ホールで使用したパチンコ台やパチスロ機は、家電のように回収方法を定めた個別のリサイクル法の対象ではない一方で、資源有効利用促進法の指定製品として業界団体による回収の仕組みが整備されています。使用済み遊技機は有価物として取引される場合があるものの、管理体制が不十分な業者に引き渡すと、不法投棄や部品の不正流用につながるおそれがあります。業界が整備した回収ルートと排出事業者として確認すべき事項を押さえたうえで、処理方法ごとの費用と経営上の効果を同じ前提で比較することが、適切な判断につながります。
五十鈴株式会社の「icサーキュラーソリューション」は、返品や使用済み製品など、事業の中で定期的に発生するモノの資源循環を一括で支援するサービスです。回収したモノは状態に応じて再販・リユースを優先し、新たな製品の製造や廃棄に伴う排出を抑えます。鉄を含む製品・設備については、国内製鉄所へ還流させるクローズドループの構築まで対応し、鉄スクラップを原料として生かすことで脱炭素にもつなげます。ホールの閉店や改装、遊技機の入れ替えに伴う資源循環を検討する場合は、ぜひご相談ください。

1.パチンコ台のリサイクル前に確認する法的な位置付け

パチンコ台のリサイクルでは、廃棄物処理に関する法令と、資源の有効利用に関する法令の両方が関係します。有償で売却できる台であっても、取引の条件によっては廃棄物として扱われ、引渡し先の処理が不適正であれば排出したホール側の責任が問われる場合があります。処理ルートを選ぶ前に、法令上の位置付けと排出事業者としての責任の範囲を整理しておくことが実務の起点です。
(1)廃棄物処理法上の扱いと排出事業者責任
パチンコ台には、家電リサイクル法のように回収や処分の方法を個別に定めた法律はありません。ホールなどの事業活動で使用した遊技機を廃棄する場合は、廃棄物の処理及び清掃に関する法律(廃棄物処理法)に基づき、産業廃棄物として許可を受けた処理業者に処理を委託します。
廃棄物処理法は、事業者がその事業活動に伴って生じた廃棄物を自らの責任において適正に処理しなければならないと定めています。処理を委託した場合も、引き渡した時点で責任が終わるわけではなく、最終処分が完了するまで排出事業者としての責任が残ります。不適正な処理を行う業者に委託し、適正な対価を負担していないなど排出事業者として当然の注意を怠っていたと認められる場合は、排出事業者も措置命令の対象となる可能性があります。
実務では、撤去する遊技機の処理ルートを決める前に、委託予定の業者が許可を受けているか、行政処分の履歴がないかを確認します。委託する場合は、委託契約書の締結とマニフェストの交付を行い、いずれも5年間保存します。
参考:https://web-archive.nichiyukyo.or.jp/FileUpload//files/202111_遊技機適正処理ガイドブック.pdf
参考:https://p-recycle.or.jp/faq/
図3-1-23は、産業廃棄物の新規不法投棄事案について、1995~2022年度の件数と投棄量を示しています。2022年度は134件、約4.9万トンで、1990年代後半より件数は減少したものの、事案はなお発生しています。排出事業者責任が引渡し後も続き、委託先の許可・処理実態・対価を確認する必要性を裏付ける資料です。全産業廃棄物の集計であり、パチンコ台に限定した値ではありません。また、投棄量は大規模案件の有無で年度間の振れが大きくなります。
参考:https://www.env.go.jp/policy/hakusyo/r06/html/hj24020301.html

(2)有価物として取引する場合の注意点
使用済み遊技機は、中古機や部品の需要があるため、有価物として取引される場合があります。有償で売却できる場合は廃棄物処理法の適用を受けませんが、取引の条件によっては廃棄物として扱われる点に注意が必要です。
遊技機リサイクル推進委員会が発行した遊技機適正処理ガイドブックでは、不要になった遊技機を無償で引き取ってもらう場合は廃棄物に該当し、有償で売却する場合でも、負担した輸送費が売却代金を上回る逆有償の状態であれば廃棄物扱いとなる可能性があると整理されています。廃棄物か有価物かは、物の性状、排出の状況、通常の取扱い形態、取引価値の有無、占有者の意思を総合的に勘案して判断され、当事者間に有償譲渡契約書があることだけで有価物と判断されるわけではありません。
