マテリアルフットプリントとは?資源消費の見える化と循環経済への活用

マテリアルフットプリントは、サプライチェーンの上流まで含めた天然資源の総採掘量を定量化する国際指標です。
本記事では、マテリアルフットプリントの定義から、他の環境指標との違い、SDGsや国際政策との接点、そして大企業が経営に組み込むための実践的視点まで、体系的に解説します。

五十鈴株式会社の「icサーキュラーソリューション」は、鉄を主原料とする製品・設備の廃棄・資源循環を起点に、廃棄物を国内製鉄所等へ還流させるクローズドループの構築など、脱炭素と資源循環への移行をコスト削減と両立する形で支援します。マテリアルフットプリントを踏まえた資源循環の推進や、資源効率の高い循環型の仕組みづくりをご検討の際は、お気軽にご相談ください。

目次

1.マテリアルフットプリントの定義と本質

マテリアルフットプリントは、日常的に使われる消費量という概念より、はるかに広い範囲をカバーする指標です。ここでは定義・構成要素・他指標との差異・計算方法の順に、その全体像を整理します。

参考:https://www.iges.or.jp/jp/publication_documents/pub/translation/jp/10860/JP_irp_g20_factsheet_japan_FINAL_corrected200708.pdf

(1)定義:隠れた流出を含む天然資源の総採掘量

マテリアルフットプリントとは、ある国・組織・製品が最終的な財やサービスの需要を満たすために必要とした、天然資源の総採掘量を指します。重要なのは、「自国・自社の内側で採掘したもの」だけを対象とするのではなく、輸入品の生産過程で海外において採掘された資源量まで含む点です。

例えば日本の自動車メーカーが海外産の鉄鉱石を使って国内で車を製造する場合、鉄鉱石が採掘された段階での原料換算量がマテリアルフットプリントに算入されます。

この隠れた資源流出を可視化することが、この指標の本質的な意義です。国連統計委員会は、この概念をRMC(原材料消費量)とも呼びます。採掘された天然資源が製品に加工・流通・消費されるまでのバリューチェーン全体を対象にするため、自国の生産統計だけでは把握できなかった「消費責任」を各国・各企業に問う指標として機能します。

参考:第五次循環型社会形成推進基本計画 ~循環経済を国家戦略に~ 概要|環境省

(2)マテリアルフットプリントにおける4つの資源カテゴリー

マテリアルフットプリントが対象とする天然資源は、国際的な統計フレームワーク(SEEA-MFA)に基づき、以下の4カテゴリーに分類されます。

資源カテゴリー主な対象関連する産業
金属鉱物)鉄鉱石、銅、アルミニウム、リチウム、コバルトなど電子機器・自動車・インフラに不可欠。EVやデジタル機器の普及に伴い需要が増加
非金属鉱物砂、砂利、石灰石、セメント原料など建設・製造業の基盤となる資源。採掘量のシェアが大きい
化石燃料石油、天然ガス、石炭などエネルギー源に加え、プラスチック・化学品原料としても利用
バイオマス農産物、木材、水産物、飼料など食料・繊維・バイオエネルギーの原料。土地利用や生態系とも関連

企業のマテリアルフットプリントを算出するうえでは、自社の主要製品・サービスがどのカテゴリーに依存しているかを把握することが出発点となります。業種ごとの依存傾向は以下の通りです。

製造業金属鉱物・化石燃料の比率が高い
食品・農業関連企業バイオマスが中心になりやすい

以下では、それぞれの概要をご紹介します。

①金属鉱物

鉄鉱石、銅、アルミニウム、リチウム、コバルトなどが該当します。電子機器・自動車・インフラに不可欠であり、電気自動車やデジタル機器の普及に伴い需要が急増しています。特定国への依存度が高く、地政学リスクと直結するカテゴリーです。

②非金属鉱物

砂、砂利、石灰石、セメント原料などが含まれます。建設・製造業の根幹をなす資源です。採掘量自体が膨大であるため、資源効率向上のインパクトが最も大きい領域にあたります。

③化石燃料

石油、天然ガス、石炭が対象です。エネルギー源としての消費に加え、プラスチックや化学品の原料としての物質フローも対象となります。

④バイオマス

農産物、木材、水産物、飼料など、食料・繊維・バイオエネルギーの原料となる生物由来資源を含みます。土地利用や生態系サービスとも密接に関連するカテゴリーです。

マテリアルフットプリントでは、こうした資源カテゴリーごとの特性を把握したうえで、資源循環による新規資源投入の抑制が重要になります。なかでも鉄は、製造業や建設業を支える代表的な金属資源であり、サーキュラーエコノミーとの親和性が高い資源です。鉄を中心とした資源循環の考え方や実践例については、以下の記事で詳しく解説しています。

(3)DMC(国内物的消費)との違い

企業・政府の資源統計でしばしば使われる指標に、DMC(国内物的消費)があります。DMCは「国内採掘量+輸入量-輸出量」で算出されます。わかりやすい反面、輸入品の「重量」だけを計上するため、その輸入品を海外で生産する際に発生した採掘・加工工程での資源消費を捉えられないという限界があります。

