2024年成立の改正物流効率化法により、荷待ち・荷役時間の管理が荷主と物流事業者の双方に法的に求められるようになりました。その中心的な基準が「トラック2時間ルール」です。
本記事では、ルールの定義・法的根拠・計測基準・2時間超過時のリスク・待機料の請求方法・実務対応を2026年の情報をもとに解説します。
五十鈴株式会社の「次世代運行管理システムAIR」は、鋼材・重量物輸送の現場実績を持ち、GPS動態管理により配送拠点への到着から荷役開始・完了までの時間を1分単位で自動記録し、2時間ルールへの対応に必要な客観的エビデンスを蓄積します。セミオーダー型カスタマイズで自社の荷待ち管理体制に合わせた導入が可能ですので、まずはお気軽にご相談ください。
1.トラック2時間ルールの定義と改正法による義務化について

ここでは、2時間ルールの定義や、法的な位置づけ、そして2026年時点の現状について解説します。
(1)荷待ち・荷役時間合計2時間以内の法的根拠
「トラック2時間ルール」とは、トラックが荷積み・荷降ろしを行う施設に到着してから、すべての作業を終えて出発するまでの時間(荷待ち時間+荷役時間+附帯業務時間)を、1回の運行あたり合計2時間以内に収めることを求めるルールです。
このルールは、2024年5月に成立した「流通業務の総合化及び効率化の促進に関する法律(改正物流効率化法)」に基づき、国が定める荷主等及び物流事業者が取り組むべき措置の判断基準と位置付けられています。
参考:https://wwwtb.mlit.go.jp/kinki/content/000320100.pdf

(2)対象となる特定荷主・特定物流事業者の基準
改正物流効率化法では、一定規模以上の貨物を取り扱う事業者を「特定事業者」として指定し、物流効率化に向けた本格的な取り組みを義務付けています。以下の基準に基づき指定が行われています。
| 区分 | 対象基準(指定の閾値) | 主な義務内容 |
|---|---|---|
| 特定荷主 | 年間の貨物取扱量が7,500万トンキロ以上 | ・物流統括管理責任者(CLO)の選任 ・中長期計画の作成 ・定期報告(毎年度) |
| 特定物流事業者 | 【トラック運送】 保有車両台数が200台以上 【倉庫】 所管倉庫面積が25万㎡以上 | 同上 |
| 特定連鎖事業主 | 定められた基準以上のフランチャイズ・チェーン等 | 同上 |
特定事業者に指定された場合、2時間ルールを意識するだけでなく、経営層から物流統括管理責任者(CLO)を選任し、全社的な体制で荷待ち・荷役時間の削減計画を推進することも求められます。
また、自社が指定基準(200台、25万㎡等)を下回る場合であっても、取引先である荷主が「特定荷主」に該当する場合、荷主側の中長期計画に沿ったデータ提供や、バース予約システムの導入といった協力を求められることになります。
参考:https://www.mlit.go.jp/policy/shingikai/content/001760825.pdf

(3)荷待ち時間の現状

一方、荷主(出荷・入荷)側で「発生している」と認識しているのは約20%にとどまっており、現場と荷主の間で認識に大きな乖離があることが明らかになっています。
こうした認識の乖離が続くなか、国土交通省が令和6年(2024年)に実施した調査では、 荷待ちが発生している運行における1運行あたりの合計荷待ち時間は平均1時間28分、荷役時間は平均1時間34分で、荷待ち・荷役時間の合計は約3時間2分に達しています。 依然として2時間ルールの目標値には届いていない状況です。
拘束時間への影響も顕著で、荷待ちがない運行の平均拘束時間が10時間38分であるのに対し、荷待ちがある運行では12時間26分と約2時間長くなっています。
参考:https://www.mlit.go.jp/jidosha/jidosha_tk4_000022.html
2.どこからどこまでが対象?待機・荷役時間の正確な計測・記録基準

