事業活動で出た鉄くずや不要になった鉄製品は、状態によって「売却できる資源」にも「処理費用のかかる産業廃棄物」にもなります。同じ鉄でも、分別の状態や付着物の有無、量によって扱いが変わるため、処分方法を誤ると、本来得られたはずの売却益を逃したり、法令違反につながったりします。
本記事では、事業で出た鉄・鉄くずの扱いの基本を整理したうえで、処分方法、買取価格が決まる仕組み、費用を抑える方法、法令上の注意点、業者の選び方について解説します。
五十鈴株式会社の「icサーキュラーソリューション」は、返品や使用済み製品など、事業の中で定期的に発生するモノの資源循環を一括で支援するサービスです。回収したモノは状態に応じて再販・リユースを優先し、残ったものも再資源化や適正な処分まで1つのスキームで対応します。鉄を含む製品・設備については、国内製鉄所へ還流させるクローズドループの構築まで対応しています。鉄くずや鉄製の設備を、資源として生かしながら処分したい場合は、ぜひご相談ください。

1.事業で出た鉄は「売れるか」で処分方法が変わる
事業活動で出た鉄は、産業廃棄物として処理するか、有価物として売却するかによって、必要な手続きと費用が大きく異なります。最初にどちらに当たるかを判断することが、適切な処分方法を選ぶ出発点です。
(1)事業活動で出た鉄くずは産業廃棄物の「金属くず」に当たる
廃棄物処理法では、事業活動に伴って生じた廃棄物のうち、法令で定める20種類を産業廃棄物としています。金属くずはその1つで、業種を問わず産業廃棄物に該当します。製造工程で出る端材や切削くず、解体した鉄骨、使わなくなった金属製の棚や機械などは、処理費用を払って処分する場合、産業廃棄物の金属くずとして扱われます。
産業廃棄物として処分する場合は、許可を持つ処理業者と書面で委託契約を結び、廃棄物を引き渡す際にマニフェストを交付する必要があります。
出典:e-Gov法令検索「廃棄物の処理及び清掃に関する法律」第2条第4項・第12条(https://laws.e-gov.go.jp/law/345AC0000000137)
出典:e-Gov法令検索「廃棄物の処理及び清掃に関する法律施行令」第2条(https://laws.e-gov.go.jp/law/346CO0000000300)
(2)買取価格がつく鉄くずは有価物として売却できる
一方で、鉄くずは鉄スクラップとして市場で取引される資源でもあります。スクラップ業者に買い取ってもらえる場合は、廃棄物ではなく有価物として扱われ、処理業者との委託契約やマニフェストは必要ありません。
ただし、売却という形をとれば必ず有価物と認められるわけではありません。環境省の通知では、物の性状や取引価値の有無などを総合的に勘案して、廃棄物に当たるかどうかを判断するとされています。名目上は売却でも、実質的に処理費用を払っている場合は廃棄物として扱われる可能性があります。
出典:環境省「行政処分の指針について(通知)」令和3年4月14日(https://www.env.go.jp/hourei/add/k104.pdf)
(3)自治体の金属ごみ・粗大ごみとしては出せない
家庭で出た鉄製品であれば、自治体の金属ごみや粗大ごみとして出せる場合があります。しかし、事業活動で出た鉄くずや鉄製品は、自治体の家庭ごみの収集には出せません。事業者は、事業活動で生じた廃棄物を自らの責任で適正に処理しなければならないと、廃棄物処理法で定められているためです。
オフィスの事務机やスチール棚など、家庭で使うものと同じような製品であっても、事業所から出る場合は、事業者として処分方法を選ぶ必要があります。
出典:e-Gov法令検索「廃棄物の処理及び清掃に関する法律」第3条第1項(https://laws.e-gov.go.jp/law/345AC0000000137)

2.事業で出た鉄・鉄くずの処分方法4選
