事業で使用したコピー機は産業廃棄物として扱われるため、リサイクルにあたっては、所有者の確認と内部データの消去を済ませたうえで、本体を売却・資源循環・廃棄のいずれかのルートへ引き渡す必要があります。リース契約の機器は利用企業の判断で処分できず、自社所有の機器でも情報管理に不備があれば情報漏えいの責任を問われます。所有区分と情報管理の手順を固めたうえで、処理方法ごとの費用と経営上の効果を同じ前提で比較することが、適切な判断につながります。
五十鈴株式会社の「icサーキュラーソリューション」は、返品や使用済み製品など、事業の中で定期的に発生するモノの資源循環を一括で支援するサービスです。回収したモノは状態に応じて再販・リユースを優先し、新たな製品の製造や廃棄に伴う排出を抑えます。鉄を含む製品・設備については、国内製鉄所へ還流させるクローズドループの構築まで対応し、鉄スクラップを原料として生かすことで脱炭素にもつなげます。オフィス移転や機器の入れ替えに伴うコピー機の資源循環を検討する場合は、ぜひご相談ください。

1.コピー機のリサイクル前に確認する所有区分と法的区分

コピー機のリサイクルでは、機器の所有者が誰か、どの法律の枠組みで扱われるかによって、処理を決められる主体と必要な手続きが変わります。コピー機はリース契約で導入されている場合があり、利用部署の判断だけで処理を進めると契約違反につながります。処理方法を検討する前に、機器単位で所有区分と法的区分を確定させることが実務の起点です。
(1)リース契約か自社所有かの確認
リース契約で導入したコピー機は所有権がリース会社にあるため、利用企業が売却やリサイクルを判断することはできません。リース期間が終了した場合、利用企業はリース契約の定めに従い、物件をリース会社に返還します。リース期間満了後に再リースへ移行している場合も、所有権は利用企業に移転しません。
公益社団法人リース事業協会の整理では、リース契約において利用企業は自らの責任と負担で物件を原状回復し、リース会社の指定する場所に返還することが規定されているとされています。情報を記録する媒体を持つ物件については、データの消去も利用企業側で対応する前提で返還の手続きが組まれており、返還後の物件はリース会社の判断で中古業者への売却や産業廃棄物処分業者での処理に回されます。
実務では、機器本体に貼付されたリース会社の表示、固定資産台帳、リース契約書をもとに、機器ごとの所有区分を確認します。リース品は満了日と返還の申出期限を、自社所有の機器は取得時期と保守契約の状況を一覧に記載し、以降の手続きをリース品と自社所有品で分けて進めます。
参考:https://www.leasing.or.jp/studies/docs/20200327.pdf
参考:https://www.kagoshimalease.co.jp/lease-up/index.htm
2024年度の再リース契約件数の構成比では、事務用機器が19.0%を占めています。同じ資料の集計では、満了したリース契約の75.7%が再リースに移行しており、契約満了後も継続して使われる機器が多いことが分かります。コピー機の処理計画でも、初回の満了日だけで判断せず、再リースの有無と現在の契約状況を確認する必要性を補足する資料です。ただし、機器の台数ではなく契約件数の統計で、事務用機器にはコピー機以外も含まれます。個別機器の所有者や返還条件は、この割合から判断せず、契約書等で確認する必要があります。
参考:https://www.leasing.or.jp/statistics/docs/sai2024.pdf#page=1

