物流2024年問題の荷主対応とは?勧告制度・待機時間規制と改善策

物流2024年問題は、トラックドライバーの時間外労働規制が強化されたことにより、輸送能力の大幅な低下が懸念される社会課題です。この問題に対し、抜本的な改革を行うことから荷主企業にも直接的な影響と法的責任が生じています。本記事では、荷主企業が把握すべき法的義務の全体像を整理したうえで、荷待ち・荷役時間の削減策など、実務に直結する改善策も詳しく解説します。


五十鈴株式会社の「次世代運行管理システムAIR」は、鋼材・重量物輸送の現場実績を持ち、自動配車・動態管理・自動日報・勤怠・請求のワンストップカバーにより、物流2024年問題への対応に向けた配車計画の最適化や運行状況の可視化、荷待ち・荷役時間を含む業務実態の把握を支援します。セミオーダー型カスタマイズで自社の中長期戦略に合わせた導入が可能ですので、まずはお気軽にご相談ください。

目次

1.物流2024年問題の現状と荷主企業に対応が求められる理由

物流2024年問題は、トラックドライバーの時間外労働規制によって生じる輸送力不足への対応を背景とした課題です。国は、物流の停滞や将来的な輸送能力不足を防ぐため、運送事業者だけでなく荷主企業にも物流効率化への取り組みを求めています。
ここでは、物流2024年問題の現状と、荷主企業に対応が求められる理由を解説します。

参考:https://www.mlit.go.jp/seisakutokatsu/freight/content/001614997.pdf

(1)物流2024年問題の本質

物流2024年問題の本質は、荷主・運送会社・ドライバーの3者が慣行として積み重ねてきた非効率な物流構造の歪みが法規制という形で一斉に問われる問題です。これまでは、荷主による突発的なオーダーや長時間の荷待ち、それに応える運送会社の過剰サービス、そしてそれらを長時間労働と歩合給でカバーしてきたドライバーの自己犠牲によって、日本の低コストかつ高頻度な物流インフラは奇跡的に維持されてきました。
しかし少子高齢化は確定された未来であり、それはトラックドライバーの年齢層にも反映されています。

引用:https://www.mlit.go.jp/common/001225739.pdf

国土交通省の資料によると、全産業の平均と比較してトラックドライバーの平均年齢は3〜5歳以上高く、大型トラックにおいては47.5歳に達しています。道路貨物運送業における29歳以下の若年層の割合はわずか9.1%に留まり、全産業の16.3%を大幅に下回るなど、次世代の担い手不足が深刻化しています。

そもそも日本の総人口はすでに減少局面に突入しており、2050年には生産年齢人口が2010年比で約3,000万人減少、総人口の約40%が65歳以上になると予測されています。抜本的な措置をしないと、近い将来、私たちの社会の物流が本当にとまる未来がくることは火を見るより明らかです。

引用:https://www.mlit.go.jp/common/001225739.pdf

(2)ドライバーの労働時間規制による具体的な影響

2024年4月に施行された改正「改善基準告示」による労働時間規制は、ドライバーの働き方を根本から変えると同時に、これまでの配送モデルの維持を極めて困難にする具体的な影響をもたらしています。

規制内容主な内容影響
拘束時間の上限規制年間拘束時間:3,300時間→3,400時間月間拘束時間:293時間→274時間(例外的に最大310時間)1日の拘束時間:原則13時間以内(最大15時間)長時間勤務を前提とした運行が困難になり、従来の運行計画の見直しが必要となった
休息期間の拡大継続8時間以上→継続11時間以上を基本(最低9時間)荷降ろし後に十分な休息時間の確保が必要となり、長距離輸送や日帰り運行に影響が生じる
運転時間の制限強化連続運転時間:4時間以内4時間ごとに合計30分以上の休憩が必要1日平均運転時間:9時間以内2週間平均の週間運転時間:44時間以内ドライバーの運転可能時間が制限され、輸送能力の低下や運行効率への影響が生じる

