ベルトコンベアの廃棄|費用相場、フレームとベルトの廃棄物区分

事業で使用したベルトコンベアの処分でつまずきやすいのが、部位ごとに廃棄物区分が分かれる点です。本記事では、部位ごとの廃棄物区分、処分ルートの判断基準、撤去・処分の手順、費用の内訳と相場を整理します。

五十鈴株式会社の「icサーキュラーソリューション」は、ベルトコンベアを含む生産設備・搬送設備の廃棄から、金属資源の回収、国内製鉄所等への還流までを支援します。産業廃棄物としての適正処理と有価物としての回収を組み合わせ、処分費用の抑制と資源循環の両立を図ります。生産ライン更新や拠点閉鎖に伴う設備の処分ルートを検討している場合は、お気軽にご相談ください。

目次

1.ベルトコンベアの部位別の廃棄物区分

ベルトコンベアは、金属、合成ゴム、電気部品、油類が組み合わされた複合設備です。ここでは、部位ごとの区分を整理します。

(1)事業で使用したベルトコンベアは事業系廃棄物として扱う

工場や倉庫、物流拠点で使用されたベルトコンベアは、原則として事業系廃棄物として処理します。

廃棄物処理法では、事業活動に伴って生じた廃棄物のうち法令で定める20品目が産業廃棄物とされており、ベルトコンベアを構成する材料はその複数の品目にまたがります。搬送設備という単一の資産に見えても、廃棄物としては複数の区分の集合体として扱われるということです。

対象となるのは、生産ラインの搬送コンベア、倉庫や物流センターの仕分けコンベア、選別設備に組み込まれたコンベア、屋外の骨材・鉱石搬送コンベアなどです。規模や設置形態を問わず、事業のために使用していた設備であれば事業系廃棄物になります。

処分の検討にあたっては、まず設備を部位ごとに分解して考えることが出発点になります。次項以降で、主な部位の区分を整理します。

参考:https://www.env.go.jp/recycle/yugai/conf/conf27-03/H280107_06.pdf

(2)フレーム・ローラー・プーリーは金属くずに該当する

コンベアの骨格を構成する部材は、産業廃棄物の「金属くず」に該当します。

対象となるのは、フレーム(機枠)、脚部・架台、キャリアローラーやリターンローラー、ヘッドプーリーとテールプーリー、シュートやスカートの鋼板部分です。材質は鋼製が中心ですが、食品工場や薬品を扱うラインではステンレス製、軽量コンベアではアルミフレームが使われることもあります。

これらはベルトコンベアの重量の大半を占める部位であり、資源としての価値もここに集中します。ステンレス製やアルミ製が含まれる場合は鋼製より単価が高いため、材質を分けて把握しておくと売却条件が変わります。

なお、ローラーはベアリングを内蔵しており、内部にグリスが残存します。少量であれば金属くずとしての受け入れに支障ない場合が多いものの、受入条件は業者によって異なるため確認が必要です。

(3)ベルト本体は素材によって区分が変わる

処分実務で最も誤りが生じやすいのが、ベルト本体の区分です。

産業廃棄物の「ゴムくず」は、天然ゴムを原料とするものに限られます。合成ゴムを主原料とする廃棄物は、見た目や質感がゴムであっても「廃プラスチック類」に分類されるためです。合成ゴムは石油由来のナフサから製造される合成高分子化合物であり、法令上はプラスチックと同じ扱いになります。

コンベアベルトのカバーゴムは、耐摩耗性や耐油性、難燃性といった要求特性に応じた合成ゴムが使われるのが一般的です。したがって、多くのコンベアベルトは廃プラスチック類として扱うことになります。「ゴム製だからゴムくず」と判断して委託すると、委託先の許可品目と一致しない事態が生じます。

さらに、ベルトは単一素材ではありません。カバーゴムの内部には芯体(心体)と呼ばれる補強層があり、ナイロンやポリエステルの帆布を積層した帆布ベルトと、スチールコードを埋め込んだスチールコードベルトに大別されます。スチールコードベルトは金属を含む複合物であるため、受け入れ可否と処理方法が帆布ベルトとは異なります。

