IMPACT CHANGE VISIONARY REPORT2024 ビジョナリーレポート S X いつでも どこでも あたらしい 五十鈴グループ 01 ブラ ンドの 創造
PHILOSOPHY aVISIONARY REPORT 2024b発行に寄せて 五十鈴は「ビジョナリーカンパニー」を目指しています。 ビジョナリーカンパニーとは、全従業員が、 「揺ぎない理念を実践することで、 時代を超えて常に組織として成長・進化していく企業体」のことを指します。 2024年度の五十鈴グループの基本方針は、「SXブランドの創造」。 SXとは、五十鈴グループの10年ビジョン「I-Society X」。 これは企業の事業戦略とサステナビリティへの取り組みを同期させ、 社会に変化をもたらすような、新しい事業を次々と生み出し、 五十鈴グループの企業価値=ブランドを創造しようというものです。 スチールサービス部門、ロジスティクス部門、 ソリューション部門、ライフサービス部門、 各事業部門が部門戦略をもとに競争力を強めつつ、 五十鈴グループ全体で構築した「サステナビリティ推進体制」により、 新たな価値を生み出し、成長・進化をよりサステナブルなものにしていく所存です。 本レポートでは、「SXブランドの創造」に向けた当社の取り組みをご紹介します。 グループ全体で社会課題・テーマに向き合い、株主やお客さま、 そして多種多様なパートナーと共に、より良い社会に向けた価値創造に挑む 私たち五十鈴グループの取り組みを、お読みくださいましたら幸いです。 2024度 五十鈴グループ基本方針 SXブランドの創造 02
委員長:諌山執行役員 デジタル 委員会 デジタル人材 次期ATOM 省築培 DX(データドリブン、AI研究開発) CEO MESSAGE aサステナビリティ体制bとa部門戦略bを新設 社会貢献と事業成長の両軸でSXブランドを創造する 04 PHILOSOPHY aVISIONARY REPORT 2024b 発行に寄せて 02 VALUE MODEL 五十鈴グループの価値創造モデル 06 SOCIAL INITIATIVES 事業を通じた社会課題の解決に向けた4つの取り組み 1. 鉄鋼流通の価値向上 3. SXへの協創 2. 顧客の事業健全性向上 4. D&I経営の推進 10 TOPIC 2024年度 五十鈴グループ社員総会 開催 14 CONTENTS 五十鈴グループサステナビリティ推進体制 ROAD MAP 未来社会創造企業に向けた 五十鈴グループの10年ビジョン(2021~2030年) I-SocietyX 08 取締役会 CEO ビジョン実現委員会 執行役員会 戦略会議 HRM会議 委員長:小原常務執行役員 ビジョナリー 委員会 ベンチマーク、教育体系 五十鈴イズム やりがい・働きがい 委員長:宮川常務執行役員 ガバナンス 委員会 リスクマネジメント (内部統制、BCP) 情報セキュリティ コンプライアンス 委員長:本郷常務執行役員 環境 委員会 3R カーボンニュートラル サステナ ビリティ 推進体制 7つの社会的な取り組みを 推進する委員会を設置 五十鈴グループは2023年、社会とともに持 続的に成長していくための課題に取り組むサ ステナビリティ推進体制を構築しました。 委員長:瀬戸専務執行役員 スタートアップ 委員会 アントレプレナー育成 ISXフォーラム 戦略的広報 新規事業創造 委員長:岩品常務執行役員 技術力開発 委員会 素材加工技術 技サとの連携による 技術力(現場力)開発 新素材開発 委員長:新川執行役員 ソーシャル 委員会 地域コミニュティー 品質(SX、VC、SS) ステークホルダーリレーション SDGs 働きやすい職場環境 (DE&I、ワークライフバランス、安全、健康) 03
CEO MESSAGE 2023年度aサステナビリティ推進体制bとa部門戦略bを新設。 社会貢献と事業成長の両軸でSXブランドを創造する 代表取締役社長 鈴木 勝 最も大きなトピックスとして、五十鈴グ ループ12社を、スチールサービス部門、 ロジスティクス部門、ソリューション部 門、ライフサービス部門の主要4部門に グループ分けした「部門戦略」をより強 化しました。 当社は創業者の「雇われ人根性になる な」という教訓をもとに、事業内容及び 地域に応じて分社化を進めてまいりまし た。「全員参画経営」というポリシーを もとに12人の社長及び12の経営陣がそ れぞれに当事者意識を持ち、独立した企 業経営を行なっていることこそが、五十 鈴グループの強みです。この方針は変わ りません。 