太陽光パネルのリサイクル|2026年成立の新法、処理の流れと費用負担

太陽光発電設備の撤去で発生するパネルは、産業廃棄物として処理されます。ただし2026年5月に「太陽電池廃棄物の再資源化等の推進に関する法律」が成立し、一定量以上を廃棄する事業者には、廃棄実施計画の事前届出と、届出後の待機期間が課されることになりました。撤去のスケジュールそのものに影響する制度です。

背景にあるのは、2030年代後半に見込まれる大量廃棄です。年間の排出量は最大で50万トン規模に達すると試算されており、最終処分場の残余容量を圧迫する懸念が指摘されています。現状では多くのパネルが埋立処分に回っており、再資源化の比率を上げることが制度の目的になっています。

五十鈴株式会社の「icサーキュラーソリューション」は、返品や使用済み製品など、事業の中で定期的に発生するモノの資源循環を一括で支援するサービスです。回収したモノは状態に応じて再販・リユースを優先し、新たな製品の製造や廃棄に伴う排出を抑えます。鉄を含む製品・設備については、国内製鉄所へ還流させるクローズドループの構築まで対応し、鉄スクラップを原料として生かすことで脱炭素にもつなげます。撤去現場から出る発生材全体の回収ルートを整理したい場合は、ぜひご相談ください。

目次

1.太陽光パネルは産業廃棄物としてどう扱われるか

制度の話に入る前に、現行の廃棄物処理法上の扱いを確認します。この章では、使用済みパネルがどの枠組みで処理されるのかを整理します。

(1)使用済みパネルは産業廃棄物にあたる

撤去した太陽光パネルは、産業廃棄物として処理する必要があります。

太陽電池モジュールはアルミ枠、ガラス、樹脂製のバックシートなどで構成されており、取り外しには電気工事の資格を持つ作業者が関わります。住宅の屋根に設置された非事業用の設備であっても、解体・撤去という事業活動に伴って排出されるため、産業廃棄物に該当します。

つまり、住宅用か事業用かでこの扱いは変わりません。撤去工事を伴う限り、排出事業者責任のもとで許可業者に委託し、マニフェストを交付する手続きが必要になります。

参考:https://www.meti.go.jp/shingikai/sankoshin/sangyo_gijutsu/resource_circulation/solar_power_generation/pdf/001_03_00.pdf

(2)品目は3つの区分の混合物になる

太陽光パネルを産業廃棄物として委託する場合、単一品目ではなく混合物として扱われます。

構成部材ごとに区分が分かれるためです。アルミフレームや電極、配線は金属くず、カバーガラスはガラスくず・コンクリートくず及び陶磁器くず、封止材やバックシート、ジャンクションボックスの樹脂は廃プラスチック類に該当します。

構成部材産業廃棄物としての区分
アルミフレーム・電極・配線金属くず
カバーガラスガラスくず、コンクリートくず及び陶磁器くず
封止材(EVA)・バックシート・ジャンクションボックス廃プラスチック類

委託先の許可品目に、これら3つがすべて含まれている必要があります。金属くずのみ、あるいはガラスくず等のみの許可では受け入れられません。契約前に許可証の品目欄を確認してください。

(3)含有物質の情報を処理業者に提供する

パネルの処理では、含有物質の情報提供が前提になります。

太陽電池モジュールには、鉛、カドミウム、ヒ素、セレンが含まれる可能性があります。ただし、これら4物質がすべて1枚に含まれているわけではありません。国内で普及している大半を占める結晶シリコン系では、電極のはんだに鉛がごく微量使われている場合があるという構成です。カドミウムやセレンは化合物系のパネルに関係します。

太陽光発電協会は、この4物質について含有率0.1重量%を超える場合にメーカーや販売事業者から情報提供が行われるようガイドラインを策定しており、賛同したメーカーが情報を公表しています。資源エネルギー庁でも含有物質情報のデータベース構築が進んでいます。

排出事業者としては、型式、数量、性状とあわせて含有物質の情報を処理業者に提供します。メーカーが撤退している古い設備では情報が得られない場合があり、その旨も含めて伝えることが必要です。

参考:https://www.meti.go.jp/shingikai/energy_environment/disposal_recycle/pdf/005_02_00.pdf

(4)撤去作業では感電と破損の対策が要る

撤去の段階から、取り扱い上の注意があります。

太陽光パネルは光が当たっている限り発電を続けます。系統から切り離した後も、パネル単体で電圧が発生している状態であり、配線の取り扱いを誤れば感電事故につながります。