同ガイドブックは、有価物として売却する場合も、売却後の遊技機が不法投棄などにつながらないよう、最終使用者として適正処理への注意を払うべきとの考え方を示しています。担当者は、売却額だけで引取先を決めるのではなく、売却代金と輸送費の収支、引取先の事業実態、購入後の利用方法を確認したうえで取引を判断します。
参考:https://web-archive.nichiyukyo.or.jp/FileUpload//files/202111_遊技機適正処理ガイドブック.pdf
(3)資源有効利用促進法の指定とリサイクルの実績
ぱちんこ遊技機と回胴式遊技機は、資源の有効な利用の促進に関する法律(資源有効利用促進法)において、指定省資源化製品と指定再利用促進製品に指定されています。指定を受けた製品のメーカーには、設計や製造の段階から材料、構造、分別のしやすさを工夫する取り組みが求められ、遊技機ではマテリアルリサイクルの数値目標が75%と定められています。
これらの措置はメーカーを主な対象とするもので、ホールに回収やリサイクルの義務が直接課されるわけではありません。ただし、指定を受けたことを背景に業界団体が回収の仕組みを構築しており、日本遊技機工業組合の遊技機回収管理センターが公表する2024年度のリサイクル量の割合は、パチンコ機で98.1%、パチスロ機で91.9%となっています。
ホールにとっては、業界の回収ルートを利用することが、指定製品としてのリサイクルの取り組みに参加する具体的な手段になります。社内の環境報告や取引先への説明で遊技機の処理状況を示す場合も、こうした公表データと自社の排出記録を組み合わせることで、取り組みの位置付けを明確にできます。
参考:https://www.env.go.jp/recycle/recycling/recyclable/gaiyo.html
参考:https://kaishu.nikkoso.jp/recycle/effort/
使用済み遊技機のリサイクル量比率は、パチンコ機が2015年度96.1%から2024年度98.1%へ上昇し、パチスロ機も83.1%から91.9%へ改善しています。メーカー・業界団体が整備した回収ルートが、高い資源化実績につながっていることを示し、ホールが推奨経路を選ぶ意義を補足します。比率は引取後に処分した使用済み機の重量ベースで、中古機として再使用されるものは除外されています。機種構成や処理方法により年度ごとの値は変動します。
参考:https://kaishu.nikkoso.jp/recycle/effort/
(4)不正改造を防ぐ基板・ROMの管理
遊技機のリサイクルでは、資源化とあわせて、取り外した基板やROMが不正改造に流用されないよう管理することが求められます。遊技機リサイクル推進委員会がリサイクル業者を選定する基準には、ROMを破壊すること、基板等は破砕したうえでリサイクル提携業者に引き渡すこと、処理の各過程で製造番号による管理を行うことが含まれています。
同基準では、不正改造に利用される恐れのある基板類は国内での処理を原則とし、解体後の各種素材のリサイクルや委託処理も国内処理を基本とするとしています。引取先の管理が不十分な場合、ホールから排出された部品が不正な用途に使われるリスクが生じます。
担当者は、引取先を選ぶ際に、基板やROMの破壊方法、製造番号による管理の有無、保管場所の警備体制を確認します。業界の回収ルート以外の業者に引き渡す場合は、これらの管理方法を契約書や確認書で取り決め、処理状況を後から確認できる状態にしておくことが実務上の対応になります。
参考:https://web-archive.nichiyukyo.or.jp/FileUpload//files/202111_遊技機適正処理ガイドブック.pdf
2.業界団体が整備したパチンコ台の回収ルート

使用済み遊技機の回収には、メーカーや業界団体が整備し、適正処理を業界として管理できる推奨経路があります。推奨経路は費用負担や利用条件がそれぞれ異なるため、撤去する台のメーカーや台数に応じて使い分けることで、処理費用と管理負担の両方を抑えられます。自社で個別に業者を確認する負担を減らせる点も、推奨経路を利用する実務上の利点です。
