中国のコイルセンターB社さまのケース。今後の規模拡大を見据え、コスト低減や同地区で拡大する需要・お客さまのニーズに柔軟に対応できる工場運営を目指す中、これらに対応する工場改善・変革を現地工場管理者が主体的に推進する、「工場運営の現地化」の必要性を感じられていました。そこで、富士五十鈴が現場管理者を短期的に受け入れ、ITCとの協働サポートにより、日本で育成のお手伝いを行いました。

工場改善を推進するために技術的側面での「各種手法の習得」に重点を置いた場合、自社の状況にマッチせず、適応させられない側面もあり、必ずしも効果的とはいえません。このため、手法の習得を基本として捉えながら、自社の経営に主体的に関わる「参画マインド」の喚起、自社の目標に対して管理者として自らが何をすべきかを考える「思考力」の開発。これらを総合的に網羅したプログラムを開発し、支援を行っていきました。

技術的・手法的な習得は、現場で実際の改善を見たり、方法論を知ることで身についていきます。しかし、主体的に考え改善していく当事者意識や参画マインド、そして思考力は、理論や机上の学習で身につけられるものではありません。このため、我々が育成支援を行う中で最も大切にすることは、体験から得られる達成感や一体感などの「実感」であり、気持ちの部分に対していかに影響を与え、気持ちの変化を通じていかに行動の変化に繋げられるかということです。
今回の留学プログラムでは、実際に操業を行うラインのメンバーとして配属しました。ラインの中に入って操業を経験する中で、富士五十鈴の生産ラインメンバーが、ライン全体の動きを考え、自分の作業範囲を超えて相互応援をしながら生産性を高める努力をしている姿。不安全な作業や安全ルールを守らない行動を発見したら、相互に注意をし合って安全な職場づくりを行っている姿。ラインメンバーが休憩時間に集まり、どうしたら品質異常をなくすことができるかを話し合っている姿。このような、「主体的に考え自ら改善していく風土」の中に身を置き、一緒に行動することで、しだいに会社全体の目標に対して自ら考え実行することによる仕事の面白さや達成感、周囲との一体感を感じることができ、自己変革のきっかけをつくっていきました。この参画マインドをベースに、自社の目標達成に向けた自己の課題を主体的に設定することができ、わずか3ヵ月という短期留学ですが、変化(成長)を促進することができたと思います。

人財育成は、手間も時間もかかる反面、成果はなかなか目に見えず、また、速効性があるものではありません。しかし、人財をコストでなく資産として捉えた投資は、数年後に大きく効いてくると五十鈴では信じています。
留学終了後、B社さまの工場管理者は、自ら設定した自己の課題を実行しはじめました。折りしも新工場への移転という機会と重なり、5Sプロジェクトを発足。現地の社員を巻き込んだプロジェクト活動を展開しながら、会社の目標に向けて改善・変革を一緒に進めています。参画マインドを持った人財を少しずつ増やし、工場全体の主体的改善の風土づくりを推進中です。