持続可能な社会に向けた企業の取り組み事例20例!具体施策・分類

持続可能な社会に向けた企業の取り組みは、資源循環や脱炭素、食の持続可能性、社会課題の解決といったテーマごとに、具体的な施策として実装されるケースが増えています。本記事では、日本企業を中心に、持続可能な社会に向けた取り組み事例を20例に整理し、サーキュラーエコノミーエネルギー社会貢献の4つの分類で紹介します。

五十鈴株式会社の「icサーキュラーソリューション」は、現場の廃棄物分析を起点に、社会課題の解決を持続的な成長エンジンへと昇華させる構造変革を強固に支援します。次世代の循環型経営を実現したい方は、ぜひお気軽にご相談ください。

目次

1.持続可能な社会に向けた企業の取り組み事例20例

(1)サーキュラーエコノミー・資源循環

持続可能な社会に向けた企業の取り組みとして、資源の使用から廃棄までを一体で捉え、循環させる仕組みの構築が進められています。製品回収・再資源化・アップサイクル・設計段階での最適化などで持続的な社会への取り組みを実装している企業事例を紹介します。

なお、サーキュラーエコノミーの概要については以下の記事で解説しています。

①良品計画

引用:https://www.ryohin-keikaku.jp/sustainability/environment/circular-economy

良品計画は、店舗で不要になった自社製品を回収し、リユース・リサイクルによって新たな商品として再生する取り組みを展開しています。対象は衣料品やプラスチック収納用品、PETボトル、羽毛製品などで、回収時には会員プログラムを通じたインセンティブも付与されています。

回収した製品は、洗浄・再染色・再加工などを経て再商品化されており、衣服については「染めなおした服」「洗いなおした服」「つながる服」といった形で再流通しています。

さらに、製品設計段階から素材選定・工程の簡略化・包装削減を重視し、廃棄物の発生抑制と再利用を前提としたものづくりを継続しています。

②amu

引用:https://www.amu.co.jp/news/20250206w

amuは、日本各地の漁港から廃漁網を回収し、海洋流出前に再資源化させ新素材として再生するアップサイクル事業を展開しています。

ここで回収された漁網は、再生ナイロンなどの素材「amuca®」として加工され、繊維や生地、製品として再流通されます。この仕組みにより、従来は焼却や埋め立てに依存していた廃棄物に新たな価値を付与するモデルが構築されています。

さらに漁業者から漁網を買い取る仕組みも構築しており、廃棄コストの削減にも寄与しており、環境課題と地域産業の課題を同時に解決する構造となっています。

③wash+

引用:https://wash-plus.co.jp/business/

wash+は、水と電気分解を活用した洗浄方式により、従来の洗剤使用に伴う化学物質の排出を抑制する仕組みによって環境負荷の低減に取り組んでいます。

この取り組みは、環境配慮型の製品・サービスを評価する「グリーン購入大賞」を受賞しており、社会的評価と企業ブランディングを両立しています。

また、ホテルやコインランドリー、施設向けランドリーなど複数の事業領域で展開されており、日常的な洗濯行為そのものを環境負荷の低いプロセスへと転換する構造となっています。

④GYXUS

引用:https://gyxus.co.jp/

GYXUSは、100%リサイクル原料による石膏ボードの再製造技術を確立しており、廃棄物をそのまま同用途の製品へ戻す仕組みを構築しています。

さらに、この仕組みでは都道府県単位で循環させる地産地消型資源循環モデルを採用し、輸送コストやCO₂排出の抑制にも対応しています。

また、解体業者や廃棄物処理業者、建材事業者と連携した循環インフラの構築を進めており、廃棄物処理と製造を一体化したサプライチェーンを形成しています。

⑤ウニノミクス

引用:https://www.uninomics.co.jp/our-business/solution

ウニノミクスは、海洋環境の劣化要因となっている過剰なウニを活用し、資源循環と生態系再生を同時に実現するビジネスモデルを展開しています。海中で増えすぎたウニは海藻を食べ尽くし、藻場の消失(磯焼け)を引き起こす要因となっていますが、同社はこれらのウニを回収し、付加価値を向上させることで海洋環境の回復を図っています。