もうひとつが破損の防止です。ガラスが割れた状態のパネルは、板ガラスとしての再資源化ができなくなり、処理の選択肢が狭まります。取り外しから積み込み、運搬までを通じて、割らずに扱うことが再資源化の前提になります。

現場では、遮光シートで覆う、専用の収納箱を使う、平積みの段数を制限するといった対応が取られます。撤去を請け負う施工業者と、この点の手順を事前に確認してください。

(5)現状はリサイクルが義務ではなく埋立が多い

現行制度では、リサイクルそのものは義務づけられていません。

廃棄物処理法に基づく適正処理は求められる一方、再資源化を義務とする規定がないため、最終的な処分方法は事業者の判断に委ねられています。この結果、分離・選別の技術が実用化されているにもかかわらず、多くのパネルが埋立処分に回っているのが実情です。

この状況を変えるために制度化されたのが、次章で扱う新法です。

2.2026年成立の新法で何が変わるか

太陽電池廃棄物の再資源化等の推進に関する法律は、撤去計画の立て方そのものに影響します。ここでは現時点で確定している内容を整理します。

(1)2026年5月に成立し、6月に公布された

新法は、2026年5月29日に成立し、6月5日に公布されました。

正式名称は「太陽電池廃棄物の再資源化等の推進に関する法律」で、太陽光パネルリサイクル法と呼ばれています。2026年4月3日に閣議決定され、衆議院・参議院での可決を経て成立しました。

施行は公布日から1年6か月を超えない範囲で政令が定める日とされており、2027年度中の施行が見込まれます。成立と同時に規定が動き出したわけではなく、現時点では届出制度は始まっていません。

内容時期
閣議決定2026年4月3日
成立2026年5月29日
公布2026年6月5日
施行公布から1年6か月以内(政令で指定)

(2)多量に廃棄する事業者に計画の届出が義務づけられる

制度の中心は、廃棄実施計画の事前届出です。

政令で定める要件に該当する量の事業用太陽電池を廃棄する事業者は、多量事業用太陽電池廃棄者として、あらかじめ廃棄実施計画を届け出ることになります。対象となるのは、ガラスを使った板状の太陽電池で一定以上の重量があるものです。

「多量」の具体的な数値基準は、今後の政令・主務省令で定められます。自社の設備が対象になるかどうかは、この基準が示された段階で確認する必要があります。

(3)届出後は原則30日間の待機期間が置かれる

届出制度には、待機期間が伴います。

届出が受理された後、原則として30日を経過するまでは、対象となるパネルの排出や、排出を伴う工事・作業が制限されます。撤去工事の日程を組む際は、この期間を織り込む必要があります。

大規模な設備の撤去では、解体工事の工程全体に影響します。施行後は、撤去の検討段階から届出のスケジュールを逆算して計画を立てることになります。

新法では、政令で定める量以上の事業用太陽電池を廃棄する者が、重量、排出予定時期、処分方法、工事の発注先、処分の委託先などを記載した計画を事前に届け出ます。届出受理後は原則30日間、排出や排出を伴う工事を実施できません。この図は、撤去日から逆算した届出管理が必要になることを示しています。認定事業者が全量をリサイクルする場合は期間を短縮できる一方、「多量」の基準や様式、施行後の運用は政省令の確認が必要です。

参考:https://www.env.go.jp/content/000404704.pdf#page=7

(4)認定事業者には廃棄物処理法の許可特例が設けられる

処理側にも、新しい仕組みが用意されています。

費用効率的に再資源化を担う事業者を国が認定し、都道府県ごとに必要だった廃棄物処理法上の許可を不要とする特例が新設されます。地域をまたぐ処理の障壁を下げ、まとまった量を効率的に処理できる体制を整える狙いです。

排出事業者にとっては、委託先の選択肢が広がる可能性があります。ただし認定の基準や運用は今後定められるため、現段階では既存の許可業者を前提に検討するのが現実的です。

(5)リサイクルそのものの義務化は先送りされた

制度の範囲については、限定的な内容にとどまっています。

成立した法律は、一部の発電事業者に廃棄・リサイクル計画の策定と届出を義務づける内容であり、リサイクルの実施そのものを義務化する規定は盛り込まれませんでした。費用負担のあり方についても、国会審議では付帯決議で検討課題として示されています。

