リサイクルとアップサイクルはいずれもこれまでコストとして処理されてきた廃棄物を事業資源として捉え直す取り組みであり、製造・小売・建設など幅広い業界で実装事例が蓄積されつつあります。
本記事では、食品・アパレル・建設・製造・小売の業界別に廃棄物再利用製品の具体事例を整理したうえで、自社事業への導入を検討する際に押さえるべきポイントを解説します。
五十鈴株式会社の「icサーキュラーソリューション」は、鉄を主原料とする製品・設備の廃棄や資源循環を起点に、サーキュラーエコノミーへの移行を支援するサービスです。廃棄物を国内製鉄所等へ還流させるクローズドループの構築など、カーボンニュートラルや循環型社会の実現に向けた取り組みを、コスト削減と両立する形で支援します。廃棄物の再利用スキームの設計や資源の再価値化にお困りの場合には、ぜひご相談ください。
1.【業界別】廃棄物再利用製品の企業・製品事例
(1)食品・飲料業界の再利用製品事例
①アサヒユウアス|森のタンブラー

アサヒユウアスの「森のタンブラー」は、ビール製造工程で発生する麦芽粕や、地域の間伐材、コーヒーの抽出後に出るコーヒー粕など、これまで廃棄されていた植物原料を51%以上活用した製品です。
素材由来の微細な凹凸によってビールの泡立ちを細かくクリーミーにするという、廃棄物利用と機能性を両立させています。本品はスポーツスタジアムや企業のノベルティに採用されており、廃棄物削減とブランドストーリーの両立に役立てられています。
②ミツカングループ|ZENB(ゼンブ)

ミツカングループの「ZENB」は、植物を可能な限りまるごと食べるというコンセプトに基づき、普段は捨ててしまう芯や皮、さや、種といった部位まで活用した製品です。黄えんどう豆をうす皮まで使用した麺やパンのほか、野菜の芯や皮まで使ったカレーやスープなどを展開し、素材本来の栄養をおいしく摂取できるよう設計されています。
資源を無駄なく使うサステナブルな食糧生産への貢献に加え、健康志向の高い消費者層への訴求と食品ロス削減の両立を実現しています。

③クラダシ|KURADASHI

クラダシの「KURADASHI」は、賞味期限内でありながら様々な理由で廃棄対象となった食品をメーカーから買い取り、オンラインで販売するショッピングサイトです。メーカーは廃棄コストの削減に加え、余剰在庫の流動化によりサステナビリティの観点からブランド価値の毀損を防ぐことができます。
売上の一部を社会貢献活動団体へ寄付する仕組みを導入しており、消費者は通常価格より安価に商品を購入しながら、食品ロス削減と社会支援に同時に参画できるモデルとなっています。

④エシカル・スピリッツ|LAST

エシカル・スピリッツの「LAST」は、日本酒の製造工程で最後に残る副産物である酒粕を蒸留し、新たな価値を持たせたクラフトジンです。酒粕をそのまま廃棄せず、原酒として再蒸留することで、素材が持つ豊かな香りを引き出し、世界的な酒類品評会であるIWSCで最高金賞を受賞するなど、品質面でも高く評価されています。
また、規格外の日本酒原料や抽出後の茶葉、ゆずの皮といった未利用資源もボタニカルとして活用しており、循環型経済の実現と嗜好品としての魅力を両立させた製品です。
(2)ファッション・アパレル業界の再利用製品事例

⑤パタゴニア|レトロ・パイル・ジャケット

パタゴニアの「レトロ・パイル・ジャケット」は、本体にリサイクル・ポリエステル100%の両面シアーリング・フリースを使用した製品です。毛足の長いフリース素材でありながら、回収されたペットボトルなどを原料とする再生素材を活用することで、バージン・ポリエステルの使用量と環境負荷を低減しています。
また、製品の製造をフェアトレード・サーティファイドの工場で行うなど、素材の再利用にとどまらず、製造工程における労働環境の支援も同時に実現している点が特徴です。
⑥エコアルフ|UTO(Upcycling The Oceans)

三陽商会が展開するエコアルフの「UTO(アップサイクリング・ザ・オーシャンズ)」は、海洋プラスチックゴミを回収・分別・再生し、衣類やスニーカーなどの製品へ転換するプロジェクトです。漁師が海底から引き上げた海洋ゴミを港で回収し、独自のルートでペレット、糸、生地へと加工することで、新たな資源として活用しています。
単なるリサイクル製品の販売にとどまらず、行政や漁業関係者と連携した回収基盤の構築を通じて、海洋汚染という社会課題の解決と持続可能なライフスタイルの提案を両立させています。

