サステナブル商品ヒット事例15選|売れない場合の対処法も解説

市場で支持されるサステナブル商品を生み出すには、消費者心理を深く捉えた設計やストーリーブランディングが欠かせません。本記事では、国内外のサステナブル商品のヒット事例を分析し、成功の共通項を抽出します。
さらに、サステナブル商品が思うように売れないときに見直すべき4つのポイントや、具体的な改善策についても徹底解説します。

五十鈴株式会社の「icサーキュラーソリューション」は廃棄物削減や素材の再価値化を起点に、循環を前提としたサステナブルな商品開発や、ブランドの信頼性を裏付ける構造的な企業変革を強固に支援します。商品を通じて顧客との新しい関係性を築き、次世代の循環型経営を構築したい方は、ぜひお気軽にご相談ください。

目次

1.サステナブル商品のヒット事例15選【一覧】

(1)リサイクルハイブリッドダウンジャケット|ユニクロ

引用:https://www.uniqlo.com/jp/ja/products/E470150-000/00?colorDisplayCode=19&sizeDisplayCode=004

ユニクロが展開する「リサイクルハイブリッドダウンジャケット」は、店舗で回収した不要ダウンを再利用して新たな製品へ生まれ変わらせた、循環型ファッションの代表的事例です。

同社の「RE.UNIQLO」プロジェクトの一環として開発され、再生ダウンと高機能中綿を組み合わせることで、保温性と軽量性を両立しており、環境配慮と着心地の両面から高い評価を得ています。

ジャケットの具体的な特徴としては、身頃部分に再生ダウンを、脇や袖部分には高機能な中わた(ポリエステルシート中わた)を組み合わせる「ハイブリッド仕様」を採用している点が挙げられます。これにより、体の中心はしっかりと温めながら、袖や脇はすっきりとした見た目と動きやすさを両立しており、保温性と軽量性も高められています。

(2)海洋ごみから生まれたシューズ|アディダス

引用:https://dowellbydoinggood.jp/contents/project/282/

アディダスは環境保護団体「Parley for the Oceans」と連携し、海洋プラスチックごみや廃漁網を回収して再利用する素材でシューズを製造しています。回収されたごみは細かく粉砕され、再生ポリエステル糸へと加工され、アッパー部分などに採用されます。

2016年以降、アディダス×Parleyの再生素材シューズは国内外で販売され、累計で数千万足規模に達しています。こうした取り組みによって、既に数百トンのプラスチックごみを海から分離し回収する成果を出しており、ファッション業界における持続可能性への貢献と、消費者への環境意識の啓発という点で重要な役割を果たしています。

(3)アタック ZERO|花王

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引用:https://www.kao.com/jp/newsroom/news/release/2021/20210317-002/

花王は、衣料用濃縮液体洗剤「アタック ZERO」で、包装容器に100%再生プラスチック(PET) を使用する取り組みを開始しました。

資源の無駄を徹底的に省く「リデュース(減らす)」、石油由来のプラスチックを持続可能な原料に「リプレイス(置き換える)」、つめかえ・つけかえの促進で「リユース(再利用する)」、そして使い終わった容器を再び資源として生かす「リサイクル(再資源化する)」という、同社が推進する「4R」の視点に基づいています。花王は、2025年までに国内で使用される主要なペット素材ボトルをすべて再生PETに切り替える方針を掲げています。
この取り組みによって、製品の環境配慮イメージを強化しつつ、消費者には従来と変わらない品質と使用感を提供することを目指しています。

(4)テイスティドレッシングシリーズ|キユーピーグループ

引用:https://www.kewpie.com/newsrelease/2024/3259/

キユーピーは、2月上旬から環境配慮型容器を採用した「テイスティドレッシング」シリーズ7品と、プラスチック使用量を約30%削減したスープの素3品に対し、グループ独自のecoラベルを付与する取り組みを始めました。

