逆物流で利益改善を実現する方法|導入手順・コスト・外部委託・成功する仕組みを完全解説

EC市場の拡大や返品増加、環境対応の要請を背景に、逆物流は物流部門だけの課題ではなく、利益改善と経営判断に直結するテーマとなっています。この記事では、逆物流の基本から課題整理、コスト削減や収益化の考え方、内製・外部委託の判断軸までを解説します。

こうした逆物流の構築と資源循環の最大化を、実務面から強力に支援するのが、五十鈴株式会社の「icサーキュラーソリューションです。配送・回収の枠を超え、戻ってきた製品や廃棄物を再資源化し、再び経済価値へと繋げるサプライチェーンの再設計を強固に支援します。物流をコストから資源調達の仕組みへと変え、次世代の循環型経営を構築したい方は、ぜひお気軽にご相談ください。

目次

1.逆物流(リバースロジスティクス)とは

ここでは、逆物流の基本的な定義と注目される背景、対象となる領域について解説します。

(1)逆物流の定義

逆物流とは、消費者や現場から戻る製品・部品・容器などを回収し、検品・修理・再販・再資源化へつなげて価値を回収する物流プロセスです。
通常物流が生産者から消費者へ流れるのに対し、逆物流は消費者から企業(メーカー、リペア拠点、再資源化拠点など)へ戻る流れが中心になります。

返品対応や廃棄処理と混同されがちですが、処分ではなく再流通や循環を含む点が特徴です。

参考:リバースロジスティクス(静脈物流) ―サプライチェーンにおける価値創出の可能性―|三井物産

(2)逆物流が注目されるようになった背景

逆物流が注目される背景には、EC市場の拡大に伴う返品件数やSKU(在庫管理単位)の増加があります。
返品や回収品が増えることで、保管・検品・廃棄にかかる負担が増大し、利益率を圧迫するケースが目立つようになりました。
さらに、SDGs(持続可能な開発目標)ESG(環境・社会・ガバナンス)資源循環型社会への対応が求められる中、廃棄処理には中間処理を含む多段階の工程が必要となり、コスト面でも無視できない存在となっています。

背景要因企業への影響
EC市場の拡大返品件数・SKU増加、回収業務の複雑化
廃棄処理コスト保管費・処理費の増加、利益率の低下
環境対応(SDGs・ESG)資源循環対応、廃棄削減の必要性
社内負荷の増大CS対応・倉庫逼迫、現場負担の増加

こうした外部環境の変化は、社内課題とも直結しており、経営視点で取り組むべき課題として位置づけられています。

参考:EC市場拡大
参考:廃棄コスト
参考:【事例あり】リバースロジスティクスとは?自社の課題解決方法まで|トランスコスモス

(3)逆物流の対象領域・代表的な品目

逆物流の対象は、EC返品だけに限定されません。
初期不良品や故障品、修理・再販を前提としたリファービッシュ対象製品のほか、交換パーツ回収部材ダンボール・緩衝材・コンテナ・パレットなどの梱包資材も含まれます。
また、化粧品容器や飲料ボトル、リフィルパックといった回収容器も代表的な品目です。回収先は店舗や倉庫、リペアセンター、資源循環拠点など多岐にわたり、品目ごとに処理フローが異なります。

分類代表的な品目例
商品系EC返品品、初期不良品、故障品、リファービッシュ対象製品
部材・資材交換パーツ、回収部材、ダンボール、緩衝材、パレット
容器・回収物化粧品容器、飲料ボトル、リフィルパック
回収拠点店舗、倉庫、買取拠点、リペア・資源循環拠点

一方で、自社倉庫内での在庫移動や販路変更のみを目的とした移送は、逆物流には含まれません。

【事例】日本パレットレンタル(JPR)の逆物流事例
日本パレットレンタル(JPR)は、パレットやコンテナなどの物流資材の 共同利用サービスを提供することで、資材の逆物流を専門的に担っています。
これは、メーカーや物流企業が製品を出荷する際に、JPRからレンタルした パレットを使用し、納品先まで輸送する仕組みです。
納品後、空になったパレットは各企業が個別に管理・回収するのではなく、 JPRが全国規模のネットワークで回収を代行します。回収されたパレットは専門の拠点で検品・修理され、次の利用者に レンタルされるため、資材の再利用(リユース)が徹底されます。これにより、企業は高価な物流資材を自前で所有・管理・回収する コストや手間から解放され、環境負荷低減にも貢献しています。この事業は、逆物流の中でも特に「部材・資材」の回収・循環を システムとして確立した、好事例と言えます。
参考:JPRレンタルパレットサービス