ここでは、計測の開始・終了タイミング、荷役時間と待機時間の区分け方、そして待機時間・荷待ち時間の記録・証跡の残し方を順に整理します。
(1)計測の開始・終了タイミング
2時間ルール(荷主勧告制度の対象となる基準)における時間の範囲は、実態調査に基づき次のように定義されます。
| 時間区分 | 開始タイミング | 終了タイミング | 備考 |
|---|---|---|---|
| 荷待ち時間 | 荷主施設への到着 (門扉通過・受付完了・待機列への並び始め) | 荷役作業の開始 | 貨物自動車運送事業法上の「待機」に該当 |
| 荷役時間 | 荷役作業の開始 | 荷役作業の完了 (附帯業務・受領印受領・締め作業含む) | 積込み・取卸しおよび付随する作業 |
| 合計時間 | 施設到着※ | 荷役作業完了(退出準備整済) | この合計が2時間を超えると改善対象 |
ここでの到着の定義は、施設の門扉を通過した時点、あるいは指定の待機場所(港湾や物流センター付近の路上待機を含む)に到達した時点となります。
1箇所の荷主につき荷待ちと荷役の合計時間が2時間を超える場合、または1日の合計(複数箇所)が3時間を超える場合、荷主への働きかけや勧告の対象となり得るため注意が必要です。
さらに、運転者の1日の管理においては、これらすべての時間は始業時刻から起算される拘束時間に含まれます。
前日より始業が早まった場合、重複する時間はダブルカウントとして計算されるため、荷待ちによる拘束時間の延長は翌日の運行管理にも影響を及ぼします。

参考:https://wwwtb.mlit.go.jp/hokkaido/content/000174382.pdf
(2)荷役時間と待機時間の区分け方
改正物流効率化法およびガイドラインに基づき、荷待ち時間と荷役等時間は以下のように明確に区分され、算定されます。
| 区分 | 含まれる主な内容・状態 | 算定の基準(開始・終了) |
|---|---|---|
| 荷待ち時間 | バース空き待ち、受付後の待機、荷主都合による作業開始遅延など、貨物受渡しのために待機している状態 | 原則、到着(受付)から作業開始まで。 ※指示時刻より早く到着した場合は「指示時刻」から起算します |
| 荷役等時間 | 積み下ろし(手積み・フォークリフト)、検品、荷造り、仕分け、ラベル貼り、代金取立て、作業への立会いなど | 荷役作業の開始から完了まで。 ※附帯業務(締め作業や受領印の受領など)を含みます |
荷待ち時間は、荷主や施設管理者の都合によるものが対象です。
ただし、運転者の遅刻により順番が後ろ倒しになった時間は、荷主都合の荷待ちから除外できるため、正確な到着・指示時刻の記録が双方の責任所在を明確にすることが求められます。
また、業務から完全に離れられる休憩時間は、いずれの時間からも除外されます。
ただし、すぐに車両を動かせる状態で待機している場合は、実質的に休憩とはみなされず、計測対象に含まれる点に注意が必要です。
(3)待機時間・荷待ち時間の記録・証跡の残し方
待機料の請求や、万一紛争が生じた場合の根拠として、推奨される記録・証跡の残し方は以下のとおりです。
| デジタコ・運行管理システムによる自動記録 | GPS情報に基づき、施設周辺への到着(待機開始)から、バース接車(荷役開始)、作業完了(退出)までの時刻を自動で取得 |
|---|---|
| 書面による記録(荷役等実施記録) | 荷主と合意した「指示時刻」および実際の「受付時刻」「作業開始時刻」「作業完了時刻」を記録 |
| ドライバーによる手書き記入と受領印 | 現場担当者の確認(検印)を受けることで、荷主都合による待機の強力な証跡とする |
| 入構管理システムのログ活用 | ゲートの通過記録や受付システムのログなど、荷主側のデータと突き合わせる |
改善基準告示における1日の拘束時間(24時間ルール)を判定するため、日時・場所・時刻(分単位)の3点が明確であることが必須となります。

3.トラックの荷待ち時間に関する法的位置づけと義務化の有無

荷待ち・荷役時間の削減は、現場の慣行改善にとどまらず、法律によって対応が求められる経営課題となっています。ここでは、物流効率化法における荷待ち時間の位置づけとその拘束力について整理します。