この独自ラベルは、プラスチックの使用量削減や、再生プラスチック・バイオマスプラスチックの利用など、容器包装に関する複数の環境配慮基準を満たした商品に与えられます。

特に、テイスティドレッシングシリーズでは、ボトル容器に、主に清涼飲料用のPETボトルを回収し再資源化した再生プラスチックを100%使用しており、食品容器の分野において環境負荷低減に大きく貢献しています。
ラベル表示によって消費者に「環境配慮商品」であることを分かりやすく伝えながら、実際に再生素材を使った容器に切り替えることで、持続可能性と消費者行動の両立を目指しています。

キユーピーは、この取り組みを通じて、2030年度までにプラスチック排出量削減率30%以上(2018年度比)というサステナビリティ目標の達成に向けた動きを加速させています。

(5)味の素|味の素グループ

引用:https://www.ajinomoto.co.jp/company/jp/activity/environment/eco/seasoning.html

味の素グループは、「味の素®」をはじめとする調味料について、発酵法を用いて製造する過程で発生する副生成物を有機肥料として畑に戻す“バイオサイクル”を長年実践しています。

さらに、袋入りの「味の素®」や「うま味だし・ハイミー®」のパッケージを、プラスチック包材から紙包装へ順次切り替えています。これによって年間約12トンのプラスチック廃棄を削減できる見込みです。
包装材料の見直しと詰め替え促進を通じて、環境負荷を低減しながら、消費者にも選びやすい商品を提供しようとしています。

(6)スーパーソル|小林衛生公社

引用:https://kobayashi-eco.co.jp/supersol/

小林衛生公社は、廃ガラスを再資源化して作る多孔質軽量エコ素材「スーパーソル」を開発しました。廃ガラスを粉砕・焼成発泡させ、透水性や保水性、耐火性を兼ね備えた資材として生まれ変わらせています。
この素材は、土木・建築分野、緑化・園芸、排水材、断熱、防犯砂利などさまざまな用途で活用され、地域の廃ガラスを地域で再利用する循環型社会の実現に貢献しています。

さらに、スーパーソルは比重や吸水率を用途に応じて調整できる点も特徴です。これにより、設計者や施工者が性能を見据えて使いやすい素材として導入しやすくなっています。

参考:ガラス発泡資材事業協同組合

(7)AQUOS wish|シャープ

引用:https://jp.sharp/products/aquos-wish/

シャープは、スマートフォン「AQUOS wish」に、筐体素材として再生プラスチックを35%使用する設計を採用しています。これは、主にウォーターサーバーの使用済みボトルなどから回収されたプラスチックをリサイクルしたもので、環境への負荷を低減する具体的な努力を示しています。

この取り組みは「モノを持ちすぎない」「気に入ったモノを長く大切に使い続ける」という消費者志向と整合性をもたせた、環境配慮を意識した製品設計です。

再生プラスチックの採用に加え、防水・防塵性能や、米国国防総省の調達基準(MIL規格)にも準拠した耐衝撃性を確保することで、偶発的な落下などにも強く、長く安心して使い続けられる設計になっている点も大きな特徴です。さらに、パッケージ(個装箱)についても、従来モデルから容量を20%小型化し、紙の使用量を40%削減するなど、製品全体で環境負荷の低減を徹底しています。

(8)COE365(コエサンロクゴ)|PLUS

引用:https://bungu.plus.co.jp/coe365/

PLUSは、文房具ブランド「COE365(コエサンロクゴ)」で、再生紙利用・プラスチック削減といった環境配慮を日常的に取り入れる製品群を展開しています。

製品全体をパッケージレス化し、廃棄ゴミを減らす取り組みを行っており、例えば修正テープ「ホワイパーPT」では本体に再生プラスチックを93%使用しています。また、これらの製品の多くは、テープの詰め替えが可能な交換式を採用することで、お気に入りの本体を長く大切に使えるように設計されており、使い捨てを減らすという考え方を通じて、プラスチックの使用量そのものを抑制しています。

