産業廃棄物のコスト削減方法8選|費用の内訳と進め方を解説

産業廃棄物の処理コストは、処分費の単価だけで決まるものではありません。運搬の回数や分別の状態、委託している業者の数、社内での管理にかかる手間によって、実際の負担額は大きく変わります。

特に、複数の拠点や工場を持つ企業では、拠点ごとに処理業者や料金体系が異なり、全社でどれだけの費用がかかっているかを把握しにくくなります。処理コストの見直しは費用の削減だけでなく、廃棄物を減らして資源の循環に取り組む姿勢を示すことにもなり、企業価値の向上につながります。

本記事では、産業廃棄物の処理コストを構成する費用の内訳を整理したうえで、コストを削減する8つの方法と社内での進め方、法令面で注意すべきポイントについて解説します。

五十鈴株式会社の「icサーキュラーソリューション」は、返品や使用済み製品など、事業の中で定期的に発生するモノの資源循環を一括で支援するサービスです。回収したモノは状態に応じて再販・リユースを優先し、残ったものも再資源化や適正な処分まで1つのスキームで対応します。産業廃棄物の処理コストや委託先を見直したい場合は、ぜひご相談ください。

目次

1.産業廃棄物の処理コストを構成する費用

産業廃棄物の処理コストは、大きく収集運搬費・処分費・管理費の3つに分けられます。請求書に表れるのは主に収集運搬費と処分費ですが、委託先の管理や書類対応にかかる社内の工数も、企業にとっては見過ごせない負担です。

費用主な内容金額を左右する要因
収集運搬費排出場所から処理施設までの運搬回収頻度、車両の大きさ、運搬距離、積載効率
処分費中間処理(破砕・焼却・選別など)と最終処分(埋立)廃棄物の種類、分別の状態、重量・容積
管理費保管、委託契約、マニフェスト管理、委託先の確認委託先の数、排出拠点の数、社内の担当体制

(1)収集運搬費|処理施設までの運搬にかかる費用

収集運搬費は、排出場所から中間処理施設や最終処分場まで廃棄物を運ぶための費用です。料金は車両1台あたりの定額や、容器単位、重量単位で設定されることが一般的です。

同じ量の廃棄物でも、少量ずつ頻繁に回収を依頼すれば車両の稼働回数が増え、費用はかさみます。処理施設までの距離が長い場合や、積み込みに人手や重機が必要な場合も料金が上がります。

(2)処分費|中間処理・最終処分にかかる費用

処分費は、運び込まれた廃棄物を破砕・焼却・選別などで中間処理し、残さを埋立処分するまでにかかる費用です。多くの場合、廃棄物の種類ごとに重量または容積あたりの単価が設定されています。

単価は廃棄物の種類と状態によって変わります。単一の素材にまとまっている廃棄物は再資源化しやすいため単価が低くなりやすく、複数の素材が混ざった混合廃棄物は選別の手間がかかるため単価が高くなる傾向があります。

(3)管理費|保管・委託契約・マニフェスト管理にかかる費用

管理費は、廃棄物の保管や委託先とのやり取り、法令で定められた書類の管理にかかる費用です。保管場所の確保や容器のレンタル料のほか、委託契約書の締結、マニフェストの交付・保存、委託先の処理状況の確認といった業務が含まれます。

これらは請求書に表れにくい費用ですが、拠点ごと・品目ごとに別々の業者へ委託していると、契約や書類の数が増え、担当者の工数が膨らみます。排出拠点や品目が多い企業ほど、管理にかかる負担は大きくなります。

2.産業廃棄物のコスト削減方法8選

産業廃棄物のコスト削減は、循環型社会形成推進基本法が定める処理の優先順位に沿って考えると整理しやすくなります。同法では、廃棄物の発生抑制を最優先とし、そのうえで再使用、再生利用、熱回収、適正な処分の順に取り組むことが基本とされています。優先順位の高い取り組みほど処分に回る量が減るため、処分費と運搬費の両方を抑えられます。

