アパレル業界におけるサーキュラーエコノミーの導入は、コスト削減や製品のサービス化(PaaS)といった新しい収益モデルを確立するための強力な成長戦略です。
2026年からは、欧州を中心にデジタル製品パスポート(DPP)への対応が本格化するなど、業界のルールは根本から塗り替えられつつあります。本記事では、サーキュラーエコノミーの基本概念から国内外の先進事例、そして規制を好機に変えるステップも解説します。
実務と構造変革の両面からアパレル業界の劇的な転換を支援するのが、五十鈴株式会社の「icサーキュラーソリューション」です。廃棄物削減や繊維素材の再価値化を起点に、サプライチェーンの透明化やサステナブルな商品開発を一貫して支援し、国内外の規制をクリアする強靭なビジネスモデルの構築を支援します。規制対応を競争優位へと変え、次世代の循環型経営を構築したい方は、ぜひお気軽にご相談ください。
1.アパレルにおけるサーキュラーエコノミーとは?

2022年には国内で約79.8万トンの衣類が供給され、そのうち約69.6万トンが家庭から手放されていますが、リユースやリサイクルに回るのは35%にとどまり、残りの約65%は廃棄されています。
大量生産・大量消費に依存する構造の中で資源循環が十分に機能しておらず、結果として衣類由来のCO₂排出や環境負荷は増大しています。
アパレル業界におけるサーキュラーエコノミーはこのような問題を解決する手段として注目を集めています。
ここでは、アパレルにおけるサーキュラーエコノミーについて解説します。
(1)サーキュラーエコノミーとリニアエコノミーとの違い
従来のアパレル産業は、リニアエコノミー(直線型経済)と呼ばれる経済モデルに依存してきました。
これは「資源を採取→製造→使用→廃棄」という流れで進み、膨大な資源消費と廃棄物の増加を引き起こします。以下にサーキュラーエコノミーとリニアエコノミーとの違いをまとめました。
| サーキュラーエコノミー(循環型) | リニアエコノミー(直線型) | |
|---|---|---|
| 資源 | 再利用・再生を前提とする | 採取して使い切る |
| 製造 | 修繕・リメイクを考慮した設計 | 大量生産が基本 |
| 使用 | 長寿命化・シェア・レンタル | 短期間の消費で終了 |
| 廃棄 | 回収・リサイクル・再資源化 | 焼却や埋立てが中心 |
このように、リニアは「捨てる」ことを前提にしていますが、サーキュラーエコノミーでは「資源を循環させ、廃棄そのものを減らす」ことを目指します。
(2)サーキュラーファッションとは
サーキュラーファッションとは、製品の設計・製造・流通・消費・回収・再生まで、アパレルのライフサイクル全体を循環型に変える取り組みです。長く使えるデザイン・修理やリユースの仕組み・最終的な資源再生を組み合わせることで、持続可能な社会づくりに貢献します。
| サーキュラーファッションの特徴 | 意味・効果 | |
|---|---|---|
| 設計・製造 | 耐久性を高めたデザイン、リサイクル容易な単一素材の採用 | 製品寿命を延ばし、廃棄を削減 |
| 流通・消費 | レンタル・サブスクリプション、リユース市場の拡大 | 資源利用を抑えつつ新たな需要を創出 |
| 回収・再生 | 衣類回収プログラム、再生繊維の活用、生分解性素材 | 廃棄物を資源に戻し、循環を強化 |
このようにサーキュラーファッションは、従来の「使い捨て型ファッション」から脱却し、資源を循環させながら価値を生み出す新しいファッションのあり方として注目されています。
参考:循環型ファッション(サーキュラーファッション)とは?注目される背景とメリット・課題を解説|shoichi
(3)サーキュラーファッションとサステナブルファッションの違い
サーキュラーファッションとサステナブルファッションはいずれも環境負荷の低減を目指す概念ですが、そのアプローチには明確な違いがあります。
| 観点 | サーキュラーファッション | サステナブルファッション |
|---|---|---|
