【業界別】廃棄物の再利用例20選!食品・衣類等の実例と商品化のポイント

廃棄物の再利用は、環境対応にとどまらず、コスト削減や新たな事業機会につながる取り組みとして注目されています。この記事では、食品・衣類・プラスチック・金属といった業界別に、廃棄物を原料として実際に商品化されている事例を解説します。

こうした廃棄物の再資源化と収益化を、実務面から一貫してプロデュースするのが、五十鈴株式会社の「icサーキュラーソリューション」です。現場の廃棄物分析から、最適な再資源化ルートの構築、そして新たな価値を生む「商品化」への構造変革を強固に支援します。廃棄物を「処理費用」として払い続けるモデルから脱却し、次世代の循環型経営を構築したい方は、ぜひお気軽にご相談ください。

目次

1.食品廃棄物の再利用例

(1)食品廃棄物からバイオ液肥・バイオ固形肥料を製造

引用:https://www.maff.go.jp/j/seisan/sien/sizai/s_hiryo/kokunaishigen/zenkokukyougikai/information/attach/pdf/zireimap_other-16.pdf

株式会社東北バイオフードリサイクルは、スーパーやコンビニ、食品加工業者などから排出される食品廃棄物をメタン発酵し、発生したバイオガスを発電に利用しています。
発酵後に生じる液状の発酵残渣はバイオ液肥「伊達のしずく」として、さらに脱水処理した固形分は運搬・散布・保管性に優れたバイオ固形肥料「伊達のみのり」として製品化しています。
これらの肥料は、宮城県や山形県の農家で水稲や子実とうもろこしなどの栽培実証が進められており、慣行栽培と同程度の生育・収量が確認されています。

(2)食品廃棄物等から特殊肥料(堆肥)を製造

引用:https://www.maff.go.jp/j/seisan/sien/sizai/s_hiryo/kokunaishigen/zenkokukyougikai/information/attach/pdf/zireimap_other-22.pdf

愛知県犬山市の竹練農産は、おからなどの食品廃棄物や食品残渣、もみ殻・米ぬかといった地域資源を活用し、特殊肥料(堆肥)を製造しています。
原料は水分量や成分を調整したうえで発酵・熟成工程を経て堆肥化され、「元気ゆうき君」「元気ゆうき君 プラス」として製品化されています。
完成した堆肥は露地野菜や水稲の栽培に利用され、土壌改良や地力の維持・向上に寄与しています。
これらの肥料は有機農産物JAS規格適合資材として評価されており、地域農業を中心に活用が進められています。

(3)食品廃棄物から完熟堆肥を製造

引用:https://www.maff.go.jp/j/seisan/sien/sizai/s_hiryo/kokunaishigen/zenkokukyougikai/information/attach/pdf/zireimap_other-23.pdf

株式会社大栄工業および株式会社いがぐりは、県内外で発生する食品廃棄物と木質チップを原料とし、発酵・熟成工程を経て完熟有機堆肥を製造しています。

原料は水分量や異物を適切に管理しながら微生物発酵を進めることで、臭気や未分解物を抑えた安定品質を実現しています。製造された堆肥は露地野菜や水稲の栽培に利用され、土壌中の微生物活性を高めることで地力の回復や保水性の向上に寄与していることが確認されています。

(4)コーヒー豆かすから牛の飼料を製造

引用:https://www.maff.go.jp/j/g_biki/jirei/04/14/pdf/0001.pdf

スターバックス コーヒー ジャパン株式会社と株式会社メニコンは、店舗で発生するコーヒー豆かすを回収し、牛用飼料として再利用する取り組みを行っています。

店舗で分別・脱水処理された豆かすは、チルド物流の戻り便で回収され、再生利用事業者により乳酸発酵させて飼料化されます。

この飼料を用いて育てられた乳牛のミルクは再び店舗のドリンクに使用され、食品リサイクルループを構築しています。飼料化により廃棄コストや環境負荷を低減するとともに、乳製品質向上も期待されています。