遊技機適正処理ガイドブックが示す推奨経路の概要は次のとおりです。
| 経路 | 運営・選定の主体 | 費用負担の考え方 | 利用時の確認事項 |
|---|---|---|---|
| メーカーの下取り・買取り | 各遊技機メーカー | 新台納品時の下取りなど型式ごとの条件 | 日工組・日電協が公表する実施型式 |
| 日工組遊技機回収システム | 日本遊技機工業組合 | 処理費用は当該メーカー負担、引取りは無償 | 日工組加盟メーカーの機種であること、回収依頼書の提出 |
| 遊技機リサイクル協会システム | 一般社団法人遊技機リサイクル協会 | 参加メーカー機の解体費用はメーカー負担 | 所有権の協会への移転、指定処理業者での処理への同意 |
| 遊技機リサイクル選定業者 | 遊技機リサイクル推進委員会が選定 | 売却または処理委託の個別条件 | 許可内容、処理工程 |
| 登録販売業者 | 販売商社の組合員 | 中古機としての取引条件 | 中古遊技機の販売資格 |

(1)日工組遊技機回収システム
日工組遊技機回収システムは、ぱちんこ遊技機メーカーの団体である日本遊技機工業組合が中心となって構築した、使用済み遊技機とその部品の回収・処理の仕組みです。2003年に関東地区で回収を開始し、2005年に全国へ拡大したのち、廃棄物処理法の広域認定を取得して2010年4月から現在のシステムで運用されています。
回収の対象は全国のホールと、全国遊技機商業協同組合連合会傘下の組合に加盟する販売会社です。ホールは遊技機回収依頼書兼回答書に必要事項を記入してメールまたはFAXで送り、輸送会社と引取日時を調整します。回収は無償で行われ、引渡し後に回収伝票を受け取ります。回収された台は回収センターでメーカー別に仕分けられ、各メーカーが部品リユースを指向したリサイクル処理を行います。機種によっては有価物として回収できる場合もあり、その場合は指定の回収会社に直接問い合わせます。
対象は日工組加盟メーカーの遊技機に限られるため、撤去台のメーカーが参加メーカー一覧に含まれているかを依頼前に確認します。回収後の処理結果は遊技機回収管理センターのシステムで照会できるため、回収伝票とあわせて処理状況を記録として残しておくと、排出事業者としての確認の経緯を示せます。
参考:https://kaishu.nikkoso.jp/recycle/
参考:https://kaishu.nikkoso.jp/recycle/flow/
(2)遊技機リサイクル協会システムとメーカーの下取り・買取り
遊技機リサイクル協会システムは、首都圏の遊技業組合が2002年に開始したモデルケースを基に、2007年に設立された一般社団法人遊技機リサイクル協会が運営する仕組みです。遊技機適正処理ガイドブックによると、2021年11月時点で41都府県方面組合が参加しています。
参加しているメーカーの台であれば解体費用はメーカーが負担し、ホール側の負担は運賃も含めて基本的に発生しないとされています。ただし、一部地域では例外があり、利用にあたっては排出台の所有権を協会に移転することと、協会が指定した処理業者で処理することへの同意が条件になります。所有権が移転するため、同じ台を中古機として売却することはできなくなる点を踏まえて利用を判断します。
メーカーによる下取り・買取りは、新台を導入する際に入れ替えた台をメーカーが引き取る方法です。対象となる型式は、日本遊技機工業組合や日本電動式遊技機工業協同組合のホームページで公表されています。メーカーの中には、一定期間稼働した使用済み遊技機を引き取り、別スペックに改修して再納品するリユースの仕組みを構築しているところもあるため、新台の導入計画とあわせて下取りの条件を確認しておきます。
参考:https://web-archive.nichiyukyo.or.jp/FileUpload//files/202111_遊技機適正処理ガイドブック.pdf
(3)遊技機リサイクル選定業者と登録販売業者
遊技機リサイクル選定業者は、日本遊技関連事業協会、全日本遊技事業協同組合連合会、日本遊技機工業組合、日本電動式遊技機工業協同組合、全国遊技機商業協同組合連合会、回胴式遊技機商業協同組合で構成される遊技機リサイクル推進委員会が、遊技機を適正にリサイクルできる処理業者として選定した事業者です。