出典:e-Gov法令検索「循環型社会形成推進基本法」第5条〜第7条

ここで紹介する8つの方法は、この優先順位を踏まえて並べています。それぞれの方法で主に削減できる費用は次のとおりです。

方法主に削減できる費用
(1)発生源で廃棄物の量を減らす処分費、収集運搬費、管理費
(2)分別を徹底して混合廃棄物を減らす処分費
(3)修理・転用で廃棄せずに使い続ける処分費、収集運搬費、設備の購入費
(4)売却できるものは有価物として買い取ってもらう処分費(売却益も得られる)
(5)リサイクルできるものは処分単価の安いルートで処理する処分費
(6)保管方法と回収頻度を見直して運搬費を抑える収集運搬費
(7)見積もり比較と契約内容の見直しで料金を適正化する収集運搬費、処分費
(8)処理業者を集約して管理の手間を減らす管理費

(1)発生源で廃棄物の量を減らす

処分費は排出量に応じて増えるため、もっとも直接的な削減策は廃棄物の発生そのものを抑えることです。発生量が減れば、処分費だけでなく運搬の回数や保管スペースも減らせます。

具体的には、製造工程で生じる端材や不良品を減らす、梱包材を通い箱などの繰り返し使える資材に切り替える、原材料の発注量を実際の使用量に合わせるといった取り組みが挙げられます。どの工程からどれだけ廃棄物が出ているかを把握すると、改善すべき箇所を絞り込めます。製品の設計段階で部材の種類を減らしたり、分解しやすい構造にしたりすることも、将来の廃棄量と処理費用を抑えることにつながります。

なお、前年度の産業廃棄物の発生量が1,000トン以上(特別管理産業廃棄物は50トン以上)の事業場を設置している事業者は、多量排出事業者として、産業廃棄物の減量などに関する処理計画を作成し、都道府県知事に提出しなければなりません。該当する企業では、処理計画で定める減量の目標とコスト削減の取り組みを連動させると、社内での位置づけを明確にできます。

出典:e-Gov法令検索「廃棄物の処理及び清掃に関する法律」第12条第9項・第12条の2第10項

図は、全国の産業廃棄物排出量の推移を示しています。2022年度は約3億7,400万トン、2023年度は約3億6,700万トンで、近年も大量の廃棄物が発生しています。排出量を管理し、端材や不良品、過剰な梱包などの発生源を見直すことは、処分や運搬の対象量を減らすための出発点になります。ただし、図の数値は全国の推計値を百万トン単位で丸めた表示であり、自社の削減余地を示すものではありません。自社の工程別排出量と回収条件を確認し、発生抑制が費用の削減につながる範囲を把握する必要があります。

(2)分別を徹底して混合廃棄物を減らす

混合廃棄物は処理施設での選別が必要になるため、単一品目の廃棄物よりも処分単価が高く設定される傾向があります。排出の段階で品目ごとに分けておけば、同じ量でも処分費を抑えられます。

分別を定着させるには、排出場所に品目ごとの容器を置き、表示を明確にすることが基本です。金属くずや廃プラスチック類など再資源化しやすい品目を分けておくと、売却やリサイクルにもつなげやすくなります。

産業廃棄物は、廃棄物処理法と同法施行令により、燃え殻、汚泥、廃プラスチック類、金属くず、木くずなど20種類に区分されています。委託契約書やマニフェストには廃棄物の種類を記載する必要があり、複数の種類が混ざった廃棄物を委託する場合は、含まれるすべての種類について許可を持つ業者を選ばなければなりません。分別を進めると、品目ごとに適した処理ルートを選べるようになり、委託先の選択肢も広がります。