(5)茶殻から畳・ボールペン・封筒などを製造

引用:https://www.itoen.co.jp/ochagara_recycle/

株式会社伊藤園は、茶系飲料の製造過程で発生する茶殻を原料とし、畳やボールペン、封筒などの製品へ再利用する「茶殻リサイクルシステム」を展開しています。

茶殻にはカテキンやテアニンなどの有効成分が多く残り、抗菌性や消臭性といった機能性を有する点が特徴です。

これらの特性を活かして日用品や工業製品の素材として配合し、付加価値の高いアップサイクル製品を開発しています。大量に発生する茶殻を資源として循環させることで、廃棄物削減と環境負荷低減の両立を実現しています。

2.衣類・繊維廃棄物の再利用例

衣類・繊維廃棄物は、素材の多様性や混合構造により再利用が難しい分野とされてきましたが、近年は回収・分別・再生技術の進展により活用の幅が広がっています。ここでは、衣類や繊維を資源として循環させる代表的な再利用事例を解説します。

(1)羽毛布団から新たなダウン製品を製造

引用:https://nanga.jp/feature/content/re-act/

株式会社ナンガは、使用済みの羽毛布団を回収し、中材のダウンを洗浄・選別したうえで、新たなダウン製品として再生する取り組みを行っています。

羽毛は適切な再生処理を施すことで高い保温性や耐久性を維持できる素材であり、再利用に適しています。
廃棄されていた羽毛布団を原料として循環させることで、ダウン原料の新規調達に伴う環境負荷を抑制し、資源の有効活用につなげています。

(2)古着からバイオエタノールや再生ポリエステルを製造

引用:https://www.gov-online.go.jp/eng/publicity/book/hlj/html/202008/202008_03_jp.html

日本環境設計株式会社(JEPLAN)は、使用済み衣類や古着を回収し、素材別に分別したうえでバイオエタノールや再生ポリエステル原料へ再資源化しています。

綿繊維は糖化・発酵工程を経て自動車燃料などに利用され、ポリエステル繊維は化学的処理により石油由来と同等品質の再生ポリエステルとして再生されます。全国の回収拠点を通じて消費者参加型の循環を構築し、「服から服へ」の資源循環を実現しています。

(3)廃棄衣料品から再生ポリエステル原料を製造

引用:https://www2.teijin-frontier.com/news/post/127/

帝人フロンティア株式会社は、古着の回収・選別を行うファイバーシーディーエム株式会社と連携し、廃棄衣料品から再生ポリエステル原料を製造するリサイクルシステムの構築に取り組んでいます。

回収した衣料品の中からポリエステル素材を効率的に選別し、化学的分解・再生技術を用いて石油由来原料と同等品質の再生ポリエステルへと再資源化します。使用済み衣料を原料段階に戻すことで、石油資源の使用削減と繊維分野における循環型生産の実現を目指しています。

(4)古着を回収し、再販売・断熱材へのリサイクル

引用:https://www.uniqlo.com/jp/ja/special-feature/sustainability/re-uniqlo

ユニクロは「RE.UNIQLO」の取り組みとして、使用済み衣料品や古着を回収し、状態に応じてリユースと素材リサイクルに振り分けています。

着用可能な衣類は再販売され、再利用が難しいものは裁断・反毛工程を経て、建物の断熱材や自動車用防音材として再資源化されます。Tシャツ約22枚分の古衣料が、自動車1台分の防音材として活用される事例もあります。

(5)衣料品の分別回収から衣類・自動車部品にリサイクル

引用:https://aeonretail.com/Page/f-eco-recycle.aspx?srsltid=AfmBOoqqE3mhiPVJe2hksPQVuUt08X_l0hxZW2R_OkOh2LpSTZYgMDuU

イオンは店舗で回収した使用済み衣料品を素材別に分別し、衣類や自動車部品などへ再資源化する取り組みを進めています。

回収後は繊維や樹脂の種類ごとに選別され、再製品化が可能なものは衣料品として再利用されます。一方、衣類としての再利用が難しいものは加工工程を経て、自動車の内装材などの部品原料として活用されます。用途に応じた循環ルートを設けることで、衣料廃棄物の焼却・埋立処分を抑制し、資源の有効活用につなげています。