出典:https://jsite.mhlw.go.jp/nara-roudoukyoku/content/contents/001495605.pdf

これらの複合的な時間規制がもたらす直接的な影響は、トラック1台・ドライバー1人が1日に運べる距離と量の絶対的な減少です。結果として、中継拠点を設けたスイッチ運行への転換や、そもそも長距離案件の受注を断らざるを得ないなど、運送会社の供給力(輸送キャパシティ)の縮小という形で、荷主のビジネスにも深刻な影響を及ぼしています。

参考:https://jsite.mhlw.go.jp/kagawa-roudoukyoku/content/contents/001771614.pdf

(3)なぜ荷主企業の対応が重要になっているのか

物流2024年問題、そしてその先にある構造危機において、なぜこれほどまでに荷主の対応が重要視されているのか、その理由は主に3つあります。

理由概要
物流の非効率の一因が荷主側の商習慣にある荷待ち時間や荷役作業、短納期発注、多頻度小口配送などがドライバーの拘束時間増加や輸送効率低下につながっている
荷主自身が輸送力不足の影響を強く受けるドライバー不足が進むなか、物流効率化に取り組まない企業は輸送サービスの確保が難しくなる可能性がある
法制度による対応要請が強まっている物流関連二法の改正により、一定規模以上の荷主企業には物流効率化に関する取り組みや報告が求められている

加えて、ドライバー不足が本格化するなか、運送事業者が「どの荷主の仕事を優先するか」を選別する動きが現場レベルでは進みつつあります。荷待ち時間が長い・荷役条件が厳しい・急な発注変更が多いといった条件の荷主は、配車の優先順位を下げられたり、繁忙期に断られたりするリスクが高まっています。

コンプライアンス対応の遅れは、行政リスクにとどまらず、安定した輸送手段の確保という実務上のリスクに直結する点も見逃せません。 物流は今や運送会社に任せておけば自動的にモノが届くインフラではありません。

荷物を送り、受け取る荷主企業が物流を自社の経営課題として主導的に捉え、商習慣の抜本的な見直しやデジタル化を推進することこそが、崩壊の危機にある日本の物流ネットワークをつなぎ止めることにつながります。

参考:https://www.chuokai-fukuoka.or.jp/info/newsfukuoka/202312/SKM_C650i23121414100.pdf
参考:https://wwwtb.mlit.go.jp/shikoku/content/siryou2.pdf

2.荷主に求められる法的責任とCLO選任義務

「改正流通業務総合効率化法」および「改正貨物自動車運送事業法」のいわゆる物流関連二法の改正により、荷待ち時間や荷役時間の削減や契約内容の適正化に努めることが義務付けられました。

物流統括管理者の選任役員クラス(取締役等)の経営責任者を物流統括管理者として選任する
中長期的な計画の作成具体的な取り組みを盛り込んだ中長期的な計画を策定し、国へ提出する
定期の報告具体的な効率化の進捗状況を国に対して、定期報告として提出する

これまで努力義務やガイドラインに留まっていた物流効率化の取り組みが、一定規模以上の事業者に対して法律上の明らかな義務として課され、役割が大幅に強化された点にあります。

ここからは、上記の役割について解説します。

(1)物流統括管理者の選任

引用:https://www.meti.go.jp/policy/economy/distribution/bukkoho_system_flyer.pdf

物流統括管理者の選任は物流効率化法の改正において、特定荷主(生鮮食品等の中小荷主は年間貨物取扱量4.5万トン以上、その他は9万トン以上が基準)に課された象徴的な義務です。

物流統括管理者は、具体的には以下のいずれかの地位にある人物を選任することが求められます。

  • 法人の取締役(またはこれに準ずる者)
  • 業務を執行する社員(持株会社などの場合)
  • 執行役(指名委員会等設置会社などの場合)

選任された物流統括管理者は、主に以下の3つの重要実務を統括する責任を負います。

中長期的な計画の作成・変更荷待ち時間の削減、積載率の向上、モーダルシフトの推進など、自社の物流効率化に向けたロードマップ(中長期計画)を策定する
定期報告および勧告への対応毎年、実際の物流実績や計画の進捗を国に提出する定期報告の統括、および万が一国から指導や勧告を受けた際の是正措置の主導を行う
社内各部門の連携と体制構築営業・調達・製造といった社内各部門に対して物流適正化に向けた調整や意識改革を促す役割を担う