(2)産業廃棄物と有価物の区分
事業活動で使用したコピー機を廃棄する場合、本体は廃棄物の処理及び清掃に関する法律(廃棄物処理法)上の産業廃棄物として扱われます。コピー機は鋼板のフレーム、樹脂の外装、ガラス、電子基板などで構成され、金属くずや廃プラスチック類など複数の品目にまたがります。なお、家庭用のエアコン・テレビ・冷蔵庫・洗濯機を対象とする特定家庭用機器再商品化法(家電リサイクル法)の対象品目には含まれません。
一方、中古機器や金属資源として有償で取引される場合は、有価物として廃棄物処理法の規制を受けません。廃棄物か有価物かは、物の性状、排出の状況、通常の取扱い形態、取引価値の有無、占有者の意思を総合的に勘案して判断されます。
注意が必要なのは運搬費の扱いです。排出事業者が運搬費を負担し、その額が売却代金を上回る場合は、引渡しに係る事業全体で排出事業者側に経済的損失が生じているため、収集運搬の段階では廃棄物処理法が適用されます。製造から年数が経過した機種は買取額が付かない場合もあるため、見積もり段階で売却代金と運搬費を相殺した収支を確認し、損失が生じる場合は許可を持つ収集運搬業者への委託を前提に手配します。
参考:https://www.pref.osaka.lg.jp/o120060/jigyoshoshido/report/faq_2.html
(3)資源有効利用促進法における複写機の位置付け
複写機は、資源の有効な利用の促進に関する法律(資源有効利用促進法)において、再生資源や再生部品の利用を促進すべき指定再利用促進製品に指定されています。あわせて、複写機製造業は部品等の再使用に取り組むべき特定再利用業種に指定されており、メーカーには回収した使用済み製品からの部品の再使用や、再利用しやすい設計への取り組みが求められています。
これらの措置は製造事業者を対象とするもので、コピー機を使用する企業に回収やリサイクルの義務が直接課されるわけではありません。ただし、キヤノン、リコー、シャープ、東芝テックなどの複写機メーカーは、廃棄物処理法の広域認定制度の認定を受けて、事業者から排出される自社ブランドの使用済み製品を有償で回収し、リユースや再資源化を行う体制を整えています。
利用企業にとって、メーカー回収は資源循環ルートの選択肢の一つになります。対象はそのメーカーの自社ブランド製品に限られ、料金体系や申込み方法もメーカーごとに異なるため、保有機器のメーカーを一覧で把握し、各社の回収条件を確認しておくことが比較の前提になります。
参考:https://www.env.go.jp/recycle/recycling/recyclable/gaiyo.html
参考:https://smj.jp.sharp/bs/document/recycle/
参考:https://www.toshibatec.co.jp/support/recycle/information.html
2.コピー機のリサイクル前に行うデータ消去と情報管理

複合機として使われるコピー機は、コピーやスキャン、ファクスで扱った情報を内部の記憶装置に保持している場合があります。リサイクルのルートにかかわらず、機器が社外に出る前に情報を消去し、その記録を残すことは排出企業の責任です。データ消去は処理方法の手配より前に完了させる工程として位置付けます。
(1)複合機に記録される情報の範囲
コピー機能に加えてプリンター、スキャナー、ファクスの機能を備えた複合機は、機種によってHDDやSSDなどの記憶装置を搭載しています。記憶装置には、印刷やスキャンの処理データ、ボックス機能に保存された文書、ファクスの送受信データ、アドレス帳、共有フォルダへの接続設定などが保存される場合があります。
これらの情報には、取引先の連絡先や従業員の情報、契約書や図面など、個人情報や営業秘密に該当する内容が含まれる可能性があります。アドレス帳やネットワーク設定が残った状態で機器が第三者の手に渡ると、情報そのものの流出に加え、社内システムへの不正な接続の足掛かりになるおそれがあります。
実務では、機種ごとに記憶装置の有無と種類、ボックス機能やファクス機能の利用状況を確認し、消去の対象となる情報の範囲を把握します。記憶装置の仕様が不明な場合は、保守契約を結んでいる販売店やメーカーに型式を伝えて照会します。

(2)個人情報保護法ガイドラインが求める廃棄時の措置
個人データを取り扱う企業は、個人情報の保護に関する法律(個人情報保護法)に基づき、個人データの安全管理のために必要かつ適切な措置を講じる義務を負います。個人情報保護委員会のガイドライン(通則編)では、物理的安全管理措置の一つとして、個人データを削除し、または個人データが記録された機器や電子媒体等を廃棄する場合は、復元不可能な手段で行うことが示されています。
コピー機の記憶装置に個人データが残っている場合、この措置は機器をリサイクルに出す場面にも当てはまります。消去や廃棄の作業を外部に委託する場合は委託先の監督も求められるため、作業内容と完了の確認方法を契約で明確にしておく必要があります。
担当者は、情報システム部門や個人情報保護の管理部門と連携し、コピー機の処理を社内の情報機器廃棄ルールの対象に含めます。消去の実施日、方法、作業者、対象機器を記録し、委託した場合は作業報告書や消去証明書で完了を確認して保存する運用にしておくと、監査や外部からの問い合わせの際に対応の経緯を説明できます。
参考:https://www.ppc.go.jp/personalinfo/legal/guidelines_tsusoku/
(3)データ消去の方法と消去証明の取得
コピー機のデータ消去には、機種に搭載された全データ消去機能の実行、メーカーや販売店による消去サービスの利用、記憶装置を取り外したうえでの物理的な破壊などの方法があります。どの方法を採るかは、保存されていた情報の重要度と、機器を再使用するか再資源化するかによって判断します。
中古機器として売却する場合は記憶装置を残したまま再使用されるため、消去機能やソフトウェアによる消去の実施と、その結果を確認できる消去証明の取得が前提になります。資源循環や廃棄に回す場合は、消去の実施に加えて記憶装置の取り外しと物理破壊を組み合わせることで、復元の可能性をさらに低くできます。
リース品は所有権がリース会社にあるため、記憶装置の取り外しや破壊を利用企業の判断で行うことはできません。返還前にリース会社と消去の方法を協議し、メーカーの消去サービスを利用する場合は、費用の負担区分と消去証明書の発行有無を確認します。
参考:https://www.leasing.or.jp/studies/docs/20200327.pdf
3.コピー機のリサイクル方法の比較|売却・資源循環・廃棄

