不要になった単管パイプ(足場用鋼管)を処分する際、まず確認すべきはそのパイプが自社の資産かどうかです。建設現場で使用される仮設資材はリース会社からの借用品であることが多く、その場合は処分ではなく返却が前提になります。 自社所有品であれば、産業廃棄物として処分する前に買取の可否を確認する価値があります。単管パイプには中古仮設資材としての再流通市場があり、鉄スクラップとして引き渡すより有利な条件になることがあるためです。一方、スクラップ材料としてみると、単管パイプは薄肉で長尺、かつ中空という条件から必ずしも好条件ではありません。
本記事では、単管パイプの廃棄物としての位置づけ、所有形態別の対応、返却・中古買取・スクラップ売却・廃棄という4つのルートの使い分け、費用と買取額を左右する要因、処分の手順を整理します。
五十鈴株式会社の「icサーキュラーソリューション」は、単管パイプを含む建設・仮設資材の廃棄から、金属スクラップとしての回収、国内製鉄所等への還流までを支援します。産業廃棄物としての適正処理と有価物としての回収を組み合わせ、処分費用の抑制と資源循環の両立を図ります。資材置き場の整理や現場の資材入れ替えに伴う処分ルートを検討している場合は、お気軽にご相談ください。
1.単管パイプを処分する際の前提

単管パイプの処分は、廃棄物区分の確認と、所有形態の確認から始まります。
(1)単管パイプは産業廃棄物(金属くず)に該当する
事業活動に伴って排出された単管パイプは、廃棄物処理法施行令第2条第2号に定める産業廃棄物の「金属くず」に該当します。
排出事業者責任の詳細やマニフェストの運用、有価物と廃棄物の線引きについては、「スチール棚・オフィスラックの廃棄処分|産業廃棄物の要件、実務フロー」で詳しく解説しています。

(2)レンタル品と自社所有品で対応が分かれる
処分方法を検討する前に確認すべきなのが、そのパイプの所有形態です。
所有形態が確定しないまま処分を進めると、返却すべき資材を廃棄してしまうリスクがあります。滞留資材の整理では、まず所有形態による仕分けを行うことが出発点になります。
仮設工業会の経年仮設機材管理基準適用工場は、制度開始時の1979年末に指定工場7、登録工場6でした。2015年末には指定工場448、登録工場31となっています。指定工場はリース・レンタル会社または修理会社、登録工場は建設会社の機材センターです。借用品と自社所有品では管理主体が異なるため、処分前の所有者確認と調達記録の照合が必要だと分かります。なお、数値は同制度の適用工場に限られ、国内全体の保有比率を示すものではありません。
(3)クランプ・ジョイント等の付属部品は分けて扱う
単管パイプの処分では、本体と付属部品を分けて整理します。
そのため、パイプに金具を付けたまま引き渡すのではなく、分離して品目別にまとめることが条件を整えるうえで有効です。クランプ類は数量が多くなりやすいため、本数・個数を把握したうえで見積もりを依頼してください。
(4)足場用途に使える規格品かどうかが再流通の可否を左右する
中古資材としての価値を判断するうえで重要なのが、そのパイプが足場用途に使える規格品かどうかです。
処分対象を整理する際は、購入時の仕様書や納品書、パイプに付された表示から、肉厚と規格適合の有無を確認しておいてください。判別できない場合は、その旨を業者に伝えたうえで査定を依頼します。
厚生労働省の集計では、令和元~3年の建設業における墜落・転落死亡災害315件のうち、足場関連は56件(17.5%)でした。内訳は通常作業中39件、組立・解体中17件です。足場材は再使用できるかどうかを価格だけで判断せず、肉厚、規格表示、曲がりや腐食を確認する必要があることを補強するデータです。ただし、この56件は足場関連災害全体であり、単管パイプの規格不適合や劣化だけを原因とする件数ではありません。
2.単管パイプの処分ルートの選択肢