特定荷主に指定された企業は、指定を受けた日から3ヶ月以内に物流統括管理者を選任し、遅滞なく国(主務大臣)へ届け出なければなりません。人事異動などで解任・変更した場合も同様に届け出が必要です。
物流統括管理者の選任は、企業全体が物流を止めない経営へと舵を切るための、司令塔としての役割が期待されています。

実務上、注意が必要なのは「名目上の選任」に終わらせないことです。物流統括管理者が営業・調達・製造など社内の各部門に対して実際に調整権限を持てない場合、計画の策定や報告書の提出はできても、現場の商慣行は何も変わらないという事態が生じます。
特に、発注リードタイムの短縮や荷待ち・荷役条件の改善は、物流部門単独では決定できず、営業部門や取引先との交渉が不可欠なケースが多いため、CLOには実質的な横断的権限の付与が求められます。 

参考:https://www.mlit.go.jp/seisakutokatsu/freight/content/002001611.pdf

(2)中長期的な計画の作成

中長期的な計画に盛り込むべき具体的な内容は、主に以下の3つの要素で構成されています。

記載項目主な内容具体例
中長期的な目標の設定物流効率化に向けた数値目標を設定する・荷待ち時間・荷役時間の合計を原則2時間以内に削減・積載率向上・中継輸送の導入・モーダルシフトの推進
目標達成のための具体的な措置目標を実現するための施策や投資内容を記載する・予約受付システム導入・パレット化による荷役効率化・急な発注変更の抑制・リードタイムの見直し・共同配送の実施
措置の実施時期各施策を実施するスケジュールを明記する・予約システムを○年○月までに導入・パレット化を○年度中に実施・共同配送を○年度から開始

上記のように、中長期的な計画の作成は具体的な数値や実施時期を明記した実効性のあるロードマップであることが求められます。
また、中長期的な計画は一度提出して終わりではなく、毎年提出する定期報告によって進捗状況を検証し、社会情勢の変化や自社の事業構造の変化に応じて、必要であれば計画の変更・更新を行います。

(3)定期の報告

定期の報告(定期報告書)は、中長期的な計画とは別途で用意する必要があります。これは自社の物流適正化への取り組みが計画通りに実行されているかを国が継続的にモニタリングするための重要な制度です。

定期報告書において、特定荷主が具体的に記述・提出しなければならない主な内容は以下の通りです。

記載項目主な内容報告内容の例
輸送量およびエネルギー使用量の実績貨物輸送実績とエネルギー利用状況を報告する・年間貨物輸送量(トンキロ等)・輸送に伴うエネルギー消費量・エネルギー原単位の推移・省エネ目標に対する進捗状況
荷待ち時間・荷役時間の実態と遵守状況荷待ち・荷役時間の発生状況と改善状況を報告する・平均荷待ち時間・平均荷役時間・荷待ち+荷役時間の合計・2時間以内達成率上記の未達成要因と改善内容
物流効率化の評価基準への対応状況業種別ベンチマークに対する達成状況を報告する・パレット利用率・共同配送の実施状況・配送ルート最適化の状況・リードタイム延長の取り組み・その他物流効率化指標の達成度

もし、この定期報告を怠ったり、虚偽の報告を行った場合には、物流効率化法および関連法に基づき国からの指導や勧告の対象となります。

3.荷主勧告制度とは?行政指導・企業名公表の仕組みと実例

荷主勧告制度は、荷主の不適切な取引慣行がドライバーの長時間労働を招いている場合に、国が荷主に対して直接是正を求める制度です。企業名の公表という強いプレッシャーを伴うため、荷主企業は制度の仕組みを正確に理解しておく必要があります。

(1)自主改善計画から勧告・公表までのフェーズについて

国(国土交通省等)による調査や荷主自身による自主改善の機会を経て、それでも改善が見られない場合や悪質なケースに対して、最終的な勧告・公表が行われるフェーズ(段階)が敷かれています。

