倉庫や物流センターで使用してきたパレット、ラック、コンベヤなどの物流機器の処分方法は廃棄、売却、資源循環の大きく3つに分かれ、機器の材質や状態、数量によって適切なルートと費用が変わります。
本記事では、物流機器の処分の前提条件、品目別の処分方法、依頼先の選び方、費用の内訳、排出事業者として確認すべき手続きと書類を整理します。
五十鈴株式会社の「icサーキュラーソリューション」は、パレット、ラック、かご台車、コンベヤなど、鉄を主原料とする物流機器の処分・資源循環を支援します。売却が難しい物流機器についても、解体・回収した鉄を国内製鉄所等へ還流させるクローズドループの構築により、処分コストの削減と資源循環、脱炭素への移行を両立します。物流機器の処分方法や回収ルートを見直したい場合は、お気軽にご相談ください。
1.物流機器の処分の前提条件

物流機器の処分を検討する際は、まず排出事業者としての位置づけと、処分対象の範囲を整理する必要があります。
ここでは、事業用の物流機器が産業廃棄物として扱われる前提について解説します。
(1)事業で使用した物流機器は産業廃棄物となる
廃棄物の処理及び清掃に関する法律(廃棄物処理法)では、事業活動に伴って生じた廃棄物のうち、金属くず、廃プラスチック類、木くずなど法令で定められた品目は産業廃棄物に区分され、排出事業者が自らの責任で処理することが義務づけられています。
そのため、倉庫、営業所、物流センターなど事業活動で使用していた物流機器は、廃棄する場合、事業系の廃棄物として処理する必要があります。
廃棄物として委託する場合と、有価物として売却する場合では、必要な契約や書類が異なるため、この区分を曖昧にしたまま業者へ依頼すると、後工程で手続きの見直しが発生しやすくなります。
参考:https://www.city.osaka.lg.jp/kankyo/cmsfiles/contents/0000052/52347/p07-08.pdf
(2)本体・付帯物・固定金具など処分対象の範囲を洗い出す
見積もりと実際の作業内容が一致しない場合、当日の追加費用や作業遅延の原因になるため処分を依頼する前に、機器本体以外にも、付帯物や固定金具を含めた処分対象の範囲を洗い出しておく必要があります。
家電リサイクル法(特定家庭用機器再商品化法)の対象機器か、産業廃棄物として処理する機器かによって手続きが分かれるため、処分対象を一覧化し、機器ごとに処理ルートを確認する作業が必要です。処分対象リストを作成しておくと、見積もり依頼時の条件提示や、複数業者の比較が正確になります。
参考:https://www.meti.go.jp/policy/it_policy/kaden_recycle/shiryousyu/guidebook2024.pdf
2.物流機器・倉庫設備の品目別処分方法

物流機器と一口に言っても、パレットのような小型の資材から、コンベヤのような据置型の大型設備まで幅があり、品目によって処分方法と依頼先が変わります。
ここでは、代表的な品目ごとに、廃棄、売却、資源循環のどのルートが選択肢になるかを整理し、複数品目をまとめて処分する場合の進め方まで解説します。
(1)パレット・ネスティングラック・かご台車の処分方法
パレット、ネスティングラック、かご台車は、材質によって処分方法が分かれます。
数量も判断材料になります。数枚単位の処分と、数百枚単位の処分では、引取先の選択肢と単価が変わります。
材質別に数量を集計し、売却可能なもの、資源回収に回せるもの、廃棄物として委託するものを仕分けたうえで見積もりを取ると、処分費用の全体像を把握しやすくなります。

図表では、産業廃棄物全体の再生利用率は54.7%で、金属くずは95.4%、木くずは84.4%と高い一方、廃プラスチック類は63.0%にとどまり、23.1%が中間処理で減量化、13.9%が最終処分されています。この差は、金属製ラックやかご台車、木製・樹脂製パレットで適切な処分ルートが異なることを裏付けます。ただし、図表は産業廃棄物全体の集計です。個別機器の処理可否は、材質の純度や汚れ、複合素材の有無、数量、受入先の基準によって変動します。
(2)スチールラック・作業台・保管棚など倉庫設備の処分方法
スチールラック、作業台、保管棚などの倉庫設備は、床に固定された据置設備か、移動可能な什器かで処分方法が変わります。
オフィス什器に近い保管棚と、物流現場で使用する大型ラックでは、搬出条件が異なる点にも注意が必要です。大型ラックは分解作業や重機の使用が想定され、搬出経路や作業スペースの確保が見積もり条件に影響します。
(3)コンベヤ・リフターなど大型搬送設備の処分方法
コンベヤやリフターなどの大型搬送設備の処分は、撤去工事、解体、搬出を含めた工事案件として進める必要があります。
大型搬送設備は、再販可能な設備と解体前提の設備を切り分ける視点が重要です。
再販が難しい設備でも、モーターや架台などの金属部分は鉄スクラップや非鉄金属として資源化できる場合があるため、設備台帳をもとに型式、年式、稼働状況を整理し、売却査定と撤去工事の見積もりを並行して取得すると、総コストでの比較判断がしやすくなります。
(4)エアコンなど事業用家電の処分方法
倉庫や営業所で使用していたテレビ、冷蔵庫、エアコンなどの家電は、物流機器とは異なる処理ルートが適用される場合があります。
処分対象リストの段階で家電リサイクル法対象品を区分し、依頼先が対応可能かを確認する必要があります。
参考:https://www.meti.go.jp/policy/it_policy/kaden_recycle/shiryousyu/guidebook2024.pdf