その強みを維持しながらも、グループ内 五十鈴グループの2023年度は、新型コ ロナウイルスや、円安およびインフレに よる資材の高騰、エネルギー価格の高騰 といった多くの苦境を乗り越え、新たな 成長への第一歩を踏み出した年でした。 各事業部門のクライアントとの交渉や、 バリューチェーンの改善努力、2022年 と23年に行った未来への投資により、 工場の稼働率が高まり、利益率も大きく 向上し、強靭な収益体制を作ることがで きました。未来への飛躍に向けた基盤づ くりを進めることができたと実感してお ります。 また、五十鈴グループの2023年度は、 2つの大きな組織編成や、人事制度改革、 新事業創生への取り組みなど、さまざま なチャレンジを行った年でもありました。 未来への飛躍に向けた 基盤作りを行った2023年 04
2つの軸を両輪に 企業価値・ ブランド価値 を創造する。 競争力 部門戦略 持続性 サステナビリティ 推進体制 競争力と持続性を両輪で高める 初年度からKPIを設定して始めている取 り組みも多数あります。ソーシャル委員 会は工場内の夏場の温度を低下させ、働 く環境を改善するために、五十鈴グルー プの全工場の屋上に遮熱シートを設けま した。ソーシャル委員会はまた全社的に 健康経営への取り組みを進め、グループ 全社で健康優良企業「銀の認定」を取得 しています。 スタートアップ委員会は、社内から新規 事業を生み出すべく、2022年度より「五 十鈴SX事業アイデア創造プログラム」 を開催しています。およそ半年間をかけ て、ワークショップにて新規事業のアイ デア出しとブラッシュアップを行い、最 終的にピッチコンテストを行うプログラ ムです。最終審査をクリアしたアイデア は、実際に社内事業として検討されます。 このプログラムに50人以上が参加し、 最終的に9つの事業アイデアが最終審査 を通過しました。この9つのアイデアは 社内の新規事業として今、まさに検討が 行われています。 さらに、社員を「人財」と捉えている当 社の従業員に対する考え方を現す大きな トピックスとして、給与体系の見直し及 び人事制度改革を行いました。全ての従 業員の給与ベースをアップするとともに、 能力・成果をより評価し、昇給・昇格が よりスムーズに行われる仕組みを導入し ています。「気分よく働けて、業績がよく、 自己成長できる会社」という当社の社風 をよりポジティブなものにしていきます。 このように、これからの五十鈴グループ は、競争力を高める「部門戦略」と、持 続性を高める「サステナビリティ推進体 制」を両輪とし、相互作用をしながら、 企業価値・ブランド価値を高めていく経 営を行っていきます。 また、五十鈴グループの2024年のキャ ッチフレーズとして、「IMPACT CHANGE」という言葉を掲げました。 「社会に残す成果をより良いものに変え ていく」「五十鈴のインパクトを変革し ていく」という意志が込められています。 鉄鋼加工・流通のリーディングカンパニ ーである五十鈴は今後、領域を越え、デ ジタル、ダイバーシティ&インクルージ ョン、超高齢化、モビリティ、コネクテ ィッド、循環型社会など様々なテーマに 取り組んでいきます。そして、「時代を 超えて、際立った存在であり続ける企業 =ビジョナリーカンパニー」になるとい う目標に向けて、更なる挑戦を続けてい く所存です。 で連携した事業戦略を立案し、迅速な意 思決定を行うことによって、高効率化、 知の共有化を行い、生産性とスピード感 を高めつつ、新たな価値を次々と生み出 していける体制づくりをすることとしま した。さらに4つの部門は、互いに情報 を共有しながら、日本全国およびグロー バルを対象に、グループ戦略を立てて事 業を推進していきます。 2つ目の大きなトピックスは、2024年 度のグループ基本方針として「SXブラ ンドの創造」を掲げましたが、その基盤 となる、サステナビリティへの取り組み を強化するための体制「サステナビリテ ィ推進体制」を2023年に編成したこと です。これは、「環境委員会」「ソーシャ ル委員会」「ガバナンス委員会」「デジタ ル委員会」「スタートアップ委員会」「技 術力開発委員会」「ビジョナリー委員会」 の7つの委員会からなる五十鈴グループ 横断の組織です。 それぞれの委員会は事業の組織とは関係 なく編成されており、当社の執行役員が 各委員長に就任し、委員会は委員長が指 名した数名~十名程度のメンバーで構成 されています。初年度はまず学習すると ころからスタートしている面もあります が、非常に高い意識を持って取り組んで います。