| 基本概念 | 資源を循環させ、廃棄を前提としない仕組みを構築する | 環境・社会に配慮した持続可能なものづくりを行う |
| 注力する段階 | 設計~使用~回収~再資源化までのライフサイクル全体 | 原材料の選定、生産工程、労働環境など製造段階 |
| 主なアプローチ | 長寿命化、修理・リユース、リサイクルを前提としたデザイン | オーガニック素材や再生素材の活用、省エネ・公正取引 |
| 目的 | 廃棄を減らし資源を循環利用する仕組みを確立すること | 環境負荷を抑えつつ社会的に持続可能な服作りを行うこと |
| 例 | 回収プログラムによる古着リサイクル、レンタルやシェアサービス | オーガニックコットン製品、フェアトレード認証付きブランド |
両者はどちらか一方では完結しない概念であり、サステナブルファッションが「より環境にやさしい服を作ること」を追求し、サーキュラーファッションが「服を廃棄せず循環させること」を仕組み化することで、相互補完的に持続可能なアパレル産業の実現を支えます。
参考:サステナブルファッション-企業・自治体等による好事例|環境省
2.アパレルのサーキュラーエコノミーの具体的な企業事例7選
(1)ユニクロ|RE.UNIQLO

ユニクロの「RE.UNIQLO(リ・ユニクロ)」は、「REDUCE(廃棄削減)」「REUSE(再使用)」「RECYCLE(再資源化)」を柱とした衣料循環の取り組みで、着られなくなったユニクロ製品を回収し、再利用する取り組みです。このプロジェクトは、従来の「作って、使って、捨てる」というリニアエコノミーからの脱却を目指しています。
店舗に設置された回収ボックスで集められた服は、まずリユース可能なものとリサイクル対象のものに仕分けられ、リユース可能な衣類は国内外の難民支援や被災地支援へ寄贈されるほか、洗浄・検品のうえ古着として再販売されます。
リサイクル対象品は、ダウン素材なら新たな服の原料へ、服として再利用できないものは断熱材や防音材といった他用途素材として活用されます。
(2)H&Mグループ|古着回収サービス&リサイクル
H&Mは2013年から、あらゆるブランド・状態の衣類を回収するサービスを世界規模で展開しています。この取り組みを通じて、顧客は不要な衣類を持ち込むことで、次回のお買い物に使えるデジタルクーポンを受け取ることができ、顧客のメリットも計ることで取り組みがより浸透することを図っています。
回収された衣類は、まず「着用可能なもの(リウェア)」と「再利用・再資源化対象品」に分けられ、リサイクル可能なものは、クリーニング用品やリメイク品などに作り変えられる(リユース)か、繊維素材として再生されるか、自動車用断熱材などの産業用途に転用され、最終的にどのカテゴリーにも適さないものはエネルギー回収へと回されます。
日本では、2022年春から回収の提携先を欧州拠点企業から国内のリサイクル会社であるファイバーシーディーエムへ切り替え、輸送距離や環境負荷の軽減を図る運用へ移行しており、仕組みの段階からサーキュラーエコノミーを構築しています。
(3)BRING(日本環境設計)|循環型ファッションプラットフォーム
BRINGは、不要になった衣類を回収し、それを再び服に生まれ変わらせることを目指す株式会社JEPLANが運営する循環型ファッションプラットフォームです。ファッション産業における大量生産・大量廃棄の課題解決に貢献するサステナブルな取り組みとして展開されています。
回収は、BRINGと連携する様々なブランドや小売店等の店頭で実施されるほか、オンライン購入時に同梱される回収封筒を利用して行われます。回収された衣類は素材や状態に応じて「再使用(リユース)」できるものと「リサイクル(再資源化)」対象に仕分けられ、特にポリエステル100%の繊維については、独自のケミカルリサイクルを通じて、熱や圧力を加える従来のメカニカルリサイクルでは除去が難しかった色や汚れなどの不純物も分子レベルで分解・精製されます。これにより、何度も繰り返し再生が可能で、石油由来と同等品質の再生ポリエステル原料に変換されます。
この技術を用いた製造プロセスは、石油由来のポリエステル樹脂と比較してCO2排出量を大幅に削減できるという結果も示されています。