さらに、修正テープやテープのりなどは、プラスチックの使用量を機能や強度に必要な最低限のレベルまで削減した紙ケース入り製品もラインアップされており、例えば修正テープでは自社従来品と比較してプラスチック使用量を約40%削減し、使用後は紙とプラスチックを分別してリサイクルできる仕様にするなど、徹底した環境配慮を行っています。

(9)エコ&システムパック|ネスカフェ

お好みの容器に、パキっとカンタンつめかえ!ネスカフェ エコ&システムパック
引用:https://shop.nestle.jp/front/contents/machine/nba/cartridge/

ネスレ日本は、「ネスカフェ ゴールドブレンド バリスタ」専用の詰め替え製品として、「エコ&システムパック」を展開しています。
これは詰め替え用のパックをセットして使用可能で、空気を遮断してコーヒーの酸化を防ぎ、開封後も香りと味わいを長く保つことができます。

従来のガラス瓶と比較すると、プラスチック使用量を最大97%削減できる設計となっており、家庭でのごみ削減にも貢献しています。ネスレは、2008年の発売以降、このパックの改良を重ねており、プラスチック使用量の削減や軽量化などの工夫を通じて、持続可能な社会を目指した環境配慮型の詰め替え容器として進化を続けています。

(10)カップヌードル|日清食品

引用:https://www.cupnoodle.jp/doitnow/

日清食品は「DO IT NOW!」プロジェクトを通じて、プラスチック製のフタ止めシールを廃止し、新しい「Wタブ」構造のフタを導入したことで、年間約41トンのプラスチック原料を削減しました。さらに、容器を植物由来素材を配合した「バイオマスECOカップ」に切り替え、石油由来プラスチックの使用量を約半分に抑えています。

これにより、石油由来プラスチックの使用量を約半分に抑えることに成功し、原料の調達から廃棄に至るまでのライフサイクル全体で排出される二酸化炭素(CO2)の量も約16%削減という大きな成果を上げています。

また、輸送に用いる梱包箱には、誰でも簡単に開封できる「3秒オープンダンボール」を採用し、作業効率の向上と紙資源の削減を両立させています。

(11)再生紙トイレットペーパー|無印良品

再生紙トイレットペーパー5倍巻 シングル
引用:https://www.muji.com/jp/ja/store/cmdty/detail/%E5%86%8D%E7%94%9F%E7%B4%99%E3%83%88%E3%82%A4%E3%83%AC%E3%83%83%E3%83%88%E3%83%9A%E3%83%BC%E3%83%91%E3%83%BC%EF%BC%95%E5%80%8D%E5%B7%BB%E3%80%80%E3%82%B7%E3%83%B3%E3%82%B0%E3%83%AB/4550344616031?srsltid=AfmBOoqqASww_kQIET7no4IBP0NGDFCCxBrJDSlFFebdUEiXbLP2249M

無印良品が販売している「再生紙トイレットペーパー 5倍巻 シングル」は、一般的なトイレットペーパーの約5倍にあたる250メートルの長巻でありながら、紙芯がないコンパクトな設計で、交換頻度を抑えつつ保管スペースも節約できる設計です。

原料に古紙をリサイクルした再生紙を積極的に使用することで、資源の有効活用に貢献しています。さらに、紙芯をなくしたことで、最後まで使い切ることができ、芯を捨てる手間とゴミ自体を削減しています。また、紙幅を一般的なトイレットペーパー(114mm)よりも細い107mmに設計することで、使用感を変えることなく、自然とトイレットペーパーの使用量そのものを抑える工夫がなされています。このように、無印良品は、製品の「長さ」「芯なし」「再生紙」「紙幅」という複数の要素を通じて、ゴミの削減と資源の有効利用を促進しています。