施行後の制度見直しで、義務化を含む変更が検討される見通しです。制度が段階的に強化される前提で、自社の設備の撤去時期と照らして情報を追う必要があります。

3.太陽光パネルがリサイクルされる仕組み

パネルがどのように分離・再資源化されるかを把握しておくと、委託先に確認すべき点が明確になります。

(1)重量の大半を占めるのはガラスとアルミ

再資源化の対象を考えるうえで前提になるのが、パネルの重量構成です。

経済産業省の資料によると、シリコン系太陽電池モジュールでは全重量の6割超をフロントカバーのガラスが占め、電極材料である銅・銀・はんだ等は0.8%程度にとどまります。再資源化の成否は、金属の回収よりもガラスをどう扱えるかで決まる構造だといえます。なお、この重量構成はシリコン系を対象とした試算であり、ジャンクションボックスを含まない点にも留意が必要です。

(2)最初にジャンクションボックスとアルミフレームを外す

処理の起点は、外周部材の取り外しです。

裏面のジャンクションボックスを取り出し、次にアルミフレームを分離します。アルミフレームは分離機によってメーカーや年式を問わず処理できるため、この工程は比較的定型化されています。

取り外されたアルミは、金属としてそのまま再資源化の対象になります。パネル1枚あたりの重量に占める割合も大きく、回収の実益がある部材です。

(3)ガラスとセル層を分離する

技術的な要点になるのが、カバーガラスとセル層の分離です。

両者は封止材のEVA樹脂で強固に接着されているため、そのままでは分けられません。実用化されている方式には、約300℃に加熱したナイフでEVAを溶融し、ガラスを割らずに分離するホットナイフ方式、窒素雰囲気の炉でEVAを熱分解する方式、ガラス表面を投射材で削り取るブラスト方式などがあります。

方式によって、回収されるガラスの形状と品位が変わります。板状で回収できる方式では、ガラスをより高い用途に向けられる一方、単純破砕による方式では粒状での回収となり、用途が限られます。

参考:https://www.meti.go.jp/shingikai/sankoshin/sangyo_gijutsu/resource_circulation/solar_power_generation/pdf/20250328_2.pdf

NEDOの調査資料は、国内の処理技術を加熱処理、圧縮破砕、ブラスト、ホットナイフ、PVスクラッチャー、パネルセパレータなど10類型に整理しています。技術ごとに回収ガラスの品質、対応できるパネル種類、割れ・両面パネルの受入可否が異なります。この比較は、処理方式の名称だけでなく、搬入条件と回収物の用途まで委託先に確認する必要性を裏付けます。なお、開発・実装状況は調査時点のもので、化合物系は含有物質により受入不可となる場合があります。

参考:https://www.nedo.go.jp/content/800024465.pdf#page=5

(4)分離後の素材ごとに再資源化される

分離された素材は、それぞれの用途に回ります。

アルミフレームはアルミ原料として、配線や電極の銅は非鉄金属として回収されます。板状で回収された高品位のガラスは、板ガラスの原料など、より価値の高い用途に向けられる可能性があります。

一方で、セル層やバックシートを含む残さは、現状では再資源化の難易度が高く、最終処分に回る部分が残ります。処理方式によって、この残さの割合が変わります。

(5)割らずに回収することが選択肢を左右する

工程を通して共通するのが、パネルを破損させないことの重要性です。

ガラスが割れた状態で搬入されたパネルは、ガラスとセル層を板状で分離する工程に乗せられません。単純破砕して素材選別する方法に切り替わり、回収されるガラスの用途も限られます。

つまり、再資源化の質は撤去現場での扱いで決まる部分があります。取り外し、収納、積み込み、運搬の各段階での破損防止は、費用と再資源化率の両方に影響します。

参考:https://www.env.go.jp/content/900512721.pdf

4.撤去から処分までの手順

ここでは、設備の把握から書類の保管まで、排出事業者側の実務を順に整理します。

(1)設備の内容と枚数、含有物質情報を把握する

検討の起点は、設備情報の整理です。

確認するのは、パネルのメーカー、型式、製造年、枚数、種類(結晶シリコン系か化合物系か)、そして含有物質の情報です。あわせて、架台の構造と材質、パワーコンディショナやケーブルの数量も整理します。

古い設備では、メーカーが撤退していて情報が得られない場合があります。その場合は、入手できない旨を含めて処理業者に伝えます。情報がないまま搬入すると、受け入れを断られることがあります。

