脱炭素や資源循環の重要性が世界的に高まる中、環境配慮型製品の開発と導入は、企業価値を劇的に高める中核戦略として注目されています。
本記事では、国内外の先進事例22選と、環境配慮型製品をビジネスの武器にするための具体的なヒントを詳しく解説します。
こうした環境配慮型製品の企画から社会実装までを、資源循環の視点から支援するのが、五十鈴株式会社の「icサーキュラーソリューション」です。廃棄物削減や素材の再価値化を起点に、環境負荷を最小限に抑えつつ経済価値を最大化する商品開発や、構造的な企業変革を強固に支援します。製品を通じて選ばれる企業への転換を果たし、次世代の循環型経営を構築したい方は、ぜひお気軽にご相談ください。
1.再生素材・リサイクル素材を使用した環境配慮型製品7選

(1)リプラギ(Replagi)|100%再生樹脂による木材代替建材
三甲株式会社が展開する「リプラギ(Replagi)」は、廃プラスチックを原料とした100%マテリアルリサイクル製品です。再生ポリエチレンやポリプロピレンを主素材としており、その製造工程で新品の樹脂を使用しないため、石油資源の節約に貢献します。木材の代替となる建材として土木や建築の現場で幅広く活用されています。
リプラギは吸水性がほとんどないため、腐食や劣化に強く、長期にわたる高い耐久性を誇り、湿気の多い場所や屋外での使用に適しています。
さらに、使用後のリプラギは粉砕・再成形することで再び新たな樹脂製品として再資源化できる設計となっています。耐久性とリサイクル性の両立により、廃棄物の削減とCO₂排出抑制の両面から環境負荷の低減を実現しています。
(2)リサイクル素材衣料|洋服における資源循環モデル
ユニクロが推進するリサイクル素材衣料は、洋服における資源循環モデルを具体化する取り組みの核であり、限りある資源を再生・有効活用する新しい服づくりの一環として、そのラインナップを拡大しています。
例えばフリースにおいては、本体生地とポケット布に100%リサイクルポリエステル繊維を使用するなど、高いリサイクル率を達成しています。
また、リサイクルナイロンを活用した製品もラインナップされており、バッグといったファッションアクセサリー領域にも応用が広がっています。
「RE.UNIQLO」という取り組みを通じて、お客様の不要になったユニクロ製品を店頭で回収し、リユースするだけでなく、ダウンやフェザーなどを新しい服の原料として活用したり、服へリサイクルできないものは断熱材や防音材といった形でマテリアルリサイクルを進めており、服の持つ価値を最後まで生かしきる資源循環モデルを構築しています。

(3)Re-Nylon|海洋プラスチック等から生まれた再生ナイロン素材
プラダの「Re-Nylon(リナイロン)」プロジェクトは、海洋から回収されたプラスチック、漁網、埋立てゴミ、繊維くずなどを原料としています。高度な技術を用いて化学的に解重合処理し、徹底的に浄化・精製することで、元のナイロンの原料である新しいポリマーへと変換します。
このプロセスを経て得られた再生ナイロン糸は、素材の品質を損なうことなく、無限に再生できる真の循環型ラグジュアリー素材として評価されています。
プラダはこの再生ナイロンを、ブランドの伝統を体現するバッグやアパレル製品などの主要素材として採用し、ラグジュアリーブランドとしての品質や美意識を確保しながら、環境負荷低減に踏み込んでいます。
(4)キットカット|プラスチック包装の代替による環境負荷削減
ネスレ日本は、キットカットの主力である大袋タイプ5品の外袋素材を従来のプラスチックから紙素材へ切り替え、プラスチックごみの削減を図っています。
キットカットの主力である大袋タイプ5品の外袋素材を、従来のプラスチックから紙素材へと切り替えることで、年間で約450トンものプラスチック使用量削減を見込んでおり、2020年秋以降にはほぼ全ての大袋タイプ製品でこの紙パッケージが採用されています。