出典:e-Gov法令検索「廃棄物の処理及び清掃に関する法律」第2条第4項

(3)修理・転用で廃棄せずに使い続ける

不要になった設備や什器、資材の中には、修理すれば使えるものや、別の拠点・用途で再利用できるものが含まれています。廃棄せずに使い続ければ処分費がかからず、新たな購入費用も抑えられます。

たとえば、店舗の改装で外した什器を別の店舗で再利用する、故障した機器を部品交換で修理するといった方法です。大型の設備や什器は処分にも運搬にも費用がかかるため、廃棄を決める前に再利用できないかを確認することが大切です。

環境省の通知では、廃棄物を「占有者が自ら利用し、又は他人に有償で譲渡することができないために不要となったもの」としています。自社内で引き続き使用する設備や什器は廃棄物に当たらないため、処理業者への委託やマニフェストの交付は必要ありません。固定資産として計上している設備の場合は、除却ではなく拠点間の移管として社内の手続きを進めることになります。

出典:環境省「行政処分の指針について(通知)」令和3年4月14日

(4)売却できるものは有価物として買い取ってもらう

金属くずや状態の良い中古設備など、市場で値段がつくものは、処理費用を払って廃棄するのではなく、有価物として売却できる場合があります。処理費用がかからないうえに売却益も得られるため、コストへの効果が大きい方法です。

鉄やアルミなどの金属は相場によって買取価格が変わりますが、鉄、非鉄金属、ステンレスなどに分けておけば値段がつきやすくなります。

ただし、売却という形をとれば必ず有価物と認められるわけではありません。環境省の通知では、物の性状、排出の状況、通常の取扱い形態、取引価値の有無、占有者の意思を総合的に勘案して、廃棄物に当たるかどうかを判断するとされています。取引価値については、売却先が名目を問わず処理料金に相当する金品を受け取っていないことや、運送費などの諸経費を含めても双方にとって経済的に合理的な取引であることが確認のポイントです。運搬費が売却額を上回る場合の扱いは、後述の注意点で解説します。

出典:環境省「行政処分の指針について(通知)」令和3年4月14日

図は、2025年1月2日の価格を1.00として、銅・鉛・亜鉛の市場価格の変動を比較したものです。銅は春の下落後に上昇し、年末に向けて鉛や亜鉛より大きく値上がりしており、金属によって値動きが異なることが分かります。金属くずを有価物として売却する際は、素材別の市場動向と買取見積もりを照合することが、売却益を含むコスト削減効果の把握につながります。ただし、図は国際市場の価格指標です。実際の買取額は、為替、金属の品位、異物の混入、数量、引取条件などによって変わります。

(5)リサイクルできるものは処分単価の安いルートで処理する

売却できないものでも、再資源化できる廃棄物は、焼却や埋立よりも処分単価の安いリサイクルルートで処理できることがあります。廃プラスチック類や木くず、がれき類などは、リサイクル施設で処理することで処分費を抑えられる場合があります。

現在の処理方法が焼却や埋立になっている品目は、リサイクルに対応した処理業者がいないかを確認すると、見直しの余地が見つかります。処分業の許可証には処理できる廃棄物の種類と処分の方法(破砕、選別、焼却など)が記載されているため、委託先の処理方法を許可証と委託契約書で確認しておくと、比較の基準になります。

メーカーやリース会社など、自社が製造・販売した製品を回収する立場の企業には、広域認定制度という仕組みもあります。環境大臣の認定を受けると、製品が廃棄物となったものを、処理業の許可がなくても広域的に回収・再生できるため、回収と再資源化を効率よく進められます。

出典:e-Gov法令検索「廃棄物の処理及び清掃に関する法律」第15条の4の3

図は、2023年度の産業廃棄物を種類別に分け、再生利用、減量化、最終処分の割合を示しています。再生利用率は、がれき類95.9%、金属くず95.4%、木くず84.4%、廃プラスチック類63.0%で、品目によって差があります。自社の廃棄物についても、種類に応じた再資源化ルートを確認することが、処理方法と費用を見直す手掛かりになります。ただし、全国の処理実績から個別の処分単価は判断できません。汚れや混合状態、施設の受入条件、運搬距離も踏まえて、リサイクルによる総費用の変化を比較する必要があります。