部位・素材廃棄物区分
フレーム、ローラー、プーリー金属くず
ベルト(合成ゴム製)廃プラスチック類
ベルト(天然ゴム製)ゴムくず
ベルト(スチールコード入り)金属を含む複合物として個別確認
モーター、減速機、制御盤金属くず・廃プラスチック類等の混合物
減速機のギヤオイル廃油

見積もり依頼の段階で、ベルトの素材と芯体の種類を業者に伝えてください。判別できない場合は、メーカー名と型番、使用環境(耐熱・耐油・難燃などの仕様)を提示すれば、業者側で判断できることがあります。

(4)駆動部は混合物として扱い、油類は別区分になる

モーター、減速機、制御盤といった駆動・制御部は、複数材料の混合物として扱われます。

モーターは鉄のケーシングと銅のコイル、制御盤は金属筐体と樹脂部品・配線で構成されており、これらは金属くずと廃プラスチック類の混合物として扱われるのが一般的です。モーターは銅を含むため、分離できれば有価評価の対象になりやすい部位でもあります。

一方、注意が必要なのが減速機です。減速機の内部にはギヤオイルが残存しており、この油は廃油として本体とは別の区分になります。油が入ったまま搬出しようとすると、受け入れを断られるか、抜き取り作業が追加費用として発生します。

抜き取りを自社で行うのか、撤去業者または処理業者が行うのかを事前に決めておいてください。オイルの残量と種類を伝えたうえで見積もりを取得すると、当日の手戻りを防げます。

(5)架台・付帯設備を含めた処分範囲を確定する

コンベア本体のほかに、どこまでを処分対象に含めるかを事前に決めておく必要があります。

処分範囲によって作業量と廃棄物の区分が変わり、見積もり金額と委託先の役割分担が変わるためです。

対象となり得るのは、支持架台や支柱、通路・点検歩廊、ホッパーやシュート、投入口のカバー、光電センサーやエンコーダなどの検出機器、動力配線と制御配線、安全柵、集塵ダクトなどです。生産ラインに組み込まれたコンベアでは、前後の設備との取り合い部分をどちらの工事に含めるかも確認事項になります。

判断が必要になるのが、床や梁に固定されたアンカーや埋設基礎の扱いです。基礎の撤去と床面の復旧まで含めるかどうかで費用が変わるため、見積もり依頼時に図面や現地写真で範囲を明示してください。

2.ベルトコンベアの処分ルートの判断

ベルトコンベアの処分ルートは、設備全体としての価値、ベルト単体の価値、金属としての価値の3つの観点から検討します。

(1)中古設備として売却できる条件

稼働可能で状態のよいコンベアは、中古設備として売却できる可能性があります。

判断材料は、稼働可否、メーカー、型式、製造年、コンベアの延長と幅、駆動方式、使用環境です。汎用性の高い標準サイズのベルトコンベアは、農業用や中小工場の設備導入などで一定の中古需要があります。一方、特定のラインに合わせて設計された特注品は、寸法や仕様が合致する買い手が限られます。

食品ラインで使用されていたコンベアは、衛生管理の観点から使用履歴が重視されます。逆に、薬品や高温物を搬送していた設備は、劣化の程度が査定に影響します。

査定を依頼する際は、メーカー名、型式、延長・幅、製造年、稼働状況、直近のメンテナンス履歴を整理して提示してください。移設を伴うため、解体・搬出の費用負担をどちらが持つかも確認事項になります。

(2)ベルト本体を単体で売却・リユースに回せる条件

見落とされやすいのが、ベルト本体だけを買い取る事業者が存在するという点です。

使用済みのコンベアベルトは、耐摩耗性の高いゴムシートとして再利用価値があり、ゴムマットや養生材、ライニング材などへのリユース需要があります。設備としての価値がないコンベアでも、ベルトだけは有価で引き取られる可能性があるということです。