回収されたウニは、陸上の養殖施設で短期間育成され、高品質な食用ウニとして再生されます。さらに、ウニの販売による収益は、追加のウニ除去や藻場再生へ再投資される構造となっており、環境修復と経済活動が循環する仕組みが構築されています。

⑥スバル

引用:https://www.subaru.co.jp/csr/environment/recyclingsociety.html

スバルは、自動車のライフサイクル全体を通じた資源循環を前提としたものづくりを推進しており、原材料の調達から製造、使用後の廃棄までを一体で捉え、リサイクルを前提とした設計や資源効率の向上に取り組んでいます。

さらに、生産拠点では廃棄物の削減や埋立ゼロの推進に加え、製造過程で発生するスクラップ材の再活用やアップサイクル製品の開発も進められています。これにより、製品設計から生産、再利用までを統合した循環型の事業構造を構築しています。

(2)脱炭素

ここでは、省エネルギー化再生可能エネルギーの活用代替燃料の開発サプライチェーン全体での排出削減などを通じて、脱炭素に取り組む企業の具体的な事例を整理します。

⑦すかいらーくホールディングス

引用:https://corp.skylark.co.jp/sustainability/environment/de-carbonization/

すかいらーくホールディングスは、脱炭素社会の実現に向けて、店舗・工場・本部における省エネルギー活動の強化に加え、配送における燃料使用量の削減環境配慮型車両の導入を進めています。

さらに環境配慮型店舗では、再生可能エネルギー由来の電力やカーボンニュートラル都市ガスを活用し、CO₂排出量の実質ゼロを目指す取り組みも展開されています。

また、ゴミの削減もCO₂削減の取り組みの一環として位置づけられており、食品ロスの削減廃棄物のリサイクルを推進することで、排出量の抑制につなげています。

⑧アサヒ飲料

引用:https://www.asahiinryo.co.jp/company/newsrelease/2023/pick_0509.html

アサヒ飲料は、脱炭素社会の実現に向けて、大気中のCO₂を吸収する機能を備えた「CO₂を食べる自販機」を開発し、吸収したCO₂を肥料やコンクリートなどの工業原料として活用する実証実験を実施しています。

この自動販売機は、内部に搭載された吸収材によって大気中のCO₂を回収する仕組みとなっており、稼働に伴うCO₂排出量の一部を相殺することが可能とされています。

⑨マツダ

引用:https://www.mazda.com/ja/sustainability/environment/climate-change/

マツダでは、原料調達から製造、物流、使用、廃棄・リサイクルに至るまでのライフサイクル全体でCO₂排出量の削減に取り組んでいます。このため、ライフサイクルアセスメントやWell-to-Wheelの視点を取り入れ、各工程における排出量を把握し、削減施策へと反映しています。

また、地域ごとのエネルギー事情に応じて電動化と内燃機関の高効率化を組み合わせるマルチソリューションの考え方に基づき、実効性のあるCO₂削減を推進しています。

⑩商船三井

引用:https://www.mol-service.com/ja/services/low-carbon-decarbonized-business

商船三井は、代替燃料を使用した低炭素輸送の環境価値をデジタル証書として可視化し、荷主企業のScope3排出量削減に活用できる仕組みを提供しています。また、カーボンインセットを通じて、実際の輸送と切り離して環境価値を割り当てることで、低炭素輸送の利用促進につなげています。

さらに、排出削減にとどまらず、大気中のCO₂を回収・除去するネガティブエミッションの取り組みも進めており、バリューチェーン内外を含めた包括的な脱炭素の実現を目指しています。