鉄の処分方法は、まだ使えるかどうか、売却できるかどうかの順に判断すると選びやすくなります。使えるものはリユース、売れるものは売却、どちらも難しいものだけを処分に回す順番で検討すると、処分費を抑えながら資源として活用できます。
(1)まだ使える鉄製品・設備はリユース・中古品として売却する
使用できる機械設備や金属ラック、スチール家具、工具などは、鉄くずとして売るよりも、中古品として売却したほうが高い価格がつく場合があります。製品として再利用されるため、素材に戻すよりも資源の価値を保ったまま循環させられます。
リユースの可否は、製品の状態や年式、需要によって変わります。設備を更新する際や拠点を移転・閉鎖する際は、廃棄を決める前に、中古品としての売却や社内の別拠点での再利用ができないかを確認することが大切です。
(2)鉄スクラップとして買取業者に売却する
製品として使えない鉄くずは、鉄スクラップを扱う買取業者に売却できます。鉄スクラップは、専門の回収業者や解体業者が集めたものを加工処理業者が選別・加工し、製鉄メーカーへ出荷する流れで流通しています。
量が少ない場合は業者の置き場に持ち込み、量が多い場合や重量物の場合は回収を依頼するのが一般的です。少量の鉄くずでも買い取ってもらえる場合はありますが、回収を依頼すると運搬費が買取額を上回ることがあるため、量に応じて方法を選ぶ必要があります。
出典:一般社団法人日本鉄リサイクル工業会「日本の鉄スクラップ」(経済産業省 GX推進のためのグリーン鉄研究会 資料、2024年11月)(https://www.meti.go.jp/shingikai/mono_info_service/green_steel/pdf/003_05_00.pdf)
図は、2024年度の鉄スクラップについて、国内市中スクラップ2,336万トン、自家発生スクラップ1,168万トン、輸出680万トンなどの規模を示しています。国内市中スクラップには、製造工程で発生する加工スクラップと、使用済み製品などに由来する老廃スクラップが含まれます。事業で出た鉄くずも、状態や品質が取引条件を満たせば、こうした原料市場につながります。ただし、図は個々の鉄くずの買取を保証するものではなく、異物の混入や回収量、運搬条件によって売却の可否は変わります。
(3)売却できない鉄くずは産業廃棄物処理業者に委託する
油や塗料、樹脂などが多く付着していて買取の対象にならない鉄くずや、量が少なく運搬費のほうが高くなる鉄くずは、産業廃棄物として処理業者に委託します。
委託先は、金属くずの収集運搬・処分の許可を持つ業者に限られます。排出事業者は、収集運搬業者と処分業者のそれぞれと書面で委託契約を結び、廃棄物を引き渡す際にマニフェストを交付しなければなりません。
出典:e-Gov法令検索「廃棄物の処理及び清掃に関する法律」第12条第5項・第6項・第12条の3(https://laws.e-gov.go.jp/law/345AC0000000137)
(4)設備や複合素材の製品は解体・分別まで任せられる業者に依頼する
工作機械や空調設備、什器などは、鉄だけでなく、銅やアルミなどの非鉄金属、樹脂、ガラス、電子部品などが組み合わさってできています。そのままでは鉄スクラップとして売却しにくく、解体して素材ごとに分けることで、売却できる部分と処分が必要な部分を切り分けられます。
大型設備の場合は、撤去や搬出の作業も必要になります。リユースの判断から解体・分別、売却、残った部分の処分までをまとめて依頼できる業者を選ぶと、品目ごとに業者を探す手間を減らせます。なお、フロンやPCBを含む機器は、後述するように法令に沿った手順での処理が必要です。

3.鉄くずの種類と買取価格が決まる仕組み
鉄くずの買取価格は、鉄くずの種類と状態、その時点の鉄スクラップ相場によって決まります。価格の決まり方を知っておくと、業者から提示された見積もりの妥当性を判断しやすくなります。
(1)鉄スクラップは等級によって価格が変わる
国内で取引される鉄スクラップは、一般社団法人日本鉄源協会の「鉄スクラップ検収統一規格」で品種と等級が定められています。炭素鋼スクラップの主な品種は次のとおりです。
