ドラム缶の産業廃棄物処分|空缶・残液ありの区分、錆び・腐食缶の扱い

事業活動で使用したドラム缶を処分する際は、缶の材質や内容物の有無によって廃棄物区分や必要な手続きが変わります
本記事では、ドラム缶の廃棄物区分の判断基準、産業廃棄物として処分する場合の手続きと排出事業者責任、状態別の処分方法と費用の考え方、業者選定の確認ポイントを整理します。

五十鈴株式会社の「icサーキュラーソリューション」は、使用済みの鋼製ドラム缶を鉄スクラップとして回収し、国内製鉄所などへ還流させる資源循環を支援します。空缶・残液あり・錆びや腐食がある缶を状態別に整理し、産業廃棄物としての適正処理と有価物としての回収を組み合わせることで、処分費用の抑制と再資源化の両立を図ります。ドラム缶の処分方法や資源循環ルートを検討している場合は、お気軽にご相談ください。

目次

1.ドラム缶の処分方法に関する前提

ここでは、材質と廃棄物区分の関係、空缶と残液ありでの区分の違い、特別管理産業廃棄物に該当するケースを整理します。

(1)ドラム缶の種類・材質と廃棄物区分の関係

ドラム缶の廃棄物区分は、缶の材質によって決まります。

事業活動に伴って排出された鋼製・ステンレス製のドラム缶は廃棄物の処理及び清掃に関する法律(廃棄物処理法)上の産業廃棄物のうち金属くずに、樹脂製(プラスチックドラム)のドラム缶は廃プラスチック類に該当します。処分を委託する際は、委託先がこれらの品目の許可を持っているかを確認する必要があります。

種類による違いも処分実務に関わります。天板が取り外せるオープンドラムは内部の付着物や保管物の確認が、天板が固定されたクローズドドラムは注入口からの残液確認が必要です。化学薬品用のケミカルドラムは、過去に充填されていた内容物の性状確認が処分条件の判断に直結します。

一方、鋼製ドラム缶は状態によっては有価物として扱える場合があります。洗浄済みで腐食が少ない缶は、更生ドラムとしての再利用や金属スクラップとしての売却が成立する可能性があり、その場合は廃棄物処理としての委託手続きが不要になります。

参考:https://www.sekiyukumiai.or.jp/kyodojigyo/dataimge/1610670185.pdf

(2)空ドラム缶・残液ありドラム缶で処分区分がどう変わるか

ドラム缶の処分では、缶本体と内容物を分けて廃棄物区分を判断します。

缶本体は前述のとおり材質に応じて金属くずまたは廃プラスチック類に該当しますが、内容物が残っている場合は、その内容物自体が別の産業廃棄物として区分されるためです。

空ドラム缶は、本体の材質に応じた区分で処分を委託できます。

ただし、外観上空であっても、底部の沈殿物や内壁の付着物が残っている場合は処理対象に含まれます。委託前に缶内部の状態を確認し、業者への申告内容と齟齬がないようにする必要があります。

残液ありドラム缶は、潤滑油や切削油などが残っていれば廃油、酸性の薬品であれば廃酸、アルカリ性の薬品であれば廃アルカリに区分され、それぞれ許可品目として取り扱える業者が異なります。

引用:https://www.env.go.jp/content/000301060.pdf

環境省の令和5年度実績では、産業廃棄物の再生利用率は金属くずが95.4%である一方、廃プラスチック類は63.0%、廃油は46.1%、廃酸は33.0%、廃アルカリは22.4%です。鋼製ドラム缶は高い再資源化可能性を持ちますが、残液があると缶本体とは別区分の処理が必要になることを示しています。なお、数値は全国の各廃棄物全体の実績であり、ドラム缶単体の再生率ではありません。実際の処理可否は、材質、付着物、残液の性状、受入業者の許可範囲によって変わります。

(3)特別管理産業廃棄物に該当するケース

残液の性状によっては、特別管理産業廃棄物に該当する場合があります。

特別管理産業廃棄物は、爆発性・毒性・感染性その他の人の健康または生活環境に係る被害を生ずるおそれがある性状を有する廃棄物として、廃棄物処理法で通常の産業廃棄物と区別されています。

