ラック廃棄の方法とは?産業廃棄物処理・解体・金属スクラップ回収

スチールラックをはじめとする金属製ラックは原則として産業廃棄物の金属くずに該当します。
本記事では、ラック廃棄前に確認すべき事項、処分方法ごとの手順と費用の考え方、委託契約やマニフェストなどの実務対応、種類別の処分方法の違いを解説します。あわせて、廃棄ではなく鉄資源としての循環利用を進めるための考え方も整理します。

五十鈴株式会社の「icサーキュラーソリューション」は、スチールラックをはじめとする金属製什器の廃棄・回収を起点に、鉄資源を国内製鉄所等へ還流させるクローズドループの構築など、処分コストの削減と資源循環を両立する形で支援します。ラックや周辺什器の廃棄を、脱炭素やサーキュラーエコノミーへの取り組みにつなげたい場合は、お気軽にご相談ください。

目次

1.ラックを産業廃棄物として処分するときの確認事項

ラックの処分方法は、素材、サイズ、設置状況、付属品の構成によって変わります。

ここでは、処分方法を検討する前に確認しておくべき2つの観点を解説します。

(1)素材・サイズ・設置状況で処分方法と解体要否が変わる

ラックの処分方法を検討する際は、まず素材、サイズ、設置状況の3点を確認する必要があります。この3点によって、廃棄物としての区分、資源化の可否、解体作業の要否が変わるためです。

確認項目確認内容
素材スチール、アルミ、ステンレスなどの金属製か、木製・樹脂製か
サイズ高さ・幅・奥行き、本体重量
設置状況アンカーボルト固定の有無、壁面固定の有無、設置階、搬出口やエレベーターの条件

事業活動に伴って排出される金属製ラックは、廃棄物の処理及び清掃に関する法律(廃棄物処理法)における産業廃棄物の金属くずに該当します。

一方、鉄主体のラックで付着物が少なく状態が良いものは、金属スクラップとして資源回収の検討対象になります。サイズと設置状況については、搬出可否の判断材料になります。

天井高に近い大型ラック、アンカーボルトで床や壁に固定されたラック、造作に近い形で設置されたラックは、搬出前に解体や撤去工事が必要になる場合があります。

解体の要否は、ラック本体の寸法の他にも搬出口の寸法、エレベーターの利用可否と積載制限、設置階、固定方法、搬出後の荷姿まで含めて判断します。

見積もり依頼の前に、これらの情報を整理しておくと処分計画を立てやすくなります。

参考:https://www.kankyo.metro.tokyo.lg.jp/resource/industrial_waste/about_industrial/about_01

(2)ラック本体と付属品(棚板・キャスター・配線等)を一括処分できるか

ラックの処分では、本体だけでなく付属品を含めて何を処分対象とするかを先に整理する必要があります。付属品の構成によって、処理区分、分別作業の要否、費用が変わるためです。

確認項目確認内容処分方法・費用への影響
棚板・仕切り板金属製か、木製・樹脂製か異素材が混在すると分別が必要になり、混合廃棄物として扱われる可能性がある
キャスター・ボルト類本体に付いたまま搬出するか、事前に取り外すか取り外しの要否によって作業工数が変わる
配線・電源タップラックと一緒に処分するか、別途撤去するか配線類を含めると金属単体処理ができず、分別や別処理が必要になる場合がある
サーバーラックの付属設備PDU、ケーブル、冷却ファン、搭載機器の有無ラック本体とは別の処理ルートになる場合があり、残置可否の確認が必要になる
売却・スクラップ回収時の付属物異素材部材や機器類を外した状態で引き渡せるか付属物の混在は査定額や再資源化条件に影響する

具体的には、棚板、仕切り板、キャスター、ボルト類、配線、電源タップなどが対象になります。ラック本体が金属製でも、木製棚板や樹脂製パーツ、配線類が混在している場合、一括で搬出できたとしても処理段階では素材ごとの分別が必要になるか、混合廃棄物として扱われる可能性があります。混合廃棄物になると、金属単体で処理する場合と比べて処分費が高くなる場合があります。

サーバーラックでは、PDU(電源分配ユニット)、ケーブル、冷却ファン、搭載機器などをラック本体と切り分けて管理する必要があるケースがあります。機器類はラックとは別の処理ルートになるため、残置したまま引き渡せるかを事前に確認します。