コピー機の処理方法は、機器の製造年や状態だけでなく、保有台数、情報管理の水準、社内で求められる記録の内容によって適否が変わります。費用はデータ消去から搬出、引渡しまでを含めた総額で評価する必要があり、処分費や買取額だけを比べても判断はできません。手続きの負担と経営上の効果もあわせて比較することで、自社に合った処理方法を判断できます。
| 比較項目 | 売却(中古機器) | 資源循環(メーカー回収・金属資源化) | 廃棄(産業廃棄物) |
|---|---|---|---|
| 対象となる機器 | 製造から年数が浅く再使用が見込める自社所有機 | 再使用が難しい自社所有機(メーカー回収は自社ブランド製品のみ) | 再使用・資源化が難しい機器や部材 |
| データ消去 | 消去の実施と消去証明の取得が前提 | 消去の実施に加え記憶装置の物理破壊も選択可 | 消去の実施に加え記憶装置の物理破壊も選択可 |
| 主な書類 | 売買契約書、取引記録、消去証明書 | メーカー回収は処理依頼書・処理報告書(メーカーにより異なる)、金属資源化は売買記録(逆有償時は委託契約書・マニフェスト) | 委託契約書、マニフェスト、消去記録 |
| 費用構造 | 買取額から撤去費・運搬費を差し引いた収支 | メーカー回収は重量区分などに応じた料金、金属資源化は資源価値と撤去費・運搬費の相殺 | 撤去費・運搬費・処分費の合計 |
| 経営上の効果 | 処理費の抑制、機器の再使用 | 部品の再使用や再資源化の実績、国内資源循環の説明材料 | 許可業者による適正処理の記録 |
(1)中古機器として売却する
製造から年数が浅く稼働状態の良い自社所有のコピー機は、事務機器の買取業者などに売却する選択肢があります。中古品として有償で取引され、取引に経済的合理性がある場合は有価物として扱われ、産業廃棄物の委託契約やマニフェストの手続きは発生しません。
買取の可否と金額は、メーカー、機種、製造年、印刷枚数を示すカウンター値、オプション機器の有無、外装の状態、搬出条件によって変動します。買取額が付く場合でも撤去や搬出の費用が別途計上されると、収支がマイナスになる場合があります。見積もりでは買取額と撤去費・運搬費を分けて提示を受け、差引後の金額で他の方法と比較します。
売却先の選定では、中古品の買取を業として行う事業者が古物営業法に基づく古物商の許可を受けているかを確認します。機器は記憶装置を含めて再使用されるため、消去の方法と消去証明の発行について契約前に取り決め、自社での消去と買取業者での消去をどう組み合わせるかを明確にしておきます。