選定は、排出事業者責任として確認すべき事項と遊技機のリサイクル能力に関する基準に基づき、書類審査と必要に応じた現地実査によって行われ、選定後も定期的に現地実査が実施されています。選定業者は2021年11月時点で26社です。基準には、液晶などの部品を取り外して再利用できること、鉄・非鉄金属・木材・合成樹脂などできるだけ多種類の素材を回収できること、単なる焼却処理をしないことなどが含まれています。
登録販売業者は、中古遊技機の販売資格を持つ販売会社で、適正な管理のもとで使用済み遊技機を排出する経路として位置付けられています。選定業者や登録販売業者を利用する場合でも、取引条件は個別に決まるため、見積もりの内容と処理方法、書類の取扱いを取引ごとに確認します。
参考:https://web-archive.nichiyukyo.or.jp/FileUpload//files/202111_遊技機適正処理ガイドブック.pdf

3.パチンコ台のリサイクル方法の比較|売却・資源循環・廃棄

パチンコ台の処理方法は、型式の需要や台の状態だけでなく、撤去台数、メーカーの構成、推奨経路を利用できるかによって適否が変わります。費用は処理費だけでなく、運搬費や引取先の確認にかかる社内の負担も含めて評価する必要があります。法令上の責任と経営上の効果もあわせて比較することで、自社に合った処理方法を判断できます。
| 比較項目 | 売却(中古機) | 資源循環(回収システム・選定業者) | 廃棄(産業廃棄物) |
|---|---|---|---|
| 対象となる台 | 需要があり中古機として設置が見込める型式 | 中古機としての需要がない台 | 推奨経路で受け入れられない台や部材 |
| 主な引渡し先 | 登録販売業者、メーカーの買取り | 日工組遊技機回収システム、遊技機リサイクル協会、選定業者、メーカーの下取り | 推奨経路以外の産業廃棄物処理業者 |
| 主な書類 | 売買契約書、取引記録 | 回収伝票、処理結果の記録、取引記録 | 委託契約書、マニフェスト |
| 費用構造 | 買取額から運搬費などを差し引いた収支 | 参加メーカー機は処理費用または解体費用をメーカーが負担 | 運搬費・処分費の合計 |
| 排出側で確認する事項 | 購入後の利用方法、引取先の管理体制 | 参加メーカーの範囲、所有権移転などの利用条件 | 許可内容、行政処分歴、処理工程、現地の状況 |
(1)中古遊技機として売却する
市場で需要がある型式の台は、中古遊技機として売却する選択肢があります。遊技機適正処理ガイドブックでも、廃棄物の発生抑制と環境保全の観点から、中古遊技機として再使用することが重要とされています。売却先としては、中古遊技機の販売資格を持つ登録販売業者や、メーカーの買取りが推奨経路として示されています。
買取の可否と金額は、型式ごとの市場の需要、撤去時期、台の状態、台数によって変動します。有償で売却する場合でも、輸送費が売却代金を上回る場合は廃棄物として扱われる可能性があるため、買取額と運搬費を分けて提示を受け、差引後の収支を確認します。
遊技機適正処理ガイドブックは、売却額の高さのみに注目した取引は業者間のダンピングを招き、悪質な業者が介入しやすくなると指摘しています。推奨経路以外の業者に売却する場合は、古物商許可などの許可の有無、購入後の利用方法、廃棄時の処理方法を契約項目として確認し、買取代金の算定方法が合理的かどうかも見積もりで確認します。
参考:https://web-archive.nichiyukyo.or.jp/FileUpload//files/202111_遊技機適正処理ガイドブック.pdf
(2)回収システムや選定業者を通じて資源循環に回す
中古機としての需要がない台は、日工組遊技機回収システム、遊技機リサイクル協会システム、遊技機リサイクル選定業者、メーカーの下取りを通じて資源循環に回します。参加メーカーの台であれば、処理費用や解体費用をメーカーが負担する仕組みがあるため、ホール側の費用負担を抑えながら適正処理とリサイクルを両立できます。
回収された台は、処理工場で液晶や基板などの再利用可能な部品が取り外され、残りは鉄、非鉄金属、樹脂、木材などの素材に選別されます。回収システムに参加する処理会社の事例では、リユース部品を検品してメーカーに返却し、新台の一部として再利用する仕組みが構築されています。素材として再利用できないものは熱エネルギーとして利用され、残さは可能な限り再生利用することが選定の基準に含まれています。