図表は、家電4品目における排出者、小売業者、製造業者等の役割と料金の流れを示しています。排出者は適正な引渡しと収集運搬料金・リサイクル料金の支払い、小売業者は一定の場合の引取りと製造業者等への引渡し、製造業者等は指定引取場所での引取りと再商品化を担います。この役割分担から、事業所で使った家電も、物流機器とは別の処理ルートに仕分ける必要があります。ただし、対象は家庭用として製造・販売された4品目であり、業務用機器には別の処理方法が適用されます。料金は品目やメーカー、依頼先によって異なります。
(5)複数種類の物流機器・倉庫設備・家電をまとめて処分する方法
倉庫閉鎖やレイアウト変更では、物流機器、倉庫設備、家電が同時に発生します。
この場合、品目ごとに個別手配する方法と、一括窓口でまとめて進める方法があり、処分対象の構成によって使い分ける判断が必要です。
一方、家電リサイクル法対象品やフロン回収が必要な機器が含まれる場合、一括窓口を利用する場合でも、品目ごとの処理ルートが法令に沿っているか、再委託の体制がどうなっているかを確認する必要があります。
処分対象を品目別に整理したうえで、一括対応の可否と品目別手配の場合の総コストを比較し、依頼形態を決める流れになります。
3.物流機器の処分ルート別の依頼先と選び方

物流機器の処分ルートは、産業廃棄物としての委託処理、リユース・買取業者への売却、資源循環業者への素材引き渡し、一括回収サービスの活用に大別されます。
ここでは、各ルートの依頼先の特徴と、どのような機器・場面に適するかを整理します。
| 処分ルート | 主な依頼先 | 適する機器・場面 | 費用の考え方 |
|---|---|---|---|
| 廃棄 | 産業廃棄物処理業者 | 再利用・資源化が難しい機器 | 収集運搬費と処分費を負担 |
| 売却 | リユース・買取業者 | 稼働可能で需要のある機器 | 売却収入が見込める |
| 資源循環 | 資源循環業者・スクラップ業者 | 金属・樹脂など素材価値のある機器 | 有価引き取りまたは処分費の圧縮 |
| 一括手配 | 物流会社・一括回収サービス | 複数品目が混在する倉庫閉鎖等 | 手配コストの集約 |
(1)産業廃棄物処理業者へ委託する
再利用や資源化が難しい物流機器を処分する場合、産業廃棄物処理業者への委託が基本的なルートになります。廃棄物処理法上、排出事業者は許可を持つ業者に処理を委託する義務があり、無許可業者への委託は排出事業者側も罰則の対象となるためです。
法令に沿って処理を進めたい場合の基本ルートであり、破損した機器や複合素材の設備など、売却や資源化が見込めない機器はこのルートで処理します。委託前の確認事項として、許可証の写しの取得、許可品目と対応エリアの照合、契約書とマニフェストの運用体制の確認が必要です。
参考:https://www.sanpainet.or.jp/service/doc/haisyutsu-pamphlet2.pdf
(2)リユース・買取業者へ売却する
まだ使用可能な物流機器や倉庫設備は、廃棄ではなくリユース・買取業者へ売却できる可能性があります。
売却の場合は廃棄物処理委託契約やマニフェストは不要ですが、売買契約書や売却明細は社内記録として保管します。
(3)資源循環業者へ素材として引き渡す
再販できない機器でも、鉄、非鉄金属、樹脂など素材としての価値がある場合、資源循環業者へ引き渡すルートが選択肢になります。特に金属を主体とする物流機器は鉄スクラップとして国内外の製鋼原料に再生されるため、廃棄物として処理費を支払うのではなく、有価物として引き取られる可能性があります。
処分実績を記録し、資源化量として社内で把握しておくと、環境報告への活用が可能になります。