このような素材の再資源化、再製品化、そしてリユース流通まで一体的に設計した事業モデルは、衣類を循環させる仕組みにおける先駆的な取り組みとして注目を集めています。
(4)Patagonia|サーキュラリティへの探求
Patagoniaは、創業期から「製品を埋立地で終わらせない」ことを掲げ、不要になったベースレイヤー製品を回収してポリエステル繊維を化学リサイクルし、新たな製品原料に戻す試み(Teijin(帝人)の「Eco Circle」技術との協業)などを取り入れています。このような初期の取り組みに加え、Patagoniaは製品の長寿命化と再利用の促進を活動の核としています。
その他にも製品の長寿命化と再利用の促進を軸に、リペアサービスの提供、中古再販サービス「Worn Wear」の拡充や顧客が中古品を持ち込むとストアクレジットと交換するトレードイン制度の導入、使用済みTシャツを原料とするプロジェクトなどを通じて、製品寿命を通じて発生する廃棄物すべてをPatagoniaが責任を持つコンセプトを掲げています。
これは、単に製品を回収するだけでなく、耐久性の高い素材や修理しやすい構造といった設計から始まる循環性の再考を軸に、多様な取り組みを有することがPatagoniaのサーキュラーエコノミーにおける大きな特徴となっています。
(5)MUD Jeans|リース型デニム循環モデル
オランダ発のMUD Jeansは、ユーザーは月額料金を支払ってジーンズをリースでき、1年後には“保持”“返却”“交換”を選択でき、その際返却品は再販売、アップサイクル、もしくは再資源化されます。
回収されたジーンズは、状態の良いものはヴィンテージとして再流通させ、それ以外は繊維に戻して新しいデニム素材に再加工されます。リサイクル繊維は有機綿とブレンドされ、23~40%のポストコンシューマーリサイクル綿を含む素材として再生された事例もあります。
リース→回収→再資源化→再提供のサイクルを自社で設計・運営し、製品寿命を延ばし、廃棄を抑制するモデルを実践しています。これにより、ジーンズの所有権を企業が保持し続けることで、製品の資源を確実に管理し、真のサーキュラーエコノミーを実現しています。
(6)アミアズ(Another Address)|衣類循環アップサイクルプロジェクト
アミアズ(Another Address)が展開する「roop」は、レンタル事業とアップサイクルを結びつけた衣類循環プロジェクトです。ユーザーが手放した思い入れのある服を回収し、そのまま再利用するだけでなく、プロや学生デザイナーの手でアップサイクルし、新しいレンタルアイテムとして再提供するプロジェクトです。これにより、服の物理的な寿命だけでなく、デザインの価値や物語も再生させています。
衣類回収の際には、レンタル品返却時にガーメントバッグに同梱する形で服を寄付できるようにするなど、日常の流れに組み込みやすい動線を設計しています。
アパレルのサーキュラーエコノミー事例の中でも、回収→アップサイクル→再提供(レンタル)という循環をファッション体験として再構築するモデルとして注目されます。レンタルサービスという特性を活かし、アップサイクル品を多くのユーザーが試せる機会を提供している点も、このモデルの大きな特徴です。
(7)BEAMS|店舗回収・アップサイクル施策
BEAMSは「つづく服。」というスローガンを掲げ、衣類の循環を促す複数の取り組みを進めています。店舗に不要衣料回収ボックスを設置し、集められた衣類は回収→再資源化され、新たな衣類や繊維製品へと循環します。
また、流通過程で流通過程で傷が付いたり、トレンドが過ぎたりして販売できなくなったデッドストック品を、元の製品のデザインや素材を活かしながらトートバッグやミニバッグ等に再構成して、新商品化し、廃棄を削減しつつ付加価値を与える取り組みを展開しています。
これらの施策により、BEAMSは回収→選別→再利用・再資源化→アップサイクル・再提供の循環プロセスを段階的に取り入れています。ファッションを楽しみながら資源を大切にするというサーキュラーエコノミーの実現を目指しています。