⑦鞄工房山本|ランドセルリメイク

鞄工房山本の「ランドセルリメイク」は、6年間の使用を終えた卒業後のランドセルを回収し、財布やパスケース、時計などの実用的な革小物へ作り変える製品サービスです。愛着のある素材に職人が再びハサミを入れ、熟練の技術で丁寧に仕立て直すことで、廃棄されるはずだった思い出の品に新たな実用性と価値を付与しています。
家族の記憶を形に残しながら資源を有効活用する、エモーショナルな視点を持ったアップサイクルモデルとして確立されています。

⑧豊島|FOOD TEXTILE

豊島の「FOOD TEXTILE」は、廃棄予定の野菜や果物を染料として再活用する、素材から始まるアップサイクルプロジェクトです。食品関連企業や農園から提供された、規格外やカット野菜の端材などから色素を抽出し、独自の染色技術を用いてオーガニックコットンなどの生地を染め上げています。
食品業界の廃棄物課題とファッション業界の染色工程における化学染料低減という、異なる業界の課題を同時に解決し、生活シーンに彩りを添える持続可能なエコシステムを構築しています。

(3)建設・建材業界の再利用製品事例

⑨ケイミュー|SOLIDO

ケイミューの「SOLIDO」は、セメント本来の質感を活かしながら、様々な廃棄物や未利用資源を配合した建築素材です。火力発電所で発生する石炭灰や、身近な飲料店から回収したコーヒー豆かすなどを原料に混ぜ込み、高圧プレスと蒸気養生で強固なボードへと再生しています。
素材の特性により一枚ごとに異なる自然な色むらや、経年変化による風合いの移り変わりを楽しめる意匠性を備えており、環境負荷の低減と高いデザイン性を両立した内装・外装材として活用されています。
⑩大成建設|T-eConcrete

大成建設の「T-eConcrete」は、セメントの代わりに製鋼過程で生じる高炉スラグや石炭灰(フライアッシュ)などの産業副産物を活用した環境配慮型コンクリートです。セメントの製造時に発生する大量のCO2排出を抑制できるほか、回収したCO2を固定化した炭酸カルシウムを配合するタイプでは、製造過程のCO2収支をマイナスにするカーボンネガティブを実現しています。
通常のコンクリートと同等の強度と施工性を維持しながら、産業廃棄物の有効利用と脱炭素化を同時に推進する次世代の建設資材として、トンネルやビル、舗装材など幅広いインフラ構造物に導入されています。

⑪日本山村硝子|スーパーソル

日本山村硝子などのグループが展開する「スーパーソル」は、廃ガラスを100%原料とする軽量発泡資材です。
回収されたガラス瓶を粉砕・焼成し、人工的な軽石状へと加工することで、軽量性、多孔質、透水性、保水性といった多様な機能を持たせています。
土木工事における軽量盛土材として土圧低減や沈下対策に活用されるほか、屋上緑化の排水材や農業用の土壌改良材など、建設から環境保全まで幅広い分野で廃棄ガラスの再資源化を実現しています。
⑫長谷虎紡績|海洋プラ再生カーペット

長谷虎紡績のインテリア事業では、海洋汚染の原因となる廃棄漁網などを再利用したリサイクルナイロン「ECONYL」を原料とするカーペットを展開しています。独自の高度な染色・加工技術を活かし、再生素材を用いながらもホテルやオフィス、航空機といった高い意匠性と耐久性が求められる空間に対応する製品を実現しています。
単なる素材の置き換えにとどまらず、障がい者アートをデザインに採用するなど、環境負荷の低減と社会的価値の創出を組み合わせた次世代のインテリア空間を提案しています。
(4)製造・自動車業界の再利用製品事例

⑬豊田合成|Re-S

豊田合成のエシカルブランド「Re-S」は、自動車部品の製造過程で発生する端材や廃棄素材に新しい価値を与えるアップサイクルプロジェクトです。人命を守るために開発された高強度かつ撥水性に優れたエアバッグ生地や、ハンドルの本革端材、さらにはシートベルトなどを回収し、バッグやカードケース、スニーカーなどの製品へ転換しています。
厳しい検査を通過しながらも、わずかな汚れやほつれで製品利用されなくなった高品質な素材を活用することで、廃棄物削減と地場パートナーとの連携による産業活性化を同時に推進しています。
⑭マツダ|バイオエンプラ