2.逆物流が企業の利益改善につながる理由

ここでは、逆物流が再販による収益化や資源循環を通じて、どのように企業の利益改善につながるのかを解説します。

(1)返品・廃棄コストの削減につながる

逆物流を仕組み化することで、返品対応や廃棄処理に伴うコストを抑制しやすくなります。返送料や検品・再梱包作業、人件費、在庫保管費、廃棄費用は、手戻りや例外対応が多いほど膨らみます。
返品基準や商品分類ルールを統一し、受付から処理までの流れを標準化することで、無駄な再作業を削減可能です。

コスト要因発生する課題改善による効果
返送料・輸送費小口・例外対応の多発回収条件の統一で削減
検品・再梱包手作業依存・再作業分類ルール明確化
保管・人件費滞留在庫の増加処理速度向上
廃棄費用不要廃棄の発生判定精度の向上

処理スピードが向上すれば在庫の滞留期間も短縮され、倉庫負荷の軽減と利益率の改善につながります。

【事例】株式会社ワールドの返品物流最適化
株式会社ワールドは、EC市場の拡大に伴う返品コスト増大と 在庫回転率の低下という課題に対し、逆物流の仕組みを構築しました。最大の目的は、返品された衣料品をいかに早く再販可能な状態に戻すか、 すなわち処理スピードの向上です。
具体的には、入荷、検品、不良品選別、再梱包、在庫計上までの一連の 作業プロセスを標準化・効率化し、手戻りや無駄な作業を削減しました。特に、返品理由や商品の状態に応じた分類ルールを明確化することで、 「再販可能品」を迅速に仕分け、倉庫での滞留期間を短縮しています。これにより、返品商品の保管費や人件費が削減されるだけでなく、 商品が新鮮なうちに再販されるため、定価での販売期間が延び、 結果的に利益率の維持・改善につながっています。
参考:リバースロジスティクス(静脈物流)とは?メリットや問題点、事例を紹介|SBフレームワークス

(2)再販・リファービッシュによる収益化

逆物流は返品や回収品を廃棄するだけでなく、再販リファービッシュ(整備・再生処理)によって売上を生み出す仕組みとして活用できます。
新品として販売できない製品でも、検品や修繕、消耗部品の交換、清掃・改修を行うことで、アウトレット品や中古品、B品として再流通させることが可能です。

区分具体的な内容
再生工程検品、修繕、部品交換、清掃・改修
再販形態アウトレット品、中古品、B品
主な商材アパレル、家電、家具、精密機器
再販チャネル自社EC、店舗、アウトレットEC、BtoB卸
期待効果再販率向上、物流コスト回収の加速

特にアパレル、家電、家具、精密機器などは効果が出やすく、再販率や回収率が高まるほど物流コストの回収スピードも向上します。

【事例】Dell Technologies のリファービッシュによる収益化
Dell Technologiesは、逆物流を収益源とする代表的なIT企業の好事例です。
顧客からの返品やリース期間が満了したPC、サーバー、モニターなどの電子機器を 専門の施設で厳格に回収・受け入れます。これらの回収品は、専門の技術者によって徹底的な検査、データ消去、 故障箇所の修理、消耗部品の交換といった再生処理(リファービッシュ)を受けます。
リファービッシュを経た製品は、「Dell認定整備済み製品」として品質が保証され、 通常の製品とは別の専用ECチャネルを通じて再販されます。
この仕組みにより、Dellは新品として販売できない製品から新たな売上を創出し、 逆物流にかかるコストを再販収益で十分に回収しています。
これは、電子廃棄物の削減という環境面への貢献だけでなく、 企業の利益率改善と資源効率の向上に直結する戦略的な取り組みです。
参考:DELL公式 未使用・未開封のキャンセル品/返品製品 再販売用オンラインショップ

(3)資源循環による処理効率化・長期的なROI(投資対効果)