買取の対象となるのは、芯体にナイロンやポリエステルを使用した帆布ベルトと、スチールコードベルトが中心です。ただし受入条件があり、事業者によっては厚み10mm未満、または長さ20m未満のベルトは買取対象外としています。裂けや大きな損傷があるもの、油分や搬送物の付着が著しいものも条件から外れます。

該当しそうなベルトがある場合は、廃棄物として処分費を支払う前に、厚み、幅、長さ、芯体の種類、劣化状況を整理して買取可否を確認してください。長尺のベルトはそれ自体が重量物であり、処分費の対象から外せれば総額への影響があります。

(3)フレーム等を金属スクラップとして売却する条件

設備としての再販価値がないコンベアでも、フレーム・ローラー類は金属スクラップとして評価され得ます。

コンベアは鋼材の使用量が多い設備であり、特に長尺・大型の機種では重量が確保しやすくなります。ステンレス製フレームであれば鉄より高い単価で評価されます。

成立条件を左右するのは分離の状態です。ベルトが巻かれたまま、モーターや配線が付いたままでは、金属くずとしての受け入れ条件を満たしません。ベルトを取り外し、駆動部・制御部を分離し、材質別にまとめる作業が前提になります。

この分離作業を自社で行うか、業者に依頼するかで条件が変わります。分離を業者に依頼する場合は作業費が発生するため、スクラップとしての手取り額と作業費を差し引いた正味の金額で比較してください。

国内で購入される鉄スクラップは、2023年度に老廃スクラップ1,760万t、加工スクラップ710万tで、輸出量は690万tです。老廃スクラップ購入量は2007年度の3,040万tから変動しつつ、2022年度1,850万t、2023年度1,760万tとなっています。使用済み設備由来の鉄に継続的な流通経路があることは、フレーム等をスクラップとして評価する前提を裏付けます。ただし、個別の買取可否・単価は材質、異物の付着、分離状態、重量、市況で変動します。

(4)産業廃棄物処理が中心になる条件

売却も資源化も見込みにくいコンベアは、産業廃棄物処理を前提に検討します。

該当するのは、ベルトの劣化・裂けが著しいもの、腐食が進んでフレームの強度が落ちているもの、搬送物の付着や油汚染があるもの、複合素材が一体化して分離コストが上回るものです。撤去工事の比重が大きく、素材価値では相殺できないケースもここに含まれます。

なお、全量を産業廃棄物として扱う場合でも、区分ごとに委託先と契約が分かれる点は変わりません。フレームは金属くず、ベルトは廃プラスチック類、減速機のギヤオイルは廃油として、それぞれ許可を持つ業者への委託が必要です。

3.ベルトコンベアを処分する手順

ここでは、処分対象の確定から書類の保管までの流れを整理します。

(1)処分対象と撤去範囲を確定する

最初に行うのが、処分対象と撤去範囲の洗い出しです。

コンベア本体に加えて、架台、歩廊、ホッパー、センサー類、配線・配管など周辺設備を含めた対象を整理します。次に、そのまま搬出できるのか、現地で分割解体が必要かを確認します。

設置形態によって前提が大きく変わる点にも注意が必要です。床置き型の短尺コンベアは比較的単純ですが、傾斜型や天井吊り型、ピット内に設置されたコンベアでは、支持部の切り離しと高所・狭所での作業が伴います。屋外の長尺コンベアでは、架構の解体が工事の主体になります。

対象一覧は、部位ごとの数量と材質、ベルトの仕様、駆動部の有無を記載した形でまとめておくと、以降の見積もり依頼が円滑になります。

(2)部位ごとの処理方法と委託先を決める

対象が固まったら、部位ごとに処理方法と委託先を決定します。

第1章で整理したとおり、フレームは金属くず、ベルトは廃プラスチック類(天然ゴム製ならゴムくず)、駆動部は混合物、ギヤオイルは廃油と区分が分かれます。1社ですべての区分に対応できる場合と、区分ごとに委託先が分かれる場合があります。