3.プラスチック廃棄物の再利用例

プラスチック廃棄物は用途や素材が多様である一方、再生技術の進展により高付加価値化が進んでいます。
ここでは、プラスチック廃棄物の代表的な再利用事例を解説します。

(1)使⽤済みプラスチックを回収し、ペレットを製造

引用:https://www.kansai.meti.go.jp/1-9chushoresearch/jirei/210728jirei.pdf

株式会社近江物産は、使用済みプラスチックを回収し、選別・洗浄・粉砕などの工程を経て再生ペレットを製造する取り組みを行っています。

回収材の種類や用途に応じた分別と品質管理を徹底し、異物や汚れを除去したうえで、成形原料として再利用可能な粒状原料へ加工しています。

製造された再生ペレットは、容器包装や工業製品など幅広い用途に活用され、バージン材の使用量削減と資源循環型ものづくりの実現に寄与しています。

(2)廃家電のポリプロピレン樹脂を再生樹脂として再利用

引用:https://www.daiho-gr.co.jp/eco/reports.html

大宝工業株式会社は、廃棄された家電製品からポリプロピレン(PP)樹脂を分離・回収し、再生樹脂として再利用するエコリサイクルシステムを構築しています。

回収したPPは、金属や異物の除去、食品衛生法基準を満たす洗浄、脱水・乾燥といった工程を経て、高品質な再生材料へ加工されます。

再生PPは家電部品や日用品などに活用され、バージン樹脂使用量の削減と廃棄物処理量の低減を両立する取り組みとして、資源循環型ものづくりに貢献しています。

(3)再⽣プラスチックで⽊材代替製品を製造

引用:https://www.kansai.meti.go.jp/1-9chushoresearch/jirei/210728jirei.pdf

川瀬産業株式会社は、使用済みプラスチックを回収し、木材の代替となる再生プラスチック製品を製造しています。

回収したプラスチックは洗浄・粉砕後、添加材などと混合して成形し、木材と同等の強度や耐久性を持つ板材や建材、農業資材などに加工されます。腐食や劣化に強く、屋外利用にも適している点が特徴です。

(4)ペットボトルのリサイクル素材から眼鏡を製造

引用:https://www.kansai.meti.go.jp/1-9chushoresearch/jirei/210728jirei.pdf

有限会社ウチダプラスチックは、使用済みペットボトルを回収し、洗浄・破砕・精製工程を経て再生したPET素材を用い、眼鏡フレームを製造しています。

回収PETは高度な精製処理により透明性や耐久性を確保し、眼鏡として求められる品質基準を満たす素材へと加工されます。

廃プラスチックを高付加価値製品へ転換することで、バージン素材への依存低減と資源循環の促進を両立する取り組みです。

(5)使用済みペットボトルから新品食品用ペットボトルを製造

引用:https://www.suntory.co.jp/sustainability/env_circular/recycle/

サントリーグループは、使用済みペットボトルを回収し、再び飲料用ペットボトルへと再生する「ボトルtoボトル」水平リサイクルを推進しています。

回収したボトルは洗浄・粉砕後、高温・減圧下で不純物を除去し、食品容器として使用可能な再生PET樹脂へ加工されます。

石油由来のバージン原料使用量やCO2排出量を大幅に削減し、資源が循環し続ける容器製造を実現する取り組みです。

4.金属廃棄物の再利用例

金属廃棄物は、品質劣化が起こりにくく、繰り返し再生できる点で資源循環に適した素材です。
ここでは、金属廃棄物の代表的な再利用事例を解説します。

(1)鉄スクラップを建設用の鋼材として循環利用

引用:https://www.obayashi.co.jp/news/detail/news20241126_1.html

株式会社大林組は、建設現場や解体工事で発生する鉄スクラップを回収し、再び建設用鋼材として循環利用する水平リサイクルに取り組んでいます。

回収された鉄スクラップは不純物を除去したうえで電炉で再溶解され、新築工事の構造材や部材として活用されます。

輸送ルートや事業者連携を最適化することで、鋼材製造時のCO2排出量を大幅に削減し、トレーサビリティの確保にも対応しています。

(2)鉄スクラップの再利用によりプリンティング製品を製造

引用:https://global.canon/ja/news/2025/20250117.html

キヤノン株式会社は、回収した鉄スクラップを原料とする再生鉄材料(電炉鋼板)を、プリンティング製品の部品や筐体に採用する取り組みを進めています。
使用済み複合機などから分別した鉄材料を再溶解・精製し、品質要件を満たす再生材として活用することで、鉄鉱石由来のバージン材使用量を抑制します。
あわせて、製造段階におけるCO2排出量の削減と資源循環の促進につなげています。