| 品種 | 主な内容 |
|---|---|
| ヘビー | 鋼材や鉄骨などを一定の寸法に切断したもの。厚さによってHS・H1〜H4の等級に分かれる |
| プレス | 薄い鋼板などを圧縮して固めたもの |
| シュレッダー | 自動車や家電などを破砕し、鉄を選別したもの |
| 新断 | 鋼板のプレス加工などで出る、新しい鋼板のくず |
| 鋼ダライ粉 | 鋼材を切削・研削する際に出る削りくず |
一般に、厚みがあって不純物の少ないヘビーの上位等級や、成分が安定している新断は評価が高く、薄い鋼板や異物が混ざりやすいものは評価が低くなる傾向があります。工場の加工工程で出るくずは、発生場所が決まっていて品質のばらつきが少ないことも特徴です。
出典:環境省「第3回スクラップヤード環境対策技術検討会」資料9-1(一般社団法人日本鉄リサイクル工業会、2026年9月)(https://www.env.go.jp/content/000429637.pdf)
出典:一般社団法人日本鉄リサイクル工業会「日本の鉄スクラップ」(経済産業省 GX推進のためのグリーン鉄研究会 資料、2024年11月)(https://www.meti.go.jp/shingikai/mono_info_service/green_steel/pdf/003_05_00.pdf)
(2)買取価格は鉄スクラップの相場に連動して変動する
鉄スクラップの価格は、電炉メーカーの購入価格や海外の需要、為替などの影響を受けて変動します。買取業者が提示する価格も、この相場に連動して変わります。
そのため、同じ量・同じ種類の鉄くずでも、時期によって買取額は変わります。定期的に鉄くずが発生する企業は、相場に連動した価格の決め方や改定のタイミングを契約時に確認しておくと、取引の透明性を保てます。
図は、関東地区のH2鉄スクラップ購入価格が年によって大きく変動してきたことを示しています。2020年は1トン当たり2万4,700円、2021年は4万6,700円、2022年は5万2,600円と表示されています。同じ種類の鉄くずでも、売却時期によって見積額が変わることを理解する参考になります。ただし、これは特定地区・等級の購入価格の指標であり、自社で発生する鉄くずの買取単価そのものではありません。実際の受取額は、品質や数量に加え、運搬費や加工費などによっても変わります。
(3)油や異物の付着、錆の状態で買取の可否が変わる
鉄くずに油や塗料、樹脂、木材、コンクリートなどが付着・混入していると、評価が下がったり、買取を断られたりすることがあります。特に、銅やスズなどの元素が鉄スクラップに混ざると、製鉄の工程で分離することが難しく、鋼材の品質に影響することが知られています。
表面に錆が出ている程度であれば、鉄スクラップとして買取の対象になる場合が多くあります。一方で、切削油を含んだダライ粉などは、油分の量によって扱いが変わるため、事前に業者へ確認する必要があります。
出典:環境省(https://www.env.go.jp/recycle/yugai/conf/conf27-03/H280107_12.pdf)
(4)運搬費が買取額を上回ると処分費がかかる場合がある
鉄くずの買取額が少ない場合、回収にかかる運搬費のほうが高くなり、差し引きで費用を払うことになるケースがあります。いわゆる逆有償の状態です。
環境省の通知では、運搬費が売却代金を上回っていても、少なくとも譲り受ける者が占有者となった時点以降は廃棄物に該当しないと判断して差し支えないとされています。一方で、それより前の運搬の段階は総合的な判断に委ねられるため、廃棄物として扱われる可能性があります。運搬は、収集運搬業の許可を持つ業者に任せると安心です。
