事業で使用したフォークリフトは、家庭ごみや自治体の粗大ごみとして処分できず、排出事業者の責任で処理方法を選択する必要があります。
本記事では、フォークリフトを手放す前に確認すべき法的区分と契約上の前提条件、3つの処分方法の違い、依頼先の選び方、費用の内訳と変動要因、廃棄・売却時の手続き、バッテリーや廃油など付帯物の処理を解説します。
五十鈴株式会社の「icサーキュラーソリューション」は、不要になったフォークリフトについて、中古車両としての売却、鉄くず・スクラップとしての資源回収、産業廃棄物としての処分を比較し、車両の状態や搬出条件に応じた処理方法の選定を支援します。フォークリフトの廃棄費用を抑えながら、鉄資源の国内循環や再資源化にもつなげたい場合は、お気軽にご相談ください。
1.フォークリフト廃棄前に確認すべき法的区分と前提条件

フォークリフトの処分は、法的区分と契約関係の確認から始める必要があります。
(1)事業用フォークリフトは産業廃棄物として処理する
事業活動に伴って使用したフォークリフトを廃棄する場合、廃棄物の処理及び清掃に関する法律(廃棄物処理法)上の産業廃棄物として処理する必要があります。家庭ごみや自治体の粗大ごみ収集の対象にはならず、処理責任は排出事業者である自社が負います。
つまり、廃棄するのか、売却するのか、スクラップとして資源回収に回すのかという処分区分の切り分けが、その後に必要な契約や書類を決める分岐点になります。
また、フォークリフト本体を有価物として引き渡せる場合でも、バッテリー、廃油、タイヤ、アタッチメントなどの付帯物は別の処理区分になる可能性があります。付帯物の具体的な処理方法は6章で解説します。
(2)所有者名義・ローン残債・リース契約の有無を確認する
処分方法を検討する前に、対象のフォークリフトが自社の所有物か、ローン返済中か、リース物件かを確認する必要があります。
リース契約中のフォークリフトは、所有者はリース会社であり、リース会社の指示に従って返却または買取の手続きを進めます。固定資産台帳、車検証、リース契約書、購入時の契約書類を突き合わせ、所有関係を確定させることが、処分検討の最初の実務になります。
(3)ナンバー付き車両は返納・抹消の要否を確認する
ナンバープレートが付いたフォークリフトを廃棄・譲渡する場合は、標識の返納や登録の抹消が必要かを確認します。手続きをせずに車両だけ処分すると、登録情報と課税情報が残り、翌年度以降も納税通知が届く場合があるためです。
フォークリフトの多くは小型特殊自動車に区分され、市区町村への申告により標識(ナンバープレート)の交付を受け、軽自動車税(種別割)の課税対象になります。小型特殊自動車は、公道を走行するかどうかにかかわらず所有していれば申告・課税の対象とする運用が一般的であり、構内専用として使用している車両でも標識の有無と課税状況の確認が必要です。
大型特殊自動車に区分される大型のフォークリフトは、運輸支局での登録や償却資産としての申告など、小型特殊とは手続きの体系が異なります。
2.フォークリフトの処分方法

フォークリフトの処分方法は、中古車両としての売却、鉄くず・スクラップとしての資源回収、産業廃棄物としての処分委託の3つに大別されます。
ここでは、それぞれの方法が成立する条件と進め方を解説します。
図表では、令和5年度の産業廃棄物総排出量367,250千トンのうち、中間処理が78.2%、直接再生利用が20.5%、直接最終処分が1.3%となっています。最終的には再生利用量が200,788千トン(54.7%)、最終処分量が8,746千トン(2.4%)です。フォークリフトの処分でも、単に廃棄するだけでなく、売却・スクラップ回収・産業廃棄物処理の出口を比較する重要性を裏付けるデータです。ただし、実際の処理方法は車両状態、金属比率、付帯物の有無、搬出条件によって変動します。
(1)中古フォークリフトとして売却する方法
売却可否の判断材料になるのは、年式、メーカー、型式、最大荷重、アワーメーター(稼働時間)、動作状況、整備履歴、外装や爪の損傷状況などです。国内外で流通量の多いメーカーの車両や、稼働時間が短い車両は再販価値が付きやすい傾向があります。売却先には、中古フォークリフトの買取・販売業者、機械商社、同業他社への譲渡などがあり、複数の査定を取ることで条件を比較できます。
売却は単なる処分と異なり、名義変更や登録情報の更新、譲渡書類の作成といった実務を伴います。特にナンバー付き車両やローン・リース中の車両は、1章で確認した契約関係の整理が先行します。査定依頼時には、型式、年式、アワーメーター、故障箇所、設置場所を伝え、現車確認の要否と引き取り条件まで含めて確認します。
(2)鉄くず・スクラップとして資源循環業者に引き渡す方法
中古車両としての再販が難しい故障車や年式の古い車両でも、鉄くず・スクラップとして資源循環業者に引き渡せる場合があります。フォークリフトは車体、フレーム、フォーク、カウンターウェイトなど金属部材が重量の大半を占めるため、車両として価値がなくても金属資源としての価値が残るためです。
有価で引き取られる場合は売買取引となり、処分費用を支払う代わりに重量と金属相場に応じた対価を受け取れる可能性があります。鉄スクラップは電炉での製鋼原料等国内で再利用されており、スクラップとしての引き渡しは、処分コストの削減と同時に、鉄資源の国内循環に排出事業者として関与することを意味します。サーキュラーエコノミーやカーボンニュートラルへの対応方針を持つ企業にとっては、資源化した実績として整理できる点も、経営上の判断材料になります。