単管パイプの処分ルートは、所有形態と状態によって4つに分かれます。
| 選択肢 | 概要 | 主なメリット | 留意事項 |
|---|---|---|---|
| 返却(リース品) | リース会社へ返却する | 処分費が発生しない | 破損・変形があると弁償や原状回復費が生じる場合がある |
| 中古買取 | 中古仮設資材の買取事業者へ売却する | スクラップより有利な条件になり得る | 規格適合、状態、本数がまとまることが条件 |
| スクラップ売却 | 金属スクラップ業者へ売却する | 状態を問わず引き取られやすい | 薄肉・長尺・中空のため条件は必ずしも良くない |
| 廃棄(産業廃棄物処理) | 許可業者へ処分を委託する | 状態を問わず処分が完結する | 処理費が発生。委託契約とマニフェストの管理が必要 |
確認の順序は、返却、中古買取、スクラップ売却、廃棄です。前の段階で成立しなければ次を検討する流れになります。
(1)返却:リース会社への返却対応
借用品については、リース会社への返却が原則です。
所有権が自社にない以上、処分の判断権限も自社にはありません。現場終了時や資材整理のタイミングで、調達元へ引き取りを依頼します。
(2)中古買取:仮設資材としての再流通
自社所有品で状態がよいものは、中古仮設資材として買取される可能性があります。
この差が生まれる理由は、鋼管という形状そのものではなく、素材ではなく製品として評価されている点にあります。同じ重量の鋼材でも、再び足場資材として使えるものは素材価格とは別の基準で値付けされるということです。
(3)スクラップ売却:金属資源としての回収
中古資材としての条件を満たさないパイプは、金属スクラップとして売却の対象になります。
肉厚は標準品で2.4mm、軽量タイプで1.8mmと薄く、鉄スクラップの主要規格であるH2(厚さ3mm以上6mm未満、幅500mm以下、長さ1,200mm以下)の厚さ基準を下回ります。長さも4m材が主流で、H2の長さ基準を大きく超えるため、切断などの二次加工が前提になります。加えて中空構造のため嵩張り、重量あたりの積載効率が低くなります。
鉄スクラップの検収規格や、買取価格を左右する品質基準については、「産業廃棄物の鉄くずとは?マニフェストや買取時の注意点、リサイクル」で解説しています。

環境省の令和5年度実績では、産業廃棄物の再生利用率は金属くずが95.4%であり、産業廃棄物全体のなかでも高い水準にあります。単管パイプは鋼製であるため、中古資材として再流通させる場合も、スクラップとして素材に戻す場合も、再資源化のルートに乗せられる資材です。なお、この数値は全国の金属くず全体の実績であり、個別案件の資源化率や買取可否を示すものではありません。実際の条件は、状態、数量、規格の統一性、搬出条件、鉄スクラップ市況によって変わります。
(4)廃棄:産業廃棄物処理業者への委託
買取が成立しないパイプは、産業廃棄物として処分します。
3.単管パイプの買取・処分費用を左右する要因

単管パイプの買取額と処分費用は、数量、状態、搬出条件によって変動します。
(1)本数・長さ・重量の把握
見積もりの前提になるのが、数量の把握です。
単管パイプの重量は、外径48.6mmの標準品(肉厚2.4mm)で1mあたり約2.73kg、軽量タイプ(肉厚1.8mm)で約2.08kgです。長さに比例するため、標準品であれば「2.73×長さ(m)」で概算できます。
(2)状態と規格の統一性
買取額を大きく左右するのが、個々のパイプの状態です。
クランプ類については、ボルト・ナットの欠品、ねじの損傷、開閉部の固着が確認項目になります。数量がまとまるほど品目として扱いやすくなるため、種類別に分けて数量を把握してください。
(3)買取不可・減額となるケース
以下に該当する場合、買取が難しくなるか、減額の対象になります。
- コンクリートやモルタルが固着しているもの
- 著しい腐食で肉厚が保てていないもの
- 大きく曲がっている、潰れているもの
- 他の建設廃材や異種金属と混在しているもの
- 塗料や樹脂被覆が広範囲に付着しているもの
買取不可となる材の判断基準は、鉄スクラップ全般の受入基準と共通する部分が多くなります。詳細は113の記事で整理しています。
(4)産業廃棄物として処分する場合の費用の考え方
産業廃棄物として処分する場合の費用は、収集運搬費と処分費で構成されます。
見積もりでは、収集運搬費と処分費の内訳、買取分の相殺条件が分けて記載されているかを確認してください。
4.単管パイプを処分する手順

