金型廃棄の手順|預かり金型の返却・産廃処理・スクラップ売却の手順

金型の廃棄は、所有関係の確認を起点に、産業廃棄物としての処分、スクラップとしての売却、所有者への返却のいずれかを選択して進める必要があります。
本記事では、金型廃棄の前提となる所有関係の確認方法、処分・売却・返却それぞれの手順、費用の内訳と変動要素、必要書類の確認ポイントを整理します。

五十鈴株式会社の「icサーキュラーソリューション」は、廃棄予定の金型について、材質や付着物、重量、搬出条件を確認し、産業廃棄物としての処理だけでなく、鉄スクラップとしての売却・再資源化を含めた処理方法の検討を支援します。回収した鉄を国内製鉄所等へ還流させるクローズドループの構築など、金型の処分費用削減と資源循環、脱炭素を両立させたい場合は、お気軽にご相談ください。

目次

1.金型廃棄の前に確認すべき前提

廃棄手続きに入る前に確認すべき3つの前提として、所有関係の切り分け、廃棄・返却・保管継続の判断基準、金型本体以外の関連資産の確認について解説します。

(1)預かり金型は所有者の承諾なしに廃棄できない

金型を廃棄する前に、その金型が自社所有か、取引先などから預かっている金型かを切り分ける必要があります。預かり金型は所有権が取引先にあるため、自社の判断のみで廃棄すると、所有権侵害として損害賠償請求の対象になり得ます。

製造業では、発注元が費用を負担して製作した金型を受注側が保管する取引形態が広く行われており、長期間保管されたまま所有関係が不明確になっている金型も存在します。

預り証、保管契約書、取引基本契約書のほか、金型に刻印された図面番号や管理番号、金型管理台帳の記載から所有者と対象金型を特定します。

書類が残っていない場合は、取引先への照会や過去の取引記録の確認を通じて所有関係を確定させたうえで、次の判断に進みます。

(2)廃棄・返却・保管継続を切り分ける判断基準について

金型の処理方針は、廃棄、返却、保管継続の3つに切り分けて判断します。

判断の起点は、その金型が現在も製品生産や保守対応で使用される可能性があるかどうかの確認です。使用可能性が残る金型を廃棄すると、補給部品の供給義務を果たせなくなるリスクがあるため、生産部門や取引先への確認を先行させます。

返却または保管継続を優先するのは、所有者から返却要請がある場合、保管契約が継続している場合、製品の保守部品対応に金型が必要な場合です。これらに該当する金型は、廃棄ではなく契約に沿った対応を取ります。

一方、廃棄判断に進める条件は、対象製品の生産が終了していること、所有者から返却不要の確認が取れていること、保管コストの負担が保管継続の合理性を上回っていることです。判断基準を整理すると次のとおりです。

処理方針該当する条件
返却所有者から返却要請がある、契約上返却義務がある
保管継続保管契約が継続している、保守部品対応に必要
廃棄・売却生産終了済み、返却不要の確認済み、保管コスト負担が大きい

実務では、金型ごとに使用状況、契約状況、所有者の意向を一覧化し、処理方針を個別に確定させる進め方が有効です。

引用:https://www.chusho.meti.go.jp/koukai/kenkyukai/katatorihiki/2020/download/201210katatorihiki03.pdf

中小企業庁の調査では、量産終了後の型について、受注側の59.4%が「事前の定めもなく、特段廃棄の指示もない」と回答し、事前ルールに従った廃棄指示は21.2%、都度の指示は39.5%でした。発注側と受注側で廃棄可否の認識が一致しない実態は、預かり金型を自社判断で処分せず、所有者確認と書面承諾を先行させる必要性を裏付けます。なお、複数回答の全国調査であり、個別契約や製品の補修期間によって判断は異なります。

(3)金型本体以外の付属品・関連資産の有無

廃棄対象の範囲は、付属品や関連資産を含めて確定させる必要があります。

金型には専用台車、保管ラック、木箱、付属部材のほか、図面や測定記録などの関連資料が紐づいていることがあり、本体のみを処分すると付属品が宙に浮き、保管スペースや管理台帳の整理が完了しません

また、金型には冷却配管、ヒーター、センサー、油圧・空圧部品などが組み込まれている場合があります。これらは材質や処理区分が金型本体と異なることがあり、取り外しや別処理が必要になるケースがあるため、処理業者への見積依頼前に構成を把握しておくことが求められます。