判断要素は内容物側にあり、引火点70度未満の廃油、pH2.0以下の廃酸、pH12.5以上の廃アルカリなどが該当し、溶剤や薬品が残ったドラム缶では確認が必要になります。SDSや過去の使用記録から性状を確認し、該当の可能性がある場合は分析を含めて判断します。

特別管理産業廃棄物に該当する場合、通常の産業廃棄物とは異なる対応が必要です。

委託先には特別管理産業廃棄物の収集運搬業・処分業の許可が必要になり、事業場に特別管理産業廃棄物管理責任者を置く義務も生じます。通常の産業廃棄物として委託してしまうと委託基準違反になるため、性状が確認できないドラム缶を通常品として一括処理しないことが実務上の注意点です。

参考:https://www.jwnet.or.jp/workshop/assets/files/2024_sample_text_tokuseki.pdf

2.ドラム缶を産業廃棄物として処分する際の手続き

ドラム缶を産業廃棄物として処分する場合、排出事業者には廃棄物処理法に基づく委託手続きと管理義務が生じます。

(1)回収・処分を委託する際の排出事業者責任

ドラム缶の処分を外部の業者に委託しても、処理責任は排出事業者に残ります。

廃棄物処理法では、事業者は事業活動に伴って生じた廃棄物を自らの責任において適正に処理する義務を負うと定められており、この責任は委託によって業者側に移転しません。

このため、委託先が適正な許可を持つかの確認、委託契約の締結、マニフェストによる処分完了の確認までが排出事業者側の対応範囲に含まれます。委託先で不法投棄などの不適正処理が行われた場合、排出事業者にも措置命令の対象となるリスクがあります。

ドラム缶の処分では、缶本体の処理とは別に残液の処理を委託するケースがあり、缶本体は金属スクラップ業者、残液は産業廃棄物処理業者といった形で委託先が分かれる場合もあります。

委託先が複数になっても、それぞれの処理が完了するまでの管理責任は排出事業者側にあります。担当者は、どの廃棄物をどの業者に委託し、それぞれの処理がどこまで進んでいるかを一元的に把握できる体制を整えておく必要があります。

参考:https://www.env.go.jp/content/000126051.pdf

(2)処理委託契約と許可証確認の流れ

ドラム缶を産業廃棄物として委託する場合、収集運搬と処分のそれぞれについて、業者と書面で委託契約を締結する必要があります。

収集運搬業者と処分業者が異なる場合は、それぞれと個別に契約を結ぶ二者契約が原則です。契約書には委託する産業廃棄物の種類・数量、委託金額、処理場所などの法定記載事項を盛り込み、契約書は契約終了後5年間の保存が必要です。

契約前に確認すべき項目は、許可の有効期限、事業の範囲(収集運搬か処分か)、取り扱える産業廃棄物の種類です。ドラム缶本体であれば金属くずまたは廃プラスチック類、残液があれば廃油・廃酸・廃アルカリなど、委託する廃棄物の区分が許可品目に含まれているかを照合します。

缶本体の許可はあるが廃酸の許可がない業者に一括で依頼すると、残液部分が委託基準違反になります。見積もり段階で、委託対象の廃棄物区分をすべて提示し、許可証の写しと照合したうえで契約範囲を確定する流れが実務上の手順になります。

(3)マニフェストの交付・保存・処分完了確認

ドラム缶を産業廃棄物として委託する場合、排出事業者は産業廃棄物管理票(マニフェスト)を交付する義務があります。マニフェストは、委託した廃棄物が最終処分まで適正に処理されたことを排出事業者が確認するための書類であり、廃棄物の種類ごと、運搬先ごとに交付します。缶本体と残液を別区分で委託する場合は、それぞれにマニフェストが必要です。

紙マニフェストの場合、交付後に運搬終了時のB2票、処分終了時のD票、最終処分終了時のE票が返送されます。返送期限は交付日から90日以内(特別管理産業廃棄物は60日以内)、E票は180日以内であり、期限内に返送されない場合は委託先への状況確認と都道府県等への報告が必要になります。マニフェストの保存期間は交付日または返送日から5年間です。