(12)牡蠣殻のアクセサリー|宮城の牡蠣殻クラフトオストリカ

引用:https://ostrica.thebase.in/

オストリカは、宮城県で養殖された牡蠣を加工する過程で発生する牡蠣殻を活用して、アクセサリーやインテリア雑貨を制作するクラフトブランドです。

牡蠣殻は、むき身加工の際に出る不要な殻を使用し、洗浄・消毒後に1年以上天日乾燥させてから研磨加工を行います。最終的には、個性ある色や質感の殻をパーツ化し、手作業でアクセサリーやインテリア雑貨などに仕上げています。

宮城県では牡蠣養殖の収穫量が多く、その殻の約8割が廃棄される傾向にあります。オストリカはこの地域資源に“命を宿す”という理念のもと、環境負荷を抑えながら地域の魅力を表現する製品づくりに取り組んでいます。

(13)ベジタブルスポンジ|ラ・コルベット

引用:https://la-corvette-japan.com/pages/la-corvette

ラ・コルベットは、フランス発の伝統的ブランド「サボン・ド・マルセイユ」を背景に持つライフスタイルブランドで、そのホームケア製品群に「ベジタブルスポンジ」を展開しています。
ベジタブルスポンジは「吸水性と耐久性に優れたサステナブルな万能スポンジ」として紹介されており、植物由来・天然成分を素材でありながらも、プラスチックを用いずに日常の洗浄用途に耐えるよう設計されています。さらに、環境に配慮しているのはスポンジ本体だけでなく、パッケージにもリサイクルフィルムが使用されており、製品全体でゴミの削減に取り組んでいます。

ラ・コルベットは、ブランド全体として合成成分無添加・環境配慮のものづくりを重視しており、ベジタブルスポンジもその理念と整合性があります。

(14)フェアトレード&オーガニックチョコレート|ピープルツリー

引用:https://peopletree.co.jp/pages/choco-lineup?srsltid=AfmBOoqhE7SugMbHu6hhxh1qoBTrzB4ZpXguoCnnSyLa1k-EkTwdKMfC

ピープルツリーは、「フェアトレード&オーガニックチョコレート」を中心に、原材料調達から製造・販売まで環境と人に配慮したチョコレートの商品群を展開しています。

すべての製品のベースとなるカカオ、ココアバター、砂糖などの原材料に、有機JAS認証などの国際的な認証を取得したオーガニック(有機)原料のみを使用することで、農薬や化学肥料に頼らない持続的なカカオ栽培と地球の健康を守る取り組みを推進しています。

また、ピープルツリーは動物性原材料を使わないヴィーガンタイプの「板チョコ ベジシリーズ」も手がけており、有機成分とプラントベース素材を組み合わせた製品もラインナップされています。

これらの製品は、フェアトレードを通じて生産者に公正な対価を支払う仕組みを背景に持ち、有機農法による持続的なカカオ栽培と環境保全にもつながる調達を目指しています。

(15)FUROSHIKI|株式会社サティスファクトリー

引用:https://www.sfinter.com/furoshiki/

サティスファクトリーが開発する「FUROSHIKI」は、ごみ袋として本来廃棄される廃プラスチックを回収・再資源化して製造された製品です。原料の99%が国内の廃棄物由来という特徴を持ち、新規のプラスチック資源への依存を抑えています。

この製品では、使用済みの廃プラスチックを焼却処分せず、再資源化してペレット化し、ごみ袋として成形。こうした材質再利用により、焼却時に排出されるべきCO₂排出量の削減を目指しており、その削減量を定量的に算出して利用企業に伝えることで、環境貢献の取り組みを可視化できる点も大きな価値となっています。

2.売れるサステナブル商品の共通点と成功要因

サステナブル商品がヒットする背景には、消費者の共感を生み出す「価値の伝え方」や「体験の設計」 があります。ここでは、売れるサステナブル商品の共通点と成功要因を3つの観点から整理します。

