水中ポンプのスクラップ化|モーター・銅の資源価値と処分の判断基準

使用済みの水中ポンプを「鉄くず」として一括で引き渡すと、本来得られたはずの資源価値を取りこぼす可能性があります。水中ポンプはケーシングの鋳鉄・ステンレスに加えて、モーター内部に銅線を多く含む設備であり、部材の切り分け方によって手取り額が数倍変わることがあるためです。 一方で、水中ポンプには水没して稼働する機器特有の事情もあります。汚泥や水分の付着、メカニカルシールを保護するオイル室に封入された潤滑油の扱いは、そのまま受け入れ可否と評価に影響します。

本記事では、水中ポンプの構造別の資源価値、中古買取・スクラップ売却・産業廃棄物処理の判断基準、スクラップ化の手順、買取額と費用を左右する要素を整理します。

五十鈴株式会社の「icサーキュラーソリューション」は、水中ポンプを含む排水・給水設備の廃棄から、銅・ステンレス・鉄などの金属資源の回収、国内製鉄所等への還流までを支援します。産業廃棄物としての適正処理と有価物としての回収を組み合わせ、処分費用の抑制と資源循環の両立を図ります。設備更新や拠点閉鎖に伴う機器の処分ルートを検討している場合は、お気軽にご相談ください。

目次

1.水中ポンプはスクラップになるか|構造別の資源価値

水中ポンプの資源価値は、部材ごとに大きく異なります。ここでは、構造と価値の分布を整理します。

(1)水中ポンプの基本構造と部材区分

水中ポンプは、複数の金属と樹脂が組み合わされた設備です。

主な構成は、外殻となるケーシング(鋳鉄またはステンレス)、内部のモーター部(ステーターコイルの銅線と鉄芯、シャフト)、揚水を担う羽根車(インペラ)とサクションカバー、そして電源を供給するキャブタイヤケーブルです。加えて、モーターと揚水部の間には軸封部があり、メカニカルシールとその潤滑用のオイル室が設けられています。

部材主な材質資源としての位置づけ
ケーシング、吐出口鋳鉄、ステンレス重量が大きく、材質で単価が分かれる
モーター(ステーター・コイル)銅線、鉄芯銅を含み、単価が高い
羽根車、サクションカバーステンレス、鋳鉄、樹脂材質により分かれる
シャフト、ベアリング鋼、ステンレス金属くず
電源ケーブル銅、樹脂被覆雑線として銅率で評価
オイル室の潤滑油鉱油等廃油として別区分

用途によって材質構成は変わります。清水用や工事排水用は鋳鉄製のケーシングが中心で、薬品や腐食性のある排水を扱う設備ではステンレス製の比率が高くなります。同じ「水中ポンプ」でも、材質構成によって評価が変わる点が出発点になります。

(2)モーター部分は銅を含むため鉄くずより高く評価される

水中ポンプの資源価値が集中しているのが、モーター部分です。

モーターのステーターには銅線が巻かれており、銅は鉄と比べて取引単価が桁違いに高い金属です。そのため、モーターを含む機器は、鉄くずとして一括評価する場合と、モーターを分離して評価する場合とで手取り額が変わります。

参考として、2026年前半から夏にかけて買取事業者が公表していた単価の水準を並べると、価格差の構造がわかります。

品目単価の目安
鉄スクラップ50円/kg前後
ステンレス(SUS304系)175〜205円/kg
モーター(未解体・大型)120円/kg前後
モーターコア(外装を除去しコイルのみにしたもの)150〜230円/kg
電線(雑線・銅率により)400〜1,780円/kg
銅スクラップ(込銅・並銅)2,000円/kg超

未解体のモーターでも鉄スクラップの2倍以上、外装を除去したモーターコアではさらに高い単価が付く水準です。水中ポンプを丸ごと鉄くずとして引き渡すと、この差額が反映されません

なお、これらは特定時点の公表値であり、事業者、地域、持ち込みか引き取りか、税込か税抜かによって条件が異なります。銅系の単価は国内建値と連動して日々変動しており、2026年8月上旬の国内産銅建値は1kgあたり2,300円台で推移していました。売却判断にあたっては、直近の条件を複数社に確認してください。

