事業で使用したベルトコンベアの処分でつまずきやすいのが、部位ごとに廃棄物区分が分かれる点です。本記事では、部位ごとの廃棄物区分、処分ルートの判断基準、撤去・処分の手順、費用の内訳と相場を整理します。
五十鈴株式会社の「icサーキュラーソリューション」は、ベルトコンベアを含む生産設備・搬送設備の廃棄から、金属資源の回収、国内製鉄所等への還流までを支援します。産業廃棄物としての適正処理と有価物としての回収を組み合わせ、処分費用の抑制と資源循環の両立を図ります。生産ライン更新や拠点閉鎖に伴う設備の処分ルートを検討している場合は、お気軽にご相談ください。
1.ベルトコンベアの部位別の廃棄物区分

ベルトコンベアは、金属、合成ゴム、電気部品、油類が組み合わされた複合設備です。ここでは、部位ごとの区分を整理します。
(1)事業で使用したベルトコンベアは事業系廃棄物として扱う
工場や倉庫、物流拠点で使用されたベルトコンベアは、原則として事業系廃棄物として処理します。
処分の検討にあたっては、まず設備を部位ごとに分解して考えることが出発点になります。次項以降で、主な部位の区分を整理します。
参考:https://www.env.go.jp/recycle/yugai/conf/conf27-03/H280107_06.pdf
(2)フレーム・ローラー・プーリーは金属くずに該当する
コンベアの骨格を構成する部材は、産業廃棄物の「金属くず」に該当します。
なお、ローラーはベアリングを内蔵しており、内部にグリスが残存します。少量であれば金属くずとしての受け入れに支障ない場合が多いものの、受入条件は業者によって異なるため確認が必要です。
(3)ベルト本体は素材によって区分が変わる
処分実務で最も誤りが生じやすいのが、ベルト本体の区分です。
コンベアベルトのカバーゴムは、耐摩耗性や耐油性、難燃性といった要求特性に応じた合成ゴムが使われるのが一般的です。したがって、多くのコンベアベルトは廃プラスチック類として扱うことになります。「ゴム製だからゴムくず」と判断して委託すると、委託先の許可品目と一致しない事態が生じます。
| 部位・素材 | 廃棄物区分 |
|---|---|
| フレーム、ローラー、プーリー | 金属くず |
| ベルト(合成ゴム製) | 廃プラスチック類 |
| ベルト(天然ゴム製) | ゴムくず |
| ベルト(スチールコード入り) | 金属を含む複合物として個別確認 |
| モーター、減速機、制御盤 | 金属くず・廃プラスチック類等の混合物 |
| 減速機のギヤオイル | 廃油 |
見積もり依頼の段階で、ベルトの素材と芯体の種類を業者に伝えてください。判別できない場合は、メーカー名と型番、使用環境(耐熱・耐油・難燃などの仕様)を提示すれば、業者側で判断できることがあります。
(4)駆動部は混合物として扱い、油類は別区分になる
モーター、減速機、制御盤といった駆動・制御部は、複数材料の混合物として扱われます。
抜き取りを自社で行うのか、撤去業者または処理業者が行うのかを事前に決めておいてください。オイルの残量と種類を伝えたうえで見積もりを取得すると、当日の手戻りを防げます。
(5)架台・付帯設備を含めた処分範囲を確定する
コンベア本体のほかに、どこまでを処分対象に含めるかを事前に決めておく必要があります。
処分範囲によって作業量と廃棄物の区分が変わり、見積もり金額と委託先の役割分担が変わるためです。
2.ベルトコンベアの処分ルートの判断