紙包装への切り替えにあたって、プラスチックと異なる紙特有の特性(折れ、しわ、強度、袋の滑りなど)への対応が課題となり、紙素材の選定、パッケージデザインの印刷技術、そして製袋するためのシール材の開発を推進するなど、包装設計や機械調整、包材素材の検討を何度も試行錯誤して改良を重ねました。

(5)SORPLAS™(ソープラス)|難燃性再生ポリカーボネイト
ソニーのSORPLAS™(ソープラス)は、再生プラスチックを素材としながらも高い難燃性・耐久性を兼ね備えた環境配慮型素材です。光ディスクの回収材や使用済みペットボトル、工場排出の廃プラスチックなどの再生材使用率を最大で約99%まで高めて活用しています。
特に、従来の難燃性プラスチックでは、難燃剤を多量に添加する必要があったのに対し、SORPLAS™は独自の硫黄系難燃剤をごく微量(総重量比1%未満)だけ加える技術によって、同等の難燃効果を得ながら、ポリカーボネイト樹脂本来の特性を維持しています。この低添加量技術と高再生材率の組み合わせにより、同じ用途の難燃性バージンプラスチックを製造する場合に比べて、製造時のCO₂排出量を約72%削減することに成功しており、地球温暖化対策にも大きく貢献しています。
さらに温度・湿度変化や溶融混練を繰り返しても性能劣化が抑えられ、長期使用や再リサイクルも踏まえて利用できます。
現在、ソニーの薄型テレビ「ブラビア®」の背面カバーやXperiaの内部部品、ノート型パソコンの筐体など、高い品質と安全性が求められるソニー製品に幅広く採用されており、特にテレビ背面カバーにおいてはバージンプラスチック使用量を従来比で最大約60%削減に寄与しています。
(6)buøy|海洋プラスチックを素材としたインテリア雑貨
buøy(ブイ)は、海洋プラスチックを回収してそれを原材料とし、インテリア雑貨やアクセサリーに再生するアップサイクルプロジェクトです。このプロジェクトは、プラスチックメーカーの有志が培った特殊な加工技術を基盤とし、海洋ゴミのように劣化し、プラスチックの種類が混在している状態であっても、それを高品質な再生材として成形する技術を確立しています。
原料となる海洋プラスチックは、北海道から沖縄まで、日本各地のビーチクリーン団体やNPOなどと連携して適正な価格で買い取られており、2022年実績で約1トンの海洋ゴミを製品化するなど、地域社会の活動を支援しながら環境問題に取り組んでいます。
魚型キーホルダーやコースター、ペンスタンド、ラッピング用品などをラインナップしており、素材の回収地(例:鹿児島県奄美大島、北海道奥尻島など)を明示することで「素材の由来」や「環境への配慮」を消費者にも可視化しています。
素材回収から加工・仕上げ・販売まで一貫して構成され、使い終わった製品を回収して再び素材化する循環の仕組みが構築されています。
(7)オーシャンプラスチック|海洋プラスチックを活用したノベルティ用ボールペン
パイロット社は、海洋から回収されたプラスチックごみを再生樹脂の原料として活用し、オーシャンプラスチックシリーズのノベルティ用ボールペンを展開しています。
本体の部品の一部に海洋プラスチックを10%、残りを再生ポリプロピレンで構成する方式が採られており、筆記具としての耐久性と環境配慮の両立を目指しています。
ボールペンのグリップ部には格子状のスリットを設ける「グリッドグリップ」構造が取り入れられており、握りやすさと安定感を両立させる設計が特徴です。
消耗する部品を除いた全プラスチック重量の約74%に再生材を使用するという高い環境性能を実現し、筆記具としての十分な耐久性と環境への配慮の両立を目指した、エコマーク認定商品かつグリーン購入法適合商品となっています。
2.長寿命・省エネ設計・再利用性に優れた環境配慮型製品5選

(1)iDシリーズ 一体型LEDベースライト|長寿命・省エネ設計と再利用性を追求した施設照明