たとえば、鉄鉱石を輸入して鉄板に加工し輸出する場合、DMCでは鉄鉱石の輸入重量が計上されますが、鉱山で採掘された土砂(脈石)や採掘に要したエネルギー資源などの「裏側の資源フロー」は含まれません。

マテリアルフットプリントはこの隠れたフローを原材料換算係数(RME:Raw Material Equivalent)を用いて推計し、バリューチェーンの上流まで遡及する点でDMCより実態に即した指標といえます。グローバルサプライチェーンを持つ大企業にとっては、DMCよりMFのほうが自社の資源依存構造を正確に反映します。

参考:https://www.env.go.jp/council/former2013/04recycle/y040-74/mat02.pdf
参考:令和5年版 循環型社会白書(第3章 物質フロー指標)|環境省

(4)マテリアルフットプリントの計算方法

マテリアルフットプリントの基本的な計算式は以下のとおりです。

MF=国内採掘に帰属するRME+輸入のRME

RME(原材料換算量)とは、輸入・輸出される製品やサービスを生産するために、上流段階で採掘された原材料の総量を指します。例えば1トンのアルミ板を輸入する際には、ボーキサイト採掘から精錬・加工に至る過程での原材料消費(約4〜5トンのボーキサイトに相当)をRMEとして換算します。

国レベルでは、環境・経済統合勘定(SEEA)のフレームワークに従い、各国統計当局が算出します。企業レベルでは、以下を組み合わせて算出するアプローチが主流です。

  • 自社の調達データ
  • 産業連関表
  • ライフサイクルインベントリデータベース(LCA-DB)

算出方法ごとの特徴は以下の通りです。

算出方法特徴
サプライヤーの一次データを活用精度が高い一方で、収集負荷が大きい
業種別平均RME係数による推計導入しやすく、初期対応に利用されやすい
段階的な精緻化トップダウン推計から詳細化していく方法

現実的な起点としては、業種別の平均RME係数を用いたトップダウン推計から開始し、その後サプライヤーデータなどを用いて段階的に精度を高める手法が採用されています。

参考:https://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/oda/sdgs/statistics/data/08/Indicator8.4.1(metadata)_ja.pdf
参考:日本の物質フロー(マテリアルフットプリント)の推計方法(PDF)|環境省

2.環境指標のポートフォリオにおけるマテリアルフットプリントの立ち位置

企業のサステナビリティ担当者が直面するのは、複数の環境指標が並立するなかで、それぞれが異なる側面を測定していくことにあります。
どの指標が何を測り、どのように使い分けるべきかの位置関係を整理することが、有効な資源管理戦略の起点となります。

(1)3大指標の比較

カーボンフットプリントとの最大の違いは、排出を測るか採取を測るかという点です。カーボンフットプリントはGHGプロトコルに沿ってScope1〜3の温室効果ガス排出量を測定します。
一方マテリアルフットプリントは、その活動を支えた天然資源の採掘量に着目します。化石燃料の消費は両者に関係しますが、マテリアルフットプリントでは燃やした後のCO₂ではなく、採掘した物質として計上します。

以下では3大指標をそれぞれ比較いただけます。

指標測定対象単位SDGsターゲット企業での主な用途
マテリアルフットプリント天然資源の総採掘量(上流含む)トン/年12.2.1・8.4.1資源調達管理、循環設計、開示報告
カーボンフットプリント温室効果ガスの排出量CO₂換算トン13.2.2・9.4.1脱炭素戦略、排出量取引、Scope3管理
エコロジカルフットプリント人間活動に必要な生物生産性面積グローバルヘクタール15.1.1・12.2.2生物多様性評価、土地利用管理

脱炭素が進んでも、資源採掘量は別途削減しなければなりません。この事実を数値化するのがマテリアルフットプリントの役割です。

エコロジカルフットプリントは、人間の活動を支えるために必要な生物生産性を持つ土地面積(グローバルヘクタール)に換算する指標で、地球全体の生態系の収容能力(バイオキャパシティ)と対比されることが多い指標です。
自然資本の枯渇という面ではマテリアルフットプリントと問題意識が重なりますが、EFPは農地・林地・漁場などの面積として表現されるため、鉱物資源のように生物生産性と無関係な資源フローは十分に捉えられません。

参考:https://www.nies.go.jp/social/japansdi/nexus/method/framework.html
参考:エコロジカル・フットプリント指標について|環境省

(2)相互補完的な関係性

実務においては、各指標の特性に応じた以下の使い分けが推奨されます。

マテリアルフットプリント原材料調達における持続可能性の評価や、資源効率の向上(サーキュラーエコノミーへの移行)を測る主指標として活用
カーボンフットプリント温室効果ガス排出量に基づき、気候変動対策の進捗管理や脱炭素戦略の策定に活用
エコロジカルフットプリント土地利用や生物生産性の観点から、生物多様性への影響や自然資本のキャパシティ評価に活用