ベルトコンベアの処分ルートは、設備全体としての価値、ベルト単体の価値、金属としての価値の3つの観点から検討します。
(1)中古設備として売却できる条件
稼働可能で状態のよいコンベアは、中古設備として売却できる可能性があります。
食品ラインで使用されていたコンベアは、衛生管理の観点から使用履歴が重視されます。逆に、薬品や高温物を搬送していた設備は、劣化の程度が査定に影響します。
(2)ベルト本体を単体で売却・リユースに回せる条件
見落とされやすいのが、ベルト本体だけを買い取る事業者が存在するという点です。
使用済みのコンベアベルトは、耐摩耗性の高いゴムシートとして再利用価値があり、ゴムマットや養生材、ライニング材などへのリユース需要があります。設備としての価値がないコンベアでも、ベルトだけは有価で引き取られる可能性があるということです。
(3)フレーム等を金属スクラップとして売却する条件
設備としての再販価値がないコンベアでも、フレーム・ローラー類は金属スクラップとして評価され得ます。
コンベアは鋼材の使用量が多い設備であり、特に長尺・大型の機種では重量が確保しやすくなります。ステンレス製フレームであれば鉄より高い単価で評価されます。
国内で購入される鉄スクラップは、2023年度に老廃スクラップ1,760万t、加工スクラップ710万tで、輸出量は690万tです。老廃スクラップ購入量は2007年度の3,040万tから変動しつつ、2022年度1,850万t、2023年度1,760万tとなっています。使用済み設備由来の鉄に継続的な流通経路があることは、フレーム等をスクラップとして評価する前提を裏付けます。ただし、個別の買取可否・単価は材質、異物の付着、分離状態、重量、市況で変動します。
(4)産業廃棄物処理が中心になる条件
売却も資源化も見込みにくいコンベアは、産業廃棄物処理を前提に検討します。
3.ベルトコンベアを処分する手順

ここでは、処分対象の確定から書類の保管までの流れを整理します。
(1)処分対象と撤去範囲を確定する
最初に行うのが、処分対象と撤去範囲の洗い出しです。
対象一覧は、部位ごとの数量と材質、ベルトの仕様、駆動部の有無を記載した形でまとめておくと、以降の見積もり依頼が円滑になります。
(2)部位ごとの処理方法と委託先を決める
対象が固まったら、部位ごとに処理方法と委託先を決定します。
第1章で整理したとおり、フレームは金属くず、ベルトは廃プラスチック類(天然ゴム製ならゴムくず)、駆動部は混合物、ギヤオイルは廃油と区分が分かれます。1社ですべての区分に対応できる場合と、区分ごとに委託先が分かれる場合があります。
(3)見積もりを依頼し、契約内容と許可を確認する
見積もり依頼と並行して、委託先の許可内容を確認します。
委託契約の締結、許可証の確認手順、無許可業者への委託リスクについては、「工作機械の廃棄方法と費用|買取・スクラップ・産業廃棄物処理の判断」で詳しく解説しています。

環境省の集計では、令和6年度に新規判明した不法投棄106件のうち、排出事業者が35件(33.0%)、無許可業者10件(9.4%)、許可業者4件(3.8%)、複数14件(13.2%)、不明37件(34.9%)です。排出事業者や無許可業者による事案が含まれることは、委託先の許可内容を照合し、排出事業者として処理経路を確認する必要性を裏付けます。ただし、原則1件10t以上の新規判明事案であり、個別案件の違反リスクを示す割合ではありません。
(4)撤去・解体・搬出・処分を実施する
実作業は、切り離し、ベルトの取り外し、分割解体、搬出、積み込み、運搬、処分の順に進みます。
フレームの分割解体では、溶接部の切断や高所作業が発生します。稼働中の工場では、周辺設備の養生と作業時間帯の調整が必要になります。
(5)マニフェストと処理完了書類を確認して保管する
処分の完了は、書類の確認をもって判断します。
有価物として売却した部位については、廃棄物処理法上の委託手続きではなく取引として扱われるため、計量伝票や売買記録が確認資料になります。同じ案件で処分と売却が混在する場合は、どの部位がどちらのルートに乗ったかを対応づけて記録してください。
JWセンターの図では、電子マニフェストの年間登録件数は1998年度以降増加し、2025年度は約4,751.3万件です。ベルトコンベアの処分では金属くず、廃プラスチック類、廃油など複数区分の終了報告を追うため、電子マニフェストを案件・区分ごとに紐づけて管理する実務基盤が広く利用されていることを示します。ただし、登録件数はマニフェストの件数であり、処分設備の台数や適正処理率を直接表すものではありません。
4.ベルトコンベアの処分費用の内訳と相場