段階国の対応荷主に求められる対応
調査違反原因行為の疑いについて事実確認を実施調査への協力
協力要請軽微な事案に対して改善を要請自主的な改善
警告違反原因行為が認定された場合に実施自主改善計画の提出・実行
勧告・公表改善が見られない場合や重大事案で実施勧告への対応、改善措置の実施
重大なケース再違反や重大事故への関与が認められる場合厳格な行政対応の対象となる可能性がある

勧告が出された場合、行政処分として荷主企業に対して速やかな是正命令が下るだけでなく、荷主の名称(企業名)・処分の内容・違反の具体的な事実関係がすべて一般社会およびメディアへ公表されます。

参考:https://www.mlit.go.jp/jidosha/content/001421257.pdf
参考:https://www.mlit.go.jp/common/001203086.pdf

(2)荷主勧告・指導の対象となる違反原因行為の代表例

荷主勧告制度や指導の対象となる違反原因行為とは、荷主企業がその優位な立場(優越的地位)を利用して、トラック運送事業者に法令違反を強いる、あるいは違反せざるを得ない状況を作り出す行為を指します。

国土交通省のガイドラインでは、現場で発生している代表的な事例として以下の5つの行為を挙げています。

参考:https://www.mlit.go.jp/jidosha/content/001421257.pdf

①長時間の荷待ち時間の恒常的な発生

荷主の施設に到着したドライバーを、合理的な理由なく長時間待機させる行為が該当します。具体的には、バースの割り当てや荷受け担当者の確保が追いつかず、1〜2時間以上の待機が日常的に発生しているケースや、到着時間を指定しているにもかかわらず、現場の受け入れ準備が整っておらず長時間拘束されるケースがこれにあたります。

国土交通省が2024年9〜10月に全トラック事業者を対象に実施した「違反原因行為に係る実態調査」では、違反原因行為として報告された件数のなかで「長時間の荷待ち」が最も多い類型であったことが示されており、荷待ちの恒常化が依然として深刻な課題であることが確認されています。

参考:https://www.mlit.go.jp/report/press/content/001859406.pdf

②契約にない無償の荷役(積み降ろし作業)の強要

事前の合意(運送契約等)が書面化されていないにもかかわらず、現場の裁量でドライバーに付帯作業を義務付ける行為は、本来の運行業務とは異なる過度な肉体的労働を強いることになります。これは、ドライバーの過労や、結果としての安全運転義務違反を誘発する要因となります。

契約内容に含まれていないにもかかわらず、車両到着後に手作業によるバラ積みの積み降ろし(手荷役)を強要するケースや、倉庫内での仕分け・棚入れ・附帯業務を無償で行わせるケースがこれに該当します。

③直前キャンセルや突発的な無理な配送依頼

運送の直前になってから急な発注や変更を行ったり、法定速度の遵守を無視しなければ間に合わない輸送条件を課したりする行為は、スピード違反(最高速度違反)や連続運転時間の超過(4時間以内の休憩未取得)といった重大な法令違反をドライバーに余儀なくさせます。

当日の急な出荷依頼や配送時間の直前変更、または、あらかじめ設定された納品時間が、法定速度や休憩時間を遵守していては物理的に到達不可能な時間設定であるケースがこれに該当します。

④異常気象時の運行強要

台風、大雪、地震など、安全な輸送の確保が困難なことが客観的に明らかな状況下において、荷主側の都合を優先して配送を強行させる行為は、重大な交通事故の誘発や、運送事業者が安全確保のために行う措置(運行停止等)を不当に妨害する行為とみなされます。

気象庁から大雪や暴風などの警報が発令されている状況や、高速道路の通行止めが発生しているにもかかわらず、「納期に遅れた場合は取引を停止する」「ペナルティを科す」などとして、運行の中止や見合わせを認めないケースがこれに該当します。

⑤非合理な過積載の指示や容認

トラックの法定上限(最大積載量)を超える貨物を意図的に運ばせる行為は、貨物自動車運送事業法における過積載運行の禁止規定、および道路交通法違反に直接加担する行為です。車両の制動力を低下させ、重大な車両事故のリスクを著しく高めることになります。