(6)保管方法と回収頻度を見直して運搬費を抑える

収集運搬費は車両の稼働回数で決まる部分が大きいため、1回あたりの積載量を増やして回収回数を減らすと、費用を下げられます。容器が満杯になる前に回収を依頼している場合や、定期回収の頻度が実際の排出量に合っていない場合は、見直しの対象です。

圧縮機や減容機でかさを減らす、保管スペースを整理して一度に多く保管できるようにするといった方法も有効です。ただし、自社で破砕や圧縮を行う場合は、処理能力によって産業廃棄物処理施設の設置許可が必要になることがあるため、導入前に自治体に確認してください。

保管量を増やす場合は、廃棄物処理法施行規則で定められた保管基準を守る必要があります。主な基準は次のとおりです。

  • 保管場所の周囲への囲いの設置
  • 縦横60センチメートル以上の掲示板の設置(保管場所である旨、廃棄物の種類、管理者の連絡先などを表示)
  • 廃棄物の飛散・流出・地下浸透・悪臭発散を防ぐ措置
  • 屋外で容器を使わずに保管する場合の積み上げ高さの制限

回収頻度を減らす際は、保管量が増えても基準を満たせるかをあわせて確認することが大切です。

出典:群馬県「(特別管理)産業廃棄物の保管基準(排出事業者向け)」

(7)見積もり比較と契約内容の見直しで料金を適正化する

長年同じ業者と契約を続けていると、料金が市場の水準と比べて適正かどうかがわからなくなります。複数の処理業者から見積もりを取り、品目ごとの単価や運搬費を比較すると、料金の妥当性を判断できます。

見積もりを比較する際は、単価だけでなく、料金の計算方法(重量か容積か、車両単位か)や最低料金、追加費用の条件も確認することが大切です。容積あたりの単価と重量あたりの単価は、廃棄物の比重を使って換算しないと正しく比べられません。既存の業者と契約を続ける場合も、比較結果をもとに料金体系や回収条件の見直しを相談できます。

一方で、相場と比べて著しく安い料金には注意が必要です。廃棄物処理法では、委託先が不適正な処理を行い、委託先だけでは支障の除去が難しい場合に、排出事業者が処理に見合った適正な対価を負担していなかったときなどは、排出事業者も支障の除去などの措置命令の対象になるとされています。料金の安さだけで委託先を決めず、処理方法や体制とあわせて判断してください。

出典:e-Gov法令検索「廃棄物の処理及び清掃に関する法律」第19条の6

(8)処理業者を集約して管理の手間を減らす

品目ごと・拠点ごとに別々の処理業者へ委託していると、契約書やマニフェストの数が増え、委託先の確認や請求処理にかかる社内の工数が大きくなります。委託先をまとめれば、こうした管理の手間を減らせます。

リユース・売却・リサイクル・処分をまとめて依頼できる業者を選べば、品目ごとに委託先を探す必要がなくなり、まだ使えるものが処分に回ってしまうことも防げます。

廃棄物処理法では、排出事業者は委託先の処理の状況を確認し、発生から最終処分までの一連の処理が適正に行われるよう努めなければならないとされています。委託先が多いほど許可証や処理状況の確認にかかる工数は増えるため、委託先を絞ることは管理面のリスクを減らすことにもつながります。

出典:e-Gov法令検索「廃棄物の処理及び清掃に関する法律」第12条第7項

委託先を選ぶ際は、都道府県知事などが認定する優良産廃処理業者認定制度も判断材料になります。認定を受けた業者は、遵法性、事業の透明性、環境配慮の取り組み、電子マニフェストの使用、財務体質の健全性という5つの基準を満たしています。