ベルトコンベアの処分費用は、主に以下の項目で構成されます。
| 費用項目 | 内容 |
|---|---|
| 解体・撤去費 | 切り離し、ベルトの取り外し、フレームの分割解体 |
| 部位分離費 | 駆動部の分離、材質別の仕分け、ギヤオイルの抜き取り |
| 搬出費 | 養生、高所・狭所作業、重機・クレーン作業 |
| 収集運搬費 | 処分場までの運搬 |
| 処分費 | 金属くず・廃プラスチック類・廃油それぞれの処理 |
| 買い取り | 中古売却、ベルト買取、金属スクラップ売却による相殺分 |
(1)コンベアの種類・延長・幅
コンベアの規模は、解体作業量と運搬容量の両方に影響します。
(2)設置形態と搬出条件
設置形態による搬出難易度の差は、作業費に直接反映されます。
見積もり依頼の際は、設置階、設置形態、搬出経路、周辺設備との距離、作業可能時間帯を伝えてください。現地調査を省略した一式見積もりは、当日の追加費用が発生するリスクがあります。
(3)部位分離の要否と範囲
ベルトコンベア固有の費用要素が、部位分離の作業です。
見積もりでは、分離作業を含む前提か含まない前提かを明示したうえで、両方の条件を出してもらうと判断材料になります。
5.ベルトコンベアを廃棄せず資源循環に回すメリット

ここでは、資源循環ルートを選択した場合のメリットを整理します。
(1)処分費用を抑えられる可能性がある
売却できる部位を切り分けられれば、処分費用の一部を相殺できる可能性があります。
(2)部位ごとに資源として再利用できる
ベルトコンベアは、部位ごとに異なる資源化ルートを持つ設備です。
環境省の令和5年度実績では、産業廃棄物の再生利用率は金属くずが95.4%である一方、廃プラスチック類は63.0%、廃油は46.1%です。ベルトコンベアは金属くず・廃プラスチック類・廃油が同時に発生する設備であり、部位を分離せずに混合廃棄物として排出すると、再資源化されやすい金属部分まで低いルートに引きずられることを示しています。なお、これらは全国の品目別集計であり、個別案件の資源化率を示すものではありません。実際の処理可否は、材質構成、付着物、分離の程度、受入業者の条件によって変わります。
金属部分の比重が大きいベルトコンベアでは、フレーム・ローラーを鉄スクラップとして回収し、国内製鉄所で再び鋼材の原料に戻す流れが資源循環の中心になります。鉄が循環利用に適している理由や、鉄スクラップを製造工程へ還流させる仕組みについては、以下の「鉄のサーキュラーエコノミー|事例や鉄鋼製品一覧、リサイクル性も」の記事で解説しています。

処分実績を、廃棄量と再資源化量、部位別の内訳に分けて記録しておくと、社内報告や取引先からの環境関連の照会にも対応しやすくなります。
2022年度の日本の鉄鋼循環図では、鉄源消費は6,324万tで、図中の鉄スクラップ計は3,865.8万t、製造工程でのスクラップ消費は3,745.7万tです。自家発生スクラップ1,235万t、加工スクラップ702.9万t、老廃スクラップ購入1,854.1万tなどの回収鉄が製鉄原料へ戻る流れが示されています。これは、ベルトコンベアのフレームやローラーを分離し、国内製鉄ルートへ戻す主旨を裏付けます。ただし全国集計であり、個別設備の資源化量は材質、異物、分離精度、受入条件で変動します。
6.まとめ
ベルトコンベアの処分は、部位ごとの廃棄物区分の整理から始まります。フレーム・ローラー・プーリーは金属くず、ベルト本体は素材によって区分が変わり、合成ゴム製であれば廃プラスチック類、天然ゴム製であればゴムくずになります。駆動部は混合物として扱われ、減速機のギヤオイルは廃油として別区分です。区分が複数にまたがるため、委託先の許可品目にすべての区分が含まれているかを照合する必要があります。
処分ルートは、中古設備としての売却、ベルト単体の買取、金属スクラップとしての売却、産業廃棄物処理の順に可否を確認していくと、費用を抑えられる余地が見つかりやすくなります。特にベルト本体は、設備としての価値がなくても単体で買い取られる可能性があるため、厚み・長さ・芯体の種類を整理したうえで確認してください。費用は、コンベアの延長と幅、設置形態と搬出条件、部位分離の要否によって変動します。処分範囲を明示し、分離作業の前提を揃えたうえで、内訳付きの見積もりを取得することが実務上の進め方になります。
五十鈴株式会社の「icサーキュラーソリューション」は、ベルトコンベアを含む鉄系設備・製品の廃棄から、国内製鉄所等への還流によるクローズドループの構築までを支援します。生産設備・搬送設備の適正処分と、鉄をはじめとする素材の資源化をご検討の際は、ぜひご相談ください。