また、売却や金属スクラップ回収を想定する場合、付属物の混在は査定額や再資源化の条件に影響します。異素材の部材を取り外した状態で引き渡せるか、取り外し作業を委託先に依頼するかを含めて検討します。

参考:https://www.env.go.jp/council/former2013/03haiki/y030-44/mat02_3.pdf

2.ラックを産業廃棄物として処分する方法と費用目安

事業用ラックの処分ルートは、産業廃棄物処理業者への委託、中古什器としての売却、金属スクラップとしての資源回収の3つに大別されます。

ここでは、それぞれの方法の内容と費用の考え方を解説します。

(1)産業廃棄物処理業者へ委託して処分する

金属製ラックは産業廃棄物の金属くずに該当するため、排出事業者は許可を持つ業者に処理を委託する義務があります。

委託時は見積もりの範囲確認が重要です。

撤去、解体、搬出、収集運搬、処分のどこまでが見積もりに含まれるかは業者や案件によって異なります。特に解体作業や階段搬出が必要な場合、作業費が別途計上されることがあるため、現地確認を含めた見積もりを取得します。

費用は、収集運搬費と処分費を基本に、必要に応じて解体費や人件費が加わる構成です。

金額はラックのサイズ、数量、素材、設置場所、搬出条件、地域によって変動するため一律には示せませんが、単体のスチールラックであれば数千円から数万円程度、解体や搬出作業を伴う大型ラックではこれを上回る水準になる場合があります。

なお、金属製ラックであっても、汚れや付着物、他素材の混在状況によっては金属くず単体ではなく通常の産業廃棄物処理ルートでの対応になります。

オフィス移転や倉庫整理の場面では、他の什器と一括で処分するか、ラックだけを分けて資源化するかで費用構成が変わるため、処分品全体の構成を踏まえて委託方法を検討します。

参考:https://www.env.go.jp/recycle/waste/haisyutsu.html

(2)中古什器として売却する

使用可能な状態のラックは、廃棄ではなく中古什器として売却できる可能性があります。

売却可否は、メーカー、型番、サイズ規格、数量、破損や錆の有無、中古市場での需要によって判断されます。規格が統一された同一型番のラックがまとまった数量ある場合は買い手が付きやすく、単品や規格外品は売却が難しくなる傾向があります。

例えば、オフィス用の書架やスチールラックは汎用性が高く流通量も多い一方、倉庫用のパレットラックや中量棚は設置環境や耐荷重の条件が合う買い手に限られます。サーバーラックは規格(EIA規格など)への適合や年式が評価に影響します。

ただし、売却が成立しても搬出費や運搬費が別途発生する条件になっている場合があるため、査定額と搬出条件をあわせて確認し、実質的な収支で判断します。

(3)金属スクラップ・資源回収として処分する

中古品としての再販が難しい状態でも、スチールラックなど金属比率の高いラックは、金属スクラップとして資源回収ルートに乗せられる場合があります。素材としての価値が評価されるため、廃棄処分と比較して費用を抑えられる可能性が高まります。

確認項目確認内容資源回収への影響
素材鉄、アルミ、ステンレスなど、どの金属が主体か素材ごとに市況価格が異なり、引取条件や評価が変わる
異素材の混在木材、樹脂、配線、ゴムなどが付いたままか異素材が多いと分別作業が必要になり、資源回収しにくくなる
付着物・汚れ荷札、テープ、残置物、油分、汚れの有無付着物が多いと資源化条件に影響する
数量1台のみか、複数台をまとめて出せるか一定量がまとまっているほうが回収条件を調整しやすい
解体の要否そのまま搬出できるか、分解して引き渡す必要があるか解体や分別が必要な場合は作業費が発生し、費用差に影響する

資源化しやすい条件は、鉄主体で分別しやすい構造であること、塗膜以外の付着物が少ないこと、一定量がまとまっていることです。鉄、アルミ、ステンレスは素材ごとに市況価格が異なり、状態と数量によっては有償での引き取り、つまり買い取りの対象になることもあります。

資源循環の観点では、金属ラックの処分は鉄資源を国内循環に戻す選択肢として位置づけられます。鉄スクラップは電炉での製鋼原料として再利用されるため、適切な回収ルートを選ぶことが資源の有効利用につながります。

引用:https://www.meti.go.jp/shingikai/mono_info_service/green_steel/pdf/004_03_00.pdf#page=27