マツダの「バイオエンプラ(バイオエンジニアリングプラスチック)」は、植物由来原料を使用し、石油資源の使用量削減とCO2排出量抑制を実現した環境配慮型素材です。従来のプラスチックとは異なり、無塗装の状態で深みのある色合いと鏡面のような高い意匠性を実現できる技術を開発し、内装のシフトパネルや外装部品などに採用しています。
塗装工程を廃止することで、VOC(揮発性有機化合物)の削減や製造時の環境負荷低減、さらにはコスト改善をも同時に達成し、環境性能とデザイン性を両立させています。
⑮モンド|タイヤチューブ・バッグ

モンドデザインが展開する「SEAL」は、大型トラックの使用済みタイヤチューブをリサイクルし、バッグやモバイルケースとして再商品化するブランドです。タイヤチューブが持つ「水を通さない」「弾力性がある」「衝撃に強い」といった素材本来の特性を最大限に活かし、過酷な環境下でも耐えうる実用性の高い製品を実現しています。
素材の経年変化や加工箇所によって一つひとつ異なる表情を持つため、廃棄物から生まれる唯一無二のオリジナリティを強みとした、付加価値の高いリサイクルモデルを構築しています。
⑯スズキ|リサイクル・バンパー

スズキは、全国の販売店等から使用済みとなった樹脂製バンパーを回収し、再び自動車部品へと再生する資源循環の仕組みを構築しています。回収されたバンパーは、破砕機によってチップ状に加工することで輸送容積を約6分の1に圧縮し、運搬時の効率化とCO2排出量の削減を両立させています。
再生されたプラスチック原料は、エンジンアンダーカバーやフットレスト、内装部品など、高い強度が求められる新たな車体部品に活用されており、自動車メーカーとしての資源自給率向上に貢献しています。
なかでも鉄は、カーボンニュートラルの潮流のなかで電炉化が加速し、質の高い鉄スクラップの国内循環が戦略資源として注目されています。鉄のサーキュラーエコノミーへの具体的な取り組みについては、以下の記事で解説しています。

(5)小売・日用品業界の再利用製品事例
⑰花王|つめかえパックの再製品化

花王は、多種多様なプラスチック素材が重なり合うためリサイクルが困難とされていた「つめかえパック」を回収し、再び新たなつめかえパックの原料として再利用する水平リサイクル技術を確立しました。独自の「一括リサイクル技術」により、素材ごとに異なる溶解温度の最適化や、異物を物理的に除去するろ過工程を導入することで、均質で強度の高い再生フィルムの製造を可能にしています。
自社製品への再採用にとどまらず、業界全体での資源循環スキームの構築とごみゼロ社会の実現を目指しています。

⑱良品計画|ReMUJI

良品計画の「ReMUJI」は、無印良品で販売され、役割を終えた服を店舗で回収し、新たな価値を加えて再販売するアップサイクルプロジェクトです。
回収された衣服は一点ずつ検品され、江戸時代の染め直しの知恵を参考に、藍色などで染め直す「染めなおした服」や、クリーニングを施した「洗いなおした服」、複数の衣服をつなぎ合わせた「つながる服」として生まれ変わります。
単なる資源リサイクルにとどまらず、まだ着られる服に現代の工夫を凝らして長持ちさせることで、愛着を持って使い続ける循環型のライフスタイルを提案しています。
⑲テラサイクル|Loop

テラサイクルの「Loop」は、従来使い捨てられていた日用品の容器を、耐久性の高いステンレスやガラス製に置き換え、回収・洗浄して繰り返し利用する循環型ショッピングプラットフォームです。
メーカー、小売店と連携し、製品の中身だけでなく容器そのものを資産として管理することで、廃棄物を発生させない「捨てるという概念を捨てる」仕組みを実現しています。
消費者は使い終わった容器を店舗の専用ボックスに返却するだけで、高度な洗浄・充填プロセスを経て再び店頭へ並ぶという持続可能な購買体験を提供しています。
⑳コクヨ|リエデン

コクヨの「リエデン」シリーズは、琵琶湖の環境保全を目的に、増えすぎた「ヨシ」を刈り取り、紙の原料として活用したアップサイクル文房具です。ヨシを紙の原料として利用することで、水質の浄化や生態系の保護に貢献するだけでなく、素材特有の温かみのある風合いを製品に持たせています。
地域の環境課題解決と製品製造を結びつけたモデルであり、コピー用紙やノートなどのオフィス用品を通じて、企業が日常業務の中で環境保全活動に参画できる仕組みを提供しています。
2.アイデア性が高いアップサイクル製品の事例
(1)HOZUBAG|USEDパラグライダーバッグ