⑪出光興産

引用:https://www.idemitsu.com/jp/sustainability/environment/carbon_neutrality/index.html

出光興産は、2050年のカーボンニュートラル実現に向けて、事業ポートフォリオの転換と低炭素エネルギーの供給拡大を進めています。バイオマス発電など再生可能エネルギーの活用や、持続可能な航空燃料バイオ燃料合成燃料といったカーボンニュートラル燃料の開発・供給を推進しています。

さらに、サプライチェーン全体でのCO₂排出削減にも取り組んでおり、カーボンクレジットを活用した実質的な排出量ゼロの燃料供給や輸送の実証も行われています。

⑫日本板硝子

引用:https://www.nsg.co.jp/ja-jp/sustainability/climate-change

日本板硝子は、ガラス製造に伴うCO₂排出の削減を中心に、製造工程において代替燃料の活用を進めており、水素エネルギーを用いたガラス製造の実証やバイオ燃料の導入など、化石燃料依存の低減に向けた技術開発を実施しています。

また、製品面では低炭素ガラスの開発を進めており、従来品と比較してカーボンフットプリントを約50%削減したガラス製品を展開しています。これにより、建築分野における省エネ・脱炭素化にも寄与しています。

(3)食の持続可能性

ここでは、生産・調達・流通・消費の各段階において、環境負荷低減と安全性の確保を両立する企業の具体的な取り組み事例を整理します。

⑬ファミリーマート

引用:https://www.family.co.jp/sustainability/material_issues/environment/circulation.html

ファミリーマートは「ファミマecoビジョン2050」に基づき、食品ロス削減と資源循環を軸とした取り組みを推進しています。特に、発注精度の向上容器包装の改良による商品の長寿命化を進めることで、食品廃棄の発生抑制を図っています。

発生した食品廃棄物については、「食品リサイクルループ」を通じて飼料や肥料などへ再資源化し、廃棄物を循環させる仕組みを構築しています。これにより、廃棄物を単に処理するのではなく、資源として再利用するモデルが形成されています。

⑭日清食品

引用:https://www.nissin.com/jp/company/sustainability/environment/procurement/

日清食品は、2017年に持続可能な調達方針を制定し、食の安全に加え、地球環境や人権に配慮し、合法的に生産された原材料の調達を進める方針を明確化しています。

また、森林破壊防止や生物多様性保全に配慮した原材料調達を支持し、再生可能資源の活用環境負荷の低い素材への転換を進めています。

⑮サラヤ

引用:https://www.saraya.com/csr/saraya-csr/message.html

サラヤは急速液体凍結技術などを活用し、農水産業と加工・販売を一体化した6次産業化を推進するとともに、流通を含めた適切な管理体制を整備しています。さらに、食品衛生を支える洗浄剤や消毒剤、冷蔵・冷凍機器の開発・提供に加え、教育やサービスの提供を通じて、安全で持続可能な食の提供体制の構築に貢献しています。

また原料調達の面では持続可能なパーム油の活用など責任ある調達を推進しており、食に関連する製品や事業においても環境配慮と資源の持続可能性を両立する取り組みを進めています。

(4)社会貢献

ここでは、教育・福祉・地域活性・アクセシビリティなどの分野において、社会的価値の創出を目的とした企業の具体的な取り組み事例を整理します。

⑯ユニクロ

引用:https://www.uniqlo.com/jp/ja/special-feature/sustainability/sustainability-goals?srsltid=AfmBOopfWhJqHnRPd1RHgYAPzw83XGu4ViT1d66OgTOYAeH6XJq3wvoG

ユニクロ(ファーストリテイリング)は、「服のチカラを、社会のチカラに。」という考えのもと不要となった衣料を回収し、難民や被災地へ寄贈する活動や、リユース・リサイクルによる資源循環を推進しています。これにより、衣料廃棄の削減と同時に、社会的に支援が必要な人々への提供を実現しています。