図表では、2023年度の鉄スクラップ供給合計は約44百万トンで、このうち国内購入スクラップは25,454千トン(78.8%)、輸出は6,851千トン(21.1%)です。国内消費は約37百万トンで、電炉用が23,290千トンと大きな割合を占めています。フォークリフトを鉄くずとして引き渡すことは、処分費の抑制だけでなく、国内の鉄資源循環に乗せる選択肢であることを裏付けます。ただし、有価引き取りの可否は重量、金属比率、相場、付帯物の分別状態によって変動します。
フォークリフトから回収された鉄が、どのような工程を経て再び鉄鋼製品の原料として利用されるのか、鉄のリサイクル性や企業の取り組み事例については「鉄のサーキュラーエコノミー|事例や鉄鋼製品一覧、リサイクル性も」で解説しています。

(3)産業廃棄物処理業者へ委託して処分する方法
売却もスクラップとしての有価引き取りも難しい場合は、産業廃棄物処理業者へ処分を委託します。損傷が著しい車両、油汚れや異物混入で資源回収の条件に合わない車両、撤去・処理コストがスクラップ価値を上回る車両などがこの対象になります。
産業廃棄物として委託する場合は、収集運搬業・処分業の許可を持つ業者との書面契約、マニフェストの交付と管理が排出事業者の義務になります。この段階では、処分委託は許可業者との契約・書類対応を伴う方法であり、売却や有価引き渡しとは実務の枠組みが異なることを押さえておく必要があります。
3.フォークリフト廃棄に向けた依頼先の選び方

フォークリフトの依頼先は、中古売却、スクラップ回収、産業廃棄物処理のどの出口に強いかで役割が分かれます。
この章では、処分方法ごとの依頼先の違いに加え、搬出条件への対応力、不動車や複数台への対応、回収後の処理フローの説明可否という、見積もり前に確認すべき選定基準を解説します。
(1)売却・スクラップ回収・産業廃棄物処理のどれに強い業者か
依頼先の選定では、その業者がどの出口を前提にしているかを最初に確認します。
中古売却に強い業者、鉄くず回収に強い資源循環業者、産業廃棄物処理業者では、評価の基準も引き取り後の処理も異なるためです。
| 依頼先 | 主な出口 | 評価の基準 | 費用の出方 |
|---|---|---|---|
| 中古フォークリフト買取業者 | 再販・輸出 | 年式・稼働状況・機種の需要 | 売却収入になる可能性 |
| 資源循環業者・スクラップ業者 | 金属資源としての再資源化 | 重量・金属比率・分別状況 | 有価引き取りまたは回収費 |
| 産業廃棄物処理業者 | 中間処理・最終処分 | 処理・運搬・作業の内容 | 処理費用が発生 |
処分方法が決まっていない段階では、売却・スクラップ・処分の複数の選択肢を提示できる業者に相談することで、車両の状態に応じた出口の比較がしやすくなります。どの出口に乗せる前提の業者かを見極めることが選定の主眼になります。
(2)フォークリフトの引取条件・搬出条件に対応できるか
依頼先の選定では、処理能力だけでなく、自社の現場から安全に搬出できるかまで含めて確認する必要があります。フォークリフトは1トンから数トンの重量物であり、搬出条件によって対応できる業者が限られるためです。
見積もり依頼時には、車両の状態に加えて、設置場所、搬出経路、積込スペースの有無を伝え、業者側でどこまでの作業に対応できるかを確認します。回収後の処理条件が良くても、現場での搬出に対応できなければ取引は成立しないため、現場条件への対応可否は価格と並ぶ選定基準になります。
(3)不動車・故障車・複数台回収に対応できるか
エンジン不動、バッテリー上がり、タイヤ不良などで自走できないフォークリフトは、対応可否を最初に確認します。
あわせて、不動の原因や損傷の程度によって、修理前提の買取、部品取り、スクラップ回収、産業廃棄物処分のどのルートが取れるかを判断できる業者かも確認事項になります。
工場閉鎖や設備更新で車両を一斉に入れ替えるケースでは、工程調整や搬出計画まで対応できるかが選定基準になります。処分対象を一覧化し、台数、型式、状態、設置場所を整理したうえで見積もりを依頼すると、対応範囲の比較がしやすくなります。
(4)再資源化や処理フローを説明できるか
スクラップ回収や処分を依頼する場合は、回収後の処理フローを説明できる業者かを確認します。排出事業者には処理の最終段階までの責任が及ぶため、引き渡した後にどう処理されるかを把握しておくことは、法令対応の面でも社内説明の面でも必要になるためです。
また、鉄スクラップとして再資源化される部分が多いほど、処分費の圧縮と資源循環への貢献を両立できます。ESGやサーキュラーエコノミーに関する開示・報告に取り組む企業では、廃棄物の削減量や資源化の実績を把握する必要があるため、処理後の資源化状況について報告や証憑を受けられるかも、依頼先を比較する際の確認項目になります。
4.フォークリフト廃棄費用の内訳と変動要因