実務上の確認手順としては、固定資産台帳、金型管理台帳、現物の保管場所を照合し、廃棄対象の範囲を明確にします。

台帳上に存在するが現物が確認できない金型、現物はあるが台帳に記載のない金型が見つかった場合は、経理部門と連携して台帳の整合を取ったうえで廃棄手続きに進みます。固定資産として計上されている金型は、廃棄時に除却処理が必要になるため、廃棄証明書などの証憑を経理処理と紐づけて保管する体制も併せて確認します。

2.金型における産廃処理・スクラップ売却・返却の手順

金型の処理は、産業廃棄物としての処分、スクラップとしての売却・有価引取、所有者への返却の3つの手順に分かれます。

(1)産業廃棄物として処分する手順

金型を産業廃棄物として処分する場合、廃棄物の処理及び清掃に関する法律に基づき、排出事業者である自社が処理責任を負います。

起点は廃棄対象の特定であり、自社所有か預かり品かを確認し、預かり品であれば所有者の書面承諾を得たうえで処分可否を確定させます。

次に、金型には加工油や離型剤などの油分、樹脂や金属粉などの付着物が残っていることがあり、処理業者の受入条件によっては事前の分別や清掃が必要になります。冷却配管やセンサーなどの付属品も、取り外しの要否を業者と協議して決めます。

処理の依頼先は、産業廃棄物処分業の許可を持つ業者から選定し、見積依頼、回収日程の調整、搬出方法の確認を行います。金型は重量物のため、フォークリフトやクレーンの手配、搬出経路の確保を含めて事前に調整します。

引き渡し時には産業廃棄物管理票(マニフェスト)を交付し、処理完了後に返送される写しで最終処分までの完了を確認します。マニフェストは交付日から5年間の保存義務があり、廃棄証明書と併せて固定資産の除却証憑としても保管します。

参考:https://www.env.go.jp/content/900479496.pdf

(2)スクラップとして売却・有価引取する手順

金型は鉄や非鉄金属を主体とする構造物であるため、状態によってはスクラップとして売却または有価引取の対象になります。有価物として取引される場合は廃棄物処理法上の産業廃棄物に該当せず、処分費の削減や売却収入の発生につながる可能性があります。

鋳鉄、鋼材、超硬材、アルミなど材質によって取引価格が異なるため、材質構成を把握できる資料(図面、仕様書、材質証明)があれば査定時に提示します。

査定や引取条件に影響する項目として、樹脂や油分などの付着物・異物の有無、大型金型の分割の要否、積込方法と搬出条件を整理します。付着物の除去や分割作業が必要な場合、その作業費が売却額から差し引かれる、または別途費用が発生することがあります。

売却先の選定では、金属スクラップの買取業者へ見積を依頼し、引取条件(持込か引取か、計量方法、精算条件)を確認します。引き渡し時にはトラックスケール等での計量を経て精算し、計量伝票や買取伝票などの売却証憑を受領します。売却証憑は、預かり金型の場合の所有者への報告資料、および経理処理の証憑として保管します。

(3)預かり金型を返却する手順

預かり金型を返却する場合、返却の相手方と対象、条件を契約書類で確定させることが手順の起点になります。返却先の誤りや対象金型の取り違えは、返却後の紛争につながるためです。

預り証や保管契約書で所有者、対象金型、返却先、返却条件(費用負担、運送手配の分担、返却期限)を確認します。所有者側の担当部署や受入窓口が契約当時から変わっていることもあるため、返却前に所有者側の受入体制を確認します。

返却前には現物確認を行い、数量、型番、状態を所有者と共有します。長期保管された金型は錆や部品欠損が生じている場合があり、返却時の状態を写真や点検記録で残しておくことで、返却後の状態に関する認識の相違を防げます。

搬出と運送は、金型の重量とサイズに応じてフォークリフト、クレーン、専用車両を手配します。運送費用の負担区分は契約の定めに従い、定めがない場合は事前に所有者と合意します。返却完了時には受領確認書を取得し、預り証の返還または失効処理、金型管理台帳からの除外までを行って手続きを完了させます。受領確認書は、保管義務の終了を示す記録として保管します。

3.金型廃棄の費用相場と変動要素

金型廃棄の費用は、金型の重量や状態、保管場所の搬出条件によって大きく変動するため、一律の相場を前提にせず、内訳と変動要素を把握したうえで複数業者から見積を取得する進め方が求められます。