(1)環境に優しいだけで終わらせない価値の伝え方

サステナブル商品のヒットに共通しているのは、生活者が自分ごととして価値を感じられるメッセージ設計を行っている点です。

たとえば、ユニクロの「リサイクルハイブリッドダウンジャケット」は、再生素材の活用だけでなく「軽さ」「保温性」「長く着られる耐久性」といった生活者にとっての実利を明確に示しています。
花王の「アタック ZERO」では、再生PETボトルの採用に加えて、使いやすさや洗浄性能を損なわない設計を徹底しています。

企業がサステナビリティを進める際に重要なのは、環境配慮と顧客体験のバランスを崩さないことが挙げられます。

【事例】「落ちワタ混ふきん」|良品計画
廃棄物の削減(アップサイクル):衣料品を製造する紡績工場から出る「落ちワタ」、すなわち製品にならずにそのまま廃棄されていた繊維のくずを再利用(アップサイクル)して作られています。これにより、産業廃棄物を減らし、資源の無駄をなくすことに貢献しています。
落ちワタを素材に含むことで、高い吸水性と使いやすい柔らかさを実現しており、食器拭きや台拭き、掃除など、日々の用途に幅広く活用できる実用性の高さを持っています。また、12枚組というセットで手頃な価格で提供されるため、コストパフォーマンスが非常に良く、「惜しみなく使える」という顧客にとっての大きなメリットを提供しています。
衣料品として販売が難しい素材を、誰もが日常的に使うふきんという消耗品に転用することで、安定した需要と供給を生み出し、廃棄物を出さない仕組みを無理なく持続させています。
この事例は、「工場で出るゴミを減らしました」という環境メッセージだけでなく、「高い吸水性があって使いやすく、しかも安くてお得」という、消費者にとっての直接的な利点を打ち出すことで、環境配慮と経済的な合理性を両立させている点で優れています。環境意識が高くない層でも、「良いものだから」という理由で自然とサステナブルな商品を選ぶ行動につながっています。

(2)認証やトレーサビリティの確保で消費者から信頼を得る

サスティナブル商品の信頼を担保するのが、認証制度やトレーサビリティ(追跡可能性)の仕組みです。
たとえば、ピープルツリーの「フェアトレード&オーガニックチョコレート」では、国際フェアトレード認証を取得し、生産者への公正な報酬や有機農法による原料調達を明示しています。
認証マークによってその裏付けを可視化により、消費者の安心感を高めていることが特徴です。
第三者認証やデータ開示などによって根拠を持って語れるストーリーを設計することで、ブランドへの信頼と購買行動を後押しする最大の要因となります。

【事例】「C.A.F.E. プラクティス」という独自の倫理的なコーヒー調達ガイドラインの運用|スターバックスコーヒージャパン
スターバックスは、「C.A.F.E. (Coffee and Farmer Equity) プラクティス」という、環境団体コンサベーション・インターナショナルと共同開発した独自の包括的な調達基準を導入しています。これは、「経済的な透明性」「労働者の人権保護」「環境保全」「品質管理」という四つの柱に基づき、コーヒー豆の生産から加工に至るまでの全プロセスを追跡可能にするものです。
この独自の基準をクリアした豆を使用することで、消費者は「自分が飲む一杯のコーヒー」が、生産者への公正な賃金農園での人権・労働環境の確保、そして環境への配慮のもとで調達されているという明確な根拠安心感を得ることができます。これにより、倫理的な購買行動を後押ししています。
この基準の遵守状況は、スターバックス以外の第三者機関によって定期的に検証されており、透明性と信頼性が維持されています。これにより、一時的な取り組みではなく、持続可能な調達システムであることを示しています。
参考:Ethical Sourcing|スターバックスコーヒージャパン

(3)体験価値と話題性を高めるサステナブル商品の工夫

ヒットするサスティナブル商品は、ユーザーが手に取った瞬間からブランドの姿勢を感じ取れる仕掛けにより、話題性と継続的な支持を生み出しています。
たとえば、宮城県の「オストリカ」は、“海の恵みを新しい形で届ける”という理念を商品に込めることで、購入そのものが地域循環への参加体験に昇華しています。このように、製品に背景ストーリーを内包させることが、企業の価値発信にも直結します。
また、日清食品の「DO IT NOW!」プロジェクトでは、容器変更を単なる企業努力ではなく「消費者とともに未来をつくる体験」として発信し、ブランドの共感価値を高めています。