トラックの最大積載量を超過することを知りながら、荷主側が一度に大量の荷物を積み込ませて出荷するケース、あるいは運送事業者からの「積載不能」との申し出を拒絶し、過積載での運行を容認・指示するケースがこれに該当します。

4.荷待ち・荷役時間2時間ルールとは?荷主が把握すべき規制

荷待ち時間と荷役時間の管理は、物流2024年問題への対応において荷主が直接コントロールできる重要な要素です。国が示す具体的な数値目標と管理義務を正確に把握することが求められます。

(1)荷待ち時間・荷役時間の違いと定義

荷待ち時間と荷役時間は、しばしば混同されますが、それぞれ明確に定義が異なります。

項目定義主な発生要因
荷待ち時間ドライバーが荷主や荷受人の施設に到着してから、実際に荷積み・荷降ろし作業を開始するまでの待機時間・受入体制の不足・バースの空き待ち・作業スケジュールの遅延・車両の集中
荷役時間荷積み・荷降ろし作業そのものに要する時間・荷物の量や形状・設備の整備状況・フォークリフト等の有無・パレット化の有無・作業人員の配置状況

これらの時間はいずれもドライバーの拘束時間に含まれるため、両方を合計した実態把握が重要です。

参考:https://www.revised-logistics-act-portal.mlit.go.jp/method/

(2)国が求める2時間以内(目標1時間以内)の考え方

国は、物流2024年問題への対応として、荷主事業者に対して荷待ち時間と荷役時間の短縮を求めています。具体的には、トラックドライバーが1回の運行で発着荷主の施設に滞在する荷待ち・荷役等時間の合計を2時間以内に抑えることを目標としており、さらに1回の受渡しごとでは1時間以内を目指す考え方が示されています。

この目標は、ドライバーの拘束時間を年間125時間削減し、将来的な輸送力不足の緩和につなげることを目的としています。荷待ちや荷役に費やされる時間が短縮されれば、その分だけ運行効率が向上し、限られたドライバーでより多くの輸送を担うことが可能になります。

しかし現実には、この目標値との乖離は深刻です。国土交通省が2024年9〜11月に実施したトラック輸送の実態調査(2024年度)によると、1運行あたりの荷待ち・荷役時間の合計は平均3時間2分と、4年前の前回調査(3時間3分)からわずか1分しか改善されていませんでした。目標値の2時間以内には依然届いておらず、改善が進んでいない実態が示されています。

荷待ち時間単体でみると、2020年度の1時間34分から2024年度は1時間28分と微減にとどまる一方、荷役時間は1時間29分から1時間34分とむしろ増加しており、合計時間の削減が進んでいない実態が明らかになっています。

なお、2時間以内という基準は単なる荷待ち時間だけを指すものではなく、荷待ち時間と荷役作業等に要する時間を合算した値です。すでに2時間以内を達成している事業者については、さらなる改善目標として1時間以内を目指す目標値が示されています。

参考:https://wwwtb.mlit.go.jp/kinki/content/000320100.pdf
参考:https://www.mlit.go.jp/jidosha/content/001854525.pdf

(3)荷主企業に求められる乗降記録の管理とは

改正後の改善基準告示では、運転者が荷待ち時間や荷役作業時間、附帯作業時間を記録することが求められており、運送事業者はその記録を保存する必要があります。荷主企業に直接的な記録保存義務が課されているわけではありませんが、物流効率化法への対応や荷待ち時間の削減を進めるためには、自社施設への到着時刻、荷役開始時刻、荷役終了時刻、出発時刻などを把握できる体制の整備が重要となります。

近年はトラック予約受付システムや入退場管理システムを活用し、車両の滞在時間を可視化する企業も増えています。こうした記録は荷待ち・荷役時間の実態把握だけでなく、物流効率化に向けた改善施策の検討や定期報告に活用できる基礎データとなります。

参考:https://jta.or.jp/wp-content/themes/jta_theme/pdf/anzen/unkou_kanrigyomu_anzen_manual(1).pdf

5.物流2024年問題に対応するための荷主企業の改善策

法令対応にとどまらず、実際の物流オペレーションを改善することで、荷待ち・荷役時間の削減とコスト最適化を同時に実現することが可能です。ここでは荷主企業が優先的に取り組むべき改善策を整理します。