環境負荷を多角的に評価する上で、「気候(CFP)」「物質(MF)」「生態系(EFP)」は互いに補完し合う関係にあります。単一の指標のみでは、企業の環境インパクトの全体像を正確に把握することは困難です。

参考:https://www.nies.go.jp/social/japansdi/nexus/method/framework.html

【事例】ケリングの環境損益計算書(EP&L)
グッチなどの高級ブランドを擁するケリングは、独自の「環境損益計算書」を通じて、 事業が自然界に与える負荷を貨幣価値で可視化する先進的な試みを行っています。 この手法では、温室効果ガスの排出だけでなく、原材料の採掘や土地利用、 水消費といった多角的な指標を統合し、サプライチェーン全体を評価します。 単一の指標に偏らず、気候・物質・生態系への影響を横断的に把握することで、 オーガニック素材への転換など、真に持続可能な意思決定を可能にしました。 この透明性の高い開示は、投資家や消費者が企業の真の環境価値を判断する ための画期的な基準となり、ラグジュアリー業界の変革を牽引しています。

参考: EP&L(環境損益計算)

3.マテリアルフットプリントが経営課題とされる理由

マテリアルフットプリントは、環境省のレポートに載る統計的概念から、いまや大企業の取締役会が判断を求められる経営指標へと変わりつつあります。その背景には、3つの構造的な圧力があります。

参考:https://www.env.go.jp/content/000242562.pdf

(1)デカップリングの限界

デカップリングは、経済成長しながら資源消費を抑制するための取り組みです。国連環境計画(UNEP)の報告によれば、世界の資源採掘量は1970年から2017年にかけて約3倍に増加しました。GDP当たりの資源消費効率は緩やかに改善しているものの、経済規模の拡大がそれを上回り、絶対量は増え続けています。

先進国は途上国に比べてGDP当たりのマテリアルフットプリントが高い傾向にあり、消費者需要が海外の資源採掘を間接的に牽引するという構造的な問題が浮き彫りになっています。日本においても、国内での採掘活動は縮小している一方で、輸入製品における資源消費量は引き続き大きい状況です。

そのため国内の可視的な産業活動だけを見て「資源効率が向上した」と判断することは、隠れた資源依存を見落とすリスクをはらんでいます。マテリアルフットプリントはこの見えない依存を定量化し、真のデカップリングの達成度を測るものさしとなります。

参考:https://www.iges.or.jp/jp/publication_documents/pub/policyreport/jp/6849/GRO2019_J.pdf

【事例】リコーの「コメットサークル」による循環型経営
リコーは1994年に提唱した「コメットサークル」に基づき、製品のライフサイクル全体で環境負荷を減らす独自の仕組みを構築しました。 このモデルは、製品を単に販売して終わりにするのではなく、回収した複合機を部品単位で洗浄・再生し、新品と同等の品質で市場に戻す「再製造」を中核に据えています。 これにより、売上を維持しながらも、地球から掘り出す天然資源の投入量を絶対的に抑え込むことに成功しました。 効率向上だけでは消費の絶対量が増えてしまうというデカップリングの限界を克服した、製造業における極めて稀有で先駆的な好事例と言えます。 資源のループを幾重にも重ねることで、経済成長と環境保全を高い次元で両立させるビジネスモデルを現在も進化させ続けています。

参考: リコー:循環型社会の実現に向けて(コメットサークル)

(2)地政学リスクと供給網の脆弱性

電気自動車のバッテリーに欠かせないリチウム・コバルト・ニッケル、半導体製造に不可欠なレアアースなどの資源は特定の国・地域に偏在し、採掘量にも物理的な制約があります。地政学的緊張や輸出規制が現実のものとなるなか、特定資源への過度な依存は調達コストの急騰や供給途絶というリスクとして企業の損益に直撃します。

マテリアルフットプリントを算出することは、サプライチェーン上のどの資源に、どれだけの量とリスクが集中しているかを「地図化」する行為でもあります。どの製品ラインがどの資源カテゴリーに依存しているかを定量的に把握できれば、代替材料の開発・調達先の多様化・製品設計の変更といったリスク低減策を優先順位とともに検討できるようになります。

【事例】プロテリアルの高機能フェライト磁石による資源リスク回避
プロテリアルは、EV主機モーターに不可欠なレアアースの使用をゼロにできる高機能フェライト磁石「NMF15」を開発しました。 従来のネオジム磁石は、特定の地域に依存する希少な重希土類を 必要としますが、この新技術は酸化鉄を主原料に活用します。 独自のシミュレーションと設計技術を駆使し、フェライト磁石で ありながらBEVにも対応可能な100kW超の高出力を実証しました。 これにより、地政学リスクに伴う供給不安やコスト高騰という 課題を構造から解決し、持続可能な供給網の構築に貢献します。 資源の制約を技術で乗り越え、環境価値と事業の安定性を両立する 「グリーンイネイブラー」としての役割を世界に示しています。