(2)メーカー回収や金属資源として資源循環ルートに回す
再使用が難しいコピー機は、メーカーの回収サービスや、金属資源として再資源化する事業者を通じて資源循環ルートに回せます。メーカー回収では、回収した機器から再使用できる部品を取り出し、残りを素材として再資源化する取り組みが行われています。
広域認定制度は、製品の製造や販売を行う事業者が廃棄物となった自社製品を広域的に処理する場合に、地方公共団体ごとの廃棄物処理業の許可を不要とする特例です。東芝テックはこの制度による回収についてマニフェストが不要であると案内しています。料金を機器の重量区分ごとに設定しているメーカーもあり、階段作業やクレーン車の使用など特殊作業が発生する場合は別途費用が生じます。対象は自社ブランド製品に限られるため、複数メーカーの機器を保有している場合は手配がメーカーごとに分かれます。
メーカー以外の事業者に金属資源として引き渡す場合は、鋼板のフレームなどの資源価値が撤去費や運搬費と相殺される構造になります。樹脂部品や電子基板、トナーの残留物など資源化の工程が異なる部分もあるため、見積もりでは台数、機種、概算重量、付帯物の範囲をそろえて提示し、資源化分と処理分の内訳を確認します。運搬費が売却代金を上回る場合は、収集運搬の段階で廃棄物処理法が適用される点にも注意が必要です。
参考:https://corporate.jp.canon/sustainability/environment/collect/cgrs
参考:https://jp.ricoh.com/sustainability/environment/product/recycle/system
再生利用率は、排出量に対する再生利用量の割合です。図では、近年の金属くずはおおむね90%台、廃プラスチック類は60%前後で推移しており、廃棄物の種類によって差があります。コピー機には鋼板、樹脂、電子基板などが含まれるため、全体を同じ条件で資源化できるとは限りません。素材ごとの受入条件を確認し、資源化分と処理分を分けて見積もるという本文の考え方を補足します。ただし、全国の産業廃棄物を対象とする統計で、コピー機の再資源化率ではありません。実際の処理結果は、材質、異物の混入、分別状態、処理設備によって変わります。
参考:https://www.cjc.or.jp/data/pdf/book2026.pdf#page=32
(3)産業廃棄物として処理を委託する
損傷が大きい機器や資源化ルートで受け入れられない部材は、産業廃棄物として許可業者に処理を委託します。排出事業者は収集運搬業者・処分業者とそれぞれ書面で委託契約を締結し、産業廃棄物管理票(マニフェスト)を交付します。委託契約書は契約終了日から5年間、処分業者から返送されたマニフェストの写しは5年間保存します。
費用は撤去費、収集運搬費、処分費で構成され、機器の大きさと重量、台数、設置階、エレベーターの有無、搬出経路、地域によって変動するため、一律の相場で判断することはできません。見積もりを比較する際は各費目の含有範囲をそろえ、トナーカートリッジなどの消耗品を回収対象に含むかもあわせて確認します。
廃棄を選ぶ場合でも、機器全体を一括で処分するのではなく、金属部分を資源化ルートへ分けることで処分量を抑えられる場合があります。オフィス移転や全社的な機器入れ替えで台数がまとまる案件では、廃棄一括の見積もりと、売却や資源化を組み合わせた見積もりを並行して取得し、総額で比較することで判断の精度が高まります。
参考:https://www.env.go.jp/content/900479496.pdf
図は2004〜2024年度に新たに判明した産業廃棄物の不適正処理について、件数と処理量の推移を示しています。長期的には減少していますが、直近の年度にも事案が発生しています。コピー機を産業廃棄物として委託処理する際も、引渡しだけで管理を終えず、契約書とマニフェストで委託先や処理経緯を確認する必要性を補足する図です。ただし、原則として1件当たり10トン以上の事案を対象とした統計で、コピー機だけの集計ではありません。処理量は大規模事案の有無にも左右され、この図から個別の委託先の適否を判断することはできません。
参考:https://www.env.go.jp/policy/hakusyo/r08/pdf/4_zuhyou.pdf#page=24
4.コピー機のリサイクルを進める実務手順

コピー機のリサイクルでは、所有区分の確認とデータ消去を処理方法の手配より前に完了させる必要があります。複数拠点で機器を保有している場合は拠点ごとに契約状況が異なるため、撤去日から逆算した段取りを情報管理部門と共有しておくことが重要です。
(1)保有機器と契約状況の一覧化
最初に行うのは、処理対象となるコピー機を機器単位で一覧化する作業です。一覧には、設置拠点、メーカー、機種、製造番号、所有区分、リース会社とリース満了日、保守契約の有無と契約先、記憶装置の有無、概算重量を記載します。
リース品は、満了日から逆算して返還の申出期限を確認します。期限までに返還を申し出ない場合、契約によっては自動的に再リースへ移行するため、入れ替えの計画と契約上の期限を照合しておく必要があります。保守契約を結んでいる機器は、回収の申込み前に保守契約の終了手続きを求められる場合があるため、あわせて確認します。
自社所有の機器は、一覧をもとに売却・資源循環・廃棄のいずれを第一候補とするかを仮決定します。製造から年数が浅い機器は売却、再使用が難しい機器はメーカー回収や資源化、損傷が大きい機器は廃棄というように判断基準を社内で定めておくと、拠点ごとの判断のばらつきを防げます。
参考:https://www.kagoshimalease.co.jp/lease-up/index.htm
参考:https://corporate.jp.canon/sustainability/environment/collect/cgrs