逆物流を資源循環の視点で設計することで、処理効率の向上中長期的なROI改善が可能です。
梱包材や容器、部材、パレットなどを再利用する仕組みが整えば、調達コストや廃棄コストを抑制できます。
また、回収方法や清掃・整備、再利用のプロセスが標準化されることで、業務の属人化を防ぎ、サプライチェーン全体の安定につながります。

観点主な内容期待できる効果
再利用対象梱包材・容器・部材・パレット調達・廃棄コスト削減
業務プロセス回収・清掃・整備の標準化処理効率向上・安定運用
投資回収1〜3年の改善カーブ中長期ROIの向上
経営評価SDGs・ESG対応採用・取引・入札での評価向上

これらの効果は短期的なコスト削減にとどまらず、1〜3年単位で積み上がるROIとして表れやすく、SDGsやESGへの対応を通じて採用・取引・入札評価にも影響します。

【事例】資生堂の容器回収プログラムによる資源循環
株式会社資生堂は、逆物流をSDGs・ESGへの対応と捉え、 使用済み化粧品容器の資源循環プログラムを推進しています。
このプログラムでは、顧客が使い終わった化粧品容器(プラスチックやガラスなど)を 全国の資生堂製品取り扱い店舗を通じて回収(逆物流)します。回収された容器は、専門のパートナー企業へと送られ、 洗浄、分別、粉砕といった再生処理プロセスを経ます。そして、これらのリサイクル素材は、再び新たな化粧品のパッケージや 店舗の什器などの原材料として活用されています。この取り組みは、廃棄物を減らすだけでなく、資源の調達コスト削減にも つながり、中長期的な処理効率の向上をもたらします。
また、消費者参加型のこの活動は、ブランドの環境意識の高さをアピールし、 結果として企業のESG評価やブランドイメージの向上に貢献しています。
参考:サステナブルな製品の開発|資生堂

3.逆物流の課題をプロセスごとに整理

ここでは、逆物流で発生しやすい課題を受付からデータ管理まで工程別に解説します。

(1)受付段階:返品基準の曖昧さ/例外対応多発

逆物流における課題は、受付段階ですでに顕在化していることが少なくありません。
返品可否の基準が曖昧なまま運用されていると、例外対応が常態化し、担当者の判断に依存しやすくなります。
その結果、問い合わせ対応や承認フローに時間を要し、回収・検品・在庫管理といった後工程にも遅延が波及します。

主な課題発生しやすい影響整理すべきポイント
返品基準が曖昧例外対応が増加返品可否・条件の明文化
情報入力が不十分後工程で確認作業が発生返品理由・状態項目の統一
判断が属人化承認・対応の遅延受付ルールと判断フローの標準化

受付時点で返品理由や商品状態が十分にまとめられていない場合、再確認や再作業が増え、全体の処理効率が低下します。

【事例】Amazon(アマゾン)の返品受付自動化戦略
Amazonは、膨大なEC返品に対応するため、返品基準の明文化と 受付プロセスの徹底的な自動化を核としています。
まず、商品到着後30日以内など、返品可能な条件を明確にすることで、 現場担当者の属人的な判断と例外処理を最小化しています。
さらに、顧客がWeb上で返品手続きを行う際、受領・返品ラベルの発行、 返金申請、返品理由の選択までをすべてオンラインで完結させます。
この統合されたデジタルフローにより、後工程(検品)で必要な情報が 受付時点で過不足なく収集されるため、確認作業の減少につながります。また、返品手続きの透明性が向上することで顧客満足度を高めつつ、 受付プロセスが標準化され、逆物流の初期段階での遅延を解消しています。
参考:返品・交換の条件|Amazon

(2)回収・輸送:回収ルートの非効率/小口多発/費用増

回収・輸送工程では、回収ルートの非効率化や小口回収の多発により、輸送コストが膨らみやすくなります。
受付段階で返品情報が整理されていないと、集荷条件が案件ごとに異なり、臨時対応や個別手配が常態化します。
その結果として、現場負担が増大し、属人化による判断遅延も発生します。