銅をはじめとする金属資源が循環利用される仕組みについては、「金属のサーキュラーエコノミー|具体的な事例、リサイクルとの違いも」で解説しています。

図では、2025年1月2日を1.00としたLMEベースメタル価格指数のうち、銅は4月初旬に1.0を一時下回った後、年末には約1.44まで上昇しています。年内でも大きく変動しており、モーターやケーブルに含まれる銅の評価額が査定時期によって変わることを裏付けます。なお、これは国際地金価格の指数で、国内スクラップの買取単価そのものではありません。為替、国内建値、銅含有率、付着物、運搬条件によって実際の査定額は変動します。

(3)事業で使用した水中ポンプの廃棄物としての位置づけ

事業活動で使用した水中ポンプは、有価物として売却できる場合を除き、産業廃棄物(金属くず)として処理します。

工場の排水設備、建設現場の湧水排水、農業用水利施設、下水・排水処理施設で使用されたポンプは、いずれも事業系の廃棄物です。家庭用の井戸ポンプであっても、事業で使用していれば同じ扱いになります。

判断の分かれ目は取引の実態です。買取価格が運搬費などを上回れば有価物として扱われ、廃棄物には該当しません。逆に、買取額より運搬・処理費用が上回る逆有償の状態では、産業廃棄物として委託手続きが必要になります。

水中ポンプの場合、モーターを含むため有価成立の可能性は比較的高い部類に入ります。ただし、小型機を1台だけ処分するケースや、汚泥の付着が著しく洗浄コストがかかるケースでは、逆有償になることもあります。

有価物と廃棄物の判断基準や、金属くずの処理に関する基本的な考え方は、「産業廃棄物の鉄くずとは?マニフェストや買取時の注意点、リサイクル」で詳しく解説しています。

令和5年度の産業廃棄物排出量は3億6,725万トンで、金属くずは694万4,000トン(1.9%)、廃油は328万9,000トン(0.9%)です。図では両者が別区分として集計されており、水中ポンプ本体とオイル室の油を分けて確認する必要性を補強します。ただし、全国の全産業を対象とした排出量であり、水中ポンプ由来の量ではありません。個別案件では、有価物として売却できるか、油や汚泥の付着により産業廃棄物として処理するかを取引実態と性状から判断します。

(4)水没稼働品特有の付着物と油室を確認する

水中ポンプに固有の確認事項が、付着物と内部の油です。

水中ポンプは液中で稼働する機器であるため、排水用途では汚泥、砂、繊維くず、スケールなどが内部に堆積しています。これらが残ったままでは金属スクラップとしての受け入れ条件を満たさず、洗浄費が発生するか、評価が下がります。

さらに見落とされやすいのが、メカニカルシールの潤滑用に封入されたオイルです。水中ポンプは軸封部を保護するためにオイル室を備えており、ここに潤滑油が入っています。故障機では水がオイル室に浸入して油が乳化・汚濁していることも多く、この油は廃油として本体とは別区分で処理する必要があります。

加えて、そのポンプが何を送っていたかも確認事項です。工場排水や薬品を扱っていた設備では、付着物自体が汚泥、廃酸、廃アルカリなどの別区分に該当する可能性があります。性状が特定できない付着物がある場合は、自己判断せず、使用履歴を業者に伝えたうえで受け入れ可否を確認してください。

2.中古買取・スクラップ売却・産業廃棄物処理の判断

水中ポンプの処分ルートは、稼働状態と部材の分離可否によって分かれます。

(1)中古買取に向く水中ポンプの条件

稼働可能で整備状態のよいポンプは、中古機として売却できる可能性があります。

判断材料は、稼働可否、メーカー、型式、口径と吐出量、揚程、出力、製造年、整備履歴です。国内主要メーカーの汎用機種で、口径や能力が一般的な範囲にあるものは需要が見込めます。工事用の可搬型ポンプは現場間で融通されることが多く、中古市場が比較的活発な部類です。

水中ポンプ固有の判断材料が、モーターの絶縁抵抗です。水中ポンプの故障は、メカニカルシールの劣化によってモーター内部へ水が浸入し、絶縁が低下することで起きるケースが多くあります。メーカーの指針では絶縁抵抗1MΩ以上を目安とすることが一般的で、この値が確保できているかは再使用可否の判断に直結します。

査定を依頼する際は、メーカー名、型式、口径、出力、製造年、稼働状況に加えて、直近の整備記録や絶縁測定の結果があれば提示してください。稼働状態のまま長期放置せず、記録が揃った状態で査定に出すほうが有利になります。