フォークリフトの廃棄費用は、車両の状態、搬出条件、付帯物の有無によって大きく変動するため、単一の相場では判断できません。この章では、費用の内訳、変動要因、有価引き取りになりやすい条件、不動車で追加費用が発生しやすいケース、複数台処分でコストを調整する方法を解説します。
(1)廃棄費用の内訳
フォークリフトの廃棄費用は、本体の処分費だけで構成されるのではなく、複数の費目の合計として決まります。見積もりを比較する際は、総額だけでなくどの費目が含まれているかを確認する必要があります。
| 費目 | 内容 |
|---|---|
| 処分費 | 車両本体の処理にかかる費用 |
| 収集運搬費 | 現場から処理施設までの運搬費用 |
| 搬出・積込費 | 現場での吊上げ、積込、搬出作業の費用 |
| 付帯物処理費 | バッテリー、廃油、タイヤなどの個別処理費用 |
| 手続き関連費 | 標識返納や書類作成の代行費用(依頼する場合) |
不動車では積込や吊上げの作業費が加算される場合があり、バッテリーや廃油などの付帯物が別料金になるケースもあります。見積書が一式表記になっている場合は、車両の処分費、現場作業費、付帯物処理費を分けて提示するよう依頼すると、業者間の比較と追加費用の発生条件の確認がしやすくなります。
(2)費用が変動する要因
廃棄費用は、車両の年式や状態だけでなく、現場条件と処分ルートの選択によって変動します。同じ車両でも、条件の伝え方や進め方によって最終的なコストが変わるため、変動要因を把握したうえで見積もりを取る必要があります。
さらに、産業廃棄物としての処分、中古売却、スクラップとしての有価引き渡しのどのルートを選ぶか自体が、費用構造を左右します。
処分であれば費用が発生し、売却や有価引き取りであれば収入側に転じる可能性があるため、ルート選択を含めた比較が総コストの検討には不可欠です。
(3)鉄くずとして有価引き取りになりやすい条件
廃棄費用を支払う前に、鉄くずとしての有価引き取りが可能かを確認する必要があります。中古売却が難しい車両でも、金属資源としての価値が付けば、処分費の支払いが対価の受け取りに変わる可能性があるためです。
資源循環業者に有価回収の可否を先に確認し、処分委託の見積もりと比較する流れが合理的です。
(4)不動車で追加費用が発生しやすいケース
自走できないフォークリフトは、稼働車と比べて搬出作業の負担が大きく、追加費用が発生しやすくなります。見積もり段階で不動の状態と現場条件を正確に伝えないと、当日の追加請求につながるため、事前の情報共有が費用管理の要点になります。
長期放置車両では、液漏れや部品の固着により、引き取り前の処置が必要になる場合もあります。見積もり依頼時には、不動の原因、放置期間、設置場所の写真を提示し、追加作業の要否と費用を事前に確定させておくことが、想定外のコストを避ける実務になります。
(5)複数台・設備更新時の一括処分でコストを抑える方法
複数台のフォークリフトを処分する場合は、一括での回収・見積もりを検討します。運搬車両の手配と現場作業をまとめることで、台数あたりのコストを調整しやすくなるためです。
処分対象の一覧を作成し、品目、台数、型式、状態、設置場所を整理したうえで一括見積もりを依頼します。売却できるもの、スクラップとして引き渡せるもの、廃棄せざるを得ないものを業者とともに仕分けることで、処分費の総額と資源化できる範囲を同時に把握できます。
5.フォークリフト廃棄・売却時の手続き