(3)ステンレス製ボトルの回収からステンレス原料とPP樹脂を製造

引用:https://www.tiger-corporation.com/ja/jpn/newsroom/press-release/pr_251203_01/

タイガー魔法瓶株式会社は、使用済みのステンレス製ボトルを回収し、本体に使われているステンレスと部品に使用されているPP樹脂を分離・再資源化する取り組みを行っています。

回収したボトルは解体・選別工程を経て、ステンレスは新たな金属原料として、PP樹脂は再生樹脂として再利用されます。製品を素材単位で循環させることで、原料採掘や樹脂製造に伴う環境負荷の低減につなげています。

(4)銅鉱石などから銅地金を製造

引用:https://www.jx-nmm.com/company/industry/metal-recycling/

JX金属グループは、銅鉱石に加え、使用済み製品や製造工程で発生する銅スクラップを原料として、銅地金を製造する取り組みを行っています。

回収した原料は溶解・精製工程を経て高純度の銅地金として再生され、電線や電子部品、建材など幅広い用途に供給されています。銅は繰り返し再生しても性能が劣化しにくく、資源循環に適した金属である点が特徴です。

(5)使用済みアルミ缶からリサイクルアルミ素材100%の飲料用アルミ缶原料に

引用:https://www.ccbji.co.jp/news/detail.php?id=1548

コカ・コーラ ボトラーズジャパンは、使用済みアルミ缶を回収し、溶解・再成形することで、リサイクルアルミ素材100%の飲料用アルミ缶原料を製造する取り組みを進めています。

回収されたアルミ缶は異物除去や洗浄を経て溶解され、純度の高いアルミ素材として再生されます。この素材は再び飲料用アルミ缶として成形され、アルミ資源の水平リサイクルを実現し、CO₂排出量の削減と資源循環の促進に貢献しています。

5.廃棄物の再利用を商品化につなげるポイント

廃棄物の再利用を一過性の取り組みで終わらせず、事業として成立させるには、技術面だけでなく設計・運用・市場の視点が欠かせません。ここでは、再利用を商品化につなげるために押さえておくべき実務上のポイントを解説します。

(1)素材特性と用途適正の見極め

廃棄物を商品化する際は、用途を先に決めるのではなく、素材が本来持つ特性から適用可能な製品領域を絞り込むことが重要です。用途ごとに求められる安全基準や表示区分への適合可否であり、これが設計自由度や市場投入の可否を左右します。

検討フェーズ確認のポイント
初期評価想定用途と規制要件の整合性
設計検討加工難易度と量産適性
実証段階品質安定性と供給継続性

また、量産時の品質ばらつきや安定供給の可否を見据え、評価・試作・実証のプロセスを段階的に進めることで、後工程での手戻りやコスト増を防ぐことができます。

【事例】カネカ「Green Planet」:素材特性を起点とした社会実装
カネカが開発した「Green Planet」は、100%植物由来かつ海水中でも分解されるという独自の素材特性を核にしています。 同社は、あらゆるプラスチックの代替を目指すのではなく、回収が困難で環境流出のリスクが高い製品領域へと用途を戦略的に絞り込みました。
まずストローやカトラリーといった、消費者の目に触れやすく規制対応が急がれる製品から着手し、段階的に用途を拡大しています。 開発プロセスでは、世界各国の厳しい認証を取得することで、用途ごとの安全基準や法規制への適合を初期段階でクリアしました。 さらに、大手ブランドオーナーとの共同実証を通じて、既存の成形機での加工難易度や量産時の品質安定性を徹底的に検証しています。 この「素材の強みを活かせる場所に、確実に投入する」というアプローチが、手戻りを最小限に抑えた市場投入を可能にしました。現在では、供給継続性を高めるために大規模な量産プラントの建設を進め、安定した供給体制の構築を加速させています。 素材のポテンシャルを冷静に見極め、規制とニーズが合致するポイントを見抜いたことが、事業化成功の大きな要因といえます。
参考:100%バイオマス由来で、海水中でも生分解されるカネカ生分解性バイオポリマー Green Planet®|カネカ