このとき同時に決めておくのが、分離作業を誰がどの段階で行うかです。ベルトの取り外し、駆動部の分離、オイルの抜き取りを排出事業者側で行うのか、撤去業者が行うのか、処理業者が行うのかによって、当日の作業と費用条件が変わります。

売却ルートに乗せる部位がある場合は、この段階で切り分けます。中古設備として売却する分、ベルト単体を買取に出す分、金属スクラップとして売却する分、産業廃棄物として処理する分を明確にしておくと、見積もりの比較基準が揃います。

(3)見積もりを依頼し、契約内容と許可を確認する

見積もり依頼と並行して、委託先の許可内容を確認します。

産業廃棄物の処理委託では、収集運搬業・処分業それぞれの許可について、有効期限、許可区域、許可品目を照合します。ベルトコンベアの場合、金属くず、廃プラスチック類(またはゴムくず)、廃油が許可品目に含まれているかが確認対象です。区分が複数にまたがる設備であるため、この照合を省くと委託基準違反になります。

見積書では、解体費、搬出費、収集運搬費、区分ごとの処分費、買取・スクラップ控除額が項目ごとに示されているかを確認してください。「一式」表記で内訳が不明な見積もりは、範囲外作業の追加請求リスクがあります。

委託契約の締結、許可証の確認手順、無許可業者への委託リスクについては、「工作機械の廃棄方法と費用|買取・スクラップ・産業廃棄物処理の判断」で詳しく解説しています。

環境省の集計では、令和6年度に新規判明した不法投棄106件のうち、排出事業者が35件(33.0%)、無許可業者10件(9.4%)、許可業者4件(3.8%)、複数14件(13.2%)、不明37件(34.9%)です。排出事業者や無許可業者による事案が含まれることは、委託先の許可内容を照合し、排出事業者として処理経路を確認する必要性を裏付けます。ただし、原則1件10t以上の新規判明事案であり、個別案件の違反リスクを示す割合ではありません。

(4)撤去・解体・搬出・処分を実施する

実作業は、切り離し、ベルトの取り外し、分割解体、搬出、積み込み、運搬、処分の順に進みます。

長尺コンベアでは、ベルトを切断してロール状に巻き取る作業が先行します。ベルト自体が重量物であり、幅と厚みによっては巻き取りと運搬に機材が必要です。買取に出す分がある場合は、切断寸法が受入条件を満たすかを事前に確認してください。

フレームの分割解体では、溶接部の切断や高所作業が発生します。稼働中の工場では、周辺設備の養生と作業時間帯の調整が必要になります。

排出事業者側の役割は、作業に立ち会い、見積もりどおりの範囲で処理が実施されているか、部位ごとの仕分けが行われているかを確認することです。

(5)マニフェストと処理完了書類を確認して保管する

処分の完了は、書類の確認をもって判断します。

マニフェストは廃棄物の区分ごとに交付し、運搬終了・処分終了・最終処分終了の各段階の返送を確認します。ベルトコンベアでは金属くず、廃プラスチック類、廃油と複数の区分が発生するため、それぞれのマニフェストを紐づけて管理する必要があります。

紙マニフェストの返送期限は交付日から90日以内、最終処分終了については180日以内で、保存期間は5年間です。委託契約書は契約終了後5年間の保存が必要になります。

有価物として売却した部位については、廃棄物処理法上の委託手続きではなく取引として扱われるため、計量伝票や売買記録が確認資料になります。同じ案件で処分と売却が混在する場合は、どの部位がどちらのルートに乗ったかを対応づけて記録してください。

JWセンターの図では、電子マニフェストの年間登録件数は1998年度以降増加し、2025年度は約4,751.3万件です。ベルトコンベアの処分では金属くず、廃プラスチック類、廃油など複数区分の終了報告を追うため、電子マニフェストを案件・区分ごとに紐づけて管理する実務基盤が広く利用されていることを示します。ただし、登録件数はマニフェストの件数であり、処分設備の台数や適正処理率を直接表すものではありません。