(2)新法の届出対象になるかを確認する

撤去の計画段階で、制度上の位置づけを確認します。

新法の施行後は、多量事業用太陽電池廃棄者に該当する場合、廃棄実施計画の届出と原則30日の待機期間が必要になります。数値基準は政令で定められるため、撤去を計画する時点での最新の基準を確認してください。

施行前であっても、撤去が施行日をまたぐ計画であれば影響を受けます。とくに大規模設備では、工事の発注時期から逆算した確認が必要です。

(3)リユースの可能性を先に検討する

処分に進む前に確認したいのが、再使用の余地です。

環境省のガイドラインでは、利用が終了した設備について、まず使用継続の可否を判断し、継続が不可能な場合に解体・撤去を行うことが示されています。稼働年数が短い設備や、災害以外の理由で撤去する設備では、中古市場での取引が成立する場合があります。

ただし、リユース品としての品質評価は容易ではありません。出力の低下や絶縁性能の確認が必要になるため、対応できる事業者に相談したうえで判断してください。

2024年度実績の調査では、51社が回収した25万5千枚・5,046トンのうち、リユースは20.1%、中間処理は79.7%でした。中間処理の内訳は、リサイクル50.4%、単純破砕7.0%、熱回収22.3%で、リサイクル残渣の最終処分量は359トンです。処分前にリユース可否を確認し、その後の処理方法まで把握する実務の重要性を示します。ただし、適正処理・リユース・リサイクルに取り組む事業者への任意調査であり、全国全体の構成比ではありません。

参考:https://www.env.go.jp/content/000378443.pdf#page=17

(4)破損させない撤去と保管の方法を決める

処分ルートと並行して、現場での扱いを決めます。

遮光による感電対策、専用収納箱の使用、平積みの段数制限、屋内または雨がかからない場所での保管が基本になります。パネルは1枚あたり20kg前後と重量があり、枚数がまとまると保管スペースの確保自体が課題になります。

撤去から搬出までの期間が長引くと、保管中の破損や飛散のリスクが高まります。撤去工事の日程と、処理業者の受け入れ日程を先に合わせておいてください。

(5)委託契約とマニフェストで処理を確認する

処理の完了は、書類の確認をもって判断します。

収集運搬と処分のそれぞれについて書面で委託契約を締結し、マニフェストを交付して、運搬終了・処分終了・最終処分終了の各段階の返送を確認します。紙マニフェストの返送期限は交付日から90日以内、最終処分終了については180日以内で、保存期間は5年間です。

処理方法の記録も残しておいてください。何枚を再資源化に回し、どれだけが最終処分になったかを把握しておくと、環境報告や積立金の取り崩し手続きの資料になります。

参考:https://www.env.go.jp/content/900479496.pdf

5.費用の考え方と廃棄等費用積立制度

太陽光パネルの処分費用は、パネル単体ではなく設備全体の撤去費用として発生します。ここでは費用の構成と、FIT・FIP設備に適用される積立制度を整理します。

(1)費用は撤去・運搬・処分の3つで構成される

費用の全体像は、3つの区分で捉えます。

第一に、設備の解体と取り外しにかかる撤去費用です。第二に、現場から処理施設までの収集運搬費で、パネルは重量物であるため運搬距離と数量が単価に直結します。第三に、処分費または再資源化費用です。

このうち撤去費用は、設置形態によって大きく変わります。屋根置きか地上設置か、架台の構造、基礎の撤去範囲、作業スペースの有無が条件を左右します。

(2)リサイクルは埋立より費用が高くなる

処理方法の選択は、費用に直接反映されます。

分離・選別を伴う再資源化は、単純に埋立処分する場合より工程が多く、費用も高くなります。制度上リサイクルが義務づけられていない現状で埋立が選ばれてきた背景には、この費用差があります。

一方で、最終処分場の残余容量には限りがあり、大量廃棄期に向けて処分費が上昇する可能性があります。撤去時期が先の設備ほど、この点を織り込んだ試算が必要です。

同資料では、太陽光パネルのリサイクル費用は、解体撤去・収集運搬を除いて8,000~12,000円/kW、埋立処分費用は2,000円/kW程度からと示されています。現状では少なくとも4倍程度の開きがあり、埋立が選ばれやすい費用構造を裏付けます。したがって、見積もりでは処分単価だけでなく、分離工程、運搬距離、設備稼働率、回収材の売却条件を分けて確認する必要があります。金額は一般的な目安であり、設備規模や地域、パネルの状態によって変動します。