(1)荷待ち・荷役時間を削減する仕組みづくり

まず、施設ごとの荷待ち時間と荷役時間を計測・記録し、どの時間帯・どの取引先・どの品目で問題が発生しているかを特定します。データをもとに原因を分析すると、多くの場合、特定の時間帯への入荷集中、荷姿の不統一によるバラ積み作業の多さ、受け入れ担当者不足などが主要因として浮かび上がります。

これらに対して、入荷時間帯の分散(平準化)、パレット化・標準化の推進、荷受け担当者の配置最適化などを組み合わせることで、荷待ち・荷役時間を構造的に削減することができます。

(2)トラック予約受付システムの導入

バース管理システム(トラック予約受付システム)は、ドライバーが荷積み・荷降ろしを行うバース(停車スペース)を事前に予約し、指定時刻に施設へ到着することで荷待ち時間をゼロに近づける仕組みです。システムを導入することで、バースの稼働状況をリアルタイムで把握・管理できるようになります。

入荷トラックが集中する時間帯を平準化し、バース前の渋滞や長時間待機を防ぐことができます。また、記録機能を活用することで、乗降記録の管理義務にも対応できます。
導入に際しては、運送会社やドライバーへの操作案内と定着支援が重要です。導入後を想定した予約ルールの周知と遵守の徹底が、効果の最大化につながります。

なお、現場では「システムを導入したが荷待ち時間が改善しなかった」というケースも少なくありません。その多くは、運送会社やドライバーへの予約ルールの周知が不徹底なまま運用が始まり、無予約での来場や時間外到着が常態化してしまうことが原因です。

導入後の定着フェーズでは、取引先の運送会社への個別説明、予約遵守を前提とした入構ルールの明文化、そして違反時のフォロー体制までをセットで設計することが、効果を継続的に引き出すうえで重要です。 

(3)出荷計画・納品スケジュールの見直し

翌日着・即日着への依存度が高い出荷パターンは、ドライバーの長時間労働を誘発する大きな要因のひとつです。その一方でリードタイムを1日延長するだけで、ドライバーの拘束時間が大幅に緩和されるケースも多くあります。

出荷計画の見直しでは、まず自社の出荷パターンを品目・得意先・地域別に分析し、本当に即日・翌日対応が必要なものと、リードタイムを延ばしても業務上問題ないものを分類します。その結果をもとに、リードタイムの余裕を設けた受注ルールの整備、出荷頻度の見直し(週複数回から週1回などへの集約)、発注リードタイムの標準化などを段階的に進めることが効果的です。

(4)物流拠点や作業体制の最適化

物流拠点の配置や倉庫内の作業体制が非効率な場合、荷役時間の長期化や車両の待機時間増加につながります。拠点の立地・機能・作業体制を定期的に見直し、最適化することが重要です。

倉庫内では、入出荷エリアのレイアウト改善、フォークリフト・パレットの適切な配置、入出荷と保管エリアの動線整理などにより、荷役作業の効率を高められます。また、作業員の配置シフトを入荷トラックのスケジュールに合わせて最適化することで、荷受け待ちによる荷待ち時間を最小化できます。

繁忙期と閑散期で作業体制を柔軟に調整できる仕組みを整えることも、長期的な対応として有効です。

6.まとめ

荷主勧告制度の強化やCLO選任義務の導入により、荷主は物流の共同責任者へと位置づけが変革しています。対応が遅れることは、コンプライアンスリスクに直結するだけでなく、安定的な物流確保の機会を失うことにもなります。

五十鈴株式会社の「次世代運行管理システムAIR」は、自動配車・動態管理・自動日報・勤怠・請求を一元管理し、荷待ち・荷役時間の削減や乗降記録の可視化、運行管理業務の効率化を支援します。物流2024年問題への荷主対応や、安定的な物流体制の構築をご検討の際は、ぜひお気軽にご相談ください。

監修者

10年にわたる物流会社での事務経験を持ち、現場実務に精通。2024年に貨物運行管理者資格を取得し、法令遵守と実務の両面から運行管理を支援しています。

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