(2)スクラップ売却に向く水中ポンプの条件

再使用が難しいポンプでも、金属としての価値は残ります

スクラップ売却の条件を左右するのは、材質構成、重量、そして部材の分離状態です。ステンレス製ケーシングの機種や、出力の大きい機種ほど、単価と重量の両面で条件が整いやすくなります。

前章で見たとおり、モーターを分離できるかどうかが手取り額を大きく左右します。ただし、水中ポンプのモーター解体は、防水構造ゆえに一般的な工具では困難な場合があります。無理な解体はケガや破損につながるため、自社で行うか業者に委託するかは、対応可否を確認したうえで判断してください。

電源ケーブルも切り分けの対象です。キャブタイヤケーブルは銅を含み、雑線として銅率に応じた評価がされます。本体に付けたまま引き渡すと本体側の単価に吸収されるため、長さのあるケーブルは分離を検討する価値があります。

(3)産業廃棄物処理に向く水中ポンプの条件

売却が見込みにくいポンプは、産業廃棄物処理を前提に検討します。

該当するのは、腐食が著しくケーシングの原形が保てないもの、汚泥や固着物の除去が困難なもの、薬品や油による汚染があるもの、樹脂部品と金属が一体化して分離コストが上回るものです。小型機を少数だけ処分する場合も、運搬費が資源価値を上回りやすくなります。

産業廃棄物として委託する場合は、本体を金属くず、樹脂部品を廃プラスチック類、オイル室の油を廃油として、それぞれ許可を持つ業者に委託します。付着物が汚泥や廃酸・廃アルカリに該当する場合は、さらに区分が増える点に注意してください。

(4)故障品・長期保管品の扱い

故障機や長期間保管されていたポンプでも、処分ルートは産業廃棄物処理の一択ではありません。

モーターが焼損している機体でも、銅線と鉄芯は資源として残っています。ケーシングやシャフトの金属も同様です。修理不能であることと、資源価値がないことは別の問題です。

一方、屋外や湿潤環境で長期保管されたポンプは、腐食の進行によって条件が悪化します。ケーシングの腐食、ケーブルの被覆劣化、内部への水の滞留などが進むと、洗浄と分離の手間が増え、評価が下がります。使用予定のないポンプは早めに方針を決めることが、費用面でも有利に働きます。

3.水中ポンプをスクラップ化・処分する手順

ここでは、対象の確認から書類の保管までの流れを整理します。

(1)処分対象と付帯品を確認する

最初に、処分対象の範囲を確定します。

ポンプ本体に加えて、電源ケーブル、制御盤やフロートスイッチ、据付台やガイドレール、吐出フランジと配管の接続部、着脱装置などが対象になり得ます。ピットに設置されたポンプでは、引き上げ用のチェーンやワイヤーも付随します。

複数台がある場合は、機種名、型式、口径、出力、材質、製造年、稼働状況を一覧化してください。材質と稼働状況で分類しておくと、中古査定に回す機体とスクラップに回す機体の切り分けが進めやすくなります。

(2)洗浄・水抜き・油の抜き取りを行う

引き渡しの前に、内部の残留物を処理します。

まず、揚水部に残った水を抜き、汚泥や固着物を可能な範囲で除去します。排水用途のポンプでは、羽根車まわりや吐出口に堆積物が残りやすいため、この部分の確認が中心になります。

次に、オイル室の潤滑油を抜き取ります。前述のとおり、この油は廃油として別区分の処理が必要です。抜き取りを自社で行うか、業者に依頼するかを事前に決めておいてください。油量は機種によって異なり、故障機では水が混入して乳化していることもあります。

洗浄をどこまで行うかは、費用対効果で判断します。洗浄によって単価が上がる一方、洗浄自体に手間と排水処理の問題が伴うためです。洗浄前提の見積もりと、現状のままの見積もりの両方を取得して比較する方法が現実的です。

(3)見積もりを依頼し、契約内容と許可を確認する

対象が固まったら、買取事業者と産業廃棄物処理業者の双方に見積もりを依頼します。

提示する情報は、機種、型式、口径、出力、材質、台数、稼働状況、付着物の有無と使用履歴、オイルの処理状況、保管場所です。使用していた液体の種類は必ず申告してください。申告のない汚染が発覚すると、受け入れ拒否や追加費用の原因になります。