3.アパレルにおけるサーキュラーエコノミー実現に向けた課題

サーキュラーエコノミーの実現には大きな可能性がある一方、技術やインフラ、消費者行動など多くの課題も残されています。ここでは、アパレル業界が直面する主な阻害要因を解説します。
(1)サプライチェーン全体の協力体制
サーキュラーエコノミーでは、素材メーカー、製造業者、デザイナー、小売業者、消費者までを含む全体の連携が不可欠です。回収・リサイクル・リユースを効率的に進めるには、サプライヤーとの情報共有や共通の目標設定が前提となります。
企業単独では解決できない課題だからこそ、業界横断的な連携が重要な戦略となります。
(2)リサイクル技術とインフラの制約
アパレル業界でサーキュラーエコノミーを大規模に実現するには、素材の複雑さや回収体制の未整備がボトルネックになっています。
| 課題の種類 | 具体例 |
|---|---|
| リサイクル技術 | ・混合素材(ポリエステル+綿など)の分離が困難 ・繊維の劣化で高品質な再生が難しい |
| インフラ整備 | ・衣類回収ボックスや物流網の不足 ・選別・加工施設の地域格差 |
このように、技術が未成熟でインフラも整っていない現状では、循環型ファッションを業界全体に広げることは困難です。
今後はリサイクル技術の革新(化学的リサイクル、AI選別など)とインフラ投資(地域単位の回収・加工ネットワーク構築)が不可欠となります。
(3)消費者行動の転換(捨てる衣類サーキュラーエコノミーからの移行)
従来は「着なくなった服=捨てる」が一般的でしたが、これを見直し、衣類を長く使い、循環させる文化を根付かせることが求められています。
| 従来の行動(リニア型) | サーキュラー型の行動 |
|---|---|
| 着なくなった服をそのまま廃棄 | 修理・リメイクして再利用 |
| クローゼット整理=ゴミ袋へ | 寄付や中古市場への出品 |
| ブランドと無関係に処分 | 回収プログラムに参加 |
企業にとっても、消費者参加型の取り組みはブランド価値の向上につながり、循環モデルを支える大きな推進力となります。
(4)設計段階での配慮
サーキュラーエコノミーを推進するうえで、設計そのものに再利用のしやすさを組み込むことで、製品寿命を終えた衣類が資源として循環しやすくなります。
| 設計上の配慮 | 具体例 | 効果 |
|---|---|---|
| 分解性の向上 | ボタンやファスナーを極力少なくし、取り外しを容易にする | 回収時に素材分離がしやすく、再資源化コストを削減 |
| 単一素材化 | ポリエステル100%やコットン100%の製品設計 | 混合素材よりもリサイクル効率が高い |
| リサイクル容易性 | 生分解性繊維やリサイクル認証素材の使用 | 廃棄後も自然循環や再生が可能 |
このような設計思想を取り入れることで、「作る時点から循環を意識した服づくり」が可能になります。
結果として、企業は廃棄物削減だけでなく、サプライチェーン全体での環境負荷低減を実現できます。
4.サーキュラーエコノミーの導入がアパレル企業にもたらすメリット

サーキュラーエコノミーの導入は、環境対応だけでなく、コスト削減や新しい収益モデルの創出、ブランド価値の向上にも直結します。ここでは、アパレル企業にとっての具体的なメリットを解説します。
(1)資源枯渇リスク対応とサプライチェーン安定化
サーキュラーエコノミーは、環境保護だけでなく事業のリスクマネジメントにも直結します。
特にアパレル産業では、綿花や石油由来の合成繊維など、資源価格や供給が不安定になりやすい素材に依存しており、資源枯渇は大きな経営リスクとなります。
| 観点 | リニア型のリスク | サーキュラー型の効果 |
|---|---|---|
| 資源調達 | 綿花不作や石油価格の高騰に影響を受けやすい | 再生素材を活用し、調達依存を分散 |
| コスト構造 | 原材料コストの変動に業績が直結 | 製品寿命を延ばし、調達量そのものを削減 |
| サプライチェーン | 単一資源に依存し、供給停止で混乱 | リユース・リサイクル循環により安定性を確保 |