出典:北九州市「優良産廃処理業者認定制度」

3.産業廃棄物のコスト削減を進める4ステップ

コスト削減を効果的に進めるには、現状を数字で把握し、費用の大きいところから手を付けることが重要です。思いついた施策から始めると、効果の小さい品目に手間をかけてしまうことがあります。

(1)廃棄物の種類・量・費用を一覧化する

まず、自社が排出している廃棄物の現状を一覧にまとめます。請求書やマニフェスト、委託契約書をもとに、次の項目を整理します。

  • 廃棄物の種類(品目)
  • 排出拠点と排出工程
  • 月ごとの排出量
  • 委託先の業者名と処理方法
  • 収集運搬費と処分費の金額

拠点ごとに管理がばらばらになっている場合は、この一覧化だけでも委託先の重複や料金のばらつきが見えてきます。

図は、全国の産業廃棄物排出量を種類別に示し、2023年度と2022年度を比較しています。2023年度は汚泥42.1%、動物のふん尿21.9%、がれき類16.5%で、この3種類が全体の約8割を占めています。廃棄物を種類別に整理すると、排出の多い品目を把握でき、費用や処理方法の一覧化を進める基礎になります。ただし、これは全国の重量ベースの構成比です。自社の品目構成や費用構成とは異なるため、この割合を削減の優先順位に直接当てはめず、自社の請求額、回収回数、処分単価と突き合わせることが必要です。

(2)費用が大きい廃棄物から優先順位をつける

一覧ができたら、費用の大きい順に品目を並べ、削減に取り組む優先順位を決めます。費用の上位にある数品目に絞って取り組むと、限られた工数でも効果を出しやすくなります。

あわせて、混合廃棄物として処理されている品目や、売却・リサイクルできる可能性がある品目にも印をつけておくと、次の検討に移りやすくなります。

(3)削減策を決めて社内ルールに落とし込む

優先順位の高い品目について、前述の削減方法から実施する削減策を決めます。決めた内容は、分別の基準や保管場所、回収依頼のタイミングなどの社内ルールとして文書にまとめ、排出に関わる従業員に周知します。

分別や保管の方法は現場の作業に直結するため、ルールを決めるだけでなく、現場の担当者が無理なく続けられる手順になっているかを確認することが大切です。

(4)実績を記録して効果を検証する

削減策を始めたら、排出量と処理費用を毎月記録し、取り組み前の数値と比較して効果を確認します。効果が出ていない場合は、ルールが守られているか、削減策の選び方が適切だったかを見直します。

記録を続けると、季節による排出量の変動や新たに増えた品目にも気づけるため、次の削減策の検討にも役立ちます。

4.産業廃棄物のコスト削減で注意すべきポイント

産業廃棄物の処理は廃棄物処理法で厳しく規制されており、委託先で不適正な処理が行われた場合でも、排出事業者が責任を問われることがあります。費用を下げることだけを優先せず、法令に沿った方法で見直しを進める必要があります。

出典:e-Gov法令検索「廃棄物の処理及び清掃に関する法律」第3条・第11条・第19条の6(https://laws.e-gov.go.jp/law/345AC0000000137)

(1)委託先の許可品目・許可エリアを確認する

産業廃棄物の収集運搬や処分を委託できるのは、都道府県知事などの許可を受けた業者に限られます。許可は品目ごとに与えられ、収集運搬の場合は積み込む場所と降ろす場所の両方の自治体で許可が必要です。

出典:e-Gov法令検索「廃棄物の処理及び清掃に関する法律」第12条第5項・第14条

料金の安さだけで委託先を選ぶと、許可の範囲外の品目を委託してしまうおそれがあります。契約前に許可証の写しを取り寄せ、委託する品目と地域が許可の範囲に含まれているか、許可の有効期限が切れていないかを確認してください。