また、学校教育と連携した「服のチカラプロジェクト」などを通じて、次世代への教育活動も展開しており、衣料を起点とした社会貢献の裾野を拡大しています。

⑰AgeWell Japan

引用:https://agewelljapan.co.jp/

AgeWellJapanは、シニア世代のウェルビーイング向上を目的とし、世代間や業界間をつなぐサービスと場を創出する事業を展開しており、シニアと若年層の交流を促進するコミュニティやサービスを通じて、多世代が関わり合う仕組みを構築しています。

代表的な取り組みとして、若年層がシニアの生活を支援する「もっとメイト」や、多世代が集うコミュニティスペース「モットバ!」の運営があり、日常生活の支援や交流機会の創出を通じて、社会参加の促進や孤立の解消に寄与しています。

⑱あしらせ

引用:https://www.corporate.ashirase.com/

視覚障がい者の単独歩行を支援するナビゲーションシステム「あしらせ」を開発しています。靴に装着したデバイスが足への振動によって進行方向や曲がるタイミングを伝える仕組みを採用しており、聴覚や手を使わずに移動できる環境を提供しています。

この仕組みにより、従来の音声や画面に依存したナビゲーションとは異なり、歩行中の安全確認に必要な感覚を妨げずに移動支援を行うことが可能となっています。

⑲SCSK

引用:https://www.scsk.jp/corp/csr/activation/index.html

SCSKは、ITサービスによる価値提供に加え、社会課題の解決に主体的に関わることを企業の役割と位置づけ、「次世代人材の育成」「地域社会・国際社会への協力」「地球環境保護」を重点分野とし、各地域の課題に対してNPOや研究機関などと連携しながら取り組みを展開しています。

代表的な取り組みとして、子ども向けワークショップを通じて共創力や社会性を育む「CAMP」や、社員全員が参加可能な社会貢献活動「Wellnoba」があり、人への支援環境負荷の低減業務で培った知見の社会還元を軸に活動が行われています。

⑳アズパートナーズ

引用:https://www.as-partners.co.jp/company/sustainability/sdgs/

アズパートナーズは、介護サービスを中心とした事業活動を通じて、少子高齢社会における持続可能な暮らしの実現に取り組んでいます。科学的介護やDXの活用により、利用者一人ひとりの望む生活の実現を支援するとともに、若手介護人材の育成を進めることで、持続可能な介護サービスの提供に寄与しています。

また、多様な人が安心して暮らせる社会の実現に向けて、働きがいのある職場環境の整備や、利用者の生活の質向上を目的としたサービス提供を行っています。これにより、個々のニーズに応じた支援とウェルビーイングの向上を両立しています。

2.持続可能な社会に向けた取り組みに関する具体的な施策の考え方

企業が持続可能な社会の実現に貢献するためには、事業戦略の中核にサステナビリティを組み込むことが求められます。ここでは、構想段階から実装、そして評価・改善に至るまで、企業が取るべき具体的な施策の考え方を4つのステップに分けて解説します。

(1)事業成長と社会貢献の両立設計

持続可能な取り組みを一時的な流行や義務感で終わらせないためには、共通価値の創造の観点から、本業のプロセスそのものを再設計する必要があります。実務上の設計ポイントは、以下の3点に集約されます。

  • 市場ニーズの変化を機会と捉える
  • リスク低減による長期的なコストダウン
  • 従業員のエンゲージメント向上

例えば環境配慮や倫理的消費を重視するエシカル層の拡大を軸に捉える場合、それに応える製品・サービスを開発することで、新たな市場シェアの獲得を目指すことが可能です。これにより社会課題の解決を、差別化戦略の源泉として位置づけます。

このように、事業成長と社会貢献を相乗効果の関係へと昇華させることが、具体的な施策検討の第一歩となります。ひいてはこれが企業の競争力向上につながり、結果として持続可能な社会に向けた取り組みの持続性にもつながります。