環境対応を主張するのではなく、体験の中に溶け込ませる視点を持つことで、エコを選ばれる理由に変えることができます。

【事例】「BAUM(バウム)」|資生堂
製品のパッケージに、家具メーカー「カリモク家具」の製造過程で生じた「木の端材」をアップサイクルして採用しています。この本物の木を使った重厚な容器は、触覚と嗅覚に訴える独特な高級感と温もりを提供し、「樹木の恵み」というブランドの世界観を体現しています。単なる化粧品ではなく、インテリアとしても愛着が持てるデザインが話題性を高めています。
この木の容器は使い捨てを前提とせず、中身をレフィル(詰め替え)式にすることで永続的な使用を推奨しています。消費者は、環境に配慮されたレフィルに交換する行為自体を通じて、資源の循環への参加を体験し、モノを大切に長く使うライフスタイルを自然に取り入れることができます。
本来廃棄されるはずだった家具の端材に新たな価値を与えることで、「樹木を無駄にしない」という明確なブランドメッセージと、日本のものづくりの知恵を製品に内包させており、単なるエコではない深い共感価値を生み出しています。
参考:SUSTAINABILITY|ABOUT|BAUM(バウム)|資生堂

3.サステナブル商品が売れない原因と改善のヒント

サステナブル商品が売れない原因の多くは、商品そのものよりも伝え方や提供体験の設計にあります。ここでは、サステナブル商品が売れない主な理由と、改善に向けたヒントを整理します。

(1)環境訴求ばかりで購入理由が伝わらない場合

売れない原因の多くは「環境に優しいこと」しか伝えていないケースが多く見られます。
商品企画の段階で「再生素材を使った」「CO₂削減につながる」といった開発目標だけを設定すると、企業の努力は伝わるとしても消費者の納得にはつながらない場合がほとんどです。

また、メッセージ発信の際には、「この商品を選ぶと社会に貢献できる」という抽象的表現ではなく、「これを使うと○○が減る」「○○が長持ちする」といった定量的・実感的な根拠を示すことが有効です。

生活者が「自分の選択が実務観点からもポジティブな影響を生む」と直感できる情報設計こそ、サステナブル商品を買いたい理由に変えることができます。

【事例】定量的かつ実感的な実利の事例|LIXIL
「環境訴求ばかりで購入理由が伝わらない」という課題に対し、LIXIL(リクシル)の調湿・脱臭建材「エコカラットプラス」は、生活者の悩みを解決する具体的な機能を前面に出すことで、サステナブルな選択を実利的なメリットに転換させている好事例です。
「エコカラットプラス」は、ナノサイズの孔(あな)を持つ特殊なセラミック素材でできており、電気を使わずに調湿・脱臭・有害物質の吸着を行います。訴求ポイントは、「省エネ」や「環境負荷低減」といった抽象的なものではなく、生活者が実感できる具体的な快適性です。例えば、「結露を抑えてカビ・ダニの抑制が期待できる」「ペットや生ゴミの嫌なニオイを脱臭し、その効果はタバコ臭の場合で約1時間でほぼ気にならないレベルになる」といった、住まいの悩みを解決する定量的・体感的なメリットを明確に示しています。
この製品の「電気を使わない」調湿・脱臭機能は、結果として省エネにつながり、二酸化炭素(CO₂)排出量の削減にも貢献します。しかし、メインの訴求はあくまで「快適な暮らし」の実現であり、環境配慮はそのための手段(二次的な価値)として位置づけられています。
旧製品が水に弱かった点を改良し、「エコカラットプラス」では防汚性能を向上させ、水や汚れを通しにくくすることで、水拭きによるメンテナンスが可能になりました。「機能性が高く、かつ掃除も簡単」という、顧客の利便性を徹底的に追求したことで、選ばれる理由を強固にしています。
参考:内装壁機能タイル:エコカラットプラス|LIXIL