鉄スクラップ価格は、1990年代には平均約15,000円/トンでしたが、2000年代以降は上昇傾向となり、2020年以降に大きく上昇しています。2022年の年間平均価格は50,198円/トンとなり、市場最高価格を更新しました。この推移は、スチールラックなど金属比率の高いラックが、廃棄物としてだけでなく資源価値を持つ可能性を示しています。ただし、実際の引取条件や買取可否は、市況、素材、数量、異素材の混在、解体・搬出費によって変動します。

(4)【例外ケース】自治体の事業系ごみ持込制度等の利用

小規模事業者に限り、自治体が設けている事業系ごみの持込制度を利用できる場合があります。ただしこれは例外的な位置づけであり、事業用ラックの処分方法として一般化できるものではありません。

自治体の持込制度は、対象品目、1回あたりの数量制限、搬入条件、事前予約の要否が自治体ごとに異なります。金属製の事業用ラックは産業廃棄物に該当するため、事業系一般廃棄物を対象とする持込制度では受け入れの対象外となり、民間の処理業者への委託が必要になるケースがあります。制度の利用を検討する場合は、事前に自治体の廃棄物担当窓口に品目と数量を伝えて確認します。

3.ラック廃棄時における企業の実務対応と解体の考え方

産業廃棄物としてラックを処分する場合、排出事業者には委託先の許可確認、委託契約の締結、マニフェストの交付と保管といった実務が求められます。

ここでは、委託時の法的手続きと、解体に関する実務上の判断基準を解説します。

(1)委託先の許可確認と委託契約の締結

産業廃棄物の処理を委託する際は、委託先が必要な許可を持っているかの確認が排出事業者の責務です。廃棄物処理法では、排出事業者は産業廃棄物収集運搬業許可および産業廃棄物処分業許可を持つ業者に処理を委託しなければならないと定められています。

確認項目確認内容
許可の種類収集運搬業許可・処分業許可の有無
許可品目金属くずなど処分対象の品目が許可証に含まれているか
許可区域排出場所と運搬先が許可対象区域に含まれているか
許可の有効期限許可証の期限が切れていないか
契約形態収集運搬業者と処分業者が同一か、別業者か
契約書の記載事項廃棄物の種類・数量、運搬先、処分方法、処分場所など

確認時は、許可証の品目に金属くずなど処分対象の品目が含まれているか、許可の対象区域に排出場所と運搬先の両方が含まれているか許可の有効期限が切れていないかを確認します。収集運搬業者と処分業者が異なる場合は、それぞれと個別に書面で委託契約を締結する必要があります。

契約書には、委託する産業廃棄物の種類と数量、運搬の最終目的地、処分方法、処分場所などの法定記載事項を明記します。契約書は契約終了後5年間の保存義務があります。あわせて、搬出条件、解体作業の有無、費用の内訳も契約段階で確認しておくと、当日のトラブルを防ぎやすくなります。

参考:https://www.env.go.jp/content/000126051.pdf

(2)マニフェストの交付・保管

マニフェストは、委託した廃棄物の収集運搬と処分が契約どおりに行われたかを追跡するための管理票であり、委託契約書とは別に必要な書類です。

紙マニフェストの場合、排出事業者は引き渡し時にA票を保管し、運搬終了後にB2票、処分終了後にD票、最終処分終了後にE票の返送を受けて処理完了を確認します。返送された各票とA票は、交付日または送付を受けた日から5年間の保存義務があります。返送期限を過ぎても票が届かない場合は、委託先への確認と都道府県等への報告が必要になります。電子マニフェストを利用する場合は、情報処理センターへの登録によって同様の管理を行います。

一方、状態の良いラックを有価物として売却する場合は、廃棄物処理法上の産業廃棄物に該当しないため、マニフェストの交付対象外となります。

ただし、引き取り側が費用を請求する形態では有価物と認められない場合があるため、取引形態が売却なのか処理委託なのかを契約前に明確にし、必要な書類を整えます。

参考:https://www.env.go.jp/content/900494971.pdf

(3)解体せずに処分できるケース

搬出経路が確保でき、処理先が完成品のまま受け入れる場合は、現地での解体作業は不要です。解体作業費が発生しないため、処分費用を抑えられます。

解体不要で対応できる典型的なケースは、ボルト組立式の分解式ラックで、搬出口やエレベーターのサイズに収まる場合です。ネジ止め部分の簡易分解だけで搬出できるケースや、倉庫であればフォークリフトでそのまま積み込みできるケースもこれに該当します。