パナソニックが展開する「iDシリーズ 一体型LEDベースライト」は、製造時から使用、廃棄・再資源化に至るまでのライフサイクル全体を視野に入れ、「長寿命化」「エネルギー効率」「再利用・循環性」の各要素を統合して設計されています。
加えて、iDシリーズには輝度あたりの効率が非常に高い「環境特化型ライトバー」が用意されており、例えば205.9 lm/Wという業界最高クラスの高効率設計のライトバーが採用されており、高効率化設計により、照明器具のライフサイクル全体で最もCO₂排出量が多くなる製品使用時の電力消費を大幅に削減できる点が大きな特徴です。
器具本体と光源であるライトバーを簡単に分離できる構造を採用しているため、光源の寿命が来てもライトバーのみを交換でき、器具全体の廃棄量を減らして資源の再利用を促進するとともに、蛍光灯などの従来光源からの置き換え(リニューアル)を容易にする高い施工性も兼ね備えています。

(2)CONTINEWM|エアコン効率を改善する省エネ技術
CONTINEWM(コンティニューム)の製品は、エアコンに取り付けるだけで熱交換効率を回復させ、電源工事や機器改造を伴わず、エアコンのフィルター上に“乗せるだけ”で設置できるという手軽さが特徴です。
これは、空気が静電気の影響を受けなくなることで、乱れていた気流が整い、エアコン本来の熱交換効率が回復します。その結果、冷房時や暖房時に設定温度への到達が早くなると同時に、その状態をより長時間キープできるようになり、エアコンの消費電力の大部分を占める室外機のコンプレッサーの稼働が緩やかになることで、平均で約20%もの消費電力の回復が期待できます。
また、素材自体は軽量で柔軟、壊れにくい設計を採用しており、長持ちしやすい構造とされています。取り扱い寿命・メンテナンス性の観点からも優れた特性であり、電力などの動力を一切使わずに継続使用できるよう配慮されています。
(3)LADDA 充電式電池|繰り返し使える設計による環境負荷低減
IKEA の「LADDA(ラッダ)」充電式電池は、従来の使い捨てアルカリ電池と比べて繰り返し充電できる点を活かし、長寿命・省エネ・再利用性を追求しています。
LADDAは、ニッケル水素という種類の充電池であり、単3形(AA)と単4形(AAA)がラインナップされ、容量によって最大500回、または最大1000回まで繰り返し充電して使用することが可能です。
LADDAは、消費電力の大きな機器(スピーカー、カメラ、懐中電灯、トイなど)で特に有効とされており、使い捨て電池を頻繁に交換する手間や廃棄物を減らせることも特徴です。
イケアの試算によると、同社が世界で販売していた使い捨てアルカリ電池をLADDAなどの充電式電池に切り替え、50回充電して使用するだけで、年間約5,000トンもの廃棄物を削減できると見込まれています。イケアは実際に、2021年までに世界全体で使い捨てアルカリ電池の販売を終了するなど、「充電式電池への切り替え」を世界規模で推進しています。
(4)Solar Paper 15W|太陽光で充電可能なソーラーパネル式充電器
YOLK の「Solar Paper 15W(型番 YO64004)」は、折り畳み可能な薄型パネルを展開してUSBケーブルを接続するだけでスマートフォンなどを充電できる仕様となっており、内部に蓄電する構造は持たず、シンプルな設計が特徴です。
晴天時には2.5時間ほどでスマートフォンを満充電に近づける性能を謳っており、屋外や災害時の代替電源としても活用できます。従来の電力網に依存せず自然エネルギーを活用することで省エネを実現し、かつ構造的にも継続使用可能性を意識した環境配慮型製品です。
最薄部がわずか2mmという薄さと、スマートフォンを一回り大きくした程度のコンパクトなサイズ、そして生活防水(IP54)に対応した丈夫な設計は、アウトドアやキャンプといった屋外活動はもちろん、停電時の非常用・代替電源としても大いに活用できます。
(5)再生紙トイレットペーパー(超長巻)|再生紙・長巻設計で交換頻度と環境負荷を低減