(2)安定調達と加工コストの最適化

廃棄物の事業化では、継続的に原料を確保できる体制づくりが前提となります。
特に重要なのは、調達量の変動を前提にした事業設計と、工程全体を通じたコスト構造の可視化です。

観点最適化の方向性
調達体制複数ルート化と契約条件の平準化
加工工程作業工程の定型化・自動化
物流設計拠点集約と保管効率の向上

前処理や物流を含めて工程を分解し、どこでコストが発生しているのかを把握したうえで最適化を進めることで、価格競争力と収益性の両立が可能になります。

【事例】レゾナック「KPR」:廃プラを水素に変える安定供給の仕組み
レゾナックの川崎プラスチックリサイクル(KPR)は、廃プラスチックをガス化し、アンモニアなどの化学原料や水素を取り出す先進的な事業です。
この事業の核心は、家庭や産業から出る多様な廃プラスチックを、長期的かつ安定的に調達する強固なネットワークにあります。 排出源によって異なるプラスチックの組成を事前に分析し、不純物の混入による処理効率の低下を防ぐため、受入基準を明確に定型化しています。 工程内では、独自のガス化炉を用いて高温で分解することで、再資源化が難しい複合素材も一括して原料化し、加工コストを最適化しました。
また、プラントを京浜臨海部に配置することで、都市部からの廃棄物搬入と、生成された製品の出荷における物流効率を最大化しています。 20年以上にわたる運用データに基づき、設備のメンテナンス時期や稼働率を精緻に管理し、調達量の変動に左右されない事業運営を実現しました。 さらに、製造工程で発生する熱を蒸気として近隣工場へ供給するなど、エネルギーの相互利用によるトータルコストの低減も図っています。
このような徹底した工程の分解と可視化により、変動の激しい廃棄物ビジネスにおいて、極めて高い収益性と安定供給の両立を可能にしました。
参考:プラスチック ケミカル リサイクル|レゾナック

(3)安全性・法令・表示区分のクリア

廃棄物由来の原料を商品化する際は、技術面より先に法令適合と表示整理を行うことが重要です。
用途ごとに適用法令や業界基準は異なり、想定市場によって必要な検査・証明の範囲も変わります。
事前に規制条件を洗い出し、商品設計・販売方法に反映させることで、後工程での修正や販売停止リスクを回避できます。

確認項目実務上の整理ポイント
関連法令用途別に適用範囲を明確化
安全性証明第三者検査・分析体制の確保
表示設計誤認を招かない用途・制限表記

法令順守を前提とした設計は、長期的な信頼確保と事業継続性の基盤となります。

【事例】三井化学:デジタルと認証で築くリサイクル素材の信頼性
三井化学は、リサイクル素材の普及に向け、品質の不透明さや法的規制といった課題をデジタル技術と国際認証で解決しています。
同社は、廃プラスチックがいつ、どこで、どのように回収され、加工されたかを記録するブロックチェーン活用のトレーサビリティ基盤を構築しました。 この仕組みにより、物理的な混入が避けられないリサイクル工程においても、原料の由来を正確に証明し、顧客企業のコンプライアンス遵守を支援しています。 特に安全基準が厳しい食品包装分野では、化学的な精製プロセスを高度化し、厚生労働省のポジティブリスト制度への適合を前提とした設計を徹底しました。
また、ISCC PLUS認証という国際規格を取得し、環境価値を製品に割り当てる「マスバランス方式」を採用することで、適正な表示整理を実現しています。 単なる素材提供に留まらず、販売方法や表示区分まで含めたソリューションを提案することで、後工程での手戻りや販売停止リスクを最小化しました。 これにより、リサイクル材の利用を躊躇していた大手メーカーも、法的リスクを抑えながら自社製品のサステナビリティを高めることが可能になっています。
自社の高度な化学知見とデジタルプラットフォームを融合させたことで、長期的な信頼確保と事業の継続性を両立させることに成功しました。 まさに、法令遵守を事業設計の起点に据えることで、新たな市場標準を創り出しているサーキュラーエコノミーの好事例といえます。 素材の特性を可視化し、法的に裏付けられた安心を提供することが、持続可能なビジネスモデルの根幹であることを同社は示しています。
参考:バイオマス・リサイクル(BePLAYER™ / RePLAYER™)|三井化学