電子マニフェストを利用する場合は、情報処理センターへの登録によって交付・返送確認・保存の管理が電子化され、保存義務も情報処理センター側で担保されます。

ドラム缶の処分が継続的に発生する事業場では、返送管理の負担を踏まえて電子マニフェストの利用可否を委託先に確認する方法もあります。

参考:https://www.city.osaka.lg.jp/kankyo/page/0000472873.html

引用:https://www.jwnet.or.jp/jwnet/about/regist/

JWセンターによると、電子マニフェストの年度別登録件数は2016年度の2,374万8千件から2025年度の4,751万3千件へ増加し、約10年間でほぼ2倍となりました。処分が継続的に発生する事業場では、交付から最終処分終了までの確認を電子化する運用が広がっていることを示します。ドラム缶本体と残液を別区分で委託する場合も、それぞれの処理状況を一元管理しやすくなります。なお、利用には排出事業者、収集運搬業者、処分業者の加入と運用方法の調整が必要です。

(4)無許可業者への依頼や不適正処理のリスク

無許可の業者にドラム缶の処分を委託した場合、排出事業者側が廃棄物処理法の委託基準違反に問われます。無許可業者への委託は、委託した側にも罰則(5年以下の懲役もしくは1,000万円以下の罰金またはその併科)が定められており、業者側の違反として処理される問題ではありません。

また、委託先で不法投棄や不適正な処理が行われた場合、排出事業者が処理状況の確認を怠っていたと判断されると、原状回復などの措置命令の対象となる可能性があります。廃棄されたドラム缶から排出事業者が特定されるケースもあり、委託後の管理を含めて対応が求められます。

こうしたリスクを避けるためには、許可内容と処理体制を確認したうえで委託することが前提になります。あわせて、残液の種類や量、缶の汚染状況を正確に伝えるなどの排出側の申告内容も重要です。見積もり依頼の段階で、缶の本数、材質、内容物の有無と種類、保管状況を整理して提示することが、適正処理とトラブル防止の両面で必要な実務です。

引用:https://www.env.go.jp/policy/hakusyo/r08/html/hj26040327f.html

環境省の調査では、産業廃棄物の不法投棄の新規判明件数は平成10年度の1,197件から令和6年度の106件まで減少しましたが、令和6年度にも1.4万トンが新たに判明しています。不法投棄が過去より減っていても、委託後の管理が不要になったわけではありません。ドラム缶の処分では、許可証、委託契約、マニフェストを通じて最終処分まで確認する必要性を裏付けます。なお、集計は原則として1件10トン以上で、特別管理産業廃棄物を含む事案は全件が対象です。大規模事案の有無で投棄量は年度ごとに変動します。

3.ドラム缶の状態別の処分方法と費用相場

ドラム缶の処分方法と費用は、空缶か残液ありか、錆びや腐食があるかといった缶の状態によって変わります。

ここでは、状態別に選択できる処分方法と費用の考え方を整理します。

なお、費用は本数、地域、搬出条件、業者の料金体系によって変動するため、実際の判断は個別見積もりを前提とします。

(1)空ドラム缶の処分方法と費用相場

空ドラム缶は、材質と状態に応じて産業廃棄物処理、スクラップ回収、再利用向け回収の選択肢があります。鋼製で腐食や変形が少ない缶は、更生ドラムとしての再利用や金属スクラップとしての回収に回せる可能性があり、この場合は、無償引き取りや買い取りが成立することがあります。

内容物が完全に抜き取られ、内壁の付着が少ない缶ほど再利用・売却の対象になりやすく、逆に付着物が残る缶は洗浄費が発生するか、産業廃棄物としての処理が必要になります。空缶であっても状態確認を省略できないのはこのためです。

