

(3)設置場所・搬出条件

設置場所による搬出難易度の差は、処分費用に直接反映されます。同じ発電機でも、搬出経路の条件次第で作業費が数倍になるケースがあるためです。

屋外の地上設置であれば、車両を横付けして積み込みできるため作業費を抑えられます。一方、屋内設置、地下設置、屋上設置の発電機は、搬出経路の確保、開口部からの吊り出し、階段や通路の養生などが必要になります。

クレーン作業、ユニック車の手配、通路・壁面の養生、配線切り離し、分割解体などが発生する場合は、それぞれ追加費用の対象になります。見積もり時には現地調査を依頼し、搬出条件を反映した金額を提示してもらうことで、作業当日の追加請求を防げます。

(4)燃料・オイル・バッテリーなど付帯物の有無

付帯物の有無と量は、本体処分費とは別建ての費用要素になります。残油処理やバッテリー回収は、本体の処理とは異なる工程と委託先が必要になるためです。

発電機内にガソリン・軽油・潤滑油が残っている場合は、抜き取り作業費と廃油の処理費が発生します。残油の量が多い、劣化して変質している、漏えいしているといった状態では、通常より費用が上がる場合があります。

バッテリー、屋外燃料タンク、燃料配管などの付帯物がある場合も、処理対象が増える分だけ費用条件が変わります。見積もりでは、本体処分費と付帯物処理費が分けて記載されているかを確認し、「残油処理は含まれているか」「バッテリーの回収費用は別か」を明確にしたうえで契約してください。

5.発電機を廃棄せず資源循環に回すメリット

(1)発電機の処分費用を抑えられる可能性がある

発電機をスクラップや中古機として売却できる場合、廃棄処分にかかる費用の一部または全部を圧縮できる可能性があります。

稼働可能な発電機や金属量の多い大型機では、買取査定やスクラップ売却額を含めて比較する余地があります。撤去費用が発生する場合でも、却額との相殺で実質負担を抑えられるケースがあります。

(2)鉄・非鉄金属を資源として再利用できる

発電機は、鉄、銅、アルミなどの金属を多く含む設備であり、スクラップとして資源化できる可能性があります。

エンジンブロックや架台の鉄、発電コイル・配線の銅、放熱部品のアルミは、それぞれ素材として回収され、再び原材料として利用されます。故障して発電機としての機能を失っていても、素材としての価値は残っており、解体・選別を経て再利用ルートに乗せられる場合があります。

引用:https://www.cjc.or.jp/data/pdf/book2025.pdf

2022年度の日本の鉄鋼循環図では、粗鋼生産8,783万9,000トンに対し、スクラップ消費は3,745万7,000トン、回収・中間処理された鉄スクラップは3,865万8,000トンです。国内の鉄鋼蓄積量は14億1,814万6,000トンとされ、使用済み製品から回収された鉄が再び鋼材原料へ戻る大規模な循環を示しています。これは発電機の鉄製部材を資源化する意義を裏付けますが、図中の蓄積量は他項目と尺度が異なり、発電機に含まれる銅・アルミや残油は別ルートで処理されます。

発電機から回収した鉄を再び鉄鋼製品の原料として循環させるには、回収後の選別や再資源化、製鉄所への還流までを含めた仕組みづくりが必要です。鉄がどのように循環し、どのような製品へ再利用されるのかについては、「鉄のサーキュラーエコノミー|事例や鉄鋼製品一覧、リサイクル性も」で詳しく解説しています。

(3)環境負荷の低減につながる

発電機を資源循環に回すことは、環境負荷の低減にもつながります。廃棄物として最終処分される量を減らし、金属資源の再利用によって新たな資源採取を抑制できるためです。

鉄や銅などの金属は、鉱石からの新規製錬に比べて、スクラップからの再生のほうがエネルギー消費とCO2排出を抑えられるとされています。使用済みの発電機を適切な解体・選別ルートに引き渡すことは、自社の廃棄物削減の実績になると同時に、資源循環型の調達・廃棄の取り組みとして位置づけられます。

引用:https://www.enecho.meti.go.jp/about/special/johoteikyo/green_steel_2026.html

資源エネルギー庁が掲載するIEAの2050年ネットゼロシナリオでは、世界の鉄投入量に占める鉄スクラップ由来分が2022年から2030年、2050年へ段階的に増え、2050年には全体の約半分を占める見通しです。同庁は、鉄スクラップを電炉で再利用する方法は高炉による製造よりCO₂排出を抑えられると説明しています。発電機の鉄部材を再生原料へ回すことが環境負荷低減につながる根拠ですが、世界全体の将来シナリオであり、個別案件の削減量は電力構成、スクラップ品質、輸送距離などで変動します。

6.まとめ

事業で使用した発電機は事業系廃棄物として扱い、本体は金属くず等の混合物、燃料・オイルは廃油、バッテリーは廃酸として、品目ごとに処理を検討する必要があります。ガソリンなど引火性の残油は特別管理産業廃棄物に該当する場合があるため、対応可能な許可を持つ業者への委託が前提です。

処分方針は、産廃処理・スクラップ売却・中古買取の3つを比較して決めます。稼働機や整備状態のよい機種は中古買取、不動機でも金属量のある機体はスクラップ売却、破損・腐食が進んだ機体や周辺設備を含む一括撤去は産廃処理が基本の考え方です。費用は、発電機の種類、容量・重量、設置場所と搬出条件、付帯物の有無で変動するため、処分範囲を明示したうえで内訳付きの見積もりを取得してください。

五十鈴株式会社の「icサーキュラーソリューション」は、発電機を含む鉄系設備・製品の廃棄から、国内製鉄所等への資源循環まで、一貫したクローズドループの構築を支援します。発電機の適正な撤去・処分と、鉄をはじめとする素材の資源化をご検討の際は、ぜひご相談ください。

監修

早稲田大学法学部卒業後、金融機関での法人営業を経て、中小企業向け専門紙の編集記者として神奈川県内の企業・大学・研究機関を取材。
2013年から2020年にかけては、企業のサステナビリティレポートの企画・編集・ライティングを担当。2025年4月よりフリーランスとして独立。
企業活動と社会課題の接点に関する実務経験が豊富で、サステナビリティ分野での実践的な視点に基づく発信を強みとしている。