参考:xEV駆動モーター用高性能フェライト磁石の提案を開始|プロテリアル

(3)国際的な開示潮流

制度面での圧力も急速に高まっています。EUの「企業サステナビリティ報告指令(CSRD)」は2024年から段階的に適用が始まり、一定規模以上の企業に対してサプライチェーン全体を含む資源利用の開示を義務づけています。国際サステナビリティ基準審議会(ISSB)が策定したIFRS S1・S2基準は、日本においてもSSBJ(サステナビリティ基準委員会)が対応基準を整備中です。

これらの枠組みはScope3相当の資源消費の開示を求める方向へ収斂しており、マテリアルフットプリントの概念と直接接続します。マテリアルフットプリントの計測基盤を持たない企業にとって、財務上の評価リスクとして顕在化することを意味します。

参考:https://www.meti.go.jp/shingikai/economy/hizaimu_joho/european_sustainability/pdf/001_04_00.pdf

【事例】コベストロの循環型経済と資源開示への挑戦
素材メーカーのコベストロは、全事業を循環型経済へ移行させるという 野心的な目標を掲げ、CSRDが求める厳格な資源開示に対応しています。 欧州サステナビリティ報告基準(ESRS E5)に沿って、自社の生産に 投入される資源の流入経路を透明化し、天然資源の依存度を定量化しました。 化石燃料由来の原料をバイオマスや廃棄物、回収された二酸化炭素へと 大胆に転換することで、マテリアルフットプリントの削減を推進しています。 この戦略的な資源管理は、単なる環境報告を超え、原材料価格の変動や 規制強化に伴う財務リスクを軽減する強力な経営基盤となっています。 持続可能な素材提供を通じて、バリューチェーン全体の脱炭素化を牽引し、 透明性の高い開示で資本市場からの確固たる信頼を構築しています。

参考: Covestro: Sustainability Reporting (ESRS E5 Resource Use)

4.SDGs・10YFPにおけるマテリアルフットプリントの位置づけ

マテリアルフットプリントは学術指標にとどまらず、国際社会が合意した政策フレームワークの中核に組み込まれた指標です。SDGsや国際計画との接続を理解することは、企業がこの指標に「なぜ取り組むべきか」を社内外に説明する根拠となります。

(1)SDGsターゲットの重要指標

マテリアルフットプリントは、SDGsの2つのゴールにおいて公式モニタリング指標として採用されています。

ゴール12「持続可能な消費と生産を確保する」のターゲット12.2では、「天然資源の持続可能な管理及び効率的な利用を達成する」ことを目標に掲げ、その進捗指標の一つ(12.2.1)として定められています。
さらにゴール8「働きがいも経済成長も」のターゲット8.4では、「グローバルな資源効率を改善する」という文脈で、同じ指標(8.4.1)が設定されています。

つまり、マテリアルフットプリントは環境と経済の両面から資源効率を問う指標として国際社会に位置づけられています。企業がMFを報告することは、SDGs経営の実践を定量的に示す手段として機能します。

参考:https://www.env.go.jp/policy/hakusyo/h29/pdf/1_1.pdf

(2)10YFP(持続可能な消費と生産に関する10年計画)

持続可能な消費と生産に関する10年計画枠組みは、2012年のリオ+20サミットで採択された国際的な行動枠組みであり、SDGsターゲット12.1の実施手段として組み込まれています。
10YFPは、政府・企業・市民社会が連携して持続可能な消費と生産のパターンへ転換するための具体的なプログラムを推進します。その中核テーマの一つが資源効率であり、マテリアルフットプリントはその進捗をモニタリングする指標として活用されています。

G20では資源効率対話を通じて、MFの削減目標と政策措置の共有が行われており、先進国・新興国を含む国際的な規範形成の文脈でこの指標が使われていることを企業は認識しておく必要があります。
日本においても、環境省が策定した「第四次循環型社会形成推進基本計画」のなかで、資源生産性(GDP÷物質投入量)とともにMF関連の指標が参照されており、国内政策との接続も確認できます。

参考:https://www.env.go.jp/press/100734.html

5.企業がマテリアルフットプリントを導入するメリットと経営価値

マテリアルフットプリントの算出は計測プロセスそのものが、コスト構造の見直し・製品設計の変革・資本市場での評価向上という三方向の経営価値を生み出す起点となります。

(1)統合報告書・サステナビリティレポートの信頼性向上

現在、多くの日本企業のサステナビリティ報告はCO₂排出量・水使用量・廃棄物量を中心に構成されています。しかしESG評価機関や機関投資家が求める情報は、バリューチェーンの上流やサプライチェーン全体での資源消費量へと移行しつつあります。

マテリアルフットプリントを非財務情報に組み込むことで「当社は何トンの天然資源採掘に依存した事業を行っているか」という問いに、定量的かつ再現可能な形で答えられるようになります。算定プロセスの透明性と第三者保証が伴えば、情報の信頼性は一段と高まります。これは投資家スクリーニングにおけるリスク評価改善に直結し、ESG評価スコアの向上にも寄与します。