産業廃棄物として委託する場合は、収集運搬業・処分業の許可について、有効期限、許可区域、許可品目を照合します。金属くず、廃プラスチック類、廃油、必要に応じて汚泥や廃酸・廃アルカリが含まれているかが確認対象です。許可証の確認手順や無許可業者への委託リスクの詳細は、113の記事で解説しています。

(4)モーター解体の要否と依頼先を決める

水中ポンプ固有の判断が、モーター解体をどうするかです。

未解体のまま引き渡す場合とモーターコアの状態まで解体する場合とでは単価が変わりますが、解体には工数と設備が必要です。水中ポンプは防水構造のため分解の難易度が高く、自社での解体は現実的でないケースが多くなります

判断材料は、台数、機種のサイズ、解体作業を業者に依頼した場合の費用、そして解体後の単価差です。台数がまとまる案件では解体の効果が出やすく、少数であれば未解体のまま引き渡すほうが総額で有利になることもあります。

見積もり依頼の際に、未解体で引き渡した場合と、解体を業者に依頼した場合の双方の条件を出してもらうと、比較の材料が揃います。解体に対応していない事業者もあるため、対応可否そのものを先に確認してください。

(5)書類を確認して保管する

処理の完了は、書類の確認をもって判断します。

産業廃棄物として委託した分については、区分ごとにマニフェストを交付し、運搬終了・処分終了・最終処分終了の各段階の返送を確認します。紙マニフェストの返送期限は交付日から90日以内、最終処分終了については180日以内で、保存期間は5年間です。委託契約書は契約終了後5年間の保存が必要になります。

有価物として売却した分については、計量伝票や売買記録が確認資料になります。同じ案件で売却と処分が混在する場合は、どの部材がどちらのルートに乗ったかを対応づけて記録しておくと、社内の資産管理や後日の照会に対応しやすくなります。

4.水中ポンプのスクラップ・処分費用を左右する要素

水中ポンプの費用と買取額は、以下の項目の組み合わせで決まります。

項目内容
買取額本体(材質別)、モーター、ケーブルの資源価値
洗浄・付着物処理費汚泥・固着物の除去
油抜き・廃油処理費オイル室の潤滑油の抜き取りと処理
解体・分離費モーターの解体、材質別の仕分け
収集運搬費保管場所から処理拠点までの運搬
処分費有価成立しない部材の処理

同じ台数でも、これらの条件によって買取になるか費用負担になるかが逆転します。以下、主な変動要因を整理します。

(1)口径・出力・重量

ポンプの規模は、資源量に直結します。

口径が大きく出力の高い機種ほど、ケーシングの鋳鉄量とモーターの銅線量が増えます。数十kg程度の小型機と、数百kg規模の設備用ポンプとでは、1台あたりの評価が大きく変わります。

一方、小型機を少数だけ処分する場合は、運搬費が資源価値を上回りやすくなります。この場合は、他の金属くずとまとめて排出するか、一定量が集まるタイミングで一括して相談するほうが条件が整いやすくなります。

(2)モーターの解体状態と材質構成

前章で述べたとおり、モーターの解体状態は単価に直接反映されます。

あわせて影響するのが、ケーシングの材質です。ステンレス製の機種は鋳鉄製より単価が高く、同じ重量でも評価が変わります。ステンレス製と鋳鉄製が混在する場合は、材質別に仕分けたうえで見積もりを取得してください。

ケーブルの扱いも確認項目です。本体に付いたままか、切り離して雑線として出すかで評価が分かれます。

(3)付着物・汚泥・油分の有無

付着物の量と性状は、費用側に働く要素です。

汚泥や固着物が多いポンプは、洗浄費が発生するか、その分を差し引いた条件になります。除去が困難な場合は、金属スクラップとしての受け入れ自体が難しくなることもあります。

油分については、オイル室の潤滑油の処理費が発生します。さらに、油を扱う工程で使用されていたポンプでは、内部に油が残留している可能性があり、廃油の量が増えるほど処理費が積み上がります

性状が不明な付着物がある場合は、分析が必要になることもあります。分析の要否と費用負担は、見積もり段階で確認する項目に含めてください。

(4)台数と搬出条件

台数がまとまるほど、1台あたりの収集運搬費は下がる傾向があります。

搬出条件も費用に影響します。ピットや水槽内に設置されたポンプは、引き上げ作業が必要です。設置深さ、開口部のサイズ、引き上げ用の設備の有無によって、必要な機材と人員が変わります。屋外の農業用水利施設や排水機場では、重機の搬入経路も条件になります。