(1)物流効率化法における2時間ルールの位置づけ
2024年に改正された物流効率化法(改正物流効率化法)は、荷主・物流事業者・荷受人の三者が連携し、物流の持続可能性を確保することを目的としています。同法では、荷待ち・荷役時間を削減すべき非効率な慣行として位置づけ、具体的な数値目標を伴う管理を義務付けています。
| 2時間ルールの数値目標 | 1運行あたりの荷待ち時間と荷役等時間の合計を2時間以内とすることを目標 |
|---|---|
| 中長期的な努力義務 | 長期的には荷待ち・荷役時間の合計時間を1時間以内まで短縮することを目指す |
| 特定荷主の義務 | 特定荷主は、荷待ち・荷役時間の短縮を含む中長期計画を策定し報告する |
| 着荷主の責任明確化 | 着荷主(荷受側)も特定荷主の対象となり、2時間ルールを達成する責任を負う |
| 物流統括管理者(CLO)の選任 | 特定荷主には、全社的な物流効率化を指揮する役員級のCLOの選任が義務付けられる |
2026年度から特定事業者の指定や定期報告、中長期計画の作成義務などの本格的な運用が計画されています。
参考:https://www.meti.go.jp/policy/economy/distribution/specified-sippers_ver.1.0.pdf
(2)貨物自動車運送事業法における2時間ルールの位置づけ
物流効率化法と並行して、貨物自動車運送事業法(貨物運送事業法) も荷待ち時間の削減に関する重要な法的根拠を提供しています。
同法第64条および関連する「荷主勧告制度」では、荷主の行為がトラック運送事業者の法令違反(改善基準告示違反など)の原因となっている場合、国土交通大臣が当該荷主に対して是正勧告・公表を行える仕組みが設けられています。具体的には、荷主の過度な荷待ち要求が運転者の拘束時間超過や違法な長時間労働の直接的な原因と認められた場合が対象となります。
また、改善基準告示(令和4年改正・令和6年4月施行)では、運転者の1日の拘束時間上限は原則13時間(最大15時間)と定められており、荷待ち時間はこの拘束時間に算入されます。
2時間を超える荷待ちが常態化していると、運行計画自体が法令違反となるリスクがあるため、荷主・運送会社双方にとって実務上の制約として機能しています。
さらに、標準的な運賃(令和6年改定) は、貨物自動車運送事業法第34条の2に基づき国土交通大臣が告示するものであり、待機時間料・荷役作業料の料金基準が明示されています。運送事業者はこの告示を根拠として、荷主との交渉において適正な対価を求めることができます。
参考:https://www.mlit.go.jp/jidosha/content/001913224.pdf
参考:https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/roudoukijun/gyosyu/roudoujouken05/index.html

(3)独占禁止法・下請法における2時間ルールの位置づけ
荷待ち時間の問題は、競争法・取引規制の観点からも規律されています。
独占禁止法(優越的地位の濫用) の観点では、荷主が取引上の優越的地位を利用して、運送事業者に不当な無償待機・附帯作業を強いる行為は、公正取引委員会のガイドラインにおいて問題となりうる行為として例示されています。令和5年に公表された「物流分野における取引適正化に関する検討会」報告書(内閣官房・公取委)でも、荷役作業や待機時間の無償強要が優越的地位の濫用にあたる可能性が明示されています。
下請法(下請代金支払遅延等防止法)では、資本金要件を満たす取引において、待機料の不払いが「買いたたき」や「減額」として同法違反に問われる可能性があります。(詳細については後述の章で解説しています。)
これらの法律は物流効率化法・貨物自動車運送事業法と相互補完的に機能しており、荷主にとっては複数の法令にまたがるコンプライアンスリスクとして認識することが重要です。
参考:https://www.jftc.go.jp/dk/guideline/unyoukijun/yuetsutekichii.html
4.トラックの荷待ち時間が2時間を超えた場合の法的リスクと社会的責任
(1)荷主に対する是正勧告と企業名公表
物流効率化法および関連する是正指導指針の下では、荷主による長時間の荷待ち等の違反原因行為に対し、段階的な行政処置の仕組みが整備されています。以下は、是正指導の流れと内容を整理したものです。
| 区分 | 内容 |
|---|---|
| 是正指導のステップ | 荷待ち・荷役時間の改善が不十分な場合や、特定荷主としての報告・計画義務を怠った場合、「働きかけ」→「要請」→「勧告」の順で段階的に指導が行われる |
| 2時間ルールに基づく判定 | 1箇所での荷待ち・荷役時間が2時間超、または1日合計3時間超の状態が継続している場合、是正指導の対象となり得る※国交省の運用基準では、1日の合計が3時間超の場合も改善が必要と判断されることがあります。 |
| 企業名の公表 | 主務大臣による勧告が行われた場合、対象となる荷主の企業名および内容が公表される |
| 命令と罰則 | 勧告に従わない場合は命令が発動され、さらに従わない場合は法に基づく罰則(過料等)の対象となる可能性がある |
企業名公表は、単なる行政指導に留まらず、取引先・消費者・投資家へのレピュテーションリスク(信用リスク)を伴うため、コンプライアンスの観点からも極めて強力な制裁手段として位置づけられています。
参考:https://www.mlit.go.jp/jidosha/content/001913224.pdf
(2)待機料の不払いが下請法上の問題になり得るケース
荷主と運送会社の関係が下請法(下請代金支払遅延等防止法)の適用対象となる場合(親事業者・下請事業者の資本金要件を満たす場合)、待機料の不払いや一方的な料金カットは下請代金の減額や買いたたきとして同法違反に問われる可能性があります 。
ただし、実務上は下請法の資本金要件を満たさない取引であっても、以下の制度や指針に基づき、適正な対価の支払いが強く求められています。
| 区分 | 内容 |
|---|---|
| トラックGメンによる是正指導 | 国土交通省は監視体制を強化しており、荷待ち・荷役の対価未払い、不当な運賃据え置きは、貨物自動車運送事業法に基づく「働きかけ」「要請」「勧告・公表」の対象となる |
| 標準的運賃の尊重 | 令和6年改定の標準的運賃では、待機時間料・荷役作業料が明示されており、内閣官房および公正取引委員会の指針により、合理的根拠のある価格として尊重が求められる |
| 契約の書面化 | 標準運送約款の改正により、運送と荷役等の業務を分離し、それぞれの対価を収受することが明記されている |
適用可否の判断や具体的な対応については、取引実態および当事者規模の確認が必要とされています。
参考:https://wwwtb.mlit.go.jp/shikoku/content/000345549.pdf
5.待機料・付帯業務料の適正収受に向けた実務のポイント