無印良品が販売するトイレットペーパーは、原料に再生紙を使用し、さらに他社製品と比べて巻き長を約5倍に伸ばした 「超長巻」 ロール(250m)です。
これにより、新たな森林伐採を抑制する役割とトイレットペーパー交換作業にかかる労力や梱包・物流の環境コストも抑えられます。
さらに、パッケージ設計にも配慮がなされており、紙管を使わずに最後まで無駄なく使える構造としています。紙の幅も一般的なトイレットペーパーの114mmよりも短い107mmに設定されており、利用者が自然に使用量を減らせるように工夫されているなど、小さな点にまでサステナビリティへの配慮が感じられる製品となっています。
3.製造・流通過程でCO₂排出を抑制した環境配慮型製品5選

(1)CO₂を食べる自動販売機|CO₂を吸収し、製造原料として再活用
アサヒグループジャパンが開発した「CO₂を食べる自動販売機」は、空気中のCO₂を選択的に吸着・固定化する機構を導入し、運用中に発生するCO₂を部分的に削減できるよう設計されています。
この自販機は、商品の冷却や加温のために外気を取り込む際に、庫内に搭載されたCO₂吸収材(特殊な粉末状の材料)が空気中のCO₂を選択的に吸着・固定化することで、あたかも「都会に立つ木」のように機能し、運用上避けられないCO₂排出量の一部を削減できるよう設計されています。
この自販機が吸収するCO₂量は、稼働電力由来のCO₂排出量に対して最大約20%に相当するとされており、これは林齢56~60年のスギ約20本分の年吸収量に匹敵するとの比較も行われています。
回収されたCO₂を含む吸収材は、コンクリート、アスファルト、無焼成タイルなどの工業原料に混ぜられ、CO₂を製品中に閉じ込める固定化を進めることで、脱炭素社会の実現に貢献します。
(2)燃料電池大型トラック用燃料電池システム|物流用途でCO₂ゼロ化を目指す車両設計
いすゞは、2027年導入を見据えた燃料電池大型トラックの開発において、Hondaと燃料電池システムの共同開発・供給パートナー契約を締結しました。
この燃料電池車(FCV)は、走行時に水素と酸素の化学反応によって発電を行いモーターを駆動させるため、従来のディーゼル車に比べ、運転中の排出ガスが水蒸気に限られるため、運用段階でのCO₂排出を実質ゼロにできる可能性があります。充電に時間を要する電気自動車(BEV)よりも短時間で燃料を充填できるという大きなメリットがあり、物流の効率を維持しつつ環境負荷を低減する最適なソリューションとして期待されています。
また、本取り組みでは、燃料電池システムの製造工程における素材選択や部品構成、効率最適化にも着目されており、製造時のエネルギー消費・排出削減を意識した設計が前提とされる見込みです。ディーゼルエンジンのような騒音や振動が少ないこともFCVの大きな特徴で、ドライバーの負担軽減や、早朝・深夜の住宅街での騒音問題の解消にもつながり、人にも環境にも優しい次世代の物流車両となることが期待されています。
(3)ZERO-eコート|建物断熱、省エネ化によるCO₂削減塗料
大成建設と大日本塗料は、外壁に塗るだけで建物の断熱性能を向上させ、結果的に空調のエネルギー消費を抑える水性中塗り用塗料「ZERO-eコート®」を共同開発しました。
この塗料は中空ガラスビーズなどの断熱性素材を組み込むことで、外気の熱が建物内部に伝わるのを防ぎ、また室内の熱が外に逃げるのを防ぐ、という魔法瓶のような高い断熱効果を発揮します。その結果、エアコンの冷暖房効率が良くなり、既存建物や新築建物の運用段階において冷暖房のエネルギー消費を削減できます。
既存の塗装器具で施工が可能であり、特別な機材を用意する必要がありません。さらに、外壁塗装材として使用できるため、建物が使用中であっても施工可能な仕様であることは、業務施設やオフィス、改修現場での採用障壁を低くする強みになります。