このように、循環を取り入れることで 「資源価格の変動リスク」や「供給途絶リスク」への耐性が強化されます。
結果として、サプライチェーン全体の安定化につながり、アパレル企業はより強固な事業基盤を築くことが可能になります。
(2)リサイクル・アップサイクルによる素材コスト削減
サーキュラーエコノミーでは、廃棄されるはずの衣類や生地を再活用することで、新品原料の調達コストを抑えられるのが大きなメリットです。
さらに、単なる再利用にとどまらず、アップサイクルによってデザイン性や付加価値を高めることで収益化の可能性も拡大します。
| 手法 | 特徴 | コスト・収益効果 |
|---|---|---|
| リサイクル | 衣類や繊維を回収し、再び素材に戻して利用 | 新品原料の使用量を削減し、調達コストを低減 |
| アップサイクル | 廃棄素材を活かしつつ、デザイン性や機能性を加えて新製品化 | 単なるコスト削減に加え、高付加価値商品として販売できる可能性 |
例えば、再生ポリエステルの利用は新品ポリエステルの価格高騰リスクを緩和し、アップサイクルブランドの事例では「一点物」として高価格帯で市場に受け入れられるケースもあります。
このように、リサイクルとアップサイクルは、コスト削減と新たな収益源の両立を可能にする戦略的アプローチと言えます。
(3)レンタル・サブスクリプション等の循環型ファッションサービス
サーキュラーエコノミーの導入は、単なるコスト削減にとどまらず、新しい収益モデルの創出につながります。
特に「所有から利用へ」という消費者行動の変化を捉えたレンタルサービスやサブスクリプションモデルは、顧客のロイヤルティを高めつつ、企業に継続的な収益をもたらします。
| モデル | 特徴 | 収益・効果 |
|---|---|---|
| レンタルサービス | 特別なシーンや短期間だけ衣類を利用 | 顧客接点の拡大、単価の高い一時利用ニーズを獲得 |
| サブスクリプション | 月額料金で複数の服を定期的に交換できる | 安定的な継続収益、顧客データを活用した提案が可能 |
| 中古売買プラットフォーム | ブランド公式や外部ECを通じた再販 | 廃棄削減とともに「循環ブランド」としての信頼向上 |
このような循環型サービスは、環境負荷を減らしながら収益機会を広げる二重のメリットを持ちます。
また、利用履歴や顧客データを活用することでパーソナライズ化が進み、長期的な関係性構築にも寄与します。
(4)ブランド価値向上とサーキュラーファッションブランドとしての差別化
サーキュラーファッションへの積極的な取り組みは、環境意識の高い消費者からの支持を集めるだけでなく、投資家やビジネスパートナーからの評価向上にもつながります。
現代の消費市場では安さや流行性だけでは差別化が難しくなっており、サステナブルを実践すること自体がブランドの新しい競争軸となっています。
| 観点 | サーキュラー未対応企業 | サーキュラーファッションブランド |
|---|---|---|
| 消費者評価 | 一時的な価格競争に依存 | 環境配慮や倫理性が購買理由となり支持を獲得 |
| 投資家・取引先 | ESG評価が低く、取引条件で不利 | ESG投資の対象となり、グローバル市場で優位 |
| ブランド価値 | トレンドに左右されやすい | 「循環型ブランド」として長期的な信頼を確立 |
このように、サーキュラーエコノミーを実践することは、市場での差別化戦略そのものです。
結果、ブランドは長期的な顧客ロイヤルティを築き、価格競争に巻き込まれにくい強固な地位を確立できます。
5.アパレルにおけるサーキュラーエコノミーの今後の展望

ここでは、アパレルにおけるサーキュラーエコノミーの今後の展望について解説します。
(1)DX・AI・トレーサビリティによる循環最適化(デジタルプロダクトパスポート等)
デジタル技術の導入は、サーキュラーファッションを推進するうえで欠かせない要素です。特にDX(デジタル変革)やAIの活用は、リサイクルプロセスや在庫管理を効率化し、資源循環の精度を高めます。