環境委員会はカーボンニュート ラル、3R、ソーシャル委員会は働きや すい職場環境、地域コミュニティ、 SDGs、ガバナンス委員会はコンプライ アンスとリスクマネジメント、ビジョナ リー委員会はやりがい・働きがいの向上、 教育体系の強化など、明確なテーマを設 け、それぞれのテーマに一つひとつ取り 組むことをコミットメントしています。 また、当グループの新事業として、鉄鋼 加工のOEMを行う「ファブレス事業」、 物流容器を入り口にサプライチェーンの スマート化を促進する「PaaS事業」、オ ーガニック農業を流通からサポートする 「AgLeap事業」、物流におけるスペース のマッチングや最適化を行う「LOG事 業」、鉄や樹脂、木材などのマテリアル のリサイクルスキームを作る「循環事 業」の5つの事業があります。この5事 業は現在、事業化を進めている段階です。 健康優良企業の取得 新規事業創出など全社で挑戦 グループ経営の成長 グループの進化と成長の スピード感を高める グループ経営の根幹 健全で持続可能な 経営基盤を維持し続ける TOPIC CEO MESSAGE VALUE MODEL ROAD MAP SOCIAL INITIATIVES 05
VALUE MODEL 五十鈴グループの価値創造モデル BUSINESS ACTIVITIES INPUT ・変革と成長の礎となる歴史 ・進化し継承し続ける経営理念 ・製造・物流機能 ・人と組織への積極投資 生きがい、やりがい、働きがいを 楽しく創るビジョナリーカンパニー Mission ■目指す企業像 みんなの夢をみんなで自己実現する企業 ■我社の存在価値 未来社会づくりに参画している会社 (未来社会創造企業) Vision ■社訓 Value 一、お得意さんに誠意をつくそう 一、仕事は實を入れてやろう 一、何でもみんなで話し合おう ■価値観 縁誇創新 ブラッシュアップと アップデートを源とする 協進の精神で世界を仲間にする 新常識なアジャイルを重んじる 楽しく学び、楽しく働き、 みんなで自己実現する 起業家集団として 未来社会創りに貢献する 1. 2. 3. 4. 5. 6. 中長期的な成長を促進する マネジメントシステム 長期ビジョン・中期計画・年度基本方針 五十鈴組織変革活動(IOC) 五十鈴人財資本開発(IHC) ヒューマン・リソース・マネジメント(HRM) コミュニケーションシステム(情報共有) INPUT BUSINESS ACTIVITIES [ われわれの根幹(強み・MVV)] [ われわれの事業活動 ] 事業活動の2つの軸 ■スチールサービス(コイルセンター)部門 鉄鋼流通マーケットの中で、加工・販売にとどまることな く、最適鋼板流通サービスを追求 事業会社:五十鈴関東/五十鈴中央/五十鈴東海 ■ロジスティクス部門 23営業所のネットワークと、鉄鋼、自動車流通における 物流ノウハウをベースに、ロジスティクスサービスを提供 事業会社:ワーレックス/五十鈴倉庫/五十鈴オート整備工場 ■ソリューション部門 スチールサービスで培ったノウハウをベースに経営ソリュ ーション&コンサルテーションサービスを提供 事業会社:五十鈴ビジネスサポート(流通)/五十鈴マネジメン トサービス(財務・法務)、ベル・インフォテックス(IT・業務)/ アイ・ティー・シー(技術)/アイ・コミュニケーションズ(組織 開発・変革、人材開発) ■ライフサービス部門 お客様の土地建物に対する各種ソリューションを提供し、 お客さまの期待を超える価値を創造 事業会社:五十鈴建設 五十鈴グループの中核となる 4つの主要事業部門 強み MVV 事業活動を社会へとつなぐ サステナビリティ 推進体制 環境委員会/ソーシャル委員会 ガバナンス委員会/デジタル委員会 スタートアップ委員会/技術力開発委員会 ビジョナリー委員会 06
OUTPUT OUTCOME 企業価値向上 ■財務資本 ・連結売上高・純利益・ROE・ROIC ■知的資本 ・イノベーション・特許、知財 ・学習、価値創造時間 ■人的資本 ・企業家人材・流動化人材・有資格者 ・マネジメント力・エンゲージメント ■自然資本 ・環境負荷低減 (CO2削減/電力量削減) ■製造資本 ・生産性・品質・改善・安全 ■社会関係資本 ・取引先数・ビジネスパートナー数 社会貢献 コミュニティで作る 自己実現フィールドの創出 1. aスマートライフサービスbの提供 2. みんなにやさしい ECO環境づくりの推進 3. 安全・安心・快適な ロジスティクスの展開 4. スマートワークプレイスの提供 5. 