(4)環境戦略「EARTH FOOD CHALLENGE 2030」|インターナルカーボンプライシング制度とCO₂排出目標引き上げ

日清食品グループは、環境戦略「EARTH FOOD CHALLENGE 2030」に基づき、従来の CO₂ 排出削減目標(2 ℃水準)から、1.5 ℃未満目標への引き上げを公表しました。加えて、設備投資や省エネルギー化を促進するため、インターナルカーボンプライシング(ICP)制度を導入しています。
この制度では、社内的に炭素価格を設定し、CO₂ 排出量にコストを織り込んだ形で設備投資判断を行う仕組みです。つまり、新しい製造設備や改善案件を評価する際、単なる資本回収率や生産性だけでなく、「CO₂ 排出量 × 炭素価格」による“環境コスト”を勘案する方式を導入し、より環境負荷の少ない設備改修や省エネ技術導入を後押ししています。
日清食品グループでは、このICP制度を活用することで、CO₂排出量に紐づくコストや削減効果が明確に見える化されるため、環境負荷低減効果が高い設備への投資を促進し、2050年までにCO₂排出量と吸収量を「プラスマイナスゼロ」にするカーボンニュートラルの達成に向けた取り組みを、社員一人ひとりの意識改革とともに加速させています。
(5)経営ビジョン「Compass2030」|e-メタン(合成メタン)技術による CO₂ 循環モデル
東京ガスは、経営ビジョン「Compass2030」の一環として、従来天然ガスを原料とする都市ガスインフラを、合成メタン(e-メタン)を利用したカーボンニュートラルなガスに転換する取り組みを進めています。
この技術では、水を電気分解して得られたグリーン水素と、回収した CO₂ を反応させて e-メタンを合成します。こうして得られるガスは燃焼時に CO₂ を放出しますが、原料に回収済みの CO₂ を使うことで、大気中の CO₂ 削減に拡がりをもたせられます。
既存の都市ガスと同じ成分であるため、利用者は特別な機器を導入する必要がなく、またガス会社側も既存のガス導管や貯蔵設備をそのまま利用できるという、社会的なコストを抑えながらスムーズに脱炭素化を進められる非常に現実的な手段となります。
4.廃棄・リサイクルを考慮した循環設計・製品5選

(1)廃プラスチックガス化ケミカルリサイクル(EUP方式)|循環可能な化学原料への変換

日揮グループでは、従来「リサイクルしにくい」プラスチックをガス化し、合成ガスに変換する「ガス化ケミカルリサイクル」の技術を展開しています。これは、プラスチック廃棄物を単に機械的に粉砕して再成形するのではなく、熱と酸素・蒸気を用いた部分酸化プロセスで原料ガスへ変換し、そこからメタノール、アンモニア、プロピレン、オレフィン等の化学原料を再生する方式です。
この方式(EUP:Ebara Ube Process)は、廃プラスチックを石油由来の原料と同等の化学品に戻すことを可能にし、不純物混入や汚れがあるプラスチックでも処理できる点が強みです。従来のケミカルリサイクル技術では難しかった混合プラスチックや複合素材なども原料として受け入れることができ、これによりプラスチック廃棄物のほとんどを循環可能な資源に変えることを可能にします。
またガス化プロセスの際には、同時に水素を併産することもでき、脱炭素社会や資源循環モデルと連結させうる設計になっています。
(2)サーキュラーバイオエコノミー戦略|木材利用と資源循環の徹底
住友林業は、森林資源を中心に据えたサーキュラーバイオエコノミーの実現を「重要課題3」と位置づけ、木材・建材の製造・流通・建築・廃棄・再利用まで一体で資源を循環させる戦略を推進しています。
この戦略では、室内建材として使用される木材が使われた後も長寿命化・再利用化を視野に入れ、建築解体時点での木材回収・再資源化を促進するような取り組みを行っています。また、建設現場における無駄材削減のために、外壁材などに使われるサイディングのプレカット化・養生材の再利用化など、現場段階での廃材発生を設計的に抑制する工夫を導入しています。