出典:環境省「「エネルギー分野における規制・制度改革に係る方針」(平成24年4月3日閣議決定)において平成24年度に講ずることとされた措置(廃棄物処理法の適用関係)について(通知)」平成25年3月29日(https://www.env.go.jp/recycle/waste/reg_ref/no_13032911.pdf)
有価物と廃棄物の区分については、以下の記事でも解説しています。


4.鉄・鉄くずの廃棄費用を抑える方法
鉄くずは、出し方を工夫するだけで買取額が上がったり、処分費が下がったりします。
(1)鉄と非鉄金属・異物を分別して買取対象を増やす
鉄と銅・アルミなどの非鉄金属やステンレスが混ざっていると、まとめて安い価格で評価されたり、選別費用を差し引かれたりします。鉄と非鉄金属を分けて保管し、樹脂や木材などの異物を取り除いておくと、それぞれの素材として正しく評価されます。
銅やアルミなどの非鉄金属は、鉄より単価が高いことが一般的です。分別によって、金属くず全体の売却額を高められる場合があります。
図は、高炉鉄、加工スクラップ、老廃スクラップで、除去できない不純物の濃度に違いがあることを示しています。また、自動車外板や建材薄板、棒鋼など、製品によって許容される濃度が異なることも読み取れます。鉄くずの分別は、金属を回収するだけでなく、再生原料として使える用途を保つためにも意味があります。ただし、図の濃度は一般的な傾向を示すもので、買取業者共通の受入基準ではありません。分別の内容は、対象製品の構造や、取引先が求める品質条件に合わせて確認する必要があります。
(2)ある程度の量をまとめて回収を依頼する
回収を依頼する場合、運搬費は回収1回ごとに発生するため、少量ずつ頻繁に依頼すると、買取額に対して運搬費の割合が高くなります。保管場所を確保し、ある程度の量がたまってからまとめて回収を依頼すると、運搬費を抑えられます。
産業廃棄物として処分する予定の鉄くずを保管する場合は、廃棄物処理法の保管基準を守る必要があります。重量物や鋭利な端材は、崩れや接触によるけがを防ぐ置き方も欠かせません。
(3)運搬費を含めた総額で複数の業者を比較する
買取単価が高くても、運搬費や重機作業費、解体費が別にかかれば、手元に残る金額は少なくなります。見積もりを比較する際は、買取単価だけでなく、運搬費や作業費を差し引いた総額で比べることが大切です。
産業廃棄物の処理コスト全体を下げる方法は、以下の記事で解説しています。


5.法令で処分方法が決められている鉄製品に注意する
鉄を多く含む製品でも、特定の物質を含む機器や家電製品は、鉄スクラップとして売却したり、金属くずとして処分したりする前に、法令に沿った手順が必要です。設備の入れ替えや拠点の閉鎖で機器をまとめて処分する際は、特に注意が必要です。
(1)業務用エアコン・冷凍冷蔵機器はフロンの回収が必要
業務用のエアコンや冷凍冷蔵ショーケースなどは、フロン排出抑制法で「第一種特定製品」とされています。機器を廃棄する際は、冷媒として使われているフロン類を、都道府県に登録した第一種フロン類充塡回収業者に引き渡さなければなりません。
2020年4月に施行された改正法により、フロン類の引渡し義務に違反した場合は直接罰の対象となりました。また、フロン類の回収が確認できない機器は、廃棄物・リサイクル業者が引き取れない仕組みになっています。引渡しの際にやり取りする書面(行程管理票)は、3年間の保存が必要です。
出典:環境省・経済産業省「フロン排出抑制法 第一種特定製品の管理者等に関する運用の手引き」第3版(https://www.env.go.jp/content/900448652.pdf)
出典:青森県「第一種特定製品の整備時・廃棄時における関係者の義務等」(https://www.pref.aomori.lg.jp/soshiki/kankyo/shigen/furon_kankeisya.html)
(2)古い変圧器・コンデンサ・照明の安定器はPCBの含有を確認する
古い変圧器(トランス)やコンデンサ、照明器具の安定器には、有害物質のPCB(ポリ塩化ビフェニル)が使われているものがあります。PCBを含む機器が廃棄物になったものは、PCB特別措置法に基づき、定められた期間内に処分しなければなりません。