(1)廃棄費用の内訳

金型廃棄の費用は、複数の費目で構成されます。内訳を把握しておくことで、見積の比較や社内稟議での説明が行いやすくなります。

主な費目は、保管場所からの搬出費、処理場までの運搬費、処分費、必要に応じた解体・分別費です。金型は数百kgから数tに及ぶ重量物であるため、フォークリフトやクレーンの手配費、作業人員の費用が搬出費に含まれる場合があります。

自社でフォークリフトと積込人員を確保できる場合と、業者側に搬出作業まで依頼する場合とでは、総額が変わります。

一方、金型の材質や状態によってスクラップとして売却できる場合は、売却額が処分費から相殺され、総費用が圧縮される可能性があります。条件によっては引取額が処分費用を上回り、収入となる場合もあります。ただし、付着物の除去や分別に作業費がかかる場合は相殺額が減少するため、見積段階で処分費と買取額の両方を提示してもらい、正味の費用を比較する方法が実務的です。

引用:https://www.meti.go.jp/shingikai/sankoshin/sangyo_gijutsu/resource_circulation/jidosha_wg/pdf/060_04_00.pdf

経済産業省資料では、鉄スクラップ価格は2001年6月の1トン当たり6,200円から、2008年7月に68,100円まで上昇し、同年11月には13,000円へ下落しました。2025年6月は40,500円です。長期的な価格変動は、金型をスクラップ売却した場合の収入が一定ではなく、処分費との相殺効果も見積時点で変わることを示します。なお、自動車リサイクル分野で示された市況資料であり、実際の金型査定額は材質、付着物、重量、地域、搬出条件で変動します。

(2)廃棄費用の変動要素

金型廃棄の見積額は、金型そのものの条件と搬出環境の条件の両方で変動します。変動要素を事前に業者へ伝えることで、見積の精度が上がり、当日の追加費用の発生を抑えられます。搬出環境側の主な変動要素は次のとおりです。

変動要素費用への影響
狭所からの搬出大型機材が使用できず、小型機材や人力作業の追加で作業費が増加する
2階以上からの搬出クレーン手配や階段搬出の人員追加により搬出費が増加する
錆・破損・仕分け作業分別や固着部品の切り離しなど、作業工数の増加分が費用に加算される

保管場所の写真、搬出経路の寸法、金型の管理番号と概算重量を整理したうえで見積を依頼すると、条件の行き違いによる再見積や追加請求を避けやすくなります。

4.金型廃棄における必要書類と確認ポイント

金型廃棄では、処理の実施記録と所有関係の確認記録を書面で残すことが、税務・契約の両面で求められます。

ここでは、廃棄証明書、預り証、保管契約、所有者承諾の4つについて、確認すべき項目と実務上の取り扱いを解説します。

(1)金型廃棄証明書の記載項目と取得方法

金型を処分した事実は、廃棄証明書で記録として残します。固定資産に計上された金型の除却処理では、廃棄の事実を示す証憑が税務上必要となるためです。

産業廃棄物として処分した場合はマニフェストが処理記録となりますが、除却証憑としては、対象金型を個別に特定できる廃棄証明書を併せて取得する対応が実務的です。

廃棄証明書で確認する項目は、対象金型の名称と管理番号、数量、処理日、処理方法、処理業者名です。記載内容が「金型一式」のような包括表記になっていると、どの金型をいつどの方法で処理したかを後から特定できず、除却対象との紐づけができません。管理番号単位で対象を特定できる記載になっているかを受領時に確認します。

取得方法は、処理依頼時に廃棄証明書の発行を条件として伝え、処理完了後に受領する流れです。処理業者側に定型書式がない場合は、自社書式への記入を依頼する方法もあります。受領した証明書は、マニフェストや固定資産台帳の除却記録と紐づけて保管します。

参考:https://www.env.go.jp/content/000126051.pdf
参考:https://www.aig.co.jp/content/dam/aig/sonpo/jp/ja/documents/services/applications/service-claim-marine-06.pdf

(2)金型預り証で確認すべき項目と現物・台帳との照合

預かり金型の処理では、預り証の記載内容と現物の照合が対象特定の基礎になります。

預り証と現物が一致しないまま返却や廃棄を進めると、対象の取り違えによる紛争の原因になるためです。

預り証で確認する項目は、所有者、金型名称、型番・管理番号、預り日、保管条件です。中小企業庁が公表している型取引の適正化に関する資料でも、金型の保管に関する取り決めを書面で明確化することの重要性が示されており、預り証は所有関係を示す基本書類として位置づけられます。