また、中古什器としての再販や金属スクラップとしての回収を前提とする場合は、過度に解体しない方が有利になる場合があります。再販では原形を保った状態の方が査定額が付きやすく、スクラップ回収でも切断や分解の手間を省いてそのまま引き渡せる方が好条件になる場合があります。処分ルートを決める前に解体を進めてしまうと選択肢を狭めることになるため、解体の判断は委託先の受け入れ条件を確認してから行います。

ただし、解体不要の場合でも、棚板や仕切りなどの付属物の取り外し、搬出時の荷崩れ防止措置といった最低限の処置は必要です。引き渡し時の状態について、事前に委託先と認識を合わせておきます。

(4)解体が必要なケースと分別・搬出時の注意点

サイズ超過や設置状況によって搬出できない場合は、現地での解体または撤去工事が必要になります。具体的には、天井高に近い大型ラックアンカーボルトで固定されたラック造作棚に近い形で施工されたラックが該当します。アンカー固定の場合は、ボルトの切断や床の補修を伴うことがあるため、原状回復の範囲もあわせて確認します。

サーバーラックや配線付きラックでは、解体の前に通電機器と配線の取り外しを先行させる必要があります。電源を落とす順序、ケーブルの撤去範囲、搭載機器の取り扱いを情報システム部門と調整したうえで作業に着手します。

分別の観点では、金属、木材、樹脂、電気部材をどこまで分けるかによって処理区分と資源化の可否が変わります。金属部分を単体で分離できれば金属くずとして資源化しやすくなり、混在したままでは混合廃棄物としての処理になります。解体時に部材ごとに分けて保管すると、その後の処理を進めやすくなります。

搬出時は、転倒防止の仮固定、壁や床の養生、エレベーターの利用条件(管理会社への申請、利用時間帯の制限)、荷姿の安全確保を確認します。ビル内での作業では、共用部の使用ルールや作業可能時間が定められている場合があるため、建物管理者との事前調整も必要です。

4.ラックの種類別にみる処分方法の違い

ラックは素材と用途によって、適した処分ルートと確認事項が異なります。

種類主な廃棄物区分資源化・売却の可能性主な確認事項
スチールラック金属くず鉄スクラップ回収、状態次第で中古売却組立式か溶接一体型か、樹脂・木製パーツの有無
サーバーラック金属くず(本体)本体は金属回収、規格品は中古売却搭載機器・配線・PDUの切り分け、情報機器の残置確認
アルミ・ステンレスラック金属くず素材価値が高くスクラップ回収に適する純度、異素材混在、使用環境由来の付着物
木製・樹脂ラック木くず、廃プラスチック類等鉄スクラップとしての資源化は前提にしにくい業種・排出形態による区分、金属部材の分別

ここでは、スチールラック、サーバーラック、アルミラック・ステンレスラック、木製ラック・樹脂ラックの4種類について、処分方法の違いを解説します。

(1)スチールラック

スチールラックは鉄主体の什器であり、金属くずとして扱える可能性が高く、金属スクラップ回収や資源循環のルートに乗せやすい種類です。

処分のしやすさを左右するのは構造です。ボルト組立式のラックは分解して搬出でき、部材ごとの分別も容易です。一方、溶接一体型のラックは分解できないため、搬出経路に収まらない場合は切断作業が必要になります。事前に構造を確認し、解体費用の要否を見積もりに反映させます。

棚板やキャスター、樹脂製の部品が付属している場合は、分別の要否を回収業者に確認します。

金属部分のみを分離した状態で引き渡せれば、鉄スクラップとしての資源化を進めやすくなります。錆や変形があっても素材としての価値は残るため廃棄処分を決める前に金属回収の可否を確認する価値があります。

(2)サーバーラック

サーバーラックの処分では、ラック本体と付帯物の切り分けが前提になります。

配線、PDU、冷却ファン、周辺機器、搭載されたサーバー機器は、それぞれラック本体とは異なる処理が必要になるためです。

搭載機器はデータ消去や物理破壊を含む情報機器側の処理ルートで別途対応し、ラック本体の処分とは切り分けて管理します。処分前には、機器がすべて取り外されているか記憶媒体が残っていないかを担当部門が確認します。

ラック本体は金属主体であるため金属くずとして扱えますが、配線や機器が混在したままでは一括でのスクラップ化が難しく、資源化を進める場合には、付帯物を取り外した状態で引き渡します。