【事例】キリン:CSV経営による社会と事業の相乗効果
キリンホールディングスは、独自の「CSV(共通価値の創造)」を経営の 中核に据え、社会課題の解決をそのまま事業成長のエンジンへと転換して います。特に「プラズマ乳酸菌」事業では、人々の健康維持という社会的な ニーズに対し、長年の発酵技術を応用した高付加価値な製品群を展開する ことで、科学的根拠に基づいた全く新しい免疫ケア市場を確立しました。 また、スリランカの紅茶農園における認証取得支援といった持続可能な 原材料調達の仕組みは、現地の環境保護や労働環境の改善に留まらず、 気候変動による原料高騰のリスクを抑え、長期的な調達コストの安定化を 実現しています。このように、社会貢献を一時的なコストではなく将来への 戦略的投資と位置づける姿勢は、現場の従業員にとっても自らの仕事が 世界のより良い未来に直結しているという深い納得感と誇りを与えます。 その結果、高いエンゲージメントを持った組織が、さらなるブランド価値の 向上と持続可能な社会の実現に向けた強力な循環モデルを回し続けています。
参考:キリンホールディングス|CSVマネジメント

(2)自社が取り組むべき優先課題の特定

限られた経営資源を最大活用し、社会的インパクトを最大化するためには、自社の強みが活きる領域に絞ったマテリアリティ(重要課題)の特定が不可欠です。以下では、自社の強みと優先課題の例をご確認いただけます。

業種:自社の強み優先課題の例
製造業:高度な技術力・開発力を備える環境負荷の低い新素材開発、製品の長寿命化
物流・小売業:広範な配送網・接点配送効率化によるCO2削減、再配達の防止
IT企業:データ解析・PF構築社会課題解決に向けたDX支援、情報のアクセシビリティ向上
金融業:資金供給・リスク管理ESG投資・サステナブルファイナンスの推進

このように、自社が最も貢献できる領域を戦略的に選定することが、結果として他社との差別化を生み、持続可能な取り組みを支える強固な土台となります。

【事例】ヤマトHD:物流インフラを活かした社会課題解決
ヤマトホールディングスは、全国を網羅する強固な配送ネットワークを 「社会の公器」と位置づけ、そのリソースを最大限に活用しています。 物流の宿命である温室効果ガス排出に対し、2030年までにEV車両を 2万台以上導入する目標を掲げ、環境負荷の低減を推進しています。 また、日々の集配業務で培った地域との接点を活かし、高齢者の 「見守りサービス」を展開するなど、孤独死防止にも貢献しています。 IoT電球を活用したこの仕組みは、異常検知時にスタッフが代理で 訪問するもので、既存のインフラが地域の安心を支える好事例です。 さらにAIによる配送ルートの最適化を行い、再配達の防止や走行距離の 短縮を進めることで、脱炭素と業務効率化の両立を加速させています。 自社の強みである「運ぶ力」を、地域の安全や地球環境の保護という 優先課題に集中させることで、独自の企業価値を創出しています。
参考:サステナビリティ戦略・目標と実績|ヤマトホールディングZ

(3)バリューチェーン全体への組み込み

サステナビリティ施策の実効性を高めるには、原材料の調達から製造、流通、そして消費者が使用して廃棄するまでのバリューチェーン全体を俯瞰し、各プロセスに行動を落とし込む必要があります。実務における実装の考え方は、主に以下の3つのフェーズで捉えます。

上流(調達)取引先企業と連携し、人権への配慮や環境負荷の低い素材選定を基準とした「サステナブル調達ガイドライン」を運用
中流(製造・物流)生産工程でのエネルギーロス削減や梱包材の簡素化、輸送ルートの効率化など、各現場のKPIに環境負荷低減の指標を組み込む
下流(販売・廃棄)消費者が長く使い続けられる設計や、リサイクルしやすい製品構造を導入する