(3)食の循環を促すレシピ提案と食品ロス削減施策|循環を意識した食品加工・消費設計

ミツカングループは「資源を無駄なく使う」という方針のもと、特に家庭での食品ロス削減に向けたレシピ提案や調理ノウハウの提供を通じて、消費段階での“使い切り”を支援する施策を展開しています。
たとえば、普段ならそのまま捨ててしまいがちな野菜の芯や皮を活用するメニューを普及させています。これにより、消費者が意識せずとも食品を最後まで使い切る行動を促し、家庭から出る廃棄量を抑える意図があります。
また、ミツカングループは京都市と連携し、自治体・企業・消費者を巻き込んだ「食品ロス削減連携協定」を締結しています。この協定を通じて、企業、自治体、そして消費者という異なる立場の人々を巻き込みながら、啓発活動、食育(教育)の推進、そしてロス削減に特化した商品の開発を横断的に推進しています。このように、単なる製品開発に留まらず、社会全体での意識と行動の変革を促すための環境づくりにも積極的に関わることで、持続可能な「食の循環」を実現し、食料資源の無駄をなくすことを目指しています。

(4)100%リサイクルPETボトル+ラベルレス設計|ペットボトルの水平循環設計

コカ・コーラは、従来のバージンプラスチック由来のPETボトルから、100%リサイクルPET(rPET)素材を使ったボトルへ切り替える取り組みを進めています。この取り組みを具体化し、ペットボトルの資源を何度も循環させる「水平リサイクル」を強化するため、2022年4月からは「コカ・コーラ」「コカ・コーラ ゼロシュガー」などの主要製品に対して、ラベルレス仕様を併用する形で新ボトルをオンライン限定で発売しています。
この設計変更によって、1本あたりでおよそ60%の CO₂ 排出削減効果が見込まれ、かつラベルを省くことでプラスチック使用量を2g軽量化したという報告があります。
さらに、製造・流通過程での重量削減やラベル剥離工程の省略は、物流効率の改善や資源使用の削減、リサイクルの簡素化にもつながります。
(5)ボトルtoボトル設計+軽量化・再資源化指向容器|循環設計を前提とした飲料容器
サントリーグループは、「環境に係る容器包装等設計ガイドライン」を1997年に策定し、ラベル材質・ガラス瓶の色・軽量化などを設計段階で制御することで、廃棄後のリサイクル性を高めようとしています。
ペットボトルに関してはサントリーは 2R + B(Reduce・Recycle + Bio)戦略 を掲げ、プラスチック使用量削減、再生素材使用、植物由来素材への置き換えに取り組んでいます。
この戦略の中でも特に重要なのが、使用済みペットボトルを再びペットボトルとして利用する「ボトルtoボトル」の取り組みであり、これにより資源を何度も循環させる水平リサイクルを強化しています。
2030年までには、使用する全てのペットボトルをリサイクル素材または植物由来素材100%に切り替えることを目標としています。
5.環境配慮型製品に関連するマーク一覧

ここでは、日本国内で広く活用されている代表的なマークに加え、国際的に認知度の高い認証制度もあわせて紹介します。
(1)エコマーク
公益財団法人日本環境協会が運営する「エコマーク」は、日本国内で最も歴史のある環境表示制度の一つです。製品がそのライフサイクル(原材料・製造・流通・使用・廃棄)において一定の環境基準を満たしていると認められた場合に付与されます。認定には第三者機関による審査が必要で、取得後は製品情報の公表や年次報告、ライセンス料の支払いが義務付けられています。
エコマークには、製品の環境配慮を示す信頼性があり、特に公共調達(グリーン購入法)や企業の調達ポリシーにおける指標としても広く採用されています。
以下の動画では、エコマーク事務局による概要の解説をご覧いただけます。
参考:https://www.ecomark.jp/about/
(2)グリーン購入法適合マーク