主な課題発生しやすい影響改善の視点
回収ルートが非効率輸送コスト増加回収条件・頻度の整理
小口回収の多発手配・管理工数増集約回収の検討
情報不足による例外対応現場負担・属人化事前情報の標準化
後工程への波及在庫・倉庫費用増前後工程との連動設計

こうした影響は検品遅延や在庫増加につながり、倉庫費用の増加利益率の低下を招きます。

【事例】佐川急便のAIによる回収・配送ルート最適化
佐川急便は、逆物流と通常物流の両方における回収・輸送の効率化のため、 AIを活用した動的ルート最適化システム(Loogia)を導入しました。このシステムにより、配送・集荷のオーダーデータに基づき、 最適な回収ルートを自動で設計し、属人的なルート設計を標準化しています。
特に、再配達や当日発生する急な回収依頼などの例外的な変更に対しても、 リアルタイムでルートを再最適化し、柔軟に対応可能になりました。
この取り組みは、非効率な回収ルートや小口多発による輸送コストの増大、 そして現場担当者の負担増大という課題を直接的に解決しています。結果として、走行距離の削減によるコスト低減が実現され、 配車・集配業務の効率化と安定運用に成功しています。
参考:ルート最適化システム「Loogia」を佐川急便で導入を開始|佐川急便

(3)受入・検品:作業負荷・手作業依存・情報欠落

受入・検品工程では、作業負荷の増大や手作業依存、情報欠落が起こりやすくなります。
これはシステムの有無ではなく、逆物流が仕組みとして設計されていないことに起因します。
返品基準やSKU・商品状態の分類ルールが曖昧なままでは判断が属人化し、拠点間連携やKPI(重要業績評価指標)、原価算出も機能しません。

主な原因発生する影響設計上の論点
分類ルールの不統一判断の属人化SKU・状態区分の明確化
情報連携の不足再作業・確認増拠点間の情報共有設計
KPI・原価不在改善判断不可評価指標・原価算定
手作業依存人件費増加作業プロセスの標準化

例外対応による人件費増加や再販率低下、滞留在庫の拡大が連鎖し、コストが積み上がります。
受入・検品は、改善の起点として設計を見直すことが必要です。

【事例】Optoro(オプトロ)の返品・再販自動化プラットフォーム
Optoroは、米国の小売業者向けに、逆物流全体を自動化・最適化する クラウドベースのプラットフォームを提供する企業です。最大の特長は、返品された商品の受入から検品、分類、最適な再販チャネルへの 割り当てまでを一連のデジタルプロセスとして処理することです。専用倉庫で商品をスキャンすることで、状態判定とデータベース化が自動的に行われ、 従来の個別判断や手作業に依存する検品プロセスを大幅に削減します。
これにより、属人的な判断のばらつきを抑制し、返品商品を廃棄ではなく 再販・リファービッシュに回す最適なルートを瞬時に選定します。Optoroの導入は、返品処理の効率化とリードタイム短縮を通じて、 小売企業の廃棄コスト削減と収益の最大化に貢献しています。
参考:OptoroのDX事例[輸送・物流] 返品作業は丸ごとおまかせ! スムーズな再還流がサステナブル市場を拡大する|Web担当者Forum

(4)判定:基準不統一/判断に時間/再販率が低い

判定工程では、再販・修理・廃棄の基準が統一されていないことが、処理遅延と再販率低下の主因です。
判断ルールが曖昧なままでは担当者ごとに結論が分かれ、確認や差し戻しが頻発します。
商品状態の評価軸や再販可否の基準が定まっていない場合、本来再販可能な商品まで廃棄され、収益機会を失います。

主な課題発生しやすい影響改善の視点
判定基準の不統一判断遅延・差し戻し再販/修理/廃棄基準の明文化
状態評価の曖昧さ再販率低下評価軸・グレード定義
属人判断在庫滞留判定フローの標準化
情報不足機会損失判定に必要な情報整理