図表では、産業廃棄物の総排出量約3億6,725万トンのうち、20.5%が直接再生利用され、78.2%が中間処理されています。中間処理後の分も含めると、全体の54.7%に当たる約2億79万トンが再生利用され、最終処分は2.4%です。これは、再販できない物流機器でも、素材として選別・処理することで資源循環ルートへ移行できる可能性を裏付けます。ただし、図表は産業廃棄物全体の実績であり、有価引取りや資源化の可否は、素材構成、分別状態、汚れ、数量、スクラップ市況、受入先の基準によって変動します。
金属製のラック、かご台車、コンベヤなどを鉄スクラップとして回収するだけでなく、回収した鉄を新たな鉄鋼製品の原料として循環させる仕組みを構築することで、廃棄物の削減と鉄資源の有効活用につなげられます。鉄がどのように回収・再生され、再び製品として利用されるのかについては、「鉄のサーキュラーエコノミー|事例や鉄鋼製品一覧、リサイクル性も」で詳しく解説しています。

(4)物流会社・一括回収サービスへ依頼する
個別に調整する手間を集約したい場合、倉庫設備、物流機器、事業用家電が混在している場合、物流会社や一括回収サービスへの依頼が選択肢になります。
一方、一括手配の場合でも、排出事業者としての責任はなくなりません。実際に処理を行う業者の許可内容、再委託の有無、マニフェストの運用が法令に沿っているかは、依頼者側で確認する必要があります。実務では、一括窓口の見積もりと、品目別に個別手配した場合の総コストを比較し、価格差と工数削減効果を踏まえて依頼形態を判断します。
4.物流機器の処分費用の内訳とコストを抑える考え方

ここでは、費用の内訳と見積もりの確認ポイントを整理したうえで、有価回収や一括手配によってコストを抑える考え方を解説します。
なお、費用は機器の種類、サイズ、数量、搬出条件、地域によって変動するため、個別の見積もりで確認する前提で読み進めてください。
(1)搬出・解体・撤去にかかる費用の内訳
物流機器の処分費用は、搬出、解体、撤去にかかる作業費も大きく影響します。特に大型設備や床固定された設備では、処理費よりも現場作業費の比重が大きくなる場合があるためです。
見積もりを確認する際は、提示された金額にどの作業が含まれているかを費目単位で確認する必要があります。
解体費込みか、搬出経路の養生費が含まれるか、床固定の撤去や補修が範囲内かによって、同じ総額でも実際の作業範囲が異なります。複数業者を比較する場合は、作業範囲を揃えた条件で見積もりを取得しないと、正確な比較になりません。
(2)収集運搬費・処分費・追加費用の見方
処分費用の基本構成は、収集運搬費と処分費に分かれます。収集運搬費は車両の種類、運搬距離、積載量によって決まり、処分費は廃棄物の種類と重量または容量によって算定されるのが一般的です。
これに加えて、現場条件によって追加費用が発生するケースがあります。
見積もりの比較では、費目ごとの内訳を確認する必要があります。
総額が低い見積もりでも、追加費用の条件が明記されていない場合、当日の現場判断で費用が加算される可能性があります。
(3)鉄スクラップ・非鉄金属・樹脂として有価引き取りになる条件
金属や樹脂の素材価値がある物流機器は、有価引き取りの対象となり、処分費用の圧縮や収入化につながる場合があります。
有価引き取りの成立条件に影響するのは、素材の純度と分別状態です。
引き取り価格はスクラップ市況によって変動するため、時期によって条件が変わる点も踏まえておく必要があります。実務では、処分対象の素材構成を整理し、分別搬出が可能かを確認したうえで、資源循環業者に引き取り条件を照会します。
再販できない機器でも素材として資源化できる可能性があり、単純廃棄と比較して総コストが変わる場合があります。
(4)複数品目・複数拠点をまとめて処分してコストを抑える方法
収集運搬費は車両の稼働単位で発生するため、回収を集約して車両の積載効率を高めることが単価の低減につながります。
複数拠点の整理では、拠点ごとの処分時期を揃える、同一業者に複数拠点をまとめて発注するなどの方法で、運搬計画の効率化が図れる場合があります。
(5)処分費用と売却額・有価回収額を合算して総コストで判断する
物流機器の処分は、売却収入や有価回収額を含めた総コストで判断する必要があります。同じ処分対象でも、機器ごとに廃棄、売却、資源化を組み合わせることで、全体の収支が変わるためです。
判断の際は、金額だけでなく手間と時間も考慮対象になります。
売却は査定や引き渡し調整に時間がかかる場合があり、倉庫の明け渡し期限が迫っている場合は、一括処分の速度を優先する判断もあり得ます。
5.物流機器の処分で排出事業者が確認すべき手続きと書類