(1)標準的な運賃に基づく料金体系の分離
国土交通省が告示する「標準的な運賃」では、輸送運賃と付帯業務料(荷役料・待機料など)を明確に分離することが求められています。これにより、従来「運賃に含む」として無償提供されてきた荷役・待機コストを可視化し、適正な対価として収受する仕組みを整えることが目的です。
運送会社は、見積書・請求書の段階から「運賃」「荷役料」「待機料」を項目別に記載することで、料金の透明性を高め、交渉力を向上させることができます。
参考:https://jta.or.jp/member/kaisei_jigyoho/top/hyoujun_unchin.html

(2)待機時間料の請求根拠となる書面化の徹底
待機料を請求するためには、発生した待機時間を証明する書面が必要です。具体的には以下の書類を整備・保存することが求められます。
- 待機時間記録票(到着時刻・作業開始時刻・終了時刻・待機理由を記載)
- 荷主担当者のサインまたは確認印
- デジタコ・運行管理システムの記録(PDF等で出力)
- 写真記録(バース前の待機状況など)
荷主が確認印を拒否した場合でも、デジタコや運行管理システムの客観的なデータがあれば請求の根拠として機能します。記録は少なくとも3年間保存することを推奨します。

(3)標準運送約款・標準契約書への作業内容の明記
国土交通省が定める標準運送約款では、付帯業務(荷役・待機など)の条件・料金について、運送契約締結前に書面で合意することを原則としています。実務では、基本契約書または覚書に以下の事項を明記することが効果的です。
- 荷待ち時間・荷役時間の上限(例:合計2時間以内)
- 上限超過時の待機料の単価(例:1時間あたり〇〇円)
- 計測の基準(到着の定義・計測方法)
- 請求・支払いのサイクル
契約書への明記は、後日の紛争を防ぐだけでなく、荷主との交渉テーブルに乗せるための重要な準備にもなります。
6.荷主・運送会社の実務対応と契約・現場の見直しポイント

