事業を通じた社会課題の解決 TOPIC TOPIC TOPIC 鉄鋼流通業界の需給バランスの変動が激しさを増すなか、人材 の流動化も進んでおり、それに対応した柔軟な人財配置が不可欠 となっています。 とはいえ、旧来のように上意下達の人事異動ではモチベーショ ンの低下や離職にもつながります。とくに五十鈴は拠点ごとの採用 が多いため、その傾向が高かったといえます。そもそも人財を資産 ととらえる私達の姿勢に、一方的な異動通知はそぐわないと、強く 感じるようになっていました。 この「社内人財の流動化」と「個人の意思の尊重」を両立させる べく異動制度の改革もはじめています。 2022年頃から、まずは人事が異動を決める前に、本人に要望 を確認。あるいは「社内留学」と称した短期異動経験を通して本 人自らの意思でキャリアアップとしての異動を選択するように促し ます。 また異動手当も手厚く用意。単身赴任の手当を増やしました。さ らに、これまで「月1回」に限定されていた帰省費用負担も、年間 24回まで増やしました。 こうして異動の障壁を緩和させる一方で、拠点をまたいで「違う 場所、違う領域」で得られる成長機会につながることも、丁寧に伝 え続けました。 これらが実り、今は自ら手をあげて異動願いを出す人財が増え てきたのを感じます。モチベーションの高い社員が異動することで、 受け入れ側からも「刺激を受けている」「学びあえている」との声も あります。 かつて、弊社の離職率は10%前後でした。しかし、2024年度は これが半分以上下がり、4.8%にまで減少しました。こうした各種の 施策の結果と自負しています。 働きやすさを追求するのと同時に、採用に関しては、圧倒的な売 り手市場であるからこそ、「攻めの採用」を意識しています。 比較的、各拠点主導だった採用活動を、人事チーム主導のグ ループ総合力での積極採用にしていきました。とくに新卒採用は、 高卒採用が年々厳しくなっている中、大学卒の方は大幅に増やし ています。またオンラインでの面談をとりやめて、あえてオフライン で一次面談から実施しています。しかも会場は地方からの学生に も交通費を全額負担し、丸の内本社に来てもらい、会議室やミー ティングルームではなく、執務室で実施するようにしています。 志望者の方に、自分が働く場所、同僚になるかもしれない人財 をオープンに見ていただくことで、「会社と人財のミスマッチ」を防ぐ 狙いです。肌感覚で自分とフィットするか否かを判断してもらうほ うが、五十鈴に親和性の高い人財が採用できると考えているから です。 キャリア採用もかつての社員全体の10%程度だったのが、直近 では30%にまで増えています。ビジネスモデルの変革や新規事業 への挑戦、また働きやすさの磨き上げなどが少しずつ評価され、人 財の質の高さが担保されていると感じます。 今後は、とくに「働きがい」「やりがい」に結びつくような施策を充 実させていく予定です。また「自発性」「自主性」といった企業文化 の醸成も積極的にしていく所存です。 またジェンダーを超えた働きやすさの実現に引き続き取り組み ながら、世代や国籍も超えた真のD&I経営の実現を目指していま す。そして将来的には業界の枠も超えたD&I経営のリーディング カンパニーとなるのが、私たちの願いです。 「健康経営法人」 に認定 五十鈴グループは、従業員の心身の健康を経営の重要 テーマと位置づけ、「健康経営優良法人2025」の認定を取 得しました。2023年度から各サービスセンターに健康づく り担当者を配置し、2024年5月に「銀の認定」、そして 2025年3月に本認定を取得しました。 グループ全員で攻める採用活動 一次面談から丸の内本社で実施し、リアルなありのままの 五十鈴を体感してもらうことを重視しています。本社にいるソ リューション部門の社員が直接対話し、オンラインでスチール サービス部門の若手社員も登場、時には鈴木勝CEOも飛 び入り参加し、まさにグループ全員での採用活動を展開して います。 あえて丸の内の執務室で面談する「攻める採用」 工場や営業で活躍する女性社員 従来、女性の進出が難しかった鉄鋼工場や営業職にも、 五十鈴では働きやすい環境整備を進め、2024年度には工場 で5名の女性社員が活躍するまでに。補助器具の導入や空 調整備などで現場環境を大幅改善し、意見を反映する仕組 みも構築。また、営業職にも初の女性配属が実現。業界の常 識を超え、D&Iを体現する一歩を着実に踏み出しています。 13
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