行政・公的機関・近隣企業と連 携した地域貢献 6. →P10 →P11 →P12 →P13 鉄鋼流通価値向上 国内製造業を下支えする鉄鋼材の安定供給力強化 顧客の事業健全性向上 業界の生産性・安全性を高めるソリューションを提供 SXへの協創 持続可能な社会事業、顧客との協創事業創出へ D&I経営の推進 社員にとって安心・安全な職場環境と多様性の実現 OUTPUT 1 OUTPUT 2 OUTPUT 3 OUTPUT 4 OUTPUT OUTCOME [ 事業を通じた社会課題の解決 ] [ 社会への提供価値 ] TOPIC CEO MESSAGE VALUE MODEL ROAD MAP SOCIAL INITIATIVES 五十鈴グループは、ビジョナリーカンパニーのコンセプト(理念と共に成長し、理念をベースにした仕組みづくり)に基づき、 創業者精神である、いつの時代においても「世の中に必要な存在になる」ことを目指しています。 この考え方に基づく部門戦略推進(競争力)とサステナビリティ推進体制(持続性)の両輪で、ステークホルダーをはじめ あらゆるパートナーとの「協進」プロセスを通じて、より良い社会の実現に向け、新たな価値を創造し続けます。 07
ROAD MAP 未来社会創造企業に向けた五十鈴グループの10年ビジョン(2021〜2030年) 6つの社会シナリオへの挑戦 ダイバーシティ・ インクルージョン コネクティッド モビリティ 循環型 デジタル 超高齢化 DX推進、 プラットフォームの構築、 ブロックチェーン技術の リアルビジネスへの実践展開 シルバーマーケットへの ビジネス拡張、 自動化・省人化投資、 グローバルマーケットの開拓 五十鈴流働き方改革、 SDGsマネジメント、 内外の新たな能力プロデュース、 協創、協体験 企業、人、サービス、 情報、時間、能力、知財など あらゆるものをネットワークに 繋げ価値化する 物流コストを 削減するモデル開発、 新モビリティサービスの創造、 インフラビジネスへの参画 エネルギー、素材、サービス、 顧客のコア技術の 再生・伝承など含めた多様な 循環システムの構築 I─Society X 先の見えないVUCAの時代と言われる昨今。数年単位で人々の生 活が様変わりしていくような変化の激しい時代の中で、私たちは、 ビジョナリーカンパニーとして、みんなの夢をみんなで自己実現 していくための10年ビジョン「I-Society X」を2021年に掲げま した。鉄鋼流通のリーディングカンパニーという枠を超え、未来 社会づくりに貢献するサステナブルな企業になるために、私たち は進化を続けます。 既存の主要事業であるスチールサービス、ロジスティクス、ソリ ューション、ライフサービスの4領域の経営資源・ノウハウを土 台としながら、社内外のさまざまなアイデアや知見を組み合わせ、 ビジネスインキュベーション、シナリオデザイン、デジタルトラ ンスフォーメーションを行いながら、次々に新規事業を生み出し ていく持続的成長のエコシステムを構築します。そして、デジタ ル、ダイバーシティ&インクルージョン、超高齢化、モビリティ、 コネクティッド、循環型社会など様々な社会テーマに取り組み、 多くのスタートアップを生み出していきます。2030年までに五 十鈴グループとして50の事業会社を設立することを目標に、私 たちは成長を続けていきます。 08
SX事業 事業価値の 最大化とシナジー 持続的成長の エコシステム 未来社会に向けた成長シナリオ Xモデル ソリューション スチールサービス ライフサービス ロジスティクス シナリオデザイン デジタルトランス フォーメーション ビジネスイン キュベーション ダイバーシティ・ インクルージョン デジタル 超高齢化 モビリティ コネクティッド 循環型 バリアフリーな モノコト 介護系商品・サービス PoCサービス 協働配送 プラットフォーム 輸送能力の シェアリング ハウスAs a Service ストックAs a Service エコ商品 循環ソフトサービス 3R化ソリューション スタートアップ コミュニティ創り SDGs 経営モデル データの価値化・ サービス化 B to C向けオリジナル プラットフォーム TOPIC CEO MESSAGE VALUE MODEL ROAD MAP SOCIAL INITIATIVES 09