照合の実務では、預り証の記載内容と、現物の刻印やラベル、金型管理台帳、固定資産台帳を突き合わせて対象を特定します。長期保管された金型では、刻印の摩耗やラベルの脱落で現物側の識別情報が失われている場合があり、その際は図面や寸法、保管位置の記録から特定を進めます。預り証が発行されていない預かり金型が見つかった場合は、取引先との間で現況を確認し、所有関係と保管条件を改めて書面化したうえで処理方針を決めます。

参考:https://www.chusho.meti.go.jp/koukai/kenkyukai/katatorihiki/2019/download/190806katatorihiki06.pdf

(3)保管契約に廃棄・返却・費用負担の定めがあるか

金型の処理方針を決める前に、保管契約や取引基本契約に廃棄・返却・費用負担の定めがあるかを確認します。契約に定めがある場合はその内容が処理の前提となり、契約を確認せずに廃棄を進めると債務不履行の問題が生じるためです。

確認する項目は、廃棄可否に関する条項、返却条件、保管期限、保管料や運送費などの費用負担の定めです。契約によっては、所有者の書面承諾を廃棄の条件とする定めや、一定期間経過後に受注側から廃棄の協議を申し入れられる定め、保管期限経過後の取り扱いに関する定めが置かれている場合があります。

契約書に該当する定めがない場合や、そもそも保管に関する契約書が存在しない場合は、契約解釈だけで処理を進めず、所有者と協議して廃棄・返却・費用負担の条件を合意し、書面化する対応を取ります。契約確認の結果は、承諾取得や見積依頼の前提条件として社内で共有し、法務部門の確認を経て処理を進める体制が求められます。

(4)所有者承諾を書面で残す方法

預かり金型を廃棄または売却する場合、所有者の承諾は口頭ではなく書面またはメールで残します。口頭承諾のみで処理を進めると、後日、承諾の有無や範囲について認識の相違が生じた際に、承諾の事実を立証できないためです。

承諾書面に明記する観点は、対象金型の特定情報(名称、型番・管理番号、数量)、廃棄または売却への同意の意思表示、費用負担の取り扱い(処分費の負担者、売却額が生じた場合の帰属)です。対象の特定が「不要金型一式」のような包括表記になっていると、承諾範囲を巡る争いの原因になるため、管理番号単位で列挙します。

保存の方法としては、誰が、いつ、どの内容で承諾したかを追える形を確保します。

書面であれば承諾者の記名と日付、メールであれば送信者と送信日時が特定できる状態で、廃棄証明書や売却証憑と紐づけて保管します。承諾者が所有者側の権限ある担当者であるかも確認事項であり、担当者個人の判断か組織としての承諾かが不明確な場合は、正式な承諾書の取り交わしを依頼します。

5.金型を廃棄せず資源循環に回すメリット

金型の処理は、産業廃棄物としての廃棄一択ではなく、スクラップ売却や再資源化を含めて検討することで、費用面と経営面の双方にメリットが生じ得ます。

(1)金型の処分費用を抑えられる可能性がある

金型は、材質や状態に応じて産業廃棄物ではなくスクラップとして売却・有価引取できる場合があり、その場合は処分費用を抑えられる可能性があります。金型の主要材質である鉄や鋼材はスクラップとして取引される資源であり、有価で引き取られる金型は処分費の支払い対象から外れるためです。

費用面の効果は2つの形で生じます。1つは売却代金の発生であり、金型の重量と材質に応じた買取額が収入となります。もう1つは処分費との相殺であり、廃棄対象の一部を売却に回すことで、廃棄全体の正味費用が圧縮されます。

引用:https://www.cjc.or.jp/data/pdf/book2025.pdf

産業環境管理協会の図では、2023年度の国内老廃スクラップ購入量は1,760万トン、国内加工スクラップ購入量は710万トン、輸出量は690万トンです。2003年度以降、各数量は増減しながらも継続して取引されており、使用済み金型の主要材質である鉄に国内外の流通経路が存在することを示します。これは、金型を一律に廃棄物処理せず、売却・有価引取の可否を査定する意義を裏付けます。なお、金型単独の統計ではなく、実際の買取可否は材質、異物、油分、分割・運搬費で変わります。