見積もり依頼の際は、設置場所、設置深さ、引き上げ方法、保管状況がわかる写真を添えてください。現地条件が事前に共有されていれば、当日の追加請求を避けられます。

5.水中ポンプを廃棄せず資源循環に回すメリット

ここでは、資源循環ルートを選択した場合のメリットを整理します。

(1)処分費用を抑えられる可能性がある

売却できる部材を切り分けられれば、処分費用の相殺、あるいは収入化につながる可能性があります。

全量を産業廃棄物として扱えば、運搬費と処分費のすべてが支出になります。これに対し、中古機としての売却、モーターを含む金属スクラップとしての売却が成立すれば、処分費が発生しないだけでなく、売却額を洗浄費や解体費に充当できる余地が生まれます。

水中ポンプの場合、判断が3段階に分かれる点が特徴です。機器として使えるか、モーターを分けて売れるか、金属として売れるか。前の段階で成立しなくても、次の段階で条件が整うことがあります。廃棄前提で見積もる前に、各段階の可否を確認してください。

(2)銅・ステンレス・鉄を資源として再利用できる

水中ポンプは、複数の金属資源が集約された設備です。

モーターの銅は非鉄金属として回収され、電線や伸銅品の原料に戻ります。ケーシングやシャフトの鉄は電炉で鋼材の原料となり、ステンレス部材はステンレススクラップとして再生されます。機器としての機能を失っても、素材としての循環は続きます。

環境省の令和5年度実績では、産業廃棄物の再生利用率は金属くずが95.4%である一方、廃油は46.1%です。水中ポンプは金属くずと廃油が同時に発生する設備であり、油を抜かずに一括で排出すると、再資源化されやすい金属部分まで扱いが制約されることを示しています。なお、これらは全国の品目別集計であり、個別案件の資源化率を示すものではありません。実際の処理可否は、材質構成、付着物、分離の程度、受入業者の条件によって変わります。

金属部分の重量比が大きい水中ポンプでは、ケーシングやシャフトの鉄を回収し、国内製鉄所で再び鋼材の原料に戻す流れが資源循環の中心になります。鉄が循環利用に適している理由や、鉄スクラップを製造工程へ還流させる仕組みについては、以下の「鉄のサーキュラーエコノミー|事例や鉄鋼製品一覧、リサイクル性も」の記事で解説しています。

処分実績を、廃棄量と再資源化量、部材別の内訳に分けて記録しておくと、社内報告や取引先からの環境関連の照会にも対応しやすくなります。

6.まとめ

水中ポンプは、ケーシングの鋳鉄・ステンレスに加えてモーターに銅を含む設備であり、部材の切り分け方によって手取り額が変わります。鉄くずとして一括で引き渡す場合と、モーターやケーブルを分離する場合とでは単価に差が生じるため、廃棄を決める前に資源価値を確認する価値があります。

一方で、水没して稼働する機器特有の確認事項もあります。汚泥や固着物の付着、オイル室に封入された潤滑油、そして送っていた液体の性状です。油は廃油として別区分になり、工場排水や薬品を扱っていた設備では付着物がさらに別の区分に該当する可能性もあります。使用履歴を申告したうえで受け入れ可否を確認してください。

判断の順序としては、機器として再使用できるか、モーターを分離して売却できるか、金属として売却できるか、いずれも難しければ産業廃棄物処理という流れになります。買取額と費用は、口径・出力・重量、モーターの解体状態、付着物の有無、台数と搬出条件によって変動するため、条件を揃えたうえで複数社から見積もりを取得することが実務上の進め方です。

五十鈴株式会社の「icサーキュラーソリューション」は、水中ポンプを含む鉄系設備・製品の廃棄から、国内製鉄所等への還流によるクローズドループの構築までを支援します。排水・給水設備の適正処分と、鉄をはじめとする素材の資源化をご検討の際は、ぜひご相談ください。

監修

早稲田大学法学部卒業後、金融機関での法人営業を経て、中小企業向け専門紙の編集記者として神奈川県内の企業・大学・研究機関を取材。
2013年から2020年にかけては、企業のサステナビリティレポートの企画・編集・ライティングを担当。2025年4月よりフリーランスとして独立。
企業活動と社会課題の接点に関する実務経験が豊富で、サステナビリティ分野での実践的な視点に基づく発信を強みとしている。