事業を通じた社会課題の解決に向けた4つの取り組み 鉄鋼流通 価値向上 流通の最適化、高付加価値化、 CO2削減等に取り組む SOCIAL INITIATIVES 全体の価値向上に取り組んでいます。自 動車のEV化、デジタル化、人口減少等 によって日本国内の鉄鋼需要が減少傾向 にあるなか、日本の製造業のグローバル 競争力を維持しながら、CO2削減という 地球全体の目標を実現するために、鉄鋼 流通のサプライチェーン全体を変革して いく必要があると考えています。 そこで私たちが今取り組んでいるのが、 鉄鋼流通最適化の推進です。 鉄鋼業界は近年、鉄鋼メーカーを中心に 業界再編が進んでいますが、薄板等の加 工・輸送においては中小企業が多く、効 率化がそれほど進んでいません。そこで 当社が中心となり、これまでの枠組みを 超えた協業を進め、システムの連携と情 報の共有化を行い、ムリ、ムダ、ムラを 減らし、エリアの鉄鋼流通の最適化を進 めています。 そうしたサプライチェーン全体の効率化 を進めることにより、加工、輸送、保管 等にかかるコストを下げるとともに、 OEMや3R(リデュース・リユース・ リサイクル)を推進し、流通全体での CO2削減も行います。 また五十鈴グループでは、鉄鋼産業その ものの付加価値をより高いものにするた めに、超ハイテン材など機能性の高いマ テリアルの取り扱いを拡大しています。 当社が小ロットの製品やサンプルを取り 扱うことでお客さまが試作や試験を行い やすくし、高付加価値の商品開発をサポ ートします。 それにより、当社が競争力を持つことは もちろん、当社のクライアントや提携先、 日本の製造業全体が競争力を持つことに もつながると考えています。 当グループで働く人々が永続的に心地よ く安心して働けるよう、コンプライアン スの強化や、人材育成、評価・人事シス テムの刷新、働き方改革、働きやすい職 場環境づくりなど、サステナブル投資を 強化しています。 鉄鋼流通企業のさまざまな価値向上モデ ルを作り、業界全体に広げていきたいと 考えています。 IOC活動で50年以来の 加工賃アップを達成 五十鈴グループでは、IOC(五十鈴組織変革)活動という全 員参画の小集団活動を行っており、半年ごとに活動成果発 表会を行なっています。2023年度下期は、五十鈴東海の安 城サービスセンター内のデロリアンチームが表彰されまし た。同チームは、鉄鋼メーカー、商社と協業し、最終クライ アントである自動車メーカー及びTier1とのリレーション を拡充。50年ほぼ上昇していなかったベース加工賃の交渉 を行い、インフレーションを反映させた賃上げを達成する など、大きな成果を上げました。 TOPICS 1 十鈴グループは、鉄鋼流通のリー ディングカンパニーとして、産業 五 鋼板流通のDXシステムai-Link Xbで 在庫・工数を削減 五十鈴グループでは、鉄鋼メーカー・商社・ユーザーとの 協働によって鉄鋼流通全体の最適化を目指し、2023年から 8つの機能を持った鋼板流通のDXシステム「i-Link X」を 開発しました。常にアップデートされたユーザー情報を鉄 鋼メーカーと共有。鋼材生産、製品加工、物流までを一貫 で調整することで流通全体を最適化し、無駄な生産、在庫 をすることなく、ユーザーに製品を納品します。日本製鉄 株式会社様の鹿島・君津・名古屋製鉄所では、「在庫を減ら す」「工数を減らす」活動を進めており、導入前に比べて工 数4割の削減を目指しています。 TOPICS 2 OUTPUT 1 10
顧客の事業 健全性向上 生産性向上などのツールを提供 安全性向上、労務管理、 S と隣り合わせです。また、物流2024年 問題や、長時間労働などの労働問題、 CO2削減に向けた取り組みなどから、サ プライチェーン全体で輸送効率向上も求 められています。 そんな中で五十鈴は、鋼板輸送における 安全管理や法令遵守、労務管理、在庫管 理、ジャストインタイム物流など、事業 健全性と生産性の向上を現場で徹底して きました。そしてそのノウハウをソリュ ーション部門各社がデジタルツールとし てシステム化しています。 その一つとして、労働時間を厳格に守る ため、ドライバーが運転時間や積み下ろ し時間、待機時間をタブレットに入力し、 時間管理を行うシステム「AIR」を自社 開発しています。このシステムを利用す ることで、労務管理の効率が向上するだ けでなく、輸送効率も向上します。 また、VRゴーグルを用いた「VR危険体 感トレーニング」を提供しています。こ れは輸送業者の倉庫内作業やトラックへ の積み込みの際の事故を防ぐためのトレ ーニングツールです。 ドライバーが実際の運転中に察知・発見 した危険箇所や納品先での注意事項とい ったさまざまな情報を一元管理し、リア ルタイムに他のドライバーに伝達・共有 する「ドライブリポーター」を開発し、 現在は他社にも提供しています。 さらに、工場内のレイアウトを可視化し、 工場内をパトロールして危険や無駄を見 つけ、減らしていく現場改善サポートシ ステム「G-kss(ジークス)」を開発。 五十鈴グループのスチールサービス部門 の全工場に導入しているほか、取引先を 中心に外部にも販売しています。 