(2)データ消去の実施と記録
データ消去は、処理方法が決まった段階で、機器が社外に搬出される前に実施します。消去の方法は、中古機器として売却する機器、資源循環や廃棄に回す機器、リース会社に返還する機器に分けて定めます。
消去を自社で行う場合は、機種に搭載された消去機能の実行手順を販売店やメーカーの資料で確認し、実施日、方法、作業者、対象機器の製造番号を記録します。メーカーや販売店、専門事業者に委託する場合は、作業報告書や消去証明書に対象機器の製造番号と消去方法が記載されているかを確認し、機器一覧と照合して保存します。
アドレス帳や共有フォルダの接続設定を消去した後は、社内のファイルサーバー側でも当該機器が使用していたアカウントや接続設定を無効にしておきます。機器側と社内システム側の両方で対応を記録しておくことで、情報管理の手続きが一連の記録として完結します。
(3)搬出条件をそろえた見積もりと引渡し
見積もりは、搬出条件をそろえたうえで複数の処理方法について取得します。搬出条件としては、設置階、エレベーターの有無と寸法、搬出経路の幅、車両の駐車位置、作業可能な時間帯を整理し、フィニッシャーや給紙ユニットなどのオプション機器を含めるかも明記します。
見積もり項目は、撤去費、運搬費、処分費またはメーカー回収料金、データ消去費、買取額または資源価値の区分で提示を受け、差引後の総額で比較します。発注先によって含まれる工程が異なるため、各見積もりの対象範囲を一覧にまとめ、社内承認に使える形にしておきます。
引渡し当日は、消去記録の確認を済ませた機器から搬出し、売却分、資源循環分、廃棄分に区分して引き渡します。撤去完了後は機器一覧に処理方法、引渡し日、書類の保存場所を追記し、消去証明書、売買記録、委託契約書、マニフェストの写しなどを機器単位で紐づけて保管します。
5.コピー機を資源循環に回す経営上のメリット

コピー機の資源循環は、処理費用の抑制にとどまらず、脱炭素や情報開示への対応を進める材料になります。複合機はリース期間や更新計画に合わせて入れ替えが発生する機器であり、単発の処理ではなく継続的な仕組みとして設計することで、経営上の効果を積み上げられます。
(1)鉄スクラップの資源価値と国内資源循環
コピー機は、機器の骨格となるフレームや内部の構造部材に鋼板が使われており、部品として再使用できない部分も、解体・選別を経て鉄スクラップとして回収できます。回収された鉄スクラップは電炉製鋼の原料として再び鋼材に生まれ変わるため、事務機器の入れ替えを国内の資源循環につなげられます。
鉄スクラップは国内で調達できる製鋼原料であり、輸入に頼る鉄鉱石や石炭の使用を抑える点で、資源安全保障の観点からも意味を持ちます。オフィスで使用した機器を国内の製鋼原料として還流させる取り組みは、自社の事業活動がサプライチェーンの持続性にどう関わっているかを社内外に説明する具体的な材料になります。
なかでも鉄は、カーボンニュートラルの潮流のなかで電炉化が加速し、質の高い鉄スクラップの国内循環が戦略資源として注目されています。鉄のサーキュラーエコノミーへの具体的な取り組みについては、以下の記事で解説しています。

参考:https://www.tokyo-np.co.jp/article/399662
図では、2022年度の鉄鋼備蓄量が14.2億トン、市中スクラップ回収率が1.7%と示されています。国内に蓄積された鉄が、使用後の回収を通じて製鋼原料を供給する基盤になることを説明する資料です。コピー機の鋼板フレームなどを解体・選別し、国内の資源循環ルートへ引き渡すことも、この資源を有効に使う取り組みにつながります。ただし、備蓄量には建築物など使用中の鉄も含まれ、全量を直ちに回収できるわけではありません。1.7%は蓄積量に対する年間回収の割合であり、コピー機のリサイクル率や鉄スクラップの買取価格を示す値ではありません。
参考:https://www.fudenkou.jp/pub/docs/70685a3af41e32a86ce84d359098f33f.pdf#page=9