HOZUBAGの製品は、厳しい安全基準により飛ぶ役目を終えたパラグライダーを回収し、解体・裁断してバッグへ作り変えたものです。パラグライダー特有の薄く、軽く、非常に丈夫な素材の特性を活かしつつ、機体の配色やステッチの箇所によって一点ごとに異なるデザインを生み出しています。
京都府亀岡市に構えた自社拠点で解体から製造までを行うことで、地上資源の循環だけでなく、地域活性化や雇用の創出にも寄与するビジネスモデルを構築しています。
(2)Design Store takajin|Fire Hose Products

Design Store takajinの「Fire Hose Products」は、使用期限を過ぎて廃棄される消防用ホースをリデザインし、バッグや小物へと再生させた製品です。ホースを一本ずつ裁断・熱処理し、手作業でつなぎ合わせて生地にする工程を経て製造されており、消防用素材ならではの極めて高い防水性と耐久性を備えています。
本来は人命救助の現場で使われる強固な産業資材を、そのタフな質感を活かしつつスマートな日常使いのアイテムへと転換させた、アイデアと技術が融合した事例です。
(3)THROWBACK|VAULTIN TABLE & BENCH

THROWBACKの「VAULTIN TABLE & BENCH」は、学校の統廃合に伴い不要となった跳び箱を回収し、テーブルやベンチへとリメイクした製品です。跳び箱特有の「段ごとに分かれる」構造を活かし、上部をスツールに、下部を反転させてテーブルにするなど、元の形状を逆手に取ったユニークなデザインが特徴です。
少子化という社会背景から生まれる廃棄備品に、塗装や加工による新たな意匠性を加えることで、ノスタルジーと実用性を兼ね備えた唯一無二の家具として再生させています。
(4)UP FOOD PROJECT|COFFEE STONE

UP FOOD PROJECTが展開する「COFFEE STONE」は、日々大量に廃棄される抽出後のコーヒー粕と、海水由来のミネラル成分を組み合わせて開発されたアップサイクル素材です。陶器やセメントのように高温で焼成する必要がないため、製造時のエネルギー消費とCO2排出を極限まで抑えた低炭素なものづくりを実現しています。
プラスチックを使用しない天然素材100%の設計であり、時計やお香立てなどのインテリア製品に転換されるほか、使用後は砕いて土壌改良材として土に還すことも可能な、循環の環を閉じるアイデア製品です。
(5)JOLLY Wood Craft|廃スケートボード製品

JOLLY Wood Craftは、使用後にゴミとして処分されるスケートボードを回収し、キーホルダーや靴べらなどのウッドクラフトへ再生させるプロジェクトです。スケートボードの板が複数の着色された合板を重ねて作られている点に着目し、裁断した断面に現れるカラフルなストライプ模様をデザインの主役として活かしています。
ボード特有の頑丈さと絶妙なカーブをそのまま製品の機能性に転用しており、ストリート文化の象徴を日常に彩りを与える実用的なアイテムへと昇華させたアイデア事例です。
3.リサイクルとアップサイクルの違い
リサイクルとアップサイクルは、似て非なる概念であり、自社の廃棄物の種類や事業戦略によって、どちらのアプローチが適切かが異なります。
(1)リサイクルとは素材を原料に戻して再製品化するプロセス
リサイクルとは、使用済みの製品や廃棄物を一度原料レベルまで分解・処理し、新たな製品の素材として再び使用するプロセスを指します。
代表的な例としては、回収したペットボトルをフレークやペレット状に加工して繊維原料へ転換したり、廃ガラスを溶融して新たなガラス製品へ再生したりするケースが挙げられます。
リサイクルの特徴は、廃棄物を大量かつ継続的に処理できる点にあります。
一方で、再処理の工程でエネルギーを消費する場合があること、また素材によっては繰り返しのリサイクルで品質が低下するダウングレードが生じやすいことも課題として知られています。
(2)アップサイクルとは廃棄物に新たな価値を付加する手法
アップサイクルとは、廃棄物や不用品を単に原料に戻すのではなく、デザインや技術、アイデアを加えることで、元の製品よりも高い付加価値を持つ新たな製品へと転換する手法です。
アップサイクルの強みは、希少性や独自性を武器にプレミアム価格帯での販売が可能な点にあります。また、製品に込められた背景を消費者と共有しやすいため、ブランドコミュニケーションの観点でも効果的です。
ただし、手作業工程が多くなりがちで量産には向かない場合もあり、廃棄物の回収量と製品生産量のバランスを設計段階から考慮する必要があります。
4.廃棄物再利用製品を活用するためのポイント