4.ベルトコンベアの処分費用の内訳と相場

ベルトコンベアの処分費用は、主に以下の項目で構成されます。

費用項目内容
解体・撤去費切り離し、ベルトの取り外し、フレームの分割解体
部位分離費駆動部の分離、材質別の仕分け、ギヤオイルの抜き取り
搬出費養生、高所・狭所作業、重機・クレーン作業
収集運搬費処分場までの運搬
処分費金属くず・廃プラスチック類・廃油それぞれの処理
買い取り中古売却、ベルト買取、金属スクラップ売却による相殺分

小型の卓上コンベアや短尺の可搬型であれば1台あたり数万円程度で収まる場合がある一方、屋外の長尺コンベアや生産ラインに組み込まれた設備では、解体工事を含めて数十万円規模以上になることもあります。実際の金額は、以下の要素によって変動します。

(1)コンベアの種類・延長・幅

コンベアの規模は、解体作業量と運搬容量の両方に影響します。

延長が長いほど架台の本数とローラーの数が増え、切り離し箇所も増加します。ベルト幅が広いほど重量が増し、取り外しと巻き取りに機材が必要になります。同じ「1台」でも、延長3mのコンベアと延長30mのコンベアでは作業の性格が異なります。

見積もり依頼時には、台数だけでなく延長、ベルト幅、ベルトの厚み、フレームの材質、駆動方式を提示してください。複数台をまとめて処分する場合は、機種ごとに一覧化すると比較しやすくなります。

(2)設置形態と搬出条件

設置形態による搬出難易度の差は、作業費に直接反映されます。

床置きで周囲に作業スペースがあり、車両を近くに寄せられる場合は作業を短時間で終えられます。一方、天井吊り型のコンベアは高所作業車や足場が必要になり、ピットや地下に設置されたコンベアは開口部からの吊り上げが伴います。傾斜型コンベアでは、支持架構の解体順序を考慮した計画が必要です。

加えて、稼働中の工場では作業時間帯の制約が生じます。生産ラインの停止期間に合わせた工程調整が必要な場合、夜間・休日作業となり費用条件が変わります。

見積もり依頼の際は、設置階、設置形態、搬出経路、周辺設備との距離、作業可能時間帯を伝えてください。現地調査を省略した一式見積もりは、当日の追加費用が発生するリスクがあります。

(3)部位分離の要否と範囲

ベルトコンベア固有の費用要素が、部位分離の作業です。

ベルトを付けたまま、駆動部を分離しないままの状態では、金属くずとしての受け入れ条件を満たさず、混合廃棄物としての処理になります。混合廃棄物は金属くずより処分単価が高くなるうえ、有価売却の可能性も失われます。

一方、分離作業を業者に依頼すれば作業費が発生します。分離のコストと、分離によって得られる売却額・処分費の削減額を比較する必要があります。台数が多い案件やステンレス製フレームが含まれる案件では、分離による効果が大きくなる傾向があります。

見積もりでは、分離作業を含む前提か含まない前提かを明示したうえで、両方の条件を出してもらうと判断材料になります。

5.ベルトコンベアを廃棄せず資源循環に回すメリット

ここでは、資源循環ルートを選択した場合のメリットを整理します。

(1)処分費用を抑えられる可能性がある

売却できる部位を切り分けられれば、処分費用の一部を相殺できる可能性があります。

全量を産業廃棄物として扱えば、解体費・搬出費・運搬費・処分費のすべてが支出になります。これに対し、中古設備としての売却、ベルト単体の買取、金属スクラップとしての売却が成立すれば、その分の処分費が発生しないうえ、売却額を作業費に充当できる余地が生まれます。

ベルトコンベアの場合、判断の分岐が3段階ある点が特徴です。設備として売れるか、ベルトが売れるか、金属として売れるか。設備としての価値がなくても、次の段階で成立する可能性があります。廃棄前提で見積もる前に、各段階の可否を確認する手順を挟んでください。