【事例】住友化学の「Sumika Sustainable Solutions」
住友化学は独自の認定制度を通じて、製品のライフサイクル全体における 環境貢献度を定量的に評価し、情報の透明性と信頼性を高めています。 この取り組みでは、原材料の調達から廃棄に至るまでの資源効率や 温室効果ガスの削減効果を、社外有識者の意見を交えて厳格に審査します。 マテリアルフットプリントの概念に通じる上流工程からの負荷低減を 可視化することで、投資家に対して事業の持続可能性を明確に示しています。 認定製品の売上拡大を経営目標の指標として掲げており、非財務情報と 財務パフォーマンスを直結させた先進的な情報開示を実践しています。 科学的根拠に基づくデータ公表により、ステークホルダーからの確固たる 信頼を構築し、化学技術による社会課題の解決を力強く牽引しています。

参考:事業を通じた貢献Sumika Sustainable Solutions(SSS)

(2)原材料コストの削減と資源効率の高い製品設計への転換

マテリアルフットプリントを製品・製品群ごとに算出すると、どの工程・どの部材が資源消費の「ホットスポット」であるかが可視化されます。このデータは製品設計へのフィードバックとして機能し、具体的な変革を促します。

素材の軽量化・代替材の採用・部品の共通化・廃材の再利用設計など、資源効率を高める設計変更は、原材料調達コストの削減とMFの低減を同時に達成します。製品ライフサイクル全体でのコスト試算にMFを組み込むことで、「安く調達できる素材」ではなく「資源効率の高い素材」を選ぶ意思決定基準へと転換できます。

【事例】エアバスの3Dプリンティングによる資源効率の革新
航空機大手のエアバスは、バイオニックデザインと3Dプリンティングを融合させ、 機体部品の劇的な軽量化とマテリアルフットプリントの削減を実現しています。 従来の工法では金属の塊から削り出す際に多くの材料が廃棄されていましたが、 この「積層造形」により、必要な場所にのみ素材を配置することが可能となりました。 その結果、部品重量を最大で約45%削減し、製造工程での材料ロスを最小化しつつ、 原材料の調達コストと飛行時の燃費効率の両面で大きな成果を上げています。 マテリアルフットプリントの「ホットスポット」を最新技術で克服したこの事例は、 資源集約型産業が目指すべき持続可能な設計思想の先駆的なモデルと言えます。 高度な計算に基づき自然の構造を模倣した部品は、航空宇宙分野の未来を拓いています。

参考:Airbus: Pioneering bionic 3D printing(英語)

(3)ESG投資家からの評価獲得とグリーンファイナンスの活用

グリーンボンドやサステナビリティリンクローンなどのグリーンファイナンスでは、調達資金の使途や企業全体のサステナビリティ目標に対して明確なKPIが求められます。マテリアルフットプリントの削減目標は、こうした金融商品のKPIとして設定できる定量指標の一つです。

MSCI・FTSE Russell・SAM(CSA)などのESG評価フレームワークでは、資源効率・廃棄物・原材料管理に関する定量開示の有無と精度が評価スコアに反映されます。MFを算出・開示し、削減目標を設定している企業は、これらのカテゴリーで加点要因を持つことになります。長期投資家にとって「資源消費の絶対量が将来も増え続けるビジネスモデル」はリスクとなります。MFの管理はそのリスク認識を払拭する手段でもあります。

【事例】サントリーのサステナビリティ・リンク・ローン
サントリーグループは、清涼飲料事業の要であるペットボトルの 資源循環を加速させるため、サステナビリティ・リンク・ローンを締結しました。 この融資では、2030年までに全世界でペットボトルの100%を リサイクル材やバイオベース素材へ転換するという高い目標をKPIに設定しています。 天然資源である新規採掘の化石燃料への依存を断つ姿勢を明確に示すことで、 目標の達成状況に応じて金利が変動する仕組みを通じ、金融市場との対話を強化しました。 マテリアルフットプリントの削減に向けた具体的なコミットメントを財務戦略に統合し、 ESG投資家からも資源効率とリスク管理の両面で極めて高い評価を得ています。 持続可能な容器包装の実現に向け、環境価値と経済価値を同期させる経営を推進しています。

参考:グリーンボンド|サントリーグループ

6.サーキュラーエコノミー実装におけるマテリアルフットプリントの戦略的活用

サーキュラーエコノミーへの移行は、資源の使い方そのものを再設計することを意味します。ここでは、サーキュラーエコノミー実装におけるマテリアルフットプリントの戦略的活用について解説します。

(1)循環型ビジネスモデルへの転換

リニアエコノミー(採掘→製造→廃棄)の構造下では、製品を販売するたびにマテリアルフットプリントが積み上がります。サーキュラーエコノミーはこの一方向の流れを循環させ、同じ素材・製品を繰り返し使うことでMFの絶対量削減を目指す経済モデルです。