参考:https://www.env.go.jp/content/000404704.pdf#page=3

(3)10kW以上のFIT・FIP設備は外部積立が義務化されている

事業用設備には、費用を先に積み立てる制度が適用されています。

改正再エネ特措法に基づき、2022年7月から、10kW以上のFIT・FIP認定を受けた太陽光発電設備を対象に、廃棄等費用の外部積立が原則として義務化されました。積立金は電力広域的運営推進機関が管理します。

積立の方式は源泉徴収的なもので、毎月の売電収入から差し引かれます。積立期間は調達期間が終了する前の10年間で、事業者側の手続きは原則として不要です。

(4)積立金の取り崩しには廃棄の実施確認が要る

積み立てた費用は、廃棄の実施を確認できた段階で払い戻されます。

制度の目的が確実な廃棄の担保にあるため、撤去と処理を実施したことを示す資料が必要になります。マニフェストの返送記録や処理の証明が、この確認の資料になります。

買取期間の終了後も発電を継続する場合は、撤去のタイミングまで積立金が預けられたままになります。設備の売却や事業譲渡を検討する場合は、積立金の扱いも確認事項に含めてください。

(5)住宅用・自家消費型は積立の対象外になる

制度の対象外となる設備もあります。10kW未満の設備とFIT・FIPを利用していない設備です。

これらは外部積立の対象ではないため、撤去費用は所有者が自ら確保することになります。自家消費型で導入した設備も、認定を受けていなければ同様です。

対象外の設備を保有している場合は、耐用年数を見据えて自社で費用を見込んでおく必要があります。撤去時に想定外の支出として顕在化しやすい部分です。

6.委託先を選ぶ際の確認事項

太陽光パネルを再資源化できる事業者は限られます。ここでは選定時の確認項目を整理します。

(1)許可品目が3区分をカバーしているか確認する

第一の確認事項は、許可の範囲です。

収集運搬業と処分業の許可品目に、金属くず、ガラスくず・コンクリートくず及び陶磁器くず、廃プラスチック類の3つが含まれているかを確認します。混合物として委託する以上、いずれかが欠けていれば委託できません。

複数の都道府県をまたぐ運搬では、積込先と荷卸先の双方の許可が必要です。撤去現場と処理施設が離れている案件では、この点も確認してください。

(2)どの処理方式でパネルを扱うか確認する

処理の内容として、方式と回収物の行き先を確認します。

パネル専用の分離設備で処理するのか、単純破砕して素材選別するのか、あるいは中間処理を経ずに最終処分に回すのかで、再資源化の内容が変わります。回収されたガラスがどの用途に向かうのかもあわせて確認します。

再資源化率を取引先や社内に報告する必要がある場合は、処理方式の違いがそのまま説明内容の違いになります。見積もり時に、処理後の各素材の行き先を書面で確認しておくと確実です。

(3)撤去と処分の役割分担を明確にする

工事を伴う案件では、作業範囲の切り分けが必要です。

パネルの取り外し、架台と基礎の撤去、電気設備の切り離し、運搬、処分のどこまでを誰が担うのかを整理します。施工業者が撤去し、処理業者が運搬・処分を担う形が一般的ですが、排出事業者が誰になるかの確認も含めて明確にしておきます。

建設工事に伴って生じる廃棄物は、原則として元請業者が排出事業者となります。契約の形態によって責任の所在が変わるため、工事の発注段階で確認してください。

(4)架台などの発生材とあわせて相談できるか確認する

最後に確認したいのが、パネル以外への対応範囲です。

太陽光発電設備の撤去では、パネルだけでなく、架台、支柱、基礎金物、ケーブル、パワーコンディショナが同時に発生します。とくに架台は鋼材やアルミが使われており、規模によっては重量でパネルを上回ります。

品目ごとに窓口を分けると、その都度の手配と運搬が生じます。パネルの処理ルートと、鉄系の発生材の回収をまとめて相談できる体制があれば、運搬の集約によって案件全体の条件が整いやすくなります。

7.太陽光パネルを資源循環に回すメリット

ここでは、パネルを再資源化ルートに乗せた場合の効果を、資源、制度対応、報告の3つの観点から整理します。

(1)最終処分場の負荷を抑えられる

大量廃棄期を控えて論点になるのが、処分場の残余容量です。

太陽光パネルの排出量は2030年代後半以降に顕著に増加し、年間で最大50万トン程度になる見込みが示されています。ピーク時には産業廃棄物の最終処分量全体の相当な割合を占めるとの試算もあり、最終処分場の逼迫が懸念されています。