バリューチェーン全体を点ではなく線で捉えることで、隠れたリスクの早期発見と、一社では成し得ない大きな削減効果の創出が可能になります。

【事例】ブリヂストン:タイヤのライフサイクルを通じた循環モデル
ブリヂストンは、原材料の調達から製品の再利用に至るまでを一つの 大きな循環として捉え、持続可能な事業構造を確立しています。 上流では、天然ゴムの小規模農家に対し技術支援や森林保護の教育を 実施し、人権と環境に配慮したサステナブルな調達を徹底しています。 中流の製造段階では、デジタル技術を用いてタイヤの摩耗状況を リアルタイムで監視し、最適なメンテナンス時期を顧客に提案します。 この技術により、タイヤを長持ちさせるとともに、下流工程では 摩耗した表面を貼り替えて再利用するリトレッド事業を推進します。 新品同様の性能を維持しながら資源消費を抑えるこの仕組みにより、 廃棄物の削減と顧客のコスト低減を同時に実現させています。 単なる販売に留まらず、資源を回し続けるソリューションを通じて、 環境負荷を抑えながら独自の競争力を生み出すモデルを構築しました。
参考:ブリヂストン|サステナビリティ

(4)KPIによる進捗管理とプロセス最適化

持続可能な社会に向けた取り組みを「やりっぱなしの活動」に終わらせないためには、客観的な数値で進捗を測り、改善し続けるガバナンス体制が不可欠です。実務における管理・最適化のポイントは、以下の3点です。

  • 財務指標と非財務指標の連動設定
  • 進捗の可視化とPDCAサイクルの確立
  • 透明性の高い情報開示と外部フィードバックの活用

「測定できないものは改善できない」という原則に基づき、データに基づいた管理体制を構築することが、施策の実効性を高め、ステークホルダーからの信頼獲得につながります。

【事例】エーザイ:非財務指標を企業価値へ繋げる可視化経営
エーザイは、サステナビリティへの取り組みを単なる貢献に留めず、 独自の数理モデル「柳モデル」を用いて客観的に管理しています。 この手法は、人財投資や研究開発費といった非財務的な指標が、 将来的に企業の市場価値であるPBRにどう影響するかを可視化します。 「測定できないものは改善できない」という信念のもと、データに 基づいた透明性の高い経営を行い、投資家との対話を深化させました。 特に人財開発が企業の持続的な成長に直結することを理論的に証明し、 非財務資本を財務資本へと転換するガバナンス体制を構築しています。 数値に基づいた進捗管理を行うことで、社会課題の解決が長期的な 企業価値の向上に結びつくことを、世界に先駆けて実証しました。 このようにKPIを戦略の中核に据えることで、施策の有効性を高め、 ステークホルダーからの確固たる信頼獲得に成功しています。
参考:エーザイ|統合報告書(価値創造モデル)

3.まとめ

持続可能な社会に向けた企業の取り組みは、製品設計から回収・再利用までを一体化する構造や、サプライチェーン全体での排出削減、社会課題と事業を連動させたモデルなど、共通する施策パターンが確認できます。

五十鈴株式会社の「icサーキュラーソリューション」は、現状の資源フローや排出データの精密な分析に基づき、サステナビリティを企業の圧倒的な強みへと転換する構造変革を強固に支援します。社会課題の解決を自社の成長エンジンへと進化させたい方は、ぜひお気軽にご相談ください。

監修

早稲田大学法学部卒業後、金融機関での法人営業を経て、中小企業向け専門紙の編集記者として神奈川県内の企業・大学・研究機関を取材。
2013年から2020年にかけては、企業のサステナビリティレポートの企画・編集・ライティングを担当。2025年4月よりフリーランスとして独立。
企業活動と社会課題の接点に関する実務経験が豊富で、サステナビリティ分野での実践的な視点に基づく発信を強みとしている。