担当者は、撤去台のメーカーごとに利用できる回収ルートを振り分け、参加メーカー以外の台が含まれる場合は選定業者への売却や処理委託を組み合わせます。遊技機リサイクル協会システムを利用する場合は所有権が移転するため、中古機として売却できる台を事前に除外しておくことが収支を最適化するうえでの前提になります。
参考:https://www.yuko-repro.co.jp/company/business.html
参考:https://web-archive.nichiyukyo.or.jp/FileUpload//files/202111_遊技機適正処理ガイドブック.pdf

(3)産業廃棄物として処理を委託する
推奨経路で受け入れられない台や、推奨経路以外の産業廃棄物処理業者に委託する場合は、排出事業者として業者の適正性を自社で確認したうえで処理を委託します。委託にあたっては、許可業者への委託、委託契約書の作成、マニフェストの交付、契約書とマニフェストの5年間の保存といった委託基準を満たす必要があります。
業者の確認事項として、遊技機適正処理ガイドブックは、許可内容と行政処分歴、解体後の部材の売却先と用途を示す処理工程図、作業現場や部材の保管状況、事業の透明性を挙げています。行政処分の履歴は環境省の産業廃棄物処理業者の検索システムなどで照会でき、指定製品であることからリサイクル率75%以上となる処理が望ましいとされています。
費用は運搬費と処分費で構成され、台数、パチンコ機とパチスロ機の構成、搬出条件、地域によって変動するため、一律の相場で判断することはできません。推奨経路を利用した場合との費用差だけでなく、業者の確認にかかる社内の工数や、処理状況を後から説明できるかどうかも含めて比較することが、判断の精度を高めます。
参考:https://web-archive.nichiyukyo.or.jp/FileUpload//files/202111_遊技機適正処理ガイドブック.pdf
4.パチンコ台のリサイクルを進める実務手順

パチンコ台のリサイクルでは、撤去台ごとに利用できるルートが異なるため、台の情報を整理しないまま引取先を決めると、費用やリスクの面で不利な選択になりかねません。新台の入れ替えは継続的に発生し、閉店や改装では一度に大量の台と店舗設備が撤去されるため、ホール単位ではなく法人として手順を標準化しておくことが重要です。
(1)撤去台の一覧化とルートの振り分け
最初に行うのは、撤去予定の遊技機を台単位で一覧化する作業です。一覧には、設置ホール、パチンコ機とパチスロ機の区分、メーカー、型式、製造番号、台数、撤去予定日を記載し、日工組遊技機回収システムや遊技機リサイクル協会システムの参加メーカーかどうか、メーカーの下取り・買取りの実施型式に該当するかを確認する列を設けます。
一覧をもとに、中古機として需要がある台は売却、参加メーカーの台は回収システムや下取り、それ以外は選定業者への排出というように、台ごとの第一候補を決めます。売却を検討する台と、所有権の移転を伴うシステムに回す台を早い段階で区分しておくと引取りの手配が重複することを防げます。
閉店や改装で遊技機以外の設備も撤去する場合は、島設備や周辺機器を別の一覧として整理します。業界の回収システムは遊技機とその部品を対象とする仕組みであるため、店舗設備は別途処理ルートを手配する必要があり、撤去工程と引取りの日程を一体で計画します。
参考:https://kaishu.nikkoso.jp/recycle/
(2)推奨経路以外の業者を利用する場合の確認
推奨経路以外の業者と取引する場合は、遊技機適正処理ガイドブックが示す確認事項を社内の基準として用います。確認の観点は、事業者の信頼性、事業所の状況、契約内容、取引後のフォローアップの4つに整理されています。
事業者の信頼性では、会社概要、古物商許可などの許可の内容、財務諸表、環境保全への方針と取組実績、情報公開の程度を確認します。事業所の状況では、施設能力を超える取引量になっていないか、購入した遊技機が屋根のない場所に野積みされていないか、保管場所のセキュリティが確保されているかを現地で確認します。契約内容では、購入後の遊技機の利用方法、廃棄時の処理方法、買取代金の算定方法を契約項目として明記します。