低濃度PCB廃棄物の処分期間は2027年3月31日までです。高濃度PCB廃棄物の処分期間はすでに終了しており、新たに見つかった場合は自治体への連絡が必要です。工場やビルのキュービクル、倉庫に保管している古い電気機器は、銘板の情報や絶縁油の分析によってPCBの含有を確認したうえで、処分方法を決めてください。
出典:環境省「ポリ塩化ビフェニル(PCB)使用製品及びPCB廃棄物の期限内処理に向けて」令和5年10月版(https://www.env.go.jp/content/900535227.pdf)
(3)事業所のエアコン・冷蔵庫などは家電リサイクル法の対象になる
家電リサイクル法の対象となるエアコン、テレビ、冷蔵庫・冷凍庫、洗濯機・衣類乾燥機の4品目は、事業所で使われていた場合でも、家庭用の機器であれば法律の対象になります。業務用として製造された機器は対象外です。
対象となる機器は、鉄スクラップとして売却するのではなく、小売業者への引き渡しや指定引取場所への持ち込みによって、リサイクル料金と収集運搬料金を負担して処分します。
出典:神奈川県「家電リサイクル法について」(https://www.pref.kanagawa.jp/docs/p3k/cnt/f537764/index.html)

6.鉄・鉄くずの処分業者を選ぶポイント
鉄の処分を依頼する業者は、売却か処分か、設備か鉄くずかによって適した相手が変わります。次の観点から確認すると、手間とリスクを抑えられます。
(1)扱う品目と地域に対応した許可を持っているか
鉄くずを産業廃棄物として委託する場合、収集運搬業者は積み込む場所と降ろす場所の両方の自治体の許可を、処分業者は処分を行う施設がある自治体の許可を持っている必要があります。許可証で、金属くずが許可品目に含まれているか、有効期限が切れていないかを確認してください。
有価物として売却する場合でも、運搬の段階で廃棄物として扱われる可能性がある取引では、収集運搬業の許可を持つ業者に依頼しておくと安心です。
出典:e-Gov法令検索「廃棄物の処理及び清掃に関する法律」第14条(https://laws.e-gov.go.jp/law/345AC0000000137)
(2)リユース・買取・産業廃棄物処理をまとめて相談できるか
鉄製品の中には、中古品として売れるもの、鉄スクラップとして売れるもの、処分が必要なものが混在しています。それぞれ別の業者に依頼すると、見積もりや契約、日程調整の手間が増えます。捨てるか、直すか、売るかの判断から対応できる業者であれば、品目ごとに業者を探す必要がなく、まだ使えるものが処分に回ることも防げます。
(3)大型設備の解体・搬出まで対応できるか
工場の機械設備や大型の什器を処分する場合は、解体や重機による搬出、建物の養生などの作業が必要になります。作業ごとに別の業者へ依頼すると、日程の調整や費用の比較が複雑になります。撤去から搬出、解体・分別までを一貫して対応できるかを確認しておくと、スムーズに処分を進められます。
(4)委託契約書・マニフェストを適切に扱えるか
産業廃棄物として処分する部分がある場合は、委託契約書の締結とマニフェストの交付・保存が必要です。拠点が多い企業や処分の頻度が高い企業は、電子マニフェストへの対応や処理状況の報告体制も確認しておくと、管理の負担を減らせます。
委託先の処理状況を確認し、適正な処理が行われるよう努めることも、排出事業者に求められています。
出典:e-Gov法令検索「廃棄物の処理及び清掃に関する法律」第12条第7項・第12条の3(https://laws.e-gov.go.jp/law/345AC0000000137)

7.処分した鉄スクラップは製鉄原料として循環する
鉄は回収してリサイクルしやすい素材であり、鉄スクラップは製鉄の重要な原料として国内で流通しています。処分した鉄くずが最終的にどこで使われるのかを知っておくと、鉄の処分を資源循環や脱炭素の取り組みとして位置づけやすくなります。