グリーン購入法とは、国・地方公共団体・公的機関が「環境に配慮した製品・サービス(環境物品等)」を優先的に調達する仕組みを定めた法律です。
この法律では、22分野・288品目(※2025年1月時点)が「特定調達品目」として指定されており、製品がそれらの品目に該当し、かつ判断基準(調達基準)と呼ばれる環境性能やリサイクルに関する基準を満たす場合、「グリーン購入法適合」とみなされます。
この仕組みを通じて、環境負荷の少ない製品に対する公的な需要を創出し、企業に対し環境配慮型の製品開発を促すことで、市場全体のグリーン化を牽引しています。
参考:https://www.ecomark.jp/about/green/
(3)FSC・PEFC認証
FSC(Forest Stewardship Council/森林管理協議会)および PEFC(Programme for the Endorsement of Forest Certification Systems/森林認証プログラム)は、世界の森林資源を持続可能に管理しながら木材・紙製品を供給することを認証する国際的に認められた二大森林認証制度です。これらの認証制度は、伐採から製品化に至る全てのプロセスにおいて、厳格な基準が守られていることを確認します。例えば、製品の素材となる木材、紙、板材、さらにはパッケージや家具などにこの認証が付与されていることは、その原材料が、環境的・社会的・経済的に適切に管理された森林から来ていることを意味します。
WWFが両制度を分析した報告書でも、これらの認証が国際基準および国内制度にどの程度準拠しているかが評価されています。製品素材(木材、紙、板材など)やパッケージ、家具等にこの認証が付与されていると、その原材料が適切に管理された森林から来ており、伐採・再植林・生物多様性保全・地域住民権利・労働環境などを配慮した運営がなされていることを示します。
参考:https://www.wwf.or.jp/activities/data/fsc-pefc201005j.pdf
(4)カーボンフットプリント・オフセット認証
カーボンフットプリントとは、製品やサービスのライフサイクル(原材料調達、製造、輸送、使用、廃棄など)の過程で排出される温室効果ガス(CO₂換算値)の総量を定量化したものを指します。
この数値を信頼できる手法で算定・第三者検証し、さらに排出削減だけで補えない分をカーボンオフセット(炭素クレジット購入等による相殺)で中和したうえで、「この製品は実質的にCO₂正味ゼロである」と認証する制度が、カーボンニュートラル認証やプロダクトフットプリント認証です。
カーボンフットプリント・オフセット認証を取得している製品は、透明性の高い環境負荷情報を提供できる点で差別化になりえます。ただし、導入時には以下の点に注意が必要です。
- 算定対象範囲(スコープ1/2/3や LCA のどこまで含めるか)
- 削減施策の実効性と実施計画
- オフセットの品質(追加性、永続性、リーケージ防止、ダブルカウント回避など)
- 検証機関や第三者保証の信頼性
- 認証取得・維持のコストと運用負荷
適切に設計されたカーボンフットプリント・オフセット認証は、環境配慮型製品としての信頼性を高め、企業調達・顧客訴求にも資する制度設計です。
(5)海外の環境ラベル(EUエコラベル/北欧スワンマークなど)
①EUエコラベル
EUエコラベルは、欧州連合(EU)が運営する環境認証制度で、電気製品・繊維・洗剤・紙製品・塗料など21分野にわたる製品が対象とされています。
EU委員会は規則(レギュレーション)としてEUエコラベルを位置づけ、各加盟国で直接適用される規定としています。
なおEUエコラベルを取得するには、製品のライフサイクル全体(原材料、製造、使用、廃棄など)にわたる環境性能評価を満たす必要があります。その要件は、各製品カテゴリごとに定められており、機器の消費電力・化学物質使用・寿命設計・リサイクル性など複数の観点で性能基準が定められています。