ここでは、仕分けから搬出、書類の確認までの流れを整理します。
(1)所有形態と状態で仕分ける
最初に行うのが、所有形態と状態による仕分けです。
国土交通省関東地方整備局の資料では、関東の建設廃棄物全体の再資源化・縮減率は1995年度の68.8%から、2000年度81.6%、2005年度91.0%を経て、2018年度に97.9%へ上昇しています。所有形態と状態で分け、返却・中古買取・スクラップ・廃棄の行き先を整理することは、高い再資源化水準を支える前提です。なお、これは関東の建設廃棄物全体の値であり、単管パイプや金属くず単独の資源化率ではありません。
(2)リース品の返却手続きを行う
借用品については、調達元のリース会社に連絡し、引き取りを依頼します。
(3)買取業者・処理業者へ見積もりを依頼する
仕分けが済んだら、区分ごとに見積もりを依頼します。
見積書では、買取額、処分費、収集運搬費が項目ごとに分けて記載されているかを確認します。買取と処分を相殺した正味額のみの提示では、複数社の比較ができません。
(4)搬出と書類の確認・保管を行う
搬出時は、仕分けた区分どおりに引き渡されているかを確認します。
産業廃棄物として委託した分については、マニフェストを交付し、運搬終了・処分終了・最終処分終了の各段階の返送を確認します。紙マニフェストの返送期限は交付日から90日以内、最終処分終了については180日以内で、保存期間は5年間です。委託契約書は契約終了後5年間の保存が必要になります。
有価物として売却した分は、計量伝票や売買記録が確認資料になります。返却分、売却分、処分分の内訳を記録しておくと、資材管理の記録としても機能します。
JWセンターの統計では、電子マニフェストの年間登録件数は1998年度の8,041件から2023年度の40,617,335件へ増加し、同年度の電子化率は81.2%です。処分を委託する単管パイプについても、運搬・処分・最終処分の終了確認と記録保管を一連で管理する重要性を示しています。なお、電子化率は年間のマニフェスト総数を5,000万件として算出した値であり、単管パイプ案件や特定業種だけの利用率ではありません。
5.単管パイプの買取・処分業者の選び方

単管パイプの処分では、買取と処分の両方を視野に入れた業者選定が費用に影響します。
(1)中古買取と産業廃棄物処理の両方に対応できるか
資材置き場から発生する単管パイプは、状態の良いものと悪いものが混在しているのが通常です。
中古買取のみを行う事業者では、条件を満たさない材が残ります。逆に、処分のみを行う事業者に一括で依頼すると、再流通できる材まで処分費の対象になります。
(2)現場・資材置き場での仕分けと搬出に対応できるか
単管パイプは1本あたりの重量は大きくないものの、本数がまとまると相当な重量と容積になります。
(3)許可と対応範囲を確認する
産業廃棄物として処分する分については、委託先の許可の確認が前提になります。
許可の確認手順、不用品回収業者を利用する際の注意点、見積明細の確認方法については、2397の記事で詳しく解説しています。
環境省の集計では、産業廃棄物の不法投棄の新規判明件数は1998年度の1,197件から2023年度の100件へ大幅に減少しましたが、2023年度も投棄量4.2万トンが判明しています。処理業者の許可区域・有効期限・許可品目を事前に照合することは、排出事業者責任を果たすうえで欠かせない確認です。なお、集計対象は原則として1件10トン以上の事案で、大規模事案の有無により年度別の投棄量は大きく変動します。また、金属くずだけを対象とした集計ではありません。
単管パイプに限らず、鉄は素材として繰り返し循環させられる点に特徴があります。使用済みの鋼材が鉄スクラップとして回収され、電炉や転炉を経て再び鋼材に戻る流れは、資材単位の処分判断の背景にある仕組みです。鉄鋼製品ごとのリサイクル性や、素材を循環させる取り組みの事例については、「鉄のサーキュラーエコノミー|事例や鉄鋼製品一覧、リサイクル性も」で解説しています。

6.まとめ
単管パイプの処分は、所有形態の確認から始まります。建設現場で使用される仮設資材はリース会社からの借用品であることが多く、その場合は処分ではなく返却が前提です。所有形態が確定しないまま進めると、返却すべき資材を廃棄してしまうリスクがあります。
自社所有品については、返却、中古買取、スクラップ売却、廃棄の順に可否を確認していく流れになります。注目したいのが中古買取です。単管パイプには中古仮設資材としての再流通市場があり、素材としてではなく製品として評価されるため、スクラップ価格を上回る条件が提示されることがあります。一方、スクラップ材料としてみると、肉厚2.4mm前後・長尺・中空という条件は必ずしも有利ではありません。廃棄を前提に見積もる前に、買取の可否を確認する手順を挟んでください。
買取額と処分費用は、本数と長さ、状態と規格の統一性、付着物や混在の有無、搬出条件によって変動します。長さ別の本数を集計し、クランプ類を分け、状態別に仕分けたうえで、内訳付きの見積もりを取得することが実務上の進め方になります。
五十鈴株式会社の「icサーキュラーソリューション」は、単管パイプを含む鉄系資材・設備の廃棄から、国内製鉄所等への還流によるクローズドループの構築までを支援します。建設・仮設資材の適正処分と、鉄をはじめとする素材の資源化をご検討の際は、ぜひご相談ください。