荷待ち・荷役時間の長時間化は、運送会社にとって直接的なコスト増につながります。しかし、長年の慣行として「運賃に含む」とされてきた背景から、待機料や付帯業務料を適正に請求できていない事業者が多いのが実情です。
ここでは、標準的な運賃の考え方をベースに、現場で実践できる適正収受の具体的な手順を解説します。
(1)荷主側の対応事項
荷主(発荷主・着荷主)は、物流効率化法における特定荷主としての法的責任を負う立場であれば、現場の慣行を抜本的に見直す必要があります。これまでサービスとして扱われがちだった附帯業務の定量化と、CLOの関与による全体最適化が不可欠です。主な対応事項は以下のとおりです。
| バース予約の運用 | 現場の処理能力に応じた時間枠を設定し、予約時間に到着した車両が待機せずに接車できる体制を構築する |
|---|---|
| 荷受け・荷出し体制の調整 | 到着予定や予約状況に応じて作業員やフォークリフトを配置し、受付や荷役の待機要因を排除する |
| 検品プロセスの見直し | 伝票の電子化や事後検品等を活用し、トラックの滞在時間を短縮する |
| 附帯業務の分離 | 仕分け・ラベル貼付等の作業をドライバーに行わせず、荷主側または外部で対応する |
| 物流波動の平準化 | 発注・納品日の分散や荷受け時間の拡大により、車両の集中を回避する |
(2)運送会社側の対応事項
運送会社は、ドライバーの拘束時間管理と適正な対価収受に向け、運行実態の可視化と取引条件の明確化を進める必要があります。主な対応事項は以下のとおりです。
| 運行データの記録 | デジタコやGPSを活用し、到着・受付・荷役開始・完了・退出の各時刻を記録し、荷待ち・荷役時間を客観的に把握する |
|---|---|
| 長時間運行の把握 | 荷待ち・荷役時間が長時間となる運行を抽出し、改善が必要な荷主や施設を特定する |
| 附帯作業の記録 | 仕分け・ラベル貼付等の附帯作業について、日報等で記録し、運送業務との区分を明確化する |
| 料金の提示 | 待機時間料や荷役作業料を含む料金体系を整理し、見積書等で提示する |
| 協議体制の構築 | 荷主に対して運行データを共有し、荷待ち・荷役時間の改善に向けた協議を行う |
運行計画の策定にあたっては、長時間の待機が運転時間や拘束時間に影響するため、関係法令に基づき適切に管理する必要があります。
(3)契約書・覚書への反映方法
荷待ち・荷役時間に関するルールを実効性あるものにするためには、書面化が不可欠です。
既存の基本契約を見直す場合は、覚書(変更合意書)を締結する方法が手軽で効果的です。特に令和6年以降、運送とそれ以外の業務(荷役等)を分離して契約することが約款上も明記されています。
| 記載項目 | 内容の例 | 実務上の留意点 |
|---|---|---|
| 荷待ち・荷役時間の上限 | 「原則として合計2時間以内とする」 | 改正法の指針に基づき「2時間」を明文化します。長期的には「1時間」を目指す方針も付記するとより効果的です 。 |
| 超過時の待機時間料 | 「上限超過後、30分ごとに〇〇円」 | 標準的運賃に基づき、30分単位での設定を推奨します 。また合計2時間を超えた場合の割増(5割)についても言及を検討します 。 |
| 附帯作業の対価 | 「積込・取卸料:1回〇〇円」「仕別・ラベル貼り:実費」 | 「運賃」とは別に「料金」として切り分け、作業内容ごとに単価を設定します 。 |
| 計測の基準 | 「到着:施設周辺・待機列への到達時刻」「完了:退出準備整済時刻」 | 指示時刻がある場合の起算点(指示時刻より早着した場合は指示時刻から起算)を明確にします 。 |
| 記録と証跡 | 「デジタコデータまたは荷役等実施記録に基づき、双方が確認する」 | 認識の乖離を防ぐため、客観的な記録(入退場ログ等)を優先する旨を定めます 。 |
| 異常気象時の免責 | 「運行中止を判断した際のキャンセル料および強要の禁止」 | 異常気象時の無理な運送依頼が「違反原因行為」に該当することを前提に定めます 。 |
覚書の締結交渉では、以下の3点を根拠として提示することで、荷主側の理解と協力を得やすくなります。
- 物流効率化法の遵守
- 改善基準告示(24時間ルール)の維持
- トラックGメンによる監視
運賃・料金の不当な据置きや対価のない附帯業務は、優先的な是正指導(働きかけ・要請・勧告)の対象となることを共有し、相互の防衛策として契約を適正化が自然な流れとなることが一般的です。
7.まとめ
トラック2時間ルールは、ドライバーの労働環境改善と物流効率化を両立するための重要な基準です。2024年の物流効率化法改正により法的根拠が明確化されており、特定荷主・特定物流事業者には計画策定・報告義務が課されています。
五十鈴株式会社の「次世代運行管理システムAIR」は、ワーレックス社(重量物運送・200台超)での実証実績を持ち、GPS動態管理により配送拠点での到着・荷役・出発時間を1分単位で自動記録します。2時間超過の実態を客観的数値として可視化することで、荷主への改善要請・待機料交渉・社内の配車計画見直しを確実に裏付けます。物効法への対応が求められる荷主企業にとっても、運行データの共有は改善取り組みの根拠となります。