(2)鉄・非鉄金属を資源として再利用できる

金型に含まれる鉄や非鉄金属は、スクラップとして回収された後、電炉などでの再溶解を経て素材として再資源化される可能性があります。鉄スクラップは国内で流通する再生資源であり、鉄鉱石など新規の資源投入を抑えながら鉄鋼製品の原料となる点で、資源としての価値を持ちます。

金型を廃棄物として処理する場合と資源として回収する場合とでは、同じ金属が埋立や単純処理に向かうか、素材として循環するかという違いが生じます。国内で発生したスクラップを国内で再資源化する流れは、資源の海外依存を抑える国内資源循環の観点からも意味を持ちます。

引用:https://www.cjc.or.jp/data/pdf/book2025.pdf

2022年度の鉄鋼循環図では、国内の鉄スクラップ消費量は3,745.7万トン、回収・中間処理された鉄スクラップは3,865.8万トン、電炉による粗鋼生産は2,351.3万トンです。使用済み製品から回収された鉄が製鋼原料へ戻る流れは、金型をスクラップとして引き渡すことが国内資源循環につながる根拠となります。なお、図は金型以外の建築物、自動車、機械等も含む全国総量であり、鉄鋼蓄積量は他項目と表示スケールが異なる点に留意が必要です。

金型から回収された鉄を製鋼原料として再利用する取り組みは、製品の廃棄後も素材を循環させるサーキュラーエコノミーの一つです。鉄が循環利用に適している理由や、国内における資源循環の事例、再生された鉄を使用する鉄鋼製品については、「鉄のサーキュラーエコノミー|事例や鉄鋼製品一覧、リサイクル性も」で詳しく解説しています。

(3)廃棄物の削減や環境負荷の低減につながる

金型の処理において再利用・再資源化に回せる部分を増やすことは、産業廃棄物として処理する量の削減につながります。廃棄物処理量の削減は、処理費用の抑制にとどまらず、企業の環境対応としても意味を持ちます。

金属資源の循環利用は、新たな資源採掘や一次製錬に伴うエネルギー投入を抑える方向に働きます。鉄スクラップを原料とする電炉鋼は、鉄鉱石から製鉄する高炉プロセスと比べてCO2排出が抑えられるとされており、スクラップの供給はカーボンニュートラルに向けた鉄鋼分野の取り組みとも接点を持ちます。

引用:https://www.jisf.or.jp/business/lca/reference/documents/2022_07.pdf

日本鉄鋼連盟の図は、鉄鉱石由来の製造時CO₂を1.0、スクラップ由来を0.25と置いたモデルで、電炉による再生を重ねるとライフサイクル平均のCO₂負荷が低下する考え方を示しています。金型の鉄を回収して製鋼原料へ戻すことは、新たな鉄鉱石由来材の投入を抑え、環境負荷低減に寄与する可能性があることを裏付けます。ただし、これは回収率0.9、再生歩留まり0.9、再生は電炉のみ等を前提とした概念図であり、実際の削減量は電源構成や輸送・処理条件で変動します。

6.まとめ

金型の廃棄は、所有関係の確認を起点に、廃棄、売却、返却の3つの選択肢を切り分けて進める手続きです。預かり金型は所有者の書面承諾なしに廃棄できず、預り証や保管契約の確認、現物と台帳の照合が処理の前提となります。産業廃棄物として処分する場合はマニフェストと廃棄証明書、スクラップとして売却する場合は計量記録と売却証憑、返却の場合は受領確認書と、いずれの経路でも記録の取得と保管が求められます。費用は重量、材質、搬出条件によって変動するため、複数業者から処分と売却の両案で見積を取得し、正味費用で比較する進め方が実務的です。

五十鈴株式会社の「icサーキュラーソリューション」は、金型を含む鉄系設備・製品の廃棄から、スクラップの回収、国内製鉄所等への資源循環まで、一貫したクローズドループの構築を支援します。金型の処分費用を抑えながら、鉄資源の再利用や環境負荷の低減を進めたい場合は、ぜひご相談ください。

監修

早稲田大学法学部卒業後、金融機関での法人営業を経て、中小企業向け専門紙の編集記者として神奈川県内の企業・大学・研究機関を取材。
2013年から2020年にかけては、企業のサステナビリティレポートの企画・編集・ライティングを担当。2025年4月よりフリーランスとして独立。
企業活動と社会課題の接点に関する実務経験が豊富で、サステナビリティ分野での実践的な視点に基づく発信を強みとしている。