参考:https://www.jetro.go.jp/ext_images/jfile/report/05000390/05000390_001_BUP_0.pdf
②北欧スワン(ノルディックスワン)
北欧スワン(Nordic Swan、ノルディック・スワン)は、スカンジナビア諸国(スウェーデン、ノルウェー、デンマーク、フィンランド、アイスランド)を中心とする北欧理事会の支援のもと、1989年に設立された環境ラベル制度です。
北欧スワンマークは、製品のライフサイクル全体(原料採取・製造・流通・使用・廃棄)の環境影響を評価し、化学物質使用の抑制、エネルギー効率、再生可能素材の利用、製品寿命、リサイクル性など多項目のクライテリア(基準)を設けています。基準は技術進化に応じて定期的に見直され、より高い環境性能を求める方式となっています。
③ブルーエンジェル
ブルーエンジェルは、ドイツで1978年に誕生した、世界で最も長い歴史を持つ公的な環境ラベルです。これはドイツ連邦環境庁などが運営を担っており、日本のエコマークをはじめとする多くのエコラベル制度のモデルにもなりました。
このラベルは、製品が原材料の調達から廃棄に至るライフサイクル全体を通して、高い環境保全基準を満たしていることを示し、第三者による厳格な審査を経て付与されます。環境意識の高い消費者に、より環境負荷の少ない製品を選んでもらうことを目的に導入され、再生紙、塗料、絨毯などの分野で特に広く採用されています。
法律に基づくものではありませんが、その信頼性と歴史から、環境配慮型製品の客観的な指標としてドイツ国内外で非常に重視されており、企業の環境配慮型製品開発を促す強力な推進力となっています。
④MSC認証(海のエコラベル)・ASC認証
MSC認証(海のエコラベル)とASC認証は、水産資源の持続可能性に特化した、国際的に高い信頼を持つ二つの認証制度です。MSC認証は、水産資源の枯渇を防ぎ海洋環境に配慮した「持続可能な天然漁業」で獲られた水産物に対して付与されます。
一方、ASC認証は、環境と社会に与える影響を最小限に抑えた「責任ある養殖業」で生産された水産物を証明します。これらは、消費者がサステナブル・シーフードを識別し、購入を通じて過剰漁獲の防止や海洋生態系の保護といった地球規模の課題解決に貢献するための重要な道しるべとなっています。
⑤レインフォレスト・アライアンス認証
レインフォレスト・アライアンス認証は、コーヒー、カカオ、紅茶、バナナなどの農産物を対象とした国際的な認証制度で、農業を通じた地球環境と人々の生活の持続可能性を目指しています。
この認証は、特徴的なカエルのマークが目印となっており、製品が自然環境と生態系の保全に配慮した農園で生産されたことを示します。具体的には、森林破壊の防止、農薬の適正利用、気候変動への適応といった環境面の基準に加え、農業従事者の人権尊重、安全な労働環境、児童労働の禁止といった社会的な側面も厳しく審査されます。
このマーク付き製品を選ぶことは、持続可能な農業と生産者の公正な暮らしを同時に支援することにつながります。
6.まとめ
環境配慮型製品は、企業のブランド価値や取引先からの信頼性、さらには持続可能な社会の実現に直結する「重要な経営資源」です。再生素材の活用や省エネ設計、製造過程の脱炭素化、そして循環設計といった多面的な取り組みは、環境負荷の低減だけでなく、コスト削減やイノベーション創出の源泉となります。
こうした環境配慮型製品の開発から、その価値を支える資源循環の仕組みづくりまでを一貫して支援するのが、五十鈴株式会社の「icサーキュラーソリューション」です。廃棄物削減や素材の再価値化を起点に、循環を前提としたサステナブルな商品開発や、ライフサイクル全体の透明性を高める構造的な企業変革を強固に支援します。製品を通じて企業のレジリエンスを高め、次世代の循環型経営を実現したい方は、ぜひお気軽にご相談ください。