| 技術領域 | 具体例 | 期待される効果 |
|---|---|---|
| AI活用 | 使用済み衣類の素材判別、回収データの分析 | リサイクル効率の向上、仕分けコスト削減 |
| デジタルプロダクトパスポート(DPP) | EUで議論が進む製品情報のデジタル化 | 原材料や製造履歴の可視化、トレーサビリティ確保 |
| DXプラットフォーム | 異業種連携による情報共有基盤の構築 | サプライチェーン全体の連携強化、循環モデルの拡大 |
これらの仕組みを導入することで、企業は 「どの素材が、どの製品に、どのように循環したのか」 を明確に追跡できるようになります。結果として、消費者の信頼獲得、規制対応、そして業界全体での循環スピード向上につながります。
(2)異業種連携・プラットフォーム構築
サーキュラーエコノミーの実現には、単独の企業努力では限界があります。そこで注目されているのが、異業種間での協力によるプラットフォーム型の取り組みです。
これにより、多様なステークホルダーが知見やリソースを結集し、共通の目標に向けた協力体制を築くことが可能となります。
| 参加主体 | 役割・貢献 | 協働による成果 |
|---|---|---|
| 素材メーカー | リサイクル可能な新素材の開発 | 循環性の高い製品設計が可能に |
| アパレルブランド | 消費者との接点・回収プログラム提供 | 回収量の拡大と利用促進 |
| リサイクル事業者 | 素材の分離・再資源化技術 | 廃棄物を新たな原料として再流通 |
| IT企業 | データ基盤・プラットフォーム提供 | トレーサビリティ強化と効率的な流通管理 |
このような連携により、従来は不可能だった「回収から再流通までの循環システム」を産業横断的に構築することができます。
結果として、コスト削減や規模の拡大だけでなく、消費者や行政からの信頼を得やすくなり、業界全体の循環移行を加速させる効果があります。
(3)消費者教育・啓発
サーキュラーファッションの普及には、消費者自身が循環の担い手になることが不可欠です。そのためには、製品のライフサイクルやリサイクルの意義を正しく理解し、日常の購買・利用行動を変えていくための教育・啓発が重要となります。
| 教育・啓発の内容 | 消費者に期待される行動 | 企業にとっての効果 |
|---|---|---|
| 製品ライフサイクルの理解 | 長く使える製品を選ぶ | 耐久性の高い製品需要が拡大 |
| 回収・リサイクルの重要性周知 | 回収プログラムやリユース市場への参加 | 資源循環量が増加し、廃棄コスト削減 |
| 持続可能な購買行動の啓発 | 修理・リメイク、シェアリングの活用 | 新たなサービスモデル(レンタル等)の利用促進 |
具体的には、店頭での情報提供、SNSキャンペーン、教育機関との連携プログラムなどが有効です。
こうした取り組みを通じて、消費者の意識と行動を変えることができれば、企業は単なる製品提供者にとどまらず、「持続可能なライフスタイルの提案者」として信頼を獲得することにつながります。
6.まとめ
アパレル企業は今後、製品設計から回収・リサイクルに至るまで、サプライチェーン全体での革新を推進し、消費者とのエンゲージメントを深める必要があります。2026年から欧州で施行される「売れ残り衣類の廃棄禁止」や「デジタル製品パスポート(DPP)」の義務化といった政策の後押しは、この変革を劇的に加速させるでしょう。サーキュラーファッションへの転換は、企業の持続可能性を高めてブランド価値を向上させるだけでなく、地球環境を守りながら新たな利益を生むための不可欠な一歩となるでしょう。
こうしたアパレル業界の構造的な変革を、資源循環の仕組みによって実務面から支援するのが、五十鈴株式会社の「icサーキュラーソリューション」です。廃棄物削減や繊維素材の再価値化を起点に、DPP対応を見据えたサプライチェーンの透明化や、サステナブルな商品開発を一貫してプロデュースします。規制対応を「コスト」ではなく「攻めの機会」と捉え、次世代の循環型経営を実現したい方は、ぜひお気軽にご相談ください。