(1)鉄スクラップは電炉の主原料になる
鉄スクラップを溶かして鋼材を作る電炉(電気炉)は、原料のほぼ100%を鉄スクラップが占めます。電炉による生産は日本の粗鋼生産の約25%を占め、国内で消費される鉄スクラップの約62%が電炉で使われています。電炉で作られた鉄は、主に建設用の棒鋼や形鋼などに生まれ変わります。
鉄スクラップは、高炉で作った銑鉄を精錬する転炉でも使われており、国内消費量の約23%を占めています。
出典:一般社団法人日本鉄リサイクル工業会「日本の鉄スクラップ」(経済産業省 GX推進のためのグリーン鉄研究会 資料、2024年11月)(https://www.meti.go.jp/shingikai/mono_info_service/green_steel/pdf/003_05_00.pdf)

図は、2024年の国内向け鉄スクラップ需要約3,500万トンのうち、電炉が約2,200万トン、転炉が約800万トン、鋳物他が約500万トンを利用する構成を示しています。回収された鉄が国内の製鉄・鋳造原料として使われ、特に電炉が大きな受け皿になっていることが分かります。鉄くずの処分先を検討する際は、回収後の加工先や再資源化先も確認する材料になります。ただし、数量は図中で丸められた値で、需給は年ごとに変わります。また、個別に引き渡した鉄くずが必ず電炉へ向かうことを示す図ではありません。
(2)鉄スクラップの活用は製鉄時のCO₂削減につながる
電炉で鉄を作る方法は、鉄鉱石を還元する高炉・転炉法と比べて、CO₂排出量が約4分の1とされています。日本鉄リサイクル工業会の資料では、鉄スクラップ1トンを使うことで、約1.39トンのCO₂削減効果があると示されています。
事業で出た鉄くずを分別し、質の高い鉄スクラップとして国内の製鉄所に戻すことは、処分費の削減にとどまらず、サプライチェーン全体での脱炭素にも貢献する取り組みです。鉄の資源循環については、以下の記事でも解説しています。

出典:一般社団法人日本鉄リサイクル工業会「日本の鉄スクラップ」(経済産業省 GX推進のためのグリーン鉄研究会 資料、2024年11月)(https://www.meti.go.jp/shingikai/mono_info_service/green_steel/pdf/003_05_00.pdf)
図は、一般的な高炉・転炉法の工程別CO₂排出量を示し、高炉で鉄鉱石を還元する工程を主要な排出源として位置づけています。図中では、この工程の排出量が粗鋼1トン当たり1.1〜1.8トンCO₂とされています。還元済みの鉄を含むスクラップの活用が、鉱石の還元に伴う排出を抑える理由を理解する補足になります。ただし、図は高炉・転炉法の工程図であり、電炉との排出量比や自社の削減量を直接示すものではありません。実際の効果は、製造条件や電力構成、評価範囲によって変わります。
8.まとめ
事業で出た鉄くずや鉄製品は、売却できれば有価物、処理費用を払って処分すれば産業廃棄物の金属くずになります。まだ使えるものはリユース、売れるものは鉄スクラップとして売却し、どちらも難しいものだけを処分に回す順番で検討すると、処分費を抑えながら資源として活用できます。
買取価格は等級や状態、相場によって変わるため、分別や回収方法を工夫することが大切です。また、フロンやPCBを含む機器や家電4品目は、法令に沿った手順で処分する必要があります。
icサーキュラーソリューションでは、五十鈴とサイクラーズの連携により、不要になった設備や製品のリユース・リペア・リサイクル・処分を1つのスキームで提案しています。鉄を含む製品・設備については、国内製鉄所へ還流させるクローズドループの構築まで対応しており、捨てるか、直すか、売るかの判断から処理までをまとめて相談できます。鉄くずや鉄製の設備の処分にお悩みの企業様は、お気軽にご相談ください。