判定基準とフローを明確化し、判断を標準化することが重要です。

【事例】Espace des Marques のWMS活用による返品判定標準化
欧州のオンラインファッション小売であるEspace des Marquesは、 Mecaluxの倉庫管理システム(Easy WMS)を導入することで、 逆物流における判定プロセスの標準化を実現しました。
この取り組みのユニークな点は、返品自体を減らすことに着目した点です。 WMSを活用して、注文ピッキング段階でのミス(誤配送、サイズ違いなど)を 予防することで、返品の発生原因を根本的に削減しました。
結果、返品量が減るとともに、返品された商品についても、 WMSに組み込まれた明確なルールに基づき、状態評価と再販判定が 自動的、かつ迅速に行われるようになりました。これにより、判定基準の不統一や判断に要する時間が大幅に減り、 再販可能な返品の割合を向上させることに成功しています。これは、システムを活用した前後工程の連携設計により、 判定課題を解決した好事例です。
参考:Mecalux 物流事例(返品管理と再販改善)(英語)

(5)再販・循環:販路確保/SKU・在庫管理の複雑化

再販・循環工程では、安定した販路の確保SKU・在庫管理の複雑化が大きな課題になります。
再販先が限定されている場合、処理が滞り、在庫が積み上がりやすくなります。
また、商品状態やグレードごとにSKUが細分化されると、在庫把握や価格調整が煩雑化し、管理工数が増加します。

主な課題発生しやすい影響設計の視点
再販先が限定的在庫滞留・処理遅延複数チャネルの確保
SKUの細分化管理工数増加状態・グレード定義の整理
在庫情報の分断機会損失在庫可視化と一元管理
滞留期間の長期化保管コスト増回転率を意識した運用

その結果、再販機会を逃したり、滞留期間の長期化によって保管コストが膨らむ恐れがあります。

(6)データ管理:原価が算出できない/ROI測定不可

回収・検品・再販といった工程ごとのコストが分断されていると、どこに無駄や改善余地があるのか判断できなくなります。その結果、再販率や滞留期間が評価されず、施策の良否が見えないまま運用が続きます。

主な課題発生しやすい影響管理設計の視点
原価が算出できない採算判断不可工程別コストの整理
データが分断改善点が不明回収〜再販の一元管理
KPI未設定効果測定不可再販率・滞留期間の設定
ROI不明確投資判断が属人的数値に基づく判断設計

ROIを測定できない状態では、追加投資や外部委託の判断も感覚的になり、改善が進みません。

4.逆物流の導入方法

ここでは、逆物流の代表的な導入方法である自社構築・部分委託・フル委託の考え方を解説します。

(1)自社構築(内製化)

自社構築(内製化)は、受付から回収、検品、判定、再販、在庫管理、データ管理までを自社で担う導入方式です。
運用の自由度が高く、データやノウハウを自社に蓄積しやすい点が特徴ですが、逆物流は通常物流と異なり、返品量や状態にばらつきがあるため内製コストを事前に把握しにくい側面があります。

観点内容
主な特徴全工程を自社で管理・運用
メリット自由度が高い/ノウハウが蓄積される
注意点初期工数が大きい/コスト予測が難しい
判断軸ROI/体制構築のスピード/管理余力

方式の優劣ではなく、自社の規模や商材特性、返品量、管理余力に適しているかを基準に検討することが重要です。

【事例】フィリップス:「Circular Edition」による医療機器の循環型ビジネスモデル
フィリップスは、医療用画像診断装置などを対象に、 使用済み製品を回収し、「Circular Edition」プログラムとして、 リファービッシュ(再生)と再販を行う循環型サプライチェーンを構築しています。
この取り組みの大きな特徴は、受付から回収、監視、解体、部品の再利用、 品質保証、在庫・データ管理といった全工程を自社の拠点に統合し、 一貫して管理・運用している点にあります。これにより、新品と同等の高い品質保証を提供すると同時に、 廃棄物を削減し、CO₂排出量の削減も達成することで、 環境面とビジネス面の両立を実現する好事例となっています。
参考:https://ecoskills.academy/circular-economy-in-business-cases-strategies/

(2)部分委託(スポット型・業務分担型)

部分委託は、逆物流の一部工程のみを外部に任せる導入方式です。
回収や検品、再販など自社で弱い工程を補強できるため、過度な初期投資を避けつつ改善を進めやすい点が特徴です。