物流機器を産業廃棄物として処分する場合、排出事業者には委託契約の締結やマニフェストの交付など、法令上の手続きが求められます。
ここでは、委託契約とマニフェストの基本、委託先の許可確認、搬出前の処理範囲の確定、処分後の書類保管などを整理します。
(1)産業廃棄物処理委託契約とマニフェストの基本
物流機器を産業廃棄物として処分する場合、排出事業者は処理業者との委託契約の締結と、産業廃棄物管理票(マニフェスト)の交付が必要です。廃棄物処理法により、委託契約は書面で行い、収集運搬業者と処分業者のそれぞれと締結することが義務づけられているためです。
一方、売却や有価回収として引き渡す場合、その取引は廃棄物処理委託には該当せず、委託契約やマニフェストは不要です。ただし、有価物か廃棄物かの判断は取引実態に基づくため、運搬費を差し引くと実質的に処理費を支払っている場合などは、廃棄物として扱うべきかを慎重に確認する必要があります。
参考:https://www.5383.co.jp/_p/2362/documents/HP.pdf
参考:https://www.env.go.jp/content/900479496.pdf

図表は、排出事業者、収集運搬業者、処分業者の間で、廃棄物とマニフェスト情報がどのように移動するかを示しています。紙マニフェストでは、排出事業者が管理票を交付し、運搬・処分終了報告の送付を受けて各工程を確認します。電子方式では、3者が情報処理センターを介して登録・報告・通知を行い、同センターが情報を保存・管理します。この仕組みは、物流機器の排出から最終処分までを追跡し、委託処理の完了を確認する必要性を裏付けます。ただし、マニフェストは書面による委託契約の代わりにはなりません。対象品目や数量、許可範囲、登録・報告期限も別途確認が必要です。
(2)収集運搬業者・処分業者の許可内容を契約前に確認する
産業廃棄物の処理委託は、対象品目の許可を持つ業者に対してのみ行うことができ、許可の範囲外の委託は排出事業者側の法令違反となります。
この確認は、契約後ではなく、見積もり取得から契約締結までの間に行う事項として位置づけます。あわせて、処分業者の処理方法が対象機器に対応しているか、再委託の予定がないかも確認しておくと、委託後の処理の流れを把握できます。許可証の写しは委託契約書とともに保管します。
参考:https://www.sanpainet.or.jp/service/doc/s07_7_5itaku2.pdf
(3)搬出前に処理範囲を確定させる
搬出作業の前に、処分対象の範囲を確定させる必要があります。
処理範囲が曖昧なままだと、当日の作業内容の変更や追加費用の発生、処分漏れによる残置物の再手配につながるためです。
そのうえで、見積書や委託契約の対象品目・数量と、実際の処分対象が一致しているかを照合します。見積もり時点から処分対象が増減した場合は、契約内容やマニフェストの記載との齟齬が生じないよう、搬出前に委託先と条件を再確認します。
搬出当日の作業範囲を書面ベースで確定させておくことが、追加費用と作業トラブルの回避につながります。
(4)処分後に保管すべき書類と社内管理のポイント
保管対象は処分ルートによって異なるものの、産業廃棄物として委託したものは委託契約書(契約終了後5年間保存)とマニフェストの写し(5年間保存)を保管します。
有価回収したものは引取証明や計量伝票、売却したものは売買契約書や売却明細を保管し、廃棄、有価回収、売却のいずれで処理したかを社内で区分して記録します。
書類保管と社内管理の更新までを一連の対応として完了させる運用が求められます。
6.まとめ
事業で使用した物流機器は、廃棄する場合は産業廃棄物として排出事業者の責任で処理する必要があり、処分ルートは廃棄、売却、資源循環の3つに大別されます。パレットやラックなどの品目ごとに材質と状態を確認し、売却可能な機器、有価回収が見込める機器、廃棄物として委託する機器を仕分けることが、処分方法選定の出発点になります。
費用面では、処理費だけでなく搬出・解体などの作業費が総額を左右するため、費目ごとの内訳確認と、売却額・有価回収額を合算した総コストでの比較が必要です。
五十鈴株式会社の「icサーキュラーソリューション」は、パレット、ラック、かご台車、コンベヤなど、鉄を主原料とする物流機器の廃棄から国内製鉄所等への資源循環まで、一貫したクローズドループの構築を支援します。物流機器の適正な処分と鉄資源の循環、処分コストの削減をご検討の際は、ぜひご相談ください。