(2)品質や信頼性に課題がある

サステナブル商品が市場で伸び悩む原因の一つに、環境配慮を優先するあまり、品質や使い心地が後回しになっているケースがあります。結果として、「環境に良いけれど、前の製品の方が使いやすかった」「見た目がチープになった」といった印象を与えてしまい、リピートにつながらないことがあります。

しかし、ここまでのヒット事例を確認すると、リサイクル材の物性を理解した上で設計段階から性能バランスを最適化することが、品質の信頼性を支えています。

また、信頼性を担保するもう一つの手段がデータと認証の開示です。
味の素グループのように製造過程をバイオサイクルとして可視化したり、RSPO認証やFSC認証を取得して供給プロセスを示したりすることは、購買における心理的ハードルを下げる効果があります。

環境配慮と満足度のどちらを優先するかではなく、両立を前提に企画・試作・検証のフローを再設計することが重要となります。

【事例】品質と信頼性の両立の事例|ユニ・チャーム
使用済み紙おむつをリサイクルする際、最も大きな課題は衛生面と品質でした。ユニ・チャームは、独自の技術でパルプを分離した後、オゾンによる強力な殺菌・脱臭・漂白処理を施し、未使用パルプとほぼ同等の衛生的な白さ、清潔さに再生することに成功しています。これにより、「環境に良いが不潔そう、品質が劣る」という懸念を払拭し、「衛生的で快適。いつもとまったく同じ使いごこち」を維持したまま、資源循環を実現しています。
オゾン処理後のパルプは、細菌がほぼゼロになるという具体的な殺菌効果(CFU:コロニー形成単位)を公開し、衛生面での信頼性をデータで担保しています。さらに、この取り組みを「RefF(リーフ):みんなでつくるみらいサイクル」というブランド名で発信し、資源循環のプロセス全体を可視化することで、消費者や自治体の理解と参加を促しています。
紙おむつを別の製品(建材や燃料)にするカスケードリサイクルではなく、使用済み紙おむつを再び新しい紙おむつの材料として利用する「水平リサイクル」を目指している点が特徴です。これは、木材や石油資源(プラスチック、高分子吸水材)の使用量を大幅に削減し、ゴミ問題の解決に直結する、持続可能性の高いモデルです。
この事例は、高度な技術開発によって最も衛生面での品質維持が難しい製品の一つである紙おむつの水平リサイクルに挑戦し、品質を妥協しないことを明確に示している点で、サステナブル商品の信頼性確保の最先端を行く取り組みと言えます。
参考:「RefF」みんなでつくるみらいサイクル

(3)面白いアイデアでも実用性や販売導線が弱い

社会的意義が高く話題性もあるにもかかわらず、売上につながらないケースでは、アイデアの魅力に対して実用性や販売導線が十分に設計されていないことが原因です。商品自体は優れていても、「どこで買えるのか」「どう使えばいいのか」「誰に向けたものなのか」が曖昧なままでは、消費者の行動を後押しできません。

たとえば、ラ・コルベットの「ベジタブルスポンジ」は、天然素材を使いながらも日常で使いやすいサイズ感と吸水性を確保しており、使うたびに心地よさを実感できる実用的価値がブランドの信頼を支えています。
商品設計の段階で、担当者が「環境にいい」「面白い」だけで満足してしまった場合、このような実用的価値が創出できません。