取引後は、契約どおりの内容で利用や処理が行われているかを確認し、継続取引の場合は経営状況に変化がないかを定期的に確認します。確認結果を記録として残しておくと、担当者が交代した場合でも同じ基準で取引先を評価できます。
参考:https://web-archive.nichiyukyo.or.jp/FileUpload//files/202111_遊技機適正処理ガイドブック.pdf

(3)引渡し記録と処理結果の保存
引渡し当日は、一覧の製造番号と実際に搬出する台を照合し、ルートごとに区分して引き渡します。日工組遊技機回収システムでは回収伝票を、売却では売買契約書と取引記録を産業廃棄物として委託する場合は委託契約書とマニフェストを、それぞれ台の一覧と紐づけて保管します。
回収システムを利用した台は、遊技機回収管理センターで処理結果を照会できるため、照会結果を記録に加えておきます。産業廃棄物として委託した台は、処分業者から返送されるマニフェストの写しで処理の完了を確認し、返送が遅れている場合は委託先に処理状況を照会します。
撤去完了後は、年度単位で排出台数、ルート別の台数、売却額と費用を集計します。ルート別の実績を把握しておくと、次回の入れ替えでの引取先の見直しや、環境報告での資源循環の実績の説明に活用できます。
参考:https://kaishu.nikkoso.jp/recycle/
電子マニフェストで把握した委託量は2008年度以降増加し、2025年度は約106,468千トン、産業廃棄物委託処理量に対する捕捉率は約66.5%です。処理状況を電子的に記録・照会できる仕組みが広く利用されていることを示し、引渡し記録と処理完了確認を台一覧と紐づけて保存する実務の重要性を補強します。分母は2021年度の委託処理量を基に160,000千トンへ固定した値で、遊技機だけの統計ではありません。また、グラフの委託量は電子マニフェストで把握した分だけです。
参考:https://www.jwnet.or.jp/jwnet/about/regist/index.html
5.パチンコ台を資源循環に回す経営上のメリット
パチンコ台の資源循環は、適正処理の義務を果たす手段にとどまらず、脱炭素や情報開示への対応を進める材料になります。遊技機は新台の導入に合わせて定期的に入れ替えが発生するため、排出のたびに個別に判断するのではなく、継続的な仕組みとして設計することで経営上の効果を積み上げられます。
(1)鉄スクラップと店舗設備の資源価値
遊技機には、鉄、非鉄金属、樹脂、木材、ガラスなどが使われており、回収後は部品の再使用に加えて素材ごとに選別されます。なかでも鉄は、スクラップとして回収されると電炉製鋼の原料として再び鋼材に生まれ変わるため、国内の資源循環に直接つながります。
ホールの閉店や改装では、遊技機とあわせて、台を設置する島設備や店舗の内装材など鉄を含む設備が一度に撤去されます。遊技機は業界の回収ルート、店舗設備は資源循環を前提とした解体・選別というように、撤去物の種類ごとに処理ルートを設計することで店舗全体の排出物を資源として活用できます。
なかでも鉄は、カーボンニュートラルの潮流のなかで電炉化が加速し、質の高い鉄スクラップの国内循環が戦略資源として注目されています。鉄のサーキュラーエコノミーへの具体的な取り組みについては、以下の記事で解説しています。

日本の鉄鋼蓄積量は、1960年代以降大きく増え、2022年度末には14億1,815万トン、1人当たり11.6トンに達しています。社会に蓄積された鉄鋼製品は、使用後に回収・選別されることで鉄スクラップの供給源となるため、店舗設備を単に廃棄せず資源として分ける意義を裏付けます。ただし、蓄積量は直ちに回収可能なスクラップ量を示すものではありません。建物・設備の耐用年数、解体時期、回収率、異物混入や品質要件によって実際の供給量は変動します。
参考:https://www.meti.go.jp/shingikai/mono_info_service/green_steel/pdf/003_05_00.pdf#page=9

(2)カーボンニュートラルとScope3への対応