(4)顧客価値の設計とブランドストーリーの構築

廃棄物由来の商品は、環境性を前面に出すだけでは選ばれにくく、顧客が得られる具体的な価値を設計する必要があります。
購入判断に直結する要素と、背景として伝える情報を整理し、納得感のある文脈をつくることが重要です。
価値訴求と情報開示を分けて設計することで、環境配慮が差別化要素として機能します。

設計観点役割
機能・経済価値選ばれる理由を明確化
環境背景情報共感・信頼の補強
伝達方法誤解なく理解される構造

顧客視点で整理された価値設計は、ブランドへの信頼と継続購買につながります。

【事例】アディダス:海洋ゴミをトップアスリートの武器に変える価値設計
アディダスは、海洋プラスチック廃棄物を回収・アップサイクルし、高性能なスポーツシューズとして製品化する「Parley」シリーズを展開しています。
この取り組みの鍵は、環境への配慮を前面に出すのではなく、まずトップアスリートの過酷な使用に耐えうる「機能性と耐久性」を徹底的に追求した点にあります。 消費者は「地球に良いから」という理由だけでなく、純粋に「最高のパフォーマンスを発揮できる最新のシューズ」として、この製品を手に取ります。 製品のデザインには、海を象徴する独特のステッチやカラーを取り入れ、一目でサステナブルな背景を感じさせる直感的な伝達方法を採用しました。一方で、削減したプラスチック量や製造プロセスの透明性は背景情報として精緻に開示し、ブランドに対する信頼と共感を強固なものにしています。 既存のバージン材モデルと遜色のない価格設定や流通網の構築により、環境配慮型製品を一部の限定品ではなく、一般層が購入可能な選択肢へと広めました。このように、機能的な経済価値を「選ばれる理由」の主役に据え、環境ストーリーをその「納得感」を高める補強材として活用したのが成功の要因です。 結果として、海洋汚染という深刻な社会課題を、ファンが日常的に参加できるポジティブなファッション体験へと昇華させました。 環境保護をストイックな義務ではなく、自己表現の一部へと変えたこの価値設計は、グローバルブランドとしての地位をさらに盤石にしています。 素材の背景にある壮大なストーリーと、圧倒的な製品力が融合することで、顧客の継続購買と長期的なブランドロイヤリティを実現した好事例です。
参考:イニシアチブ|アディダス

(5)回収スキームとサプライチェーン整備

廃棄物を原料とする事業では、回収から製造までを一連の流れとして設計することが前提となります。
単発の回収や属人的な運用では継続性が担保できないため、関係主体ごとの役割整理と情報連携の仕組みづくりが重要です。供給変動を前提に、全体を管理可能な構造へ落とし込みます。

設計観点目的
回収体制の設計原料供給の安定化
物流・前処理コストと品質の管理
情報連携需給変動への対応

回収と供給を一体で設計することで、事業としての持続性が高まります。

【事例】エフピコ:「エフピコ方式」が実現する静脈物流の事例
エフピコは、食品トレーの「トレー to トレー」を軸に、日本最大級の循環型サプライチェーンを構築しています。
この事業の最大の特徴は、製品をスーパーへ納品した帰りのトラックで、使用済みトレーを回収する「バックハウル(帰り便)」の徹底活用です。 この仕組みにより、回収にかかる物流コストを劇的に抑えつつ、全国1万箇所以上の拠点から安定的に原料を調達することを可能にしました。 調達量の変動に対しては、全国に配置された選別センターとリサイクル工場が、リアルタイムの入荷状況に合わせて稼働を最適化しています。また、選別工程に障害者雇用を積極的に取り入れることで、手作業による高度な素材選別と社会貢献、そして安定したオペレーションを両立させました。 加工工程では、回収された「地上資源」を最新鋭のプラントで洗浄・精製し、バージン材に劣らない品質の「エコトレー」へと再生しています。 工程全体を自社グループで管理・可視化することで、原料の需給バランスを保ち、長期的な価格競争力を維持し続けています。 消費者、小売店、包材問屋、メーカーの「4者一体」となる役割分担を明確化したことで、属人性を排除した強固なシステムを確立しました。
30年以上にわたるこの運用実績は、廃棄物ビジネスにおける収益性と継続性のモデルケースとして世界からも高く評価されています。 単なる環境活動ではなく、本業のインフラにリサイクルを組み込むことで、持続可能な製造業のあり方を証明し続けている事例です。
参考:エフピコ方式のリサイクル|エフピコ