サステナブル商品の成功は、素材や理念の革新性よりも、日常生活にどれだけ自然に溶け込めるか、どんな販売体験で共感を生み出せるかにかかっています。

【事例】実用性と独自の販売導線で成功させた事例|Patagonia(パタゴニア)
社会的意義が高く話題性もあるアイデアを、実用性と独自の販売導線で成功させた事例として、Patagonia(パタゴニア)の「Worn Wear(ウォーン・ウェア)」プログラムをご紹介します。
Patagoniaは、単にリサイクル素材を使うだけでなく、「製品を修理して長く使うこと」を推奨することで、最高のサステナブルな行動としています。消費者にとってのメリットは、「愛着のあるギアを長く使える」という感情的な価値と、「修理サービス(リペア)の無料提供や安価な提供」によるコスト削減という実用的な価値の両方です。機能が回復すれば、買い替える必要がなくなります。
販売導線の設計:リペア(修理):世界各地で無料の修理サービスツアー(Worn Wearツアー)を実施し、修理の専門家が顧客のギアを直接修理することで、「捨てる」以外の選択肢を実体験として提供しています。
中古品販売:下取りプログラムで回収した製品を「Worn Wear」のウェブサイトや実店舗で販売。中古品を公式な販売導線に組み込むことで、サステナブルな選択肢を、より安価な「購入の選択肢」に変えています。
啓発活動:「買わないで」という逆説的な広告や、修理動画の公開を通じて、製品への愛着と修理の文化を根付かせ、ブランドへの強いロイヤルティ(信頼性)を獲得しています。
一見、自社の新品販売を妨げるように見えるプログラムですが、結果としてPatagoniaの製品は「長く使えて、いざとなったら修理や下取りができる」という高い信頼性を勝ち取り、新品の販売価格が高くても選ばれる理由となっています。サステナビリティを独自の競争力に変えています。
この事例は、単発のサステナブル商品に留まらず、「実用性(機能の回復)」というサービスと「中古品販売」という新しい販売導線を融合させることで、顧客の購買後の行動全体をサステナブルに変革させた、非常に優れた成功例です。
参考:Worn Wear|パタゴニア

4.まとめ

環境への配慮は今や前提であり、消費者が求めているのは「持続可能性に共感しながらも、心地よく使える・納得して選べる」体験です。今回紹介した成功事例に共通していたのは、次の3点に要約できます。

観点ポイント具体的アプローチ
① 製品価値の設計環境性だけでなく、デザイン・機能・ストーリー性を一体で構築する環境配慮素材に加え、使い心地・デザイン性・ブランドメッセージを統合し「選ばれる理由」を明確化する
② 信頼の可視化認証やトレーサビリティの整備で“信頼できるエシカル”を証明するFSC・RSPOなどの第三者認証を取得し、原料・製造・流通のプロセスを透明化する
③ 体験と導線の設計オンライン・オフライン双方で共感と参加を促す販売体験を設計するEC・店舗・イベントなど複数の接点を設け、購入が社会貢献につながるストーリーを体験として届ける

一方で、環境訴求に偏りすぎたり、品質や導線設計を軽視したりすると、どれほど理念が優れていても市場では支持されません。サステナブル商品の本質は、「社会の課題解決」と「ユーザー満足」を両立させるビジネスデザインにあります。

こうした「納得感のあるサステナブル商品」の裏付けとなる資源循環の仕組みを構築するのが、五十鈴株式会社の「icサーキュラーソリューション」です。廃棄物削減や素材の再価値化を起点に、循環を前提とした商品設計や、ストーリーの根拠となる資源の透明性を確保する構造的な企業変革を強固に支援します。一過性のヒットに終わらない、次世代の循環型経営を具現化したい方は、ぜひお気軽にご相談ください。

監修

早稲田大学法学部卒業後、金融機関での法人営業を経て、中小企業向け専門紙の編集記者として神奈川県内の企業・大学・研究機関を取材。
2013年から2020年にかけては、企業のサステナビリティレポートの企画・編集・ライティングを担当。2025年4月よりフリーランスとして独立。
企業活動と社会課題の接点に関する実務経験が豊富で、サステナビリティ分野での実践的な視点に基づく発信を強みとしている。