製品-as-a-Service(PaaS)モデルや修理・再製造(リマニュファクチャリング)モデルへの転換は、製品の所有権を企業側に留めることで、資源の回収・再利用を設計に組み込みやすくします。MFを「製品1台あたりの資源採掘量」として算出すると、モデル転換後の削減効果を定量的に示すことができ、経営判断の根拠として活用できます。

【事例】コマツの「Reman」による循環型ビジネスモデル
建設機械大手のコマツは、使用済みのエンジンやトランスミッション などの主要部品を回収し、新品と同等の品質に再生する「Reman」 事業をグローバルに展開しています。この再製造モデルは、ゼロから 部品を鋳造する際に必要な天然資源の投入量を大幅に削減し、 マテリアルフットプリントの絶対量を抑制する画期的な試みです。 所有権の管理や高度なモニタリング技術を活用し、資源を使い捨てる リニアな構造から、素材を循環させるサーキュラー型へと転換しました。 この取り組みは、顧客のコスト低減と環境負荷の最小化を両立させ、 資源制約に左右されない強靭なビジネスモデルを構築しています。 再製造を通じて資源の価値を最大化し、持続可能な社会の実現と 企業の成長を高い次元で同期させた、日本が誇る循環経済の好例です。

参考:リマン事業の展開|コマツ

(2)サーキュラーデザインへの応用

製品のマテリアルフットプリントを最も効果的に削減できるのは、廃棄・回収の段階ではなく設計の段階です。使用する素材の採掘負荷・リサイクル可能性・生物由来の代替可能性などをデザイン段階で評価するサーキュラーデザインの実践において、MFデータは定量的な選択基準を提供します。

具体的には、素材ごとのRME係数(原材料換算量)を用いることで、「この素材をリサイクル素材に切り替えると、製品1単位あたりのMFが何%低減できるか」を設計段階で試算できます。リサイクル素材・バイオベース素材・長寿命化設計の採用判断をデータドリブンで行えるようになります。

【事例】TOTOの長寿命化と素材最適化の設計
住宅設備大手のTOTOは、製品の設計段階から「長寿命」「資源循環」を 高度に融合させたサーキュラーデザインを実践しています。 水栓金具などの開発において、摩耗しやすい部品のみを容易に交換できる ユニット設計を採用し、製品全体の耐用年数を大幅に延ばすことに成功しました。 また、リサイクルを容易にするために単一素材での構成を追求するなど、 廃棄段階での資源回収を見据えた素材選定をデータに基づいて行っています。 この設計思想により、製品1年あたりのマテリアルフットプリントを低減し、 新規資源の投入抑制と環境負荷の最小化を高い次元で両立させました。 確かな品質と持続可能性を両立させる同社の姿勢は、長期的な視点を持つ 投資家や顧客から、資源効率の高いビジネスモデルとして信頼を得ています。 水まわりから地球の未来を見据え、資源の価値を永続させる挑戦を続けています。

参考:TOTO株式会社の取組事例|J4CE

(3)サプライチェーン全体の資源管理と拡大生産者責任の強化

拡大生産者責任(EPR:Extended Producer Responsibility)は、製品の製造者が廃棄物処理・回収・リサイクルのコストと責任を担う仕組みです。欧州ではプラスチック包装・電子機器・電池などの分野でEPRの義務化が拡大しており、日本でも容器包装・家電・小型電子機器で制度が整備されています。

マテリアルフットプリントをサプライチェーン単位で把握することは、EPR対応コストの試算とリスク評価に直結します。同時に、サプライヤーとのデータ共有・契約条件への環境基準組み込みなど、調達方針そのものをMFを軸に再設計する取り組みが、責任ある資源管理の実践として評価されます。

【事例】テラサイクル「Loop」による容器の拡大生産者責任
テラサイクルが展開する「Loop」は、従来使い捨てられてきた日用品の 容器を耐久性の高い素材に変え、回収・洗浄して再利用する仕組みです。 このプラットフォームにより、製造者は製品が廃棄物になるのを防ぎ、 容器を「資産」として循環させ続ける拡大生産者責任を全うしています。 サプライチェーン上の物質フローをデータ化し、使い捨てに伴う膨大な マテリアルフットプリントを構造的に削減する先進的なモデルです。 消費者は利便性を損なうことなく、返却という行為を通じて資源保護に 直接参加でき、企業は規制対応コストをブランド価値へと転換できます。 容器の「所有」から「利用」への転換は、未来の資源管理のあり方を 示すとともに、地球環境への負荷を劇的に抑える解決策となっています。

参考:Loop|テラサイクル

(4)サーキュラリティ指標との連携

ISO 59020(サーキュラリティの測定と評価)など、循環型経済の実践を定量化する国際標準との連携も重要な視点です。サーキュラリティ指標は「投入資源のうち循環由来がどれだけあるか」「製品・素材がどれだけ循環しているか」を測定しますが、そのベースラインとなる資源投入量の把握にマテリアルフットプリントが機能します。