(2)部位ごとに資源として再利用できる

ベルトコンベアは、部位ごとに異なる資源化ルートを持つ設備です。

フレームやローラーの鉄は電炉で鋼材の原料に戻り、モーターの銅は非鉄金属として回収されます。ベルトは、状態がよければゴムシートとしてリユースされ、それが難しい場合も破砕による材料利用や熱回収の対象になります。

環境省の令和5年度実績では、産業廃棄物の再生利用率は金属くずが95.4%である一方、廃プラスチック類は63.0%、廃油は46.1%です。ベルトコンベアは金属くず・廃プラスチック類・廃油が同時に発生する設備であり、部位を分離せずに混合廃棄物として排出すると、再資源化されやすい金属部分まで低いルートに引きずられることを示しています。なお、これらは全国の品目別集計であり、個別案件の資源化率を示すものではありません。実際の処理可否は、材質構成、付着物、分離の程度、受入業者の条件によって変わります。

金属部分の比重が大きいベルトコンベアでは、フレーム・ローラーを鉄スクラップとして回収し、国内製鉄所で再び鋼材の原料に戻す流れが資源循環の中心になります。鉄が循環利用に適している理由や、鉄スクラップを製造工程へ還流させる仕組みについては、以下の「鉄のサーキュラーエコノミー|事例や鉄鋼製品一覧、リサイクル性も」の記事で解説しています。

処分実績を、廃棄量と再資源化量、部位別の内訳に分けて記録しておくと、社内報告や取引先からの環境関連の照会にも対応しやすくなります。

2022年度の日本の鉄鋼循環図では、鉄源消費は6,324万tで、図中の鉄スクラップ計は3,865.8万t、製造工程でのスクラップ消費は3,745.7万tです。自家発生スクラップ1,235万t、加工スクラップ702.9万t、老廃スクラップ購入1,854.1万tなどの回収鉄が製鉄原料へ戻る流れが示されています。これは、ベルトコンベアのフレームやローラーを分離し、国内製鉄ルートへ戻す主旨を裏付けます。ただし全国集計であり、個別設備の資源化量は材質、異物、分離精度、受入条件で変動します。

6.まとめ

ベルトコンベアの処分は、部位ごとの廃棄物区分の整理から始まります。フレーム・ローラー・プーリーは金属くず、ベルト本体は素材によって区分が変わり、合成ゴム製であれば廃プラスチック類、天然ゴム製であればゴムくずになります。駆動部は混合物として扱われ、減速機のギヤオイルは廃油として別区分です。区分が複数にまたがるため、委託先の許可品目にすべての区分が含まれているかを照合する必要があります。

処分ルートは、中古設備としての売却、ベルト単体の買取、金属スクラップとしての売却、産業廃棄物処理の順に可否を確認していくと、費用を抑えられる余地が見つかりやすくなります。特にベルト本体は、設備としての価値がなくても単体で買い取られる可能性があるため、厚み・長さ・芯体の種類を整理したうえで確認してください。費用は、コンベアの延長と幅、設置形態と搬出条件、部位分離の要否によって変動します。処分範囲を明示し、分離作業の前提を揃えたうえで、内訳付きの見積もりを取得することが実務上の進め方になります。

五十鈴株式会社の「icサーキュラーソリューション」は、ベルトコンベアを含む鉄系設備・製品の廃棄から、国内製鉄所等への還流によるクローズドループの構築までを支援します。生産設備・搬送設備の適正処分と、鉄をはじめとする素材の資源化をご検討の際は、ぜひご相談ください。

監修

早稲田大学法学部卒業後、金融機関での法人営業を経て、中小企業向け専門紙の編集記者として神奈川県内の企業・大学・研究機関を取材。
2013年から2020年にかけては、企業のサステナビリティレポートの企画・編集・ライティングを担当。2025年4月よりフリーランスとして独立。
企業活動と社会課題の接点に関する実務経験が豊富で、サステナビリティ分野での実践的な視点に基づく発信を強みとしている。