フォークリフトを手放す際は、車両の引き渡しだけでなく、法令上の手続きと社内の資産管理手続きを完了させる必要があります。
ここでは、産業廃棄物として委託する場合の契約と許可確認、マニフェストの運用、ナンバー付き車両の返納・抹消、売却時の名義変更、処分後の社内処理までを、実務の順序に沿って解説します。
(1)委託契約と許可の確認
フォークリフトを産業廃棄物として処理委託する場合、排出事業者は許可業者との書面契約を締結する義務を負います。廃棄物処理法の委託基準では、収集運搬は産業廃棄物収集運搬業の許可を、処分は産業廃棄物処分業の許可を持つ業者に委託する必要があり、許可証の写しで許可品目と有効期限を確認します。
契約前には、処分対象を本体のみとするか、バッテリーや廃油などの付帯物も含めるかを明確にします。また、車両の一部を有価物として引き渡し、残りを産業廃棄物として委託するなど、売却・スクラップ回収と処分委託が混在する場合は、有価取引の部分と委託処理の部分を区分し、それぞれに応じた書類を整備する必要があります。
参考:https://www.city.sapporo.jp/kodomo/kosodate/documents/r3nishisanpai_keiyakushoann.pdf
(2)マニフェストの交付・返送確認・保存
産業廃棄物として処理を委託する場合、排出事業者はマニフェストを交付し、処理の完了を確認する義務を負います。マニフェストは、委託した廃棄物が契約どおりに運搬・処分されたことを確認するための書類であり、排出事業者責任を果たしたことを示す資料になります。
フォークリフト本体だけでなく、廃油や劣化バッテリーなどの付帯物を産業廃棄物として処理する場合も、マニフェストの対象になることがあります。一方、中古売却や有価物としての引き渡しは廃棄物処理委託ではないため、マニフェストではなく売買契約書や計量伝票などの取引書類で記録を残すことになり、必要書類の考え方が異なります。
参考:https://www.jwnet.or.jp/jwnet/manual/assets/files/guidebook_2025ver1.pdf

図表では、電子マニフェストの登録件数が1998年度以降増加を続け、2024年度には約43,473千件に達しています。産業廃棄物処理の委託では、交付後の返送確認や保存が排出事業者の実務負担になりますが、電子化により処理状況をシステム上で管理しやすくなっています。フォークリフトを産業廃棄物として処分する場合も、本体や付帯物がマニフェスト対象になるかを確認し、売却・有価物取引とは書類管理を分ける必要があります。
(3)ナンバー付き車両の返納・抹消手続き
ナンバー付きフォークリフトを廃棄する場合は、標識の返納と廃車の申告手続きを行います。手続きをしないまま車両を処分すると、登録情報と課税情報が残り、軽自動車税(種別割)の納税義務が継続するおそれがあるためです。
売却・譲渡の場合は、名義変更に進むケースがあるため、廃棄と譲渡で手続きが分かれます。処分方法を確定させた後、対象車両の登録区分を確認し、自治体または運輸支局に必要書類を事前確認したうえで、車両の引き渡しと並行して手続きを進めることが実務の流れになります。
(4)売却・譲渡時の名義変更と必要書類
フォークリフトを中古売却または譲渡する場合は、名義変更や登録情報の更新まで完了させる必要があります。名義変更が完了しないと、課税や事故時の責任関係で自社に不利益が残るおそれがあるためです。
ローン返済中やリース中の車両は、所有権留保やリース会社の所有権により、名義変更に制約があります。契約関係の整理が完了していることが売却手続きの前提であり、残債の精算や所有権解除の書類を先に取得してから売買を進める順序になります。売却先から求められる書類は事前に一覧で確認し、不足がない状態で引き渡し日を設定することが手続きを滞らせないための実務です。
(5)処分後の固定資産除却・保険解約・社内台帳更新
現物の処分だけで終わらせると、固定資産台帳に存在しない資産が残り、償却資産の申告や資産管理に不整合が生じるため、フォークリフトの処分・売却が完了した後は、社内の資産管理手続きを行い、現物と帳簿の記録を一致させる必要があります。
保険や社内制度の面では、対象車両に付保していた保険契約の解約や車両入替の手続き、社内の車両運行管理情報の更新が必要になります。リース返却、売却、廃棄のいずれで手放したかによって社内処理の内容が変わるため、処分方法ごとに完了条件をチェックリスト化し、資産管理までを含めて処分完了とする運用が望まれます。
6.バッテリー・廃油など付帯物の処理について