産業廃棄物として処分する場合の費用は、1本あたり数千円程度からが目安とされますが、本数、回収エリア、搬出条件によって変動します。

複数本をまとめて処分する場合は、1本あたりの処分費に加えて収集運搬費の配分が総額に影響するため、見積もりでは単価と運搬費の内訳を分けて確認します。

廃棄前提で見積もりを取る前に、売却・引き取りの可否を業者に確認する手順を挟むことで、処分費の発生自体を回避できる可能性があります。

(2)残液ありドラム缶の処分方法と費用相場

残液ありドラム缶は、缶本体の処分に加えて残液の処理方法を決める必要があります。

残液は種類によって廃油・廃酸・廃アルカリなどに区分され、区分ごとに処理方法と委託できる業者が異なるためです。缶と残液を一括で処理できる業者に委託する方法と、残液を抜き取って別途処理したうえで缶を空缶として扱う方法があり、どちらを選ぶかで委託内容が変わります。

費用は、缶本体の処分費に残液処理費と洗浄費が加わるため、空ドラム缶より高くなりやすい構造です。残液処理費は残液の種類と量によって変動し、引火性がある廃油や強酸・強アルカリなど特別管理産業廃棄物に該当する残液は、通常の産業廃棄物より処理単価が高くなる傾向があります。

見積もり段階では、残液の種類、おおよその残量、缶の本数を提示し、残液処理費・洗浄費・缶本体の処分費・収集運搬費がそれぞれいくらかを内訳で確認します。

残液の種類が特定できない場合は性状分析費が別途発生することがあるため、分析の要否と費用負担も事前に確認する項目に含めます。総額だけで比較すると、残液処理がどこまで含まれているかの前提が業者間で異なる場合があるため、内訳ベースでの比較が必要です。

(3)錆び・腐食があるドラム缶の処分方法と費用相場

錆びや腐食、変形があるドラム缶は、再利用や有価売却の対象から外れる場合があります。更生ドラムとしての再利用は缶の強度と密閉性が前提になるため、腐食が進んだ缶は再利用ルートに乗らず、金属スクラップとしての回収か産業廃棄物としての処分が主な選択肢になります。鋼製であればスクラップとしての受け入れ自体は可能な場合がありますが、受入条件は業者によって異なります。

内容物がない場合でも、腐食で強度が落ちた缶は、運搬中の破損や残存物の漏出を防ぐための養生、積み込み時の追加作業が必要になることがあり、これらの対応が費用に反映されます。また、缶底が抜けるおそれがある缶や、雨水が溜まった状態で屋外保管されていた缶は、事前に状態を申告しないと当日の回収可否に関わります。

実務では、錆び・腐食缶が空缶や状態の良い缶と混在して保管されているケースへの対応が論点になります。

全量を一括で産廃処理として見積もると、売却可能な缶まで処分費を支払うことになるため、状態別に仕分けたうえで、売却対象・スクラップ回収対象・産廃処理対象を分けて見積もる方法が費用抑制につながります。保管状態がわかる写真を添えて見積もりを依頼すると、回収条件の齟齬を減らせます。

4.ドラム缶の回収業者・産業廃棄物処理業者の選び方

ドラム缶の処分では、缶の状態と内容物によって必要な許可や対応範囲が変わるため、依頼先の選定基準を整理しておく必要があります。

(1)許可区分と対応範囲

ドラム缶本体は金属くずまたは廃プラスチック類、残液は廃油・廃酸・廃アルカリなどに区分されるため、委託対象の区分すべてが許可品目に含まれている必要があります。そのため、缶本体のみ対応可能な業者に残液ありの缶を依頼すると、残液部分の委託が成立しません。

許可の種類も確認対象であり、産業廃棄物収集運搬業許可は運搬のみ、処分業許可は中間処理や最終処分に対応する許可であり、運搬だけを行う業者なのか、処分まで自社で行う業者なのかで委託契約の組み方が変わります。

実務上は、見積もり依頼の段階で許可証の写しの提示を求め、許可品目・許可の有効期限・事業範囲を委託内容と照合します。ドラム缶の材質や残液の種類によって取り扱える範囲が変わるため、缶の状態を伝えたうえで、どこまで自社で処理でき、どこから他社に委託するのかを業者側に明示してもらうことが確認の要点になります。