(2)有価物と廃棄物の区分を正しく判断する

売却できるものを有価物として扱えば処理費用を減らせますが、前述のとおり、廃棄物に当たるかどうかは取引の実態から総合的に判断されます。名目上は売却でも、実質的に処理費用を払っている場合は廃棄物として扱われる可能性があります。

特に注意が必要なのは、売却額よりも運搬費のほうが高くなる、いわゆる逆有償のケースです。環境省の通知では、再生利用などのために有償で譲り受ける者へ引き渡す場合、運搬費が売却代金を上回っていても、少なくとも譲り受ける者が占有者となった時点以降は廃棄物に該当しないと判断して差し支えないとされています。一方で、それより前の運搬の段階は総合的な判断に委ねられるため、廃棄物として扱われる可能性があります。運搬は収集運搬業の許可を持つ業者に任せ、判断に迷う場合は自治体の担当部署に確認してください。

出典:環境省「「エネルギー分野における規制・制度改革に係る方針」(平成24年4月3日閣議決定)において平成24年度に講ずることとされた措置(廃棄物処理法の適用関係)について(通知)」平成25年3月29日

(3)委託契約書・マニフェストを適切に管理する

産業廃棄物の処理を委託する際は、収集運搬業者と処分業者のそれぞれと、書面で委託契約を結ぶ必要があります。また、廃棄物を引き渡す際にはマニフェスト(産業廃棄物管理票)を交付し、処理が終わったことを確認したうえで、写しを5年間保存しなければなりません。

出典:e-Gov法令検索「廃棄物の処理及び清掃に関する法律」第12条第6項・第12条の3

業者の変更や契約内容の見直しを行った際に、契約書の更新やマニフェストの運用が追いつかないと、法令違反につながります。コスト削減の取り組みとあわせて、書類の管理体制も見直しておくと安心です。電子マニフェストを導入すると、交付や保存の手間を減らせます。

図と表は、建設会社への調査で確認された、電子マニフェスト導入による事務作業の削減効果を示しています。削減割合を回答した6社では、平均54.4%、最小33.3%、最大66.7%でした。書類の記入、処理終了の確認、保管などの作業を見直すことが、処分費や運搬費に加えて管理費を抑える手段になることを補足しています。ただし、2019年の調査に回答した一部企業の実績であり、全企業に同じ効果が生じるとは限りません。紙との併用状況や委託先の対応、入力体制によって効果が変わるため、利用料も含めた総コストで判断する必要があります。

(4)社内の手間を含めた総コストで判断する

処分単価の安い業者に切り替えても、運搬費が上がったり、委託先が増えて管理の手間が膨らんだりすれば、全体のコストは下がりません。分別の徹底や保管場所の確保も、現場の作業時間やスペースという形で社内の負担を生みます。

削減策を選ぶ際は、請求書に表れる費用だけでなく、契約管理や書類対応、現場の作業にかかる工数も含めた総コストで比較することが大切です。

5.まとめ

産業廃棄物の処理コストは、収集運搬費と処分費に加えて、保管や委託契約、マニフェスト管理にかかる社内の工数によって構成されています。単価の見直しだけでなく、廃棄物の発生を抑え、分別・再利用・売却・リサイクルによって処分に回す量を減らすことが、継続的なコスト削減につながります。

取り組みを進める際は、廃棄物の種類と費用を一覧化して優先順位をつけ、法令に沿った方法で見直すことが重要です。

icサーキュラーソリューションでは、五十鈴とサイクラーズの連携により、不要になった設備や製品のリユース・リペア・リサイクル・処分を1つのスキームで提案しています。捨てるか、直すか、売るかの判断から処理までをまとめて相談できるため、処分量と処理コストの削減に加え、委託先の管理にかかる手間の軽減にもつながります。産業廃棄物の処理コストや管理の負担を見直したい企業様は、お気軽にご相談ください。

監修

循環型社会を目指す最先端の取組をキャッチするメディア「サーキュラーエコノミートレンド」の編集部です!