フォークリフトの処分では、本体と付帯物を分けて扱う必要がある場合があります。
ここでは、バッテリーフォークリフトの駆動用バッテリー、エンジン式の廃油・冷却水・燃料残液、タイヤやアタッチメントなどの部品について、処理方法の確認事項を解説します。
(1)バッテリーフォークリフトの駆動用バッテリー処理
駆動用バッテリーは重量物であり、鉛蓄電池などの種類に応じて回収ルートや処理条件が本体と異なるため、バッテリーフォークリフトを処分する場合、駆動用バッテリーは本体と分けて扱いを確認する必要があります。
劣化したバッテリーや取り外し済みのバッテリーを単体で処理する場合は、回収先と処理方法を委託先に事前確認します。バッテリーの種類や状態によって、有価での引き取りが可能な場合と処理費が発生する場合があるため、本体の見積もりと同時にバッテリーの扱いを確定させることが実務上の確認事項になります。

図表では、工事を伴わない廃電池等の処理依頼について、処理依頼者・顧客が排出事業者となり、①処理依頼、②見積り、③広域処理委託契約、④収集運搬の流れで処理が進むことが示されています。回収後は広域認定の範囲内で分別・保管され、廃電池や金属屑等として処理され、再生鉛・再生樹脂としてリサイクルされます。フォークリフト本体を売却・スクラップ化する場合でも、駆動用バッテリーは別ルートで契約・回収条件を確認する必要があります。処理条件は電池の種類、劣化状態、取り外しの有無によって変動します。
(2)エンジン式の廃油・冷却水・燃料残液の扱い
液体類は金属スクラップとして扱えず、廃油なども産業廃棄物としての処理区分になるため、エンジン式フォークリフトでは、エンジンオイル、作動油、冷却水、燃料残液などの液体類を本体と分けて処理する必要があります。
長期放置車両では、液漏れやタンク内の残液管理が問題になる場合があります。
漏えいがあると土壌や床面の汚染につながるおそれがあるため、保管中は受け皿の設置などの漏えい防止措置を取り、引き取りまでの保管方法についても業者と共有しておくことが求められます。
(3)タイヤ・アタッチメント・部品の分別要否
タイヤ、フォーク以外のアタッチメント、樹脂カバー、交換部品などは、本体と一括で扱えるとは限らないため、分別の要否を事前に確認します。部材ごとに材質と処理区分が異なり、扱いによって引き取り条件と費用が変わるためです。
サイドシフトや回転フォークなどのアタッチメントを装着したまま処分する場合は、装着物を残した状態で引き取れるかを事前に確認します。アタッチメントは単体で再利用や売却の対象になる場合もあるため、本体と一括で処分するか、分けて評価を受けるかを見積もり時に確認し、対象範囲を確定させてから引き渡すことが実務の流れになります。
7.まとめ
事業用フォークリフトの処分は、産業廃棄物としての廃棄、中古車両としての売却、鉄くず・スクラップとしての資源回収の3つの選択肢を比較しながら進めます。最初に確認すべきは、所有者名義、ローン・リース契約の有無、ナンバーの有無という前提条件であり、この確認を経てから処分区分を切り分けます。
費用面では、処分費だけでなく搬出作業費や付帯物処理費を含めた内訳の確認が欠かせません。廃棄費用を支払う前に、鉄くずとしての有価引き取りが可能かを確認することで、処分コストの削減と鉄資源の国内循環への対応を両立できる可能性があります。産業廃棄物として委託する場合は、許可確認、委託契約、マニフェスト管理という排出事業者の義務を果たし、処分後は固定資産の除却と社内台帳の更新までを完了させることで、法令対応と資産管理の両面で処分を完結させることができます。
五十鈴株式会社の「icサーキュラーソリューション」は、不要になったフォークリフトを含む鉄系設備・製品について、廃棄・回収から国内製鉄所等への資源循環までを支援します。フォークリフトの処分コストを抑えながら、鉄スクラップの再資源化と国内循環につなげたい場合は、ぜひご相談ください。