観点内容
主な特徴一部工程のみ外部委託
メリット初期投資を抑えやすい/柔軟に改善可能
注意点管理負荷が増える可能性
判断軸再販率/ROI/業務分担の明確さ

一方、業務分担や責任範囲を明確にしないまま導入すると、管理工数が増え、逆に非効率になる恐れがあります。

【事例】キチナングループの逆物流(部分委託)事例
キチナングループでは荷主企業の返品処理や再生工程を部分的に請け負うことで、従来は各社が自社で対応していた返品対応業務の改善をサポートしています。
ある日用雑貨の荷主では、返品の運賃体系や複数便で返却されることによる積み下ろしの増加といった課題がありましたが、キチナングループが返品運賃を元払いに変更し、集荷ルートを統一して重複作業を削減した結果、荷傷み率を大幅に低減しました。さらに同社が検品と再生加工を請け負うことで、固定費だった返品処理費用が変動費化し、廃棄割合の低減につながりました。荷主企業からは「廃棄が激減した」と高い評価を受け、大阪で全国の返品センター構築の要望も得ています。
また小物雑貨の事例では、従来廃棄されていた返品品の多くを社内外向けの販売に回す仕組みを提案・実施し、荷主企業の売上利益に貢献しています。こうした取り組みは、部分的に外部の専門物流事業者へ返品検品・再生・販売支援などの工程を委託することで、企業の初期投資を抑えながら再販率と収益性を高めるモデルとして機能しています。
参考:リバースロジスティクス(逆物流)とは?重要性や課題を解説

(3)フル委託(3PL・専門サービス)

フル委託は、逆物流の大部分を3PL(外部物流事業者)や専門サービスに任せる導入方式です。
対応可能な品目や再販・循環までの対応範囲、データ連携やレポート精度、KPI設計、契約形態、繁忙期対応力を総合的に確認することが重要です。

観点確認ポイント
対応範囲品目対応/再販・循環まで一気通貫か
成果管理KPI設計/レポート精度
契約形態固定費・従量・成果報酬
運用体制繁忙期対応/連携のしやすさ

まずは部分委託で効果を検証し、成果指標を設計したうえでフル委託へ移行する進め方が有効です。逆物流の委託は外注ではなく、成果を共有する共創として捉える必要があります。

【事例】富士ロジテック:ECリバース物流のフルフィルメントサービス
富士ロジテックホールディングスは、EC事業者向けに、 商品の返品・交換対応に伴うリバース物流全体を代行する フルフィルメントサービスを展開しています。このサービスは、単なる返品回収にとどまらず、 倉庫への入庫、検品、不良品チェック、そして再販に向けた 流通加工(タグ付け、値札付け、箱詰めなど)までを一括で請け負います。
特に、フォワード(通常)物流とリバース物流の業務を シームレスに再構築し、効率化を図ることが特徴です。
これにより、EC事業者は過度な初期投資や管理工数を増やすことなく、 複雑で手間のかかる返品処理を専門業者に任せることが可能となり、 顧客満足度(CS)の向上と在庫回転率の改善に集中できます。
参考:富士ロジテック webサイト

富士ロジテックホールディングス(富士ロジスティックス)は、EC事業者向けのリバース物流(返品・交換物流)フルフィルメントサービスを提供しており、これは「フル委託」の好事例にあたります。

5.まとめ

逆物流は返品や廃棄対応にとどまらず、利益改善と環境対応を両立させる経営課題です。
工程設計とデータ管理を整えることで、コスト削減や再販による収益化が可能になります。自社に合った導入方法をROI視点で判断することが重要です。

こうした複雑な逆物流の構築と、回収した資源の再価値化を一貫して支援するのが、五十鈴株式会社の「icサーキュラーソリューション」です。物流効率化にとどまらず、戻ってきた製品や廃棄物を利益を生むリソースへと転換するサプライチェーン全体の再設計をプロデュースします。逆物流を損失から新たな付加価値の源泉へと変え、次世代の循環型経営を実現したい方は、ぜひお気軽にご相談ください。

監修

早稲田大学法学部卒業後、金融機関での法人営業を経て、中小企業向け専門紙の編集記者として神奈川県内の企業・大学・研究機関を取材。
2013年から2020年にかけては、企業のサステナビリティレポートの企画・編集・ライティングを担当。2025年4月よりフリーランスとして独立。
企業活動と社会課題の接点に関する実務経験が豊富で、サステナビリティ分野での実践的な視点に基づく発信を強みとしている。