搬出面では、サーバーラックは重量物であるため、転倒防止の固定、通路幅とエレベーター積載量の確認、機器取り外しの作業手順の整理が必要です。データセンターやサーバールームからの搬出では、他の稼働機器への影響を避けるための作業計画もあわせて検討します。

(3)アルミラック・ステンレスラック

アルミラックとステンレスラックは、鉄と比較して素材単価が高いため、金属回収を検討しやすい種類です。廃棄処分ではなく資源化や売却の余地がある素材として位置づけ、処分方法を検討します。

ただし、スクラップとしての評価は、素材の純度、異素材の混在、付着物の有無によって変わります。アルミやステンレスに鉄部品や樹脂部品が混在していると、素材単体としての評価が下がるか、分別作業が引き取り条件になる場合があります。部材構成を確認し、素材ごとに分けられる構造かを把握したうえで回収業者に相談します。

使用環境の確認も必要です。食品工場や厨房、クリーンルームで使用されているラックは、衛生関連の付着物や使用環境に由来する汚れの状態によって、引き取り条件や再利用の可否が変わる場合があります。洗浄の要否を含めて、引き渡し前の処置を確認します。

(4)木製ラック・樹脂ラック 

木製ラックと樹脂ラックは、金属ラックと同じ処分フローに乗せず、素材に応じた処理区分を確認したうえで委託先を選定します。

処理区分については、木製ラックは木くず、樹脂製ラックは廃プラスチック類に関わります。廃棄物処理法上、木くずは排出事業者の業種によって産業廃棄物に該当する場合と事業系一般廃棄物に該当する場合があるため、自社の業種と排出形態を踏まえた区分確認が必要です。廃プラスチック類は業種を問わず産業廃棄物に該当します。区分の判断に迷う場合は、自治体の廃棄物担当窓口や委託予定の処理業者に確認します。

金属部材が一部使われている場合の扱いも確認事項です。金具、ボルト、キャスターなどが付属していても、主体素材が木材や樹脂であれば、その素材を基準に処理区分を判断したうえで、金属部分の分別要否を委託先に確認します。

木製、樹脂製のラックは資源回収よりも廃棄処分が中心になりやすいため、処分費を抑える観点では、金属製ラックと分けて排出し、金属類のみを資源回収ルートに乗せる方法が考えられます。

5.ラック廃棄をサーキュラーエコノミー対応で進める考え方

金属製ラックの処分において資源回収を適切に組み込むことは、処分費用の圧縮という経営上のメリットに加え、ESGやカーボンニュートラルへの対応としても意味を持ちます。

ここでは、廃棄と資源回収の切り分け方、対象範囲の広げ方、処分先選定時の確認観点を解説します。

引用:https://www.env.go.jp/content/000301060.pdf#page=11

図表では、産業廃棄物全体の再生利用率が54.7%であるのに対し、金属くずは95.4%と高い水準を示しています。最終処分率も金属くずは3.0%にとどまり、金属系廃棄物が資源循環に乗りやすい品目であることが読み取れます。このデータは、スチールラックなど金属製ラックを単なる廃棄物として処理するのではなく、資源回収を組み込む意義を裏付けるものです。ただし、実際の再資源化の可否は、異素材の混在、汚れ、解体・分別の状態、委託先の処理ルートによって変動します。

回収されたスチールラックが鉄スクラップとしてどのように再利用され、再び鉄鋼製品へ循環するのかを理解するには、鉄のリサイクル性や国内における循環事例まで確認する必要があります。鉄資源の循環構造や企業の取り組みについては、「鉄のサーキュラーエコノミー|事例や鉄鋼製品一覧、リサイクル性も」で詳しく解説しています。

(1)廃棄処理と資源回収をどう切り分けるか

ラックの処分では、再資源化できる部分と産業廃棄物として処理すべき部分を切り分ける考え方が基本になります。切り分けによって、処分費の削減と資源の有効利用を両立できるためです。

資源回収の候補になるのは、スチールラック本体、ボルト、金属製棚板などの金属部分です。鉄スクラップは電炉製鋼の原料として国内で再利用される資源であり、天然資源からの製鉄と比較してCO2排出量を抑えられることから、カーボンニュートラルの観点でも価値があります。