再資源化に回すことは、この負荷を抑えるだけでなく、将来の処分費上昇に対する備えにもなります。埋立を前提とした試算は、撤去時期が先になるほど実態から離れる可能性があります。

環境省・経済産業省の推計では、太陽光パネルの排出量は2030年代半ばから顕著に増え、年間最大50万トン程度、うち既設分は40万トン程度に達する見込みです。全量を直接埋め立てた場合、2021年度の産業廃棄物最終処分量869万トンの約5%に相当し、再資源化による処分場負荷の抑制が必要であることを裏付けます。ただし、長期利用やリサイクルによる排出の平準化を織り込まない保守的な推計で、故障、買取期間満了、採算性などにより実績は変動します。

参考:https://www.env.go.jp/content/000302386.pdf#page=3

(2)ガラスとアルミを素材として戻せる

パネルの大半は、再資源化が可能な素材でできています。

重量の6割超を占めるガラスと、フレームのアルミは、いずれも分離できれば素材として回収できます。板状で回収できる方式であれば、ガラスをより高い用途に向けられます。

現状では埋立処分が多い一方、分離技術はすでに実用化されています。処理方式の選択によって結果が変わる領域であり、委託先の選定が再資源化率に直結します。

(3)新法の施行に先んじて体制を整えられる

制度面でも、先行して対応する意味があります。

施行後は、多量に廃棄する事業者に計画の届出と待機期間が課されます。撤去工程に影響する制度であり、施行後に慌てて対応するより、現時点から撤去計画に織り込んでおくほうが確実です。

複数の発電所を保有している場合は、撤去時期の分散と処理体制の確保を並行して検討することになります。制度の詳細が政省令で定まる段階に備え、社内の情報の集約先を決めておいてください。

(4)撤去現場の鉄系発生材とまとめて回収すれば条件が改善する

パネルの処理は、撤去現場から出る発生材全体で捉えたほうが有利になります。

太陽光発電設備の撤去では、架台、支柱、基礎金物、ケーブルラックといった鉄系の発生材が大量に生じます。とくに地上設置の設備では、重量ベースで架台の占める割合が大きく、これらをまとめて回収できれば運搬が集約され、案件全体の条件が整いやすくなります。

なかでも鉄は、カーボンニュートラルの潮流のなかで電炉化が加速し、質の高い鉄スクラップの国内循環が戦略資源として注目されています。鉄のサーキュラーエコノミーへの具体的な取り組みについては、以下の記事で解説しています。

8.まとめ

使用済み太陽光パネルは産業廃棄物であり、金属くず、ガラスくず・コンクリートくず及び陶磁器くず、廃プラスチック類の混合物として扱われます。委託先には3区分をカバーする許可が必要で、鉛などの含有物質情報を型式・数量とあわせて提供することが前提になります。

制度は転換点にあります。2026年5月29日に成立し6月5日に公布された太陽電池廃棄物リサイクル推進法により、多量に廃棄する事業者には廃棄実施計画の届出と原則30日の待機期間が課されます。施行は公布から1年6か月以内で、多量の数値基準は今後の政省令で定まります。撤去工程に直接影響するため、計画段階からの確認が必要です。

再資源化の質を左右するのは、現場での扱いです。パネルはガラスが重量の6割超を占め、割らずに回収できれば板状での分離が可能になります。破損させないことが、処理方式の選択肢と再資源化率の両方を左右します。

太陽光パネルのリサイクルを効率よく進めるには、定期的に発生している返品や使用済み製品の量や状態、その行き先を把握し、廃棄以外の出口も含めた具体的なスキームを設計することが重要です。保管スペースの不足や、廃棄か再販かの判断、複数の処分業者の管理に負担を感じている場合は、五十鈴株式会社の「icサーキュラーソリューション」にご相談ください。

監修

早稲田大学法学部卒業後、金融機関での法人営業を経て、中小企業向け専門紙の編集記者として神奈川県内の企業・大学・研究機関を取材。
2013年から2020年にかけては、企業のサステナビリティレポートの企画・編集・ライティングを担当。2025年4月よりフリーランスとして独立。
企業活動と社会課題の接点に関する実務経験が豊富で、サステナビリティ分野での実践的な視点に基づく発信を強みとしている。