参考:https://www.env.go.jp/content/900521116.pdf

(2)残液処理・洗浄・運搬・マニフェストまで一括対応できるか

残液ありのドラム缶では、残液の抜き取り・処理、缶の洗浄、収集運搬、処分、マニフェストの交付・返送確認まで、複数の工程が発生します。これらを一括で対応できる業者に委託する場合と、工程ごとに依頼先が分かれる場合とでは、排出事業者側の手配負担と管理負担が変わります。

一括対応できる場合、契約とマニフェスト管理の窓口が一本化され、工程間の責任分界が不明確になるリスクを抑えられます。一方、工程の一部が外注される場合は、どの工程をどの業者が担うのか、再委託に該当する形になっていないかを確認する必要があります。廃棄物処理法上、委託した処理の再委託は原則禁止されており、排出事業者が各処理業者と直接契約する形が基本です。

見積もり段階で確認すべきは、業者が行う作業と排出事業者側で事前対応必要な作業の切り分けです。残液の抜き取りを排出側で行う前提か、缶のフタの開放や内容物の申告書作成が必要か、搬出経路の確保やフォークリフトの手配はどちらが行うかといった条件によって、社内の作業負担と費用の両方が変わります。作業範囲を書面で確認しておくことが、当日のトラブル防止につながります。

(3)売却・スクラップ回収まで提案できるか

事業場に保管されているドラム缶には、状態の良い空缶、残液ありの缶、腐食した缶が混在していることがあり、全量を処分対象として扱うか有価物を切り分けるかで費用総額が変わります。

処分と有価回収の両方に対応できる業者であれば、現地確認や写真確認の段階で、売却対象・スクラップ回収対象・産廃処理対象を仕分けたうえでの見積もりが可能になります。処分のみを行う業者では、売却可能な缶も処分費の対象として見積もられるため、比較の際は見積もりの前提となる仕分けの有無を確認します。

確認ポイントは、処分対象と売却対象が分けて記載されているか、売却が成立する場合の買い取り単価や費用相殺の条件が示されているか、状態確認の結果によって区分が変わる場合の取り扱いが明記されているかを確認します。

仕分けの基準が示されないまま総額だけが提示される場合は、どの状態の缶を何本、どの区分で見積もったのかを個別に確認したうえで比較することが必要です。

5.ドラム缶を廃棄せず資源循環に回すメリット

ここでは、資源循環ルートを選択した場合のメリットを、処分費用、資源価値、環境負荷の3つの観点から整理します。

(1)ドラム缶の処分費用を抑えられる可能性がある

産廃処理では缶1本ごとに処分費と収集運搬費が発生しますが、有価物として扱える場合は、処分費が発生しないだけでなく、売却額による費用相殺や収入化につながる可能性があるためです。

残液がなく、内壁の汚れが少なく、錆び・腐食・変形が軽微な缶ほど、更生ドラムとしての再利用や鉄スクラップとしての売却が成立しやすくなります。

ドラム缶の廃棄が継続的に発生する事業場では、使用後すぐに残液を抜き、屋内または雨水がかからない状態で保管する運用にすることで、腐食による有価性の喪失を防ぎ、売却可能な状態を維持しやすくなります。処分費は発生時点の状態で決まるため、保管段階の管理が結果的にコストを左右します。

(2)金属資源として再利用・再資源化につなげられる

再資源化のルートとしては、鉄スクラップとして電炉等で再び鋼材の原料に戻す方法があります。鉄はリサイクルによる品質劣化が小さく、繰り返し資源として循環させられる素材であり、鉄スクラップは国内で調達できる資源としての価値を持ちます。

排出事業者側から見れば、廃棄物として処分するはずだったドラム缶をスクラップとして回収ルートに乗せることが、そのまま国内の資源循環への参加につながる構図です。

鋼製・ステンレス製・樹脂製が混在している場合は材質別に仕分けし、鋼製缶については残液・汚染の有無と腐食の程度を確認したうえで、スクラップ回収に対応できる業者に受け入れ可否を確認する流れになります。処分の検討段階でこの確認を挟むかどうかが、廃棄と資源循環の分かれ目になります。