(2)カーボンニュートラルとScope3への対応
鉄スクラップを原料とする電炉法は、鉄鉱石を還元する工程を経ないため、高炉法と比べて鋼材製造時のCO2排出を大きく抑えられます。みずほ銀行産業調査部の分析では、直近の排出原単位について、高炉メーカーが粗鋼1トンあたり約2トンのCO2を排出するのに対し、電炉メーカーは約0.3トンに抑えられていると整理されています。
自社の排出量算定においても、処理方法の記録は重要な意味を持ちます。サプライチェーン排出量のうち、事業から出る廃棄物の処理に伴う排出はScope3のカテゴリ5に区分されます。機器の入れ替えで排出される廃棄物の種類や処理方法ごとの重量を把握しておくことで算定の根拠を示しやすくなり、再使用や資源化への切り替えによる取り組みを社内外に説明できます。
実務では、機器の入れ替えごとに売却分、資源化分、廃棄分の台数と重量を記録し、年度単位で集計できる形にしておきます。オフィス移転やリース更新の計画段階から資源循環ルートを組み込んでおくと、カーボンニュートラルに向けた中期目標の進捗管理にも活用できます。
参考:https://www.mizuhobank.co.jp/corporate/industry/sangyou/pdf/mif_246.pdf
(3)ESG情報開示とサーキュラーエコノミーへの対応
コピー機の再使用や資源化の実績は、ESG情報開示における資源循環の取り組みとして活用できます。統合報告書やサステナビリティレポートで廃棄物の削減や再資源化の状況を示す場合、機器単位の処理記録と重量データが開示内容の根拠になります。
コピー機の処理では、データ消去の記録と資源化の記録を機器単位で一体的に管理できる点に特徴があります。ESGのうちガバナンスの観点では情報管理体制が、環境の観点では資源循環の実績が問われるため、両方の記録を同じ台帳で運用することで、取引先や金融機関から取り組み状況を確認される場面でも一貫した説明が可能になります。
サーキュラーエコノミーの観点では、製品を使用後に廃棄するのではなく、再使用や再資源化によって資源を経済活動の中で循環させることが求められます。定期的な入れ替えが発生するコピー機について、売却、メーカー回収、資源化を組み合わせた処理の判断基準と記録の様式を社内規程として統一しておくことが、循環型の設備管理へ移行する実務上の要点です。
出口側の循環利用率は、発生した廃棄物等のうち循環利用された量の割合です。図では2010年代以降、おおむね40%台で推移し、2030年度の目標は約44%とされています。コピー機の売却、メーカー回収、資源化を設備更新の手順に組み込むことは、こうした循環型の資源利用を企業実務に反映する取り組みです。ESG情報開示では、機器ごとの重量と処理実績を集計することで、取り組みの説明に根拠を持たせられます。ただし、この図は日本全体の指標であり、個社の達成率を表すものではありません。2016年度以降は推計方法が異なる点にも留意が必要です。
参考:https://www.env.go.jp/policy/hakusyo/r07/pdf/2_3.pdf#page=3
6.まとめ
コピー機のリサイクルでは、リース契約か自社所有かを最初に確認し、リース品はリース会社への返還、自社所有品は売却・資源循環・廃棄のいずれかで処理します。どのルートでも、記憶装置に残る情報を機器の搬出前に復元できない形で消去し、その記録を保存することが排出企業の責任になります。
自社所有の機器は、中古機器としての売却、広域認定制度に基づくメーカー回収や金属資源としての資源循環、産業廃棄物としての処理委託を、搬出条件をそろえた総額で比較します。消去記録と資源化実績を機器単位で一体管理することで、処理費用の抑制とカーボンニュートラルやESGへの対応を両立させる判断が可能になります。
コピー機のリサイクルを効率よく進めるには、定期的に発生している返品や使用済み製品の量や状態、その行き先を把握し、廃棄以外の出口も含めた具体的なスキームを設計することが重要です。保管スペースの不足や、廃棄か再販かの判断、複数の処分業者の管理に負担を感じている場合は、五十鈴株式会社の「icサーキュラーソリューション」にご相談ください。