切り分けの実務では、素材構成の確認、異素材混在の有無、汚れや残置物の状態、解体後に金属単体として分離できるかを順に確認します。

確認結果をもとに、金属部分は資源回収、それ以外は産業廃棄物処理という形で処理ルートを設計します。

(2)ラック以外の什器や設備もまとめて資源循環に乗せられるか

オフィス移転や倉庫整理の場面では、ラック単体ではなく複数の什器や設備が同時に発生します。この際、スチール棚、キャビネット、パレットラック、作業台などの金属什器も、ラックと同様に資源回収の対象になり得ます。金属類をまとめて資源回収に回すことで、廃棄物として一括処理する量を減らし、処分費全体を抑えられる可能性があります。

一方で、木製家具、樹脂製什器、OA機器、家電、配線類は金属什器と同じ扱いにできない場合があります。OA機器や家電には個別のリサイクル制度や情報管理上の要件が関わるものもあるため、素材や品目ごとの切り分けが前提になります。

処分対象の品目リストを作成し、金属主体の品目とそれ以外を分類したうえで、資源化しやすい金属類を先に分別する進め方が考えられます。設備入替や倉庫撤去の計画段階から、ラックだけでなく周辺什器まで含めて資源循環ルートに乗せられる範囲を確認しておくと、処分費用の見通し環境対応の両面で計画を立てやすくなります。

引用:https://www.meti.go.jp/shingikai/mono_info_service/green_steel/follow_up/pdf/002_03_00.pdf#page=24

図表では、2024年度の国内鉄スクラップ供給量が35,034千トン、国内消費量が35,042千トンと示されています。国内購入スクラップ23,357千トンのうち、電炉向けが19,478千トンと大きな割合を占め、老廃スクラップも16,597千トン発生しています。これは、ラックや周辺の金属什器をまとめて分別・回収することで、鉄資源として循環利用される可能性を裏付けるデータです。ただし、実際の回収条件は素材構成、数量、異素材混在、輸出を含む需給動向によって変動します。

(3)処分先選定時に確認したい再資源化ルートの有無

処分先を選定する際は、回収や処分ができるかだけでなく、回収後のラックがどのような再資源化ルートで処理されるかを確認する観点があります。同じ金属ラックの回収でも、混合廃棄物として処理されるのか、鉄スクラップとして選別、再資源化されるのかによって、資源循環へのつながり方が変わるためです。

見積もり段階での確認事項としては、金属回収の可否引き取りの分別条件再資源化できない部材の扱いマニフェストを含む処理フローの説明が可能かが挙げられます。処理フローを明確に説明できる事業者であれば、排出事業者としての管理責任を果たすうえでも判断材料が揃います。

サーキュラーエコノミーへの対応を重視する場合は、鉄資源として循環利用する前提で相談できる事業者かどうかが選定基準になります。鉄スクラップの国内循環に対応した回収ルートを持つ事業者に相談することで、処分費用の圧縮と、ESGやサーキュラーエコノミー対応の実績づくりを同時に進められます。

引用:https://www.meti.go.jp/shingikai/mono_info_service/green_steel/pdf/001_04_00.pdf#page=14

図表では、粗鋼1トン当たりのCO₂発生量が、高炉法では約2.0t-CO₂/t、電炉法では約0.5t-CO₂/tと示されています。また、鉄鋼部門のCO₂排出量の90%以上は高炉メーカー由来とされています。これは、金属製ラックを鉄スクラップとして回収し、電炉原料などの再資源化ルートに乗せることが、サーキュラーエコノミーやカーボンニュートラル対応に結びつくことを裏付けるデータです。ただし、実際の環境効果は、回収後の処理ルート、輸送距離、素材の純度、異素材の混在状況によって変動します。

6.まとめ

特にスチールラックをはじめとする金属製什器は、鉄資源として国内循環に戻せる資源です。処分先の選定時には、再資源化ルートの有無まで確認し、単なる廃棄ではなく資源循環を前提とした処分を検討してください。

五十鈴株式会社の「icサーキュラーソリューション」は、スチールラックをはじめとする金属製什器の廃棄・回収から、国内製鉄所等への資源循環まで、一貫したクローズドループの構築を支援します。ラックの適正な廃棄・処分と、鉄資源としての循環利用をご検討の際は、ぜひご相談ください。

監修

早稲田大学法学部卒業後、金融機関での法人営業を経て、中小企業向け専門紙の編集記者として神奈川県内の企業・大学・研究機関を取材。
2013年から2020年にかけては、企業のサステナビリティレポートの企画・編集・ライティングを担当。2025年4月よりフリーランスとして独立。
企業活動と社会課題の接点に関する実務経験が豊富で、サステナビリティ分野での実践的な視点に基づく発信を強みとしている。