内部統制の整備・運用支援サービス、教 育研修サービスなども行っています。 これらの業務改善ツールの開発・導入か ら、システム運用、業務コンサルティン グまでを五十鈴グループのソリューショ ン部門が推進しています。こうした取り 組みにより、当グループだけでなく、鉄 鋼流通業界全体の事業健全性の向上を進 めていきます。 配車のDXを進める輸送管理システム aAIRbを展開 ドライバーの人材不足問題、労働規制の強化、CO2の排出 削減、燃料費の高騰等により、輸送の更なる効率化が求め られています。そこで五十鈴グループは自社の輸送部門に おいて共同配送・中継輸送のDX化を推進するために開発 し、2023年度に3.1%(約7万t)の輸送効率向上を達成し た輸送管理システム「AIR」の汎用化を進めています。往 路のみ積荷の決まっているトラックを、エリア配送及び外 部輸送の復路に活用できないか自動で検出し、配車マネー ジャーに通知。往復の活用率を高め輸送力がアップします。 TOPICS 4 パレット調達支援システム aiPaSbを展開 製品の運搬にはパレット(物流機器)を使用しますが、パ レットの調達業務は手作業が多く、標準化や効率化が進ん でいませんでした。五十鈴グループがリリースしたパレッ ト調達支援システム「iPaS」は、3次元データを利用して バーチャルで荷姿構想を作成する機能により、大幅に業務 効率および設計品質が向上し、リードタイムが短縮されま す。また、過去のデータを活用して、新たな荷姿構想図を 作成することも可能。荷姿検討・調達業務の作業量を約 50%削減します。 TOPICS 3 鋼流通で扱う製品は全て重量物で あり、その輸送の現場は常に危険 鉄 OUTPUT 2 TOPIC CEO MESSAGE VALUE MODEL ROAD MAP SOCIAL INITIATIVES 11
事業を通じた社会課題の解決に向けた4つの取り組み オープンイノベーションを 推進する 新規事業の創造と、 SOCIAL INITIATIVES X」の中で、未来社会創りに貢献できる ような事業会社を50社創ることを目標 に掲げています。 現在、五十鈴ビジネスサポートの社内に 設置した事業開発チームの中に、「ファ ブレス事業」「PaaS事業」「AgLeap事 業」「LOG事業」「循環事業」の5つの 事業があり、それぞれに収益化に向けて 事業開発を進めています。 さらに多数の新規事業を次々に開発して いく必要があります。それを実現するた めに2022年にスタートしたのが、スタ ートアップを生み出すためのプログラム 「五十鈴SX事業アイデア創造プログラ ム」です。毎年5月に参加者の立候補を 募り、6月から10月まで毎月、集合型の ワークショップを行い、アイデア出し、 ビジネスモデル構築とそのブラッシュア ップを行います。そして11月にグルー プピッチコンテストを開催。採択されれ ばグループ横断のSXプロジェクト化さ れ、その後、事業化が認められると専任 の事業リーダーとして任命されます。 参加資格は五十鈴の従業員であれば新入 社員からベテランまで誰でもOK。実際 に新卒社員も多数参加しています。 2022年、2023年の2年間で50人以上が プログラムに参加。9つのプロジェクト が最終審査を通過して採択されました。 また、五十鈴グループが新規事業を創造 するためのもう一つの取り組みとして、 クライアントやスタートアップと協業し、 オープンイノベーションによるSXへの 協創を進めています。例えば鉄や樹脂、 木材などのマテリアルのリサイクルスキ ームを作る循環事業では、鉄の回収・分 別、運搬、3Rプロセスに関しては社内 に知見がありますが、樹脂や木材の3R 技術に関しては、先進的な知見・テクノ ロジーを持つ企業と協業しています。ま た、オーガニック農業を流通からサポー トするAgLeap事業では、リース企業と 協業して農機のサブスクリプションサー ビスを開始しました。今後はM&Aを行 っていくことも検討しながら、さまざま な「協創」によりSXを進めていきます。 オーガニック青果の流通から生産者を サポートするaAgLeap事業b 五十鈴グループの新規事業として事業化が進められている 「AgLeap事業」は、オーガニック青果の流通をサポートす る事業です。少量多品種で生産することが多いオーガニッ ク青果は既存の流通に乗せられず、生産者がトラックで運 ぶか宅配便を使うなどして個別に配送しているケースが多 数でした。AgLeapは、複数のオーガニック生産者を取り まとめ、産地から大型トラックやフェリーを活用した集約 物流スキームに変更することで、物流面からオーガニック 青果の普及拡大への取り組みを進めています。 