廃棄物の再利用に取り組む際は、事業全体の流れを見据えた設計が不可欠です。以下に、導入を検討する際に押さえておくべき5つのポイントを解説します。
(1)廃棄物の種類と再利用可能な素材を棚卸しする
最初のステップは、自社の事業活動から発生する廃棄物・副産物を網羅的に把握することです。
製造工程で出る端材・粉砕くず、食品製造における搾りかすや規格外品、流通段階で生じる返品・余剰在庫など、廃棄物の発生源は業界によってさまざまです。
以下の視点から廃棄物の種類と再利用可能な素材を棚卸ししましょう。
| 視点 | 内容 | 具体例 |
|---|---|---|
| 廃棄物の種類 | 発生する廃棄物・副産物の分類 | 端材、粉砕くず、搾りかす、規格外品、返品、余剰在庫 |
| 廃棄量 | 発生する量 | 日次・月次の発生量 |
| 発生頻度 | 発生タイミング | 毎日発生、不定期発生 |
| 素材の均質性 | 品質・成分の安定性 | 同一素材か混合素材か |
自社だけでは規模が小さい場合でも、同業他社や異業種との共同回収によって量を確保できるケースもあるため、サプライチェーン全体を視野に入れた棚卸しが理想的です。
(2)目的に応じた方向性を決める
廃棄物の再利用は、取り組みの目的によって方向性が変わります。
目的を曖昧なままにすると、コストと成果のバランスが取れずプロジェクトが頓挫するリスクが高まるため、社内での合意形成を早期に行うことが重要です。
| 主目的 | 主な方向性 | 活用例 |
|---|---|---|
| 廃棄コストの削減 | 外部売却・廃棄物マッチング | 素材売却、産業間連携 |
| サステナビリティ指標の改善 | 資源循環・再利用率向上 | 再資源化、循環利用 |
| 新たな収益源の創出 | 再利用素材の商品化 | アップサイクル製品開発 |
| ブランド価値の向上 | 消費者接点を活用した施策 | 回収スキーム、限定製品展開 |
たとえば、廃棄コストの削減を優先するなら、外部パートナーへの素材売却や産業間の廃棄物マッチング活用が有効です。一方、ブランドストーリーの強化が目的であれば、アップサイクルによる限定製品の開発や、消費者参加型の回収スキームの設計が適しています。
(3)自社に合った再利用スキームを設計する
目的と素材の特性が明確になったら、再利用の仕組み自体を設計します。
大きく分けると、「自社内で完結するモデル」「外部パートナーと連携するモデル」「業界横断で取り組むモデル」の3つがあります。
| モデル | 内容 | 特徴 |
|---|---|---|
| 自社内完結型 | 自社内で再利用まで実施 | ノウハウ蓄積が可能、初期投資が必要 |
| 外部連携型 | 回収・再生を外部と分担 | 外部技術を活用可能 |
| 業界横断型 | 異業種連携による再利用 | 新たな用途・価値創出 |
どのモデルを採用するにしても、廃棄物の安定供給、品質の均一性確保、収益化までのリードタイムを事前に試算しておくことが、スキームの持続性を左右します。
(4)回収・分別・再資源化の運用を整える
回収・運搬の段階から環境負荷とコストを考慮した設計を組み込むことが、事業として継続できるスキームの条件となります。
消費者からの回収を伴う場合は、返却の手間を最小化する仕組み、たとえば店舗の専用ボックスや宅配回収の導入が、参加率を高めるうえで重要な要素になります。
(5)環境配慮を商品価値・情報発信に落とし込む
廃棄物再利用製品の取り組みは、背景にあるストーリーや数値で示される環境効果を適切に伝えることで、はじめて市場での訴求力を持ちます。「何の廃棄物を、どれだけ使い、どのような効果をもたらしているか」を定量・定性の両面で可視化し、製品ページや店頭POP、プレスリリースなどの情報発信に組み込むことが重要です。
環境配慮の取り組みをグリーンウォッシュと受け取られないよう、数値の根拠や第三者認証の取得なども検討に値します。
5.まとめ
技術とアイデアを掛け合わせることで、製品の差別化やブランド価値の向上、さらには新規事業の創出にまで発展させている点が、先進的な企業に共通する特徴です。
サステナビリティへの社会的要請が高まり続ける今、廃棄物の再利用は環境対応策であると同時に、競争優位を築くための事業戦略としても重要性を増しています。
サーキュラーエコノミーへの移行を進める上では、自社の資源循環の実態を把握し、具体的なスキームを設計することが重要です。特に鉄を主原料とする製品・設備の廃棄や資源循環にお困りの場合は、五十鈴株式会社の「icサーキュラーソリューション」にご相談ください。