引用:https://www.jsda.gr.jp/assets/data/hibiki/hibiki91.pdf

ドラム缶工業会・日本ドラム缶更生工業会の2024年度フローでは、200L鋼製ドラムの国内充填2,159万本のうち、新ドラムは1,254万本、更生ドラムは905万本です。国内使用1,596万本に対するリユース比率は56.7%で、使用後にスクラップとなった691万本は製鋼原料へ回る流れが示されています。状態の良い空缶を更生ルート、再使用できない鋼製缶を鉄資源化ルートへ分けることが、処分費の抑制と資源循環の両立につながります。なお、個々の缶の受入可否は、残液、汚染、腐食、変形の程度によって異なります。

鋼製ドラム缶を鉄スクラップとして回収し、国内製鉄所などで再び鋼材の原料に戻す流れは、使用済みの鉄を廃棄せず循環利用するサーキュラーエコノミーの一例です。鉄が循環利用に適している理由や、鉄スクラップを製造工程へ還流させる仕組みについては、「鉄のサーキュラーエコノミー|事例や鉄鋼製品一覧、リサイクル性も」で詳しく解説しています。

(3)廃棄物の削減や環境負荷の低減につながる

サーキュラーエコノミーの観点では、使用済みのドラム缶を廃棄せず容器としての再利用や鋼材原料への再資源化に回すことは、資源を循環させて使い続ける取り組みそのものに当たります。

また、鉄スクラップを原料とする電炉鋼は、鉄鉱石から製鉄する高炉プロセスと比べてCO2排出量が小さいとされており、スクラップ回収ルートの活用はカーボンニュートラルに向けたサプライチェーン全体の排出削減にも関わります。

これらの取り組みは、ESGの観点から自社の廃棄物管理を説明する材料にもなります。

ドラム缶の処分実績を廃棄量と再資源化量に分けて記録しておくと、社内報告や取引先からの環境関連の照会に対応しやすくなります。

引用:https://jdra.gr.jp/wordpress/wp-content/uploads/2022/11/jdra_lca_digest_2019.pdf

日本ドラム缶更生工業会のLCA調査では、M級ドラム1本・1サイクル当たりのCO₂排出量は、新ドラム21.23kg-CO₂に対し、更生ドラム6.17kg-CO₂です。LM級・L級でも更生ドラムは約6.1kg-CO₂で、新ドラムを製造する場合より小さい結果です。使用済みドラム缶を廃棄せず再使用に回すことが、鋼板製造を含む原材料調達段階の排出削減につながることを示します。なお、結果は設定した輸送距離、板厚、再使用回数などの条件に基づくため、個別案件の削減量は回収距離や洗浄方法によって変動します。

6.まとめ

事業で使用したドラム缶の処分は、缶の材質と内容物の確認から始まります。鋼製・樹脂製の別、空缶か残液ありか、残液の性状が特別管理産業廃棄物に該当しないかを確認し、廃棄物区分を判断します。産業廃棄物として処分する場合は、許可証の確認、収集運搬・処分それぞれの委託契約、マニフェストの交付から処分完了確認までが排出事業者の責任範囲となります。

処分を検討する際は、缶の状態を仕分けたうえで、産廃処理と有価回収の両方に対応できる業者に相談し、どの缶をどのルートに乗せるかを見積もり段階で確定させることが現実的な進め方になります。

五十鈴株式会社の「icサーキュラーソリューション」は、使用済みの鋼製ドラム缶を含む鉄系製品の廃棄から、国内製鉄所等への還流による資源循環までを支援します。ドラム缶の適正な産業廃棄物処理と、鉄資源としての再利用・再資源化をご検討の際は、ぜひご相談ください。

監修

早稲田大学法学部卒業後、金融機関での法人営業を経て、中小企業向け専門紙の編集記者として神奈川県内の企業・大学・研究機関を取材。
2013年から2020年にかけては、企業のサステナビリティレポートの企画・編集・ライティングを担当。2025年4月よりフリーランスとして独立。
企業活動と社会課題の接点に関する実務経験が豊富で、サステナビリティ分野での実践的な視点に基づく発信を強みとしている。