TOPICS 6 a推し活b特有の困りごとを 解決するアプリa&Fanfunb 2022年度の「五十鈴SX事業アイデア創造プログラム」で 採択された「&Fanfun」は、自分が好きなアイドルや俳優、 キャラクターなどのコンサート・イベント等に行く「推し 活」における「遠征」に必要なタスク管理を全て完結でき るアプリ。アーティストの公演情報と自分の予定を管理で きるほか、ファンクラブ名義の管理、混雑にまき込まれな い移動手段やホテルのプランニング、遠征先での時間の使 い方、荷物の置き場所等、推し活特有の困りごとを解決す るためのアプリを開発中です。 TOPICS 5 十鈴グループは2021年にスター トした10年ビジョン「I-Society 五 SXへの協創 OUTPUT 3 12
経営人財、リーダー人財を 育てる人事制度改革を行う 進められています。五十鈴グループも、 さまざまな考え方や、多様な個性、生活 スタイルを持った従業員が、皆楽しく充 実したワークタイムを過ごし、長く働き 続けられるD&I(ダイバーシティ&イ ンクルージョン)経営を推進しています。 従業員を人財として捉え、人的資本経営 を加速するため、2024年4月1日より人 事制度改革を行いました。ポリシーであ る「全員参画経営」を支える人財の成長 ・キャリア開発の仕組みを強化し、同時 に働く・働き続ける場所として安心でき る環境整備を行います。 サステナブルな企業であるためには、従 業員のエンゲージメントが高いことがと ても大切です。そのためには、働きやす い環境であるとともに、皆が適正な人事 評価を受け、実力・成果・意欲に応じて 昇給・昇格がスムーズに行われる人事制 度が重要です。そこで当社は、管理職4 段階、一般職13段階に分けられていた 人事制度を刷新し、管理職を4等級、一 般職を4等級にする等級制度を導入しま した。これにより、従来よりも早い昇給 ・昇格が可能になり、若い人でも経営に 参画しやすい制度になりました。 また同時に、エンジニア、アウトサイド セールス、インサイドセールス、コンサ ルタントという4つの職種を設け、専門 性を明確にしました。報酬は主に等級と 職種の2つの軸で計算されるようになり ます。今回のこの制度の導入により、報 酬水準は平均で10%以上アップしてい ます。 五十鈴グループは1 0 年ビジョン 「I-Society X」により、2030年までに 50社を設立する計画です。そのために は今後、多様な事業に挑戦していきなが ら、多数の経営人財、リーダー人財を育 てていかねばなりません。そうした人財 を多く育成するためにも、早い段階から 人財育成に多額の投資を行っています。 そして、年齢や経験に関係なく、挑戦を 良しとする社風をさらに高めていきなが ら、実際に挑戦者を評価し、活躍しても らえる仕組みを設けました。 大企業26位に相当する 教育投資を実施 五十鈴グループは、ICT人材を育成する学習プログラムや、 エンジニアのための技術プログラム、管理職研修、スター トアップセミナーなど、多種多様な研修を実施。2023年度、 従業員1人当たりに対して、年間19万2800円の教育投資 を行いました。この金額は産労総合研究所が発表した日本 企業の平均教育研修費3万2412円の約6倍。東洋経済新報 社が2023年6月に発表した「社員教育にお金をかける企 業」ランキング(大企業対象)によれば、26位に相当します。 TOPICS 8 健康優良企業a銀の認定bを取得 2023年4月よりスタートしたサステナビリティ推進体制の ソーシャル委員会は、従業員等の健康管理を経営的な視点 で考え、戦略的に実践する「健康経営」の取り組みをスタ ートさせました。「健康企業宣言」を行い、検診結果活用、 健康づくり環境の整備、食事管理、運動、禁煙、心の健康へ の働きかけ等を行っています。また、五十鈴グループ12社 全社が、経済産業省が2016年より行なっている「健康経営 優良法人制度」の「銀の認定」を2024年5月に取得しました。 TOPICS 7 今、多くの企業で、働き方改革、 ワークライフバランスの多様化が 昨 D&I経営の 推進 OUTPUT 4 TOPIC CEO MESSAGE VALUE MODEL ROAD MAP SOCIAL INITIATIVES 13