MFが「天然資源採掘への依存量」を測り、サーキュラリティ指標が「循環の達成度」を測る、そのような両者を組み合わせることで、企業は「どれだけ採掘に依存しているか」「どれだけ循環で代替できているか」を同一の軸で管理できます。これが真の意味での資源循環経営の計器盤となります。

【事例】フィリップスのサーキュラリティ指標による経営管理
フィリップスは、世界に先駆けて「サーキュラー・レベニュー」という 独自の財務指標を導入し、経営の意思決定に直接反映させています。 この指標は、再生材の利用や製品の再製造、サービス化(PaaS)など、 循環型モデルから得られる売上を定量化し、その進捗を測定するものです。 WBCSDの指標(CTI)を活用し、天然資源への依存度をベースライン として、循環による代替率を経営の「計器盤」でリアルタイムに管理します。 2025年までに売上の25%を循環型製品から生み出すという高い目標を掲げ、 資源消費と経済成長を分離させるデカップリングを実証し続けています。 国際標準ISO 59020の精神を先取りした透明性の高い開示姿勢は、 ESG投資家からも「未来のリスクに強い企業」として厚い信頼を得ています。

参考:Philips: Our Circular Economy approach and metrics(英語)

7.マテリアルフットプリントの計測・運用における課題と解決策

理論上の意義と実務上の難度は別の問題です。MFの計測に本格的に取り組もうとする企業が最初に直面するのは、データの壁・標準化の壁・組織の壁という三つの障壁です。しかしこれらは克服不可能な壁ではなく、デジタル技術と組織設計の工夫によって段階的に乗り越えられる課題でもあります。

(1)上流サプライチェーンの透明性確保とデータ収集の効率化

MFの精度を高めるうえで最大の障壁は、Tier2以降の上流サプライヤーからの一次データ取得の難しさです。多くのグローバルサプライチェーンでは、原材料採掘国の情報が数十社・数百社を経由して自社の調達部門に届くまでに不透明化します。

現実的な対応として、まずは業種別のRME係数データベース(ecoinvent・GaBiなど)を用いたトップダウン推計でベースラインを算出し、その後リスクの高い資源カテゴリーや主要サプライヤーから順に一次データ収集の範囲を拡大していくアプローチが有効です。サプライヤーへの質問票設計・回答支援・データポータルの整備など、サプライヤーエンゲージメントの仕組みを並行して構築することが、データ精度の段階的向上につながります。

【事例】アップルのサプライチェーン透明性と資源循環
アップルは、2030年までに全ての製品を再生可能またはリサイクル 素材で作るという野心的な目標を掲げ、上流工程の透明性を追求しています。 独自の「サプライヤー・データ・ポータル」を通じて、コバルトや リチウムといった重要資源の採掘地から精錬所までの詳細なデータを収集し、 マテリアルフットプリントの精緻な把握とリスク管理を徹底しています。 自社開発の解体ロボットにより、使用済み製品から高純度の素材を 回収して再びサプライチェーンへ戻す「クローズドループ」を構築しました。 サプライヤーに対しても再生材の使用を義務付け、教育支援を行うことで、 バリューチェーン全体での物質消費の抑制とデータ精度の向上を両立させています。 このデータ駆動型のアプローチは、資源依存からの脱却を目指す グローバル企業の先駆的なモデルとして、ESG投資家からも高く評価されています。

参考:Environmental Progress Report|Apple

(2)算定方法の国際標準化とデジタルプロダクトパスポートの活用

現状、企業レベルのMF算定には統一された国際標準が存在せず、算定の前提条件・使用するデータベース・システム境界の設定が企業・機関によって異なります。これが「他社との比較」「サプライチェーン横断での集計」を難しくしています。
この課題に対しては、ISOやUNEPが進める資源効率の計測標準化の動向を注視しつつ、自社の算定ロジックを文書化・透明化することが先行投資となります。

また、EUが制度化を進める「デジタルプロダクトパスポート(DPP)」は、製品ごとの素材情報・リサイクル含有率・環境フットプリントを標準化されたフォーマットで記録・共有する仕組みです。デジタルパスポートへの対応を見据えてデータ構造を整備しておくことは、将来のMF計測の自動化・効率化に直結します。

【事例】ボルボの世界初バッテリーパスポート導入
ボルボ・カーズはEV「EX90」において、世界で初めて バッテリーパスポートを導入し、資源の透明性を極限まで高めています。 このシステムは原材料の採掘地からリサイクル材の含有率、 製造時のカーボンフットプリントまでをデジタルで記録・共有するものです。 2027年から欧州で義務化される規制に先駆け、ブロックチェーン技術を 活用してサプライチェーン全体の正確なデータを可視化しました。 これにより、マテリアルフットプリントの算定が標準化された形式で 自動化され、資源効率の改善をデータに基づいて迅速に行うことが可能です。 デジタルプロダクトパスポートの先駆者として、単なる法規制への対応を 超えた「資源を資産として管理する」デジタル経営を実践しています。 持続可能なモビリティの実現に向け、業界の標準化を強力に牽引しています。