(6)商品性・市場性の検証と販路開拓

廃棄物由来の商品は、開発段階から商品性と市場性を切り分けて検証することが重要です。
試作や限定販売を通じて需要の有無を見極め、想定顧客や利用シーンを具体化したうえで、過度な在庫や価格ミスマッチを避ける設計が求められます。

検証項目確認の観点
商品性価格帯・品質水準・使用シーン
市場性競合状況・需要規模
販路BtoB/直販/EC/連携先

検証結果を踏まえて販路を段階的に広げることで、実行可能性の高い事業化につながります。

【事例】Fabula:食品廃棄物を「香る建材」へ変える段階的市場戦略
東京大学発のベンチャーであるFabulaは、野菜や果物の皮といった食品廃棄物を、熱圧着だけでコンクリート以上の強度を持つ新素材へと転換しています。
同社は技術の確立後、いきなり大規模な建築市場を狙うのではなく、まずはコースターや器などの雑貨から商品性を検証し始めました。 このプロセスにより、原料ごとに異なる「色・香り・質感」が消費者にどう受け入れられるか、どの程度の価格なら選ばれるかを実戦的に見極めています。
市場性の確認においては、感度の高いセレクトショップや展示会を販路に選び、環境配慮とデザイン性を両立させたブランドイメージを構築しました。 雑貨販売で得た顧客のフィードバックを即座に製品改良へ反映させることで、廃棄物由来の商品にありがちな品質への不安を解消しています。
現在は、これらの実績をエビデンスとして、より規模の大きい店舗什器や内装材といったBtoB領域への進出を段階的に進めています。 在庫リスクを抑えるため、特定のプロジェクトに合わせた受注生産を軸にし、ミスマッチのない販路開拓を徹底しているのが特徴です。 技術的な「凄さ」を語る前に、素材そのものの「美しさ」で顧客を魅了し、環境価値を後から付随させる価値設計が、高い支持に繋がっています。
このように、小さな成功を積み重ねながら販路を拡大する手法は、リスクを最小限に抑えつつ市場を創出する理想的なモデルといえます。 食品廃棄物を「厄介者」ではなく、五感を刺激する「贅沢な資源」へと再定義したことが、事業としての継続性を生み出す鍵となりました。
参考:株式会社Fabula 公式サイト(プロダクト・プロジェクト)

6.まとめ

廃棄物の再利用は、環境対応に加えてコスト削減や新たな事業機会を生み出す手法として広がっています。
共通するポイントは、素材特性の見極め、安定調達、法令順守、顧客価値設計、回収・供給体制、市場検証を段階的に行うことです。実務視点で設計することで、再利用は継続可能な事業へと発展します。

こうした廃棄物の再資源化スキームの構築と、商品化へのプロセスをトータルで支援するのが、五十鈴株式会社の「icサーキュラーソリューション」です。現場で発生する未利用資源のポテンシャルを最大限に引き出し、新たな収益源へと転換する構造的な企業変革を強固にサポートします。廃棄物を負債から資産へと変え、次世代の循環型経営を実現したい方は、ぜひお気軽にご相談ください。

監修

早稲田大学法学部卒業後、金融機関での法人営業を経て、中小企業向け専門紙の編集記者として神奈川県内の企業・大学・研究機関を取材。
2013年から2020年にかけては、企業のサステナビリティレポートの企画・編集・ライティングを担当。2025年4月よりフリーランスとして独立。
企業活動と社会課題の接点に関する実務経験が豊富で、サステナビリティ分野での実践的な視点に基づく発信を強みとしている。