5年ぶりに五十鈴グループ全社員が結集! 2024年度五十鈴グループ社員総会開催 今回のMVC(拠点チャンピオン)は 五十鈴東海 浜松サービスセンター 客席からも あらゆる社員が発信 NEWS/ 1 COLUMN TOPIC 恒例のMVC表彰(拠点チャンピオン)に加え、今 年度から職場のあらゆる改善活動を評価する「業務 ·品質改善表彰」を導入。8つの改善に対する個人· 組織での表彰を行いました。 2024年6月8日、東京有楽町よみうりホールに於いてグループ 社員総会を開催しました。コロナ禍は感染リスクから各部門· 拠点の分散開催やオンライン開催で行っておりましたが、つい に5年ぶりにグループ全社員約800人が対面で一堂に会するグ ループ社員総会が復活しました。今年度テーマは「第三の創業 幕開け第一章~五十鈴はどう新化したか?~」。2022年「第三 の創業」スタートから2年間のグループの変化を認識し、さら なる新化に向けた方向性を皆で確認しあう場となりました。そ して、5年ぶりの開催に多くの社員がグループの一体感を感じ、 これからの決意を固める機会となりました。 NEWS/ 2 各Sessionで語り合う、企業価値· 事業·企業文化…さらなる新化にむけて Session1ではこの2年の企業価値を検証し、 Session2では事業創造の変遷とこれからの事業創 造に向けて、Session3では世代間を理解しこれか らの五十鈴イズムを共に考え、Session4では総括 として、鈴木勝CEOが今後大事にしたい「企業理 念と人生理念の合致」を語りました。 Sessionの中で、そしてエンディン グ「明日への挑戦」で、多くの社員 が力強く、自分の言葉で気づきや決 意を語りました。 近年の五十鈴グループの変化を 共通認識するとともに、次なる 新化の方向性を見出し、シン· ビジョナリーカンパニーにむけ たギアアップを図る。 2024年度社員総会のねらい ・New Start! Phase1<映像> ・司会者開会挨拶~社歌斉唱 ・CEO 開会挨拶 ・2023年度MVC表彰及び その他表彰 OPENING ・a第三の創業b幕開けの今 SESSION 1 ・a事業bの進化 SESSION 2 ・五十鈴イズム年の差なんて SESSION 3 ・CEOプレゼンテーション SESSION 4 ・明日への挑戦 <会場からの声> 社訓の唱和 ENDING 14
TOPIC COMPANY PROFILE CORPORATE GOVERNANCE CEO MESSAGE VALUE MODEL ROAD MAP SOCIAL INITIATIVES 株主総会 取締役会 会計監査人 監査役・監査役会 各社拠点長及び経営管理者 執行委員会 最高経営責任者 (CEO) 環境 委員会 最高財務責任者 (CFO) 最高執行責任者 (COO) ソーシャル 委員会 最高リスク管理責任者 (CRO) 最高情報責任者 (CIO) ガバナンス 委員会 最高マーケティング責任者 (CMO) 最高人事責任者 (CHRO) デジタル 委員会 技術力開発 委員会 最高戦略責任者 (CSO) スタートアップ 委員会 ビジョナリー 委員会 最高コンプライアンス責任者 (CCO) スチールサービス部門担当 / ロジスティクス部門担当 ソリューション部門担当 / ライフサービス部門担当 現場に密着した マネジメント 戦略立案執行 情報開示 チェック監視 社名 五十鈴株式会社 TEL 03-5219-5011 資本金 6億円 本社 所在地 〒100-0005 東京都千代田区丸の内2-2-1 岸本ビル FAX 03-5219-5024 創業 1947年(昭和22年)1月 社員数 830人(グループトータル)※2024年3月現在 設立 1952年(昭和27年)1月 メーカー 日本製鉄株式会社、JFEスチール株式会社、株式会社神戸製鋼所、他 取引銀行 三菱UFJ銀行、みずほ銀行、りそな銀行他 主要株主 株式会社メタルワン・サービスセンター・ホールディングス、日本製鉄株式会社、 株式会社MSアセットマネジメント 決算期 毎年3月末日 営業品目 鉄鋼の中でも、薄鋼板の取り扱いを中心とした専門商社。自動車・家電・OA機器 等に活用される素材を供給する商社であると同時にメーカー機能(鋼板加工)を 自社で保有し、独自の技術力・ノウハウ・サービスをお客さまに提供している。 仕入先 株式会社メタルワン、三井物産株式会社、三井物産スチール株式会社、日鉄物産株 式会社、伊藤忠丸紅鉄鋼株式会社、豊田通商株式会社、JFE商事株式会社、他 15
いつでも どこでも あたらしい 五十鈴グループ https://www.isz.co.jp ビジョナリレポート2024 発行:2024年7月(年1回発行) 発行元:五十鈴株式会社 企画・編集:株式会社アイ・コミュニケーションズ
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