参考(ボルボ・カーズのバッテリートレーサビリティ): Volvo Cars: World’s first battery passport (English)

(3)部門横断型(調達・設計・ESG)の推進体制とKPIの策定

MFは本来、調達部門のみが担う指標ではありません。採掘量は設計段階での素材選択に大きく依存するため、製品設計・R&D・調達・サステナビリティの各部門が共通の指標として扱う体制が不可欠です。

実践的には、マテリアルフットプリント削減目標を事業部門のKPIに組み込むことから始めることをお勧めします。「製品1単位あたりのMF削減率(対前年比)」「リサイクル素材比率」「リスク集中資源カテゴリーの調達多様化率」など、部門の役割に応じたKPIに分解することで、MFが経営管理指標として機能し始めます。
経営会議でのレビュー対象とすることで、資源効率が財務指標と同等の優先順位で議論されるようになります。

【事例】ソニーの「Road to Zero」と部門横断的な資源管理
ソニーグループは、2050年までに環境負荷をゼロにする長期計画 「Road to Zero」を掲げ、設計から調達までが一体となった体制で マテリアルフットプリントの削減に挑んでいます。独自の環境中期目標 「Green Management 2025」では、製品一台あたりの新規投入 プラスチック量の削減をKPIに設定し、全部門が共通の評価軸で動きます。 設計段階から環境アセスメントを義務付け、R&D部門が開発した 再生プラスチックを事業部が製品へ導入する連携フローを確立しました。 この部門横断的な取り組みにより、バージン材への依存を抑えながら 製品の付加価値を高める、データ駆動型の資源循環経営を実現しています。 単なる素材の置き換えに留まらず、パッケージのプラスチック全廃など ライフサイクル全体で資源消費を抑制する姿勢は業界を牽引しています。 経営層が定期的に進捗をレビューすることで、資源効率が財務と同等の 優先順位で議論される、強固なガバナンス体制を構築しています。

参考(ソニーグループの環境活動): ソニー:環境中期目標 Green Management 2025

(4)トレーサビリティ技術の実装による計測・報告の自動化

データ収集の工数と精度のトレードオフを解消するうえで、デジタル技術の活用は不可欠です。ブロックチェーンを用いたサプライチェーントレーサビリティシステムは、原材料の産地・採掘量・加工履歴を改ざん不能な形で記録し、マテリアルフットプリント算出のためのデータを自動的に蓄積します。IoTセンサーによる工場内の資源投入量リアルタイム計測、APIを通じたLCAデータベースとの連携なども、計測・報告の自動化を加速させます。

サーキュラーエコノミーのデジタル基盤として統合的な資源管理プラットフォームを構築することは、MFの計測・削減・報告を効率化するだけでなく、製品設計から廃棄・回収までのデータを一元管理するビジネスインフラとなります。マテリアルフットプリントの運用を起点にデジタル変革を設計することが、持続可能な資源経営の実装における最短経路といえます。

【事例】旭化成の「BLUE Plastics」による資源循環のデジタル化
旭化成は、ブロックチェーン技術を活用した資源循環プラットフォーム 「BLUE Plastics」を構築し、再生プラスチックの透明性を高めています。 このシステムは廃材の回収から製品化までの全工程を記録することで、 改ざん不能なトレーサビリティを実現し、資源投入の自動計測を可能にしました。 従来は困難だった素材の「出所」「再生比率」をデジタルデータとして 可視化し、マテリアルフットプリントの正確な把握と報告を支援しています。 消費者がQRコードを通じて製品の循環履歴を確認できる仕組みも提供し、 信頼を基盤としたサーキュラーエコノミーのデジタル社会実装を牽引しています。 デジタル変革を資源管理のインフラとして統合し、計測の自動化と削減の 両立を図る同社の取り組みは、持続可能な資源経営の最短経路を示す事例です。 業界横断でのデータ連携を視野に、透明性の高い資源循環の未来を切り拓いています。

参考: 旭化成:デジタル技術を活用したプラスチック資源循環の取り組み

8.まとめ

マテリアルフットプリントは、企業の「見えない資源依存」を可視化する指標です。サプライチェーンの上流まで遡及して天然資源の総採掘量を測るこの概念は、CO₂排出削減に注力してきた多くの企業にとって、次のフロンティアを示しています。

五十鈴株式会社の「icサーキュラーソリューション」は、鉄系廃棄物のクローズドループ構築を通じて、マテリアルフットプリントの低減につながる資源循環の仕組みづくりを支援します。資源効率の向上と循環型経営の実現をご検討の際は、ぜひご相談ください。

監修

早稲田大学法学部卒業後、金融機関での法人営業を経て、中小企業向け専門紙の編集記者として神奈川県内の企業・大学・研究機関を取材。
2013年から2020年にかけては、企業のサステナビリティレポートの企画・編集・ライティングを担当。2025年4月よりフリーランスとして独立。
企業活動と社会課題の接点に関する実務経験が豊富で、サステナビリティ分野での実践的な視点に基づく発信を強みとしている。