鉄スクラップを原料とする電炉法は、鉄鉱石を還元する工程を経ないため、高炉法と比べて鋼材製造時のCO2排出を大きく抑えられます。みずほ銀行産業調査部の分析では、直近の排出原単位について、高炉メーカーが粗鋼1トンあたり約2トンのCO2を排出するのに対し、電炉メーカーは約0.3トンに抑えられていると整理されています。
自社の排出量算定においても、処理方法の記録は重要な意味を持ちます。サプライチェーン排出量のうち、事業から出る廃棄物の処理に伴う排出はScope3のカテゴリ5に区分されます。遊技機や店舗設備の排出量を処理方法ごとに把握しておくことで算定の根拠を示しやすくなり、再使用や資源化の取り組みを社内外に説明できます。
実務では、入れ替えや閉店のたびに、中古機として売却した台数、回収システムや選定業者に引き渡した台数、産業廃棄物として処理した量を記録し、年度単位で集計できる形にしておきます。店舗の改装計画の段階から資源循環ルートを組み込んでおくと、カーボンニュートラルに向けた中期目標の進捗管理にも活用できます。
参考:https://www.mizuhobank.co.jp/corporate/industry/sangyou/pdf/mif_246.pdf
(3)ESG情報開示と事業の信頼性
遊技業界では、1990年代から2000年代にかけて使用済み遊技機の大規模な野積みが問題となり、業界団体が撤去費用を拠出して解決を図った経緯があります。こうした経緯を踏まえ使用済み遊技機の適正処理は、個々の事業者の法令遵守にとどまらず、業界全体の社会的評価に関わる課題として扱われています。
推奨経路を利用した排出記録や、台単位の処理結果の確認記録は、ESG情報開示において廃棄物管理と資源循環の取り組みを示す根拠になります。取引先や金融機関、地域社会から事業の持続性を問われる場面でも、どの台をどのルートで処理し、どこまで確認したかを具体的に示せる体制は、取り組みの実効性を説明する材料になります。
サーキュラーエコノミーの観点では、中古機としての再使用、部品のリユース、素材のリサイクルを組み合わせ、資源を経済活動の中で循環させることが求められます。遊技機と店舗設備の処理について、ルートの判断基準と記録の様式を社内規程として統一しておくことが、複数店舗で同じ水準の取り組みを継続するための要点です。
参考:https://web-archive.nichiyukyo.or.jp/FileUpload//files/202111_遊技機適正処理ガイドブック.pdf
出口側の循環利用率は、2000年度の約36%から2021年度の44.1%へ約8ポイント上昇し、2025年度目標は47%に設定されています。廃棄物等の発生量のうち循環利用へ回った割合を示すため、遊技機の再使用、部品リユース、素材リサイクルを組み合わせ、社内で継続管理するというH3の主旨を社会全体の指標から補足します。遊技機だけの実績ではなく、2016年度以降は推計方法が2015年度以前と異なるため、長期比較では連続性に留意が必要です。
参考:https://www.env.go.jp/policy/hakusyo/r06/html/hj24020301.html
6.まとめ
パチンコ台には家電リサイクル法のような個別の回収ルールはありませんが、ホールは廃棄物処理法上の排出事業者として、最終処分まで適正な処理に責任を負います。有価物として売却する場合でも、無償引取や逆有償の取引は廃棄物として扱われる可能性があり、売却後の遊技機が不適正な処理につながらないよう引取先を確認する必要があります。
撤去台はメーカーや型式ごとに一覧化し、中古機として需要がある台は売却、参加メーカーの台は日工組遊技機回収システムや遊技機リサイクル協会システム、メーカーの下取りを利用し、それ以外は遊技機リサイクル選定業者や確認済みの許可業者へ振り分けます。推奨経路の活用と台単位の記録管理を組み合わせることで、処理費用の抑制とカーボンニュートラルやESGへの対応を両立させる判断が可能になります。
パチンコ台のリサイクルを効率よく進めるには、定期的に発生している返品や使用済み製品の量や状態、その行き先を把握し、廃棄以外の出口も含めた具体的なスキームを設計することが重要です。保管スペースの不足や、廃棄か再販かの判断、複数の処分業者の管理に負担を感じている場合は、五十鈴株式会社の「